『容疑者』(1944年)
この作品は、ロバート・シオドマク監督、チャールズ・ロートン主演のフィルム・ノワール風犯罪ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1944年 Universal Pictures アメリカ作品
ランニング・タイム◆85分
原題◆The Suspect
プロット◆夫人を殺して色々とある話しのようです。
音楽◆フランク・スキナー
キャスト
チャールズ・ロートン→善人のオッサン フィリップ
エラ・レインズ→何故か惚れてるメリー
ロザリンド・アイバン→不仲なコーラ夫人
ディーン・ハーネス→息子のジョン
イブ・アンバー→ガールフレンドのシビル
ヘンリー・ダニエル→ロクデナシの旦那 シモンズ
モリー・ラモント→普通のシモンズ夫人
スタンリー・リッジズ→ハクスレー警部補
レイモンド・セバーン→番頭少年のメリデュー
ロバート・シオドマク監督の演出はよいと思います。
全体的にチャールズ・ロートンで出来ています。
しかしステッキの振り回し方はとても善人には見えません。多分勘違いの渾身の役作りの産物なのでしょう。
チャールズ・ロートンといえばアルフレッド・ヒッチコック監督が大嫌いな俳優です。
多分自分に似ているので嫌いなのでしょう。それと独りよがりな役作りで撮影を遅らせたのもあるようです。
本『映画術』ではチャールズ・ロートンのことををこき下ろしていてインタビュアーのフランソワ・トリュフォーはヨイショするわけにもいかず困惑していたと思える。
株式会社ブロードウェイ発売のDVDにて。
画質はまあまあ。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。
音声はドルビーデジタル2.0ch
ブロードウェイのタイトル
著作権のアラート
Universal Pictures
タイトル
Charles Laughton
and
Ella Raines
in
The Suspect
with
Dean Harens
Stanley C. Ridges
Henry Daniell
Rosalind Ivan
Molly Lamont
Raymond Severn
スタッフの紹介
ロバート・シオドマク監督なので大丈夫でしょう。
前説字幕
気取らない街に気取った名前。
それが1902年ロンドンの流行だった。
街の名はラバーナム・テラスハウス。
主人公のオッサンの自宅前にて。
隣りのシモンズ夫人に挨拶してる主人公のオッサン、フィリップ。
まだ馬車にガス灯の時代です。
帰宅するフィリップ。
コーラ夫人と息子のジョンがもめてます。
そんなわけでここから出ていくジョン。それで馬車が来ていたわけです。
フィリップとコーラ夫人。
夫婦仲は当然悪いのでジョンの部屋に移ることにするフィリップ。
そんなわけでまたもめてます。
フレーザー&ニコルソン タバコ商会にて。
エラ・レインズ扮するメリーが登場。
仕事探しで支配人に会いに来ています。ところでタバコは女性だと売れないらしい。
フィリップが支配人です。
番頭少年の使い込みをやんわりと非難しています。最後は砕石場送りだと脅かす。
泣いてる番頭の少年。もちろん砕石場送りにするつもりはない。
メリーと面会するフィリップ。
口述筆記の事務仕事の売り込みに来たメリー。
最新のタイプライターも打てますと主張する。しかしやんわりと断るフィリップ。
店じまいをして帰るフィリップ。
フレイザーと挨拶してます。この店のオーナーの1人です。
番頭の名前はメリデュー。メリデューと挨拶して帰ります。
街中にて。
偶然にベンチで泣いてるメリーとコンタクトするフィリップ。
1日仕事探しで歩いてて何も食べていなくて、突然落ち込んだとのこと。
