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2013.05.26

『江戸川乱歩「吸血鬼」より 氷柱の美女』(1977年)

この作品は井上梅次監督、天知茂、三ツ矢歌子、松橋登他主演のTV土曜ワイド劇場放映の探偵ドラマ第1弾のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1977年 松竹/テレビ朝日 日本作品
ランニング・タイム◆72分
プロット◆魔性の女を巡る事件に巻き込まれる話しのようです。
音楽◆鏑木創

キングレコード発売のDVDにて。
画質はそれなりです。16mmフィルムなのでこんなものでしょう。悪くはない。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはスタンダード。左右に大きく黒味あり。

キャスト
天知茂→探偵の明智小五郎
三ツ矢歌子→魔性の柳倭文子
松橋登→柳倭文子の若い