ここでメリー・グレイと名前がわかってます。
食事にしようとナンパするフィリップ。馬車で移動となります。
馬車にて。
私は優しくないよと言ってるフィリップ。
中華料理店にて。
食事のフィリップとメリー。箸を使ってます。
劇場にて。
フィリップとメリー。ダンスを見ています。
サーカスにて。
フィリップとメリー。
命知らずのデクスター、空中ショーを見てます。
それでどんどん知り合いになるようです。
フィリップはメリーに仕事を紹介したようです。
メリーから知り合いと会うからあなたも来てと言われるが断ってるフィリップ。
酒屋にて。
隣りの旦那ギルバート・シモンズが主人ともめてます。通りすがりのフィリップ。
で、主人からアンタの奥さんが調べてますよと警告されてるフィリップ。
シモンズの愚痴を聞いてるフィリップ。どこも夫婦仲は上手くいってないようです。
イーリス夫人と不仲らしいギルバート・シモンズ。
フィリップの自宅にて。
帰宅したフィリップ。自室に入ろうとしたらドアにカギがかかってます。
そんなわけでコーラ夫人と話し合いになるフィリップ。口論になります。
言いたい放題のコーラ夫人。結構凄い。
フィリップはさりげなく別れ話しを持ち出す。
当然コーラ夫人は別れる気がない。世間体が悪いと主張する。
それなら出て行くと売り言葉に買い言葉でもめてます。
溶暗になります。
エクスト&ウィンワード洋服店にて。
ここが勤め先のメリー。そうなってます。
メリーの彼氏の話しになってホラを吹いてるメリー。
しかし途中からマジな話しをしてます。太ってるオッサンだと・・
そんな感じでメリーはフィリップに気があるらしい。今夜話しがある・・
夜の街にて。ロンドンなので霧が出てます。
フィリップを尾行するコーラ夫人。
物陰に隠れて尾行を巻くフィリップ。
レストランにて。
バイオリンの生演奏が入ってます。しかしチップを要求する。
フィリップとメリー。
もう君と会えなくなったとフィリップ。ようやく夫人のことを話す
とりあえず乾杯はしている2人。
溶暗になります。
フィリップの自宅にて。
クリスマスの飾り付けをしてるフィリップ。
そんなとこにコーラ夫人が帰宅する。すぐに何が足りないとケチをつける。
また口論になります。
どうにも止まらないコーラ夫人は女の話しを始める。
どうやったかは知らないけど詳しく調べています。
名はメリー・グレイ、勤め先まで知ってます。
そんなわけでこのネタをフィリップの勤め先にぶちまける。首になるだろう。
それからメリー・グレイの自宅と勤め先にも押しかけると止まらない。
明日から押しかけてやるとコーラ夫人。それでどうなる。
ステッキを握りしめてるフィリップ。
溶暗になります。
近所の八百屋にて。
噂話になってます。妻に先立たれて気の毒なフィリップの話しです。
そうなるともうコーラ夫人は死に至ったらしい。話しが早い。
階段から落ちて死んだコーラ夫人。
フィリップの自宅にて。
葬式になってます。息子のジョンは当然来ています。
隣りのシモンズ夫人が手伝いに来ています。メリー・グレイではない。
フィリップとシモンズ夫人。
眠れますかと言う話しからシモンズ夫人から睡眠薬を貰うフィリップ。
5滴以上いれると危険だと前振りが入る。
無事に葬式が終わってます。何だかパーティみたい。
ジョンと少し話すフィリップ。
で、ジョンは帰ります。帰り間際にここにあったステッキは?と聞く。
適当にごまかすフィリップ。
玄関のカギをがっちり締めているフィリップ。
メリーへの手紙を書きかける。そんなとこにノックの音がします。
やって来たのはスコットランドヤードのハクスレー警部補と名乗る。
フィリップとハクスレー警部補。
上からの指示で質問があると普通に始まってます。
階段途中のカーペットが破れてます。ここで躓いたのか?
普通の会話から夫婦の部屋が別なのこともバレてます。
階段の破れたカーペットはそのままなのに壊れた手すりは速攻で修理してた。
ステッキをこう持って殴打したとどんどん妄想が入るハクスレー警部補。
ここらへんは『レベッカ』(1940年)のカメラの動きで描写しています。
こうやったんだと決めつけてるハクスレー警部補。
さすがにそれはないだろと抗議するフィリップ。
証拠があるのか?決めつけないでくれ・・・
動機が見つかればいいとハクスレー警部補。
何だかのこの警部補は内職で恐喝をやってるのか?と思わせます。
ようやくハクスレー警部補が帰ります。
書きかけの手紙を破り捨てているフィリップ。
溶暗になります。
フレーザー&ニコルソン タバコ商会にて。
メリーが訪ねてきますが、入らずに通り過ぎる。
そんなとこにハクスレー警部補がいます。どうやら張り込みの刑事もいる。
メリーを尾行する張り込み刑事。
街中にて。
フィリップが来るのを待ち伏せしていたメリー。
ここはまずいと場所を変えるフィリップ。張り込み刑事はいます。
レストランにて。
フィリップとメリー。話し込む。
今はまずいとフィリップ。
メリーはマジで惚れてるみたい。そうなの?となるがそうなってます。さすが映画だ。
それでまた乾杯になってます。同じレストランでした。
溶暗になります。
女性専用寄宿舎にて。ここがメリーの自宅アパートです。
ハクスレー警部補が来てます。メリーと面会する。
マーシャルさんの件で質問が・・・、マーシャルはフィリップの姓です。
いきなり関係は?とストレートに聞くハクスレー警部。
これは殺人事件ですとなってます。
そんなとこにフィリップが来ます。
何とメリーはもうフィリップ・マーシャル夫人になっていました。話しが早い。
今朝結婚しましたと話すフィリップ。
その手で来たのかと感心してるハクスレー警部補。
それでもやる気満々のハクスレー警部補。
これでメリーは不利な証言は出来なくなったと嫌味を言う。
フィリップはそれはあんたの妄想だと非難する。
口論になってます。それでどうなる。
これはあくまでも仕事ですと主張してるハクスレー警部補。
溶暗になります。
フィリップの自宅にて。
ジョンがガールフレンドのシビルとその両親を連れて来る。
シビルは妙な笑い方をする女の子です。大丈夫なのか?。両親はパッカー夫妻。
寝室にて。
メリーはフィリップに最先端の服を見せてます。
セーラー服のドレスで脚が見えてます。当時としては露出が多い。
フィリップは出かけます。
隣りのシモンズ夫人と話しをするが額にあざがあるシモンズ夫人。
どうやら旦那シモンズのDVのようです。
ロンドンの時計台が見えます。
レストランのフィリップ。
ウエイトレスのマーガレットおばさんから食べ過ぎですと言われてる。
そんなとこにシモンズが来ます。
シモンズを演じる俳優はマイケル・ファスベンダーにソックリ。キャラに合ってます。
5ポンド貸してくれと始まるシモンズ。断るフィリップ。
フィリップはいなくなる。
入れ替わりでハクスレー警部補が来てシモンズにコンタクトします。
コーラ夫人の事故死の話しをすると興味津々なシモンズ。
溶暗になります。
フィリップの自宅にて。
猫がいます。可愛い。フィリップ以外は出かけてます。
そんなとこにシモンズがやって来ます。
コーラ夫人が死んだのは幸運だと嫌味から始めてます。
次はハクスレー警部補の名前を出す。
そうなると自分が証人になれば君は不利になるだろうと恐喝に入る。
10ポンドを要求するシモンズ。
これは恐喝だとシモンズ。それにホントに聞こえたのか?と聞く。
シモンズにとって聞こえる聞こえないは問題ではなく恐喝が出来ればいいようです。
5ポンド出すシモンズ。次は25ポンドだとシモンズ。永久に恐喝するつもり。
ウィスキーを出せとシモンズ。出すフィリップ。
しかし例の睡眠薬を5滴以上入れるのを忘れない。すっかり常習犯になってます。
出されたウィスキーを思い切り飲んでフィリップに説教するシモンズ。
言いたい放題で凄いものです。当時とはしてはというか普遍的な感じ。
君は扱いやすい。
やられっぱなし。
反抗することも出来ない。
腰抜けだ。
そのうちに睡眠薬が効いてくるシモンズ。
昏睡する前にはさすがに睡眠薬だと気がついたらしい。
鍵束が落ち、グラスが転がります。死に至ったシモンズ。
それはいいけどシモンズの死体はどうする?
ウィスキーを流して捨てるフィリップ。
そんなとこで外から声が聞こえてきます。
シビル?、そうなるとジョンもいる。これは大変。
必死こいて死体を隠してるらしいフィリップ。映像では見えない。
帰宅したのはジョン、シビル、シビルの両親、メリー。
海岸へ行ったが天気が悪くて戻ってきたようです。
メリーがウィスキーがないわとフィリップに聞く。
ウィスキーは自分が飲んだとごまかすフィリップ。代わりの酒を出します。
パッカー氏が鍵束を拾います。フィリップは自分のだとポケットに入れてもらう。
ソファに座ってたシビルがソファの下に何かいると大騒ぎする。
これは大変となるフィリップ。→猫でしたというオチになります。
そんなこんなでシビルと両親が帰ります。ジョンもいなくなる。
フィリップとメリー。
ジョンのガールフレンドは少しアレねと心配なメリー。
多分母親のコーラ夫人みたいになると思わせます。
それでフィリップに何か心配事があるの?と聞くメリー。
フィリップはジョンとカナダに行こうと話し始める。理由は引っ越したくなった。
これはビックリのメリーですが行くことにしてます。
メリーを寝室に追っ払って死体をどうにかしようとするフィリップ。
マジでソファの裏に隠していたようです。
それでどうする?と思ったら溶暗になってしまった。わからん。
次の日かと思ったら相当経ってる、ある昼間。
フィリップが八百屋とお別れの挨拶をしてます。もう船に乗る日みたい。
カナダへ行くと挨拶のフィリップ。
帰宅途中にポンフレット夫人の荷物を持ち世間話のフィリップ。
出発は明日のようです。
警察が目に付いて雰囲気が悪いと愚痴のポンフレット夫人。
どうやらシモンズ失踪でそうなってるようです。
隣りのシモンズ夫人を訪ねるフィリップ。
猫はシモンズ夫人が引き取ったとわかる。
で、旦那のシモンズ失踪について探りを入れるフィリップ。
旦那は帰ってこない方がいいと言ってるシモンズ夫人。これまでにはいなくなってまた帰ったことがあった。
フィリップは旦那は帰ってこない。実家に帰れますと言う。
港にて。
船に乗るフィリップとメリー。ジョンもいる。
そんなとこを場内放送で呼ばれるフィリップ。
紳士がお探しですというがそれは番頭少年のメリデューでした。
メリデューとお別れの挨拶のフィリップとメリー。
船酔いの薬を貰うフィリップ。
フィリップは風邪を引いてるメリデューにマフラーをプレゼントします。
船を降りるメリデュー。
今度は偶然なのかバーでハクスレー警部補と会うフィリップ。これはビックリ。
執念深く追ってきたのかと思ったら意外とアッサリしてるハクスレー警部補。
友人の名前を出してます。見送りに来てるしらしい。
もう事件は関係ないと言ってるハクスレー警部補。そうなの?
で、新聞記事に隣りのシモンズの死体が発見されたと見せてます。
ギルバート・シモンズの死体が昨日運河で発見・・・
自殺、殺人の可能性をある・・・
ハクスレー警部補は殺人なら容疑はシモンズ夫人にかかる。
DV旦那なので動機はあるし、胃の中に残っていた睡眠薬もシモンズ夫人が使っていた。
で、これは殺人だとなってます。
フィリップは彼女は無実ですと主張する。それでどうする?
出港3分前見送りの方は降りて下さいとアナウンスが入る。
ハクスレー警部補はアッサリと引き上げる。
港にて。
ハクスレー警部補と部下の巡査部長の刑事。張り込みでおなじみ。
何で見逃したと聞く巡査部長刑事。
ハクスレー警部補は彼の良心に訴える作戦だと話す。
実はこのシモンズの記事はでっち上げでした。
フィリップは常習犯ではなく普通の善人なので自首するというわけです。
しかし失敗だとハクスレー警部補。
船から降りているフィリップ。
そのうちに自首するから見張れと命じて馬車で引き上げるハクスレー警部補。
夜の街にて。
ひたすら歩くフィリップ。
エンドとなります。
ヘイズオフィスの検閲でこんな感じになるのはわかってるけど、余韻が残る終わり方ががいい。
昔の作品はこういうのが上手い。
そんなわけで全編チャールズ・ロートンですがよい作品でした。
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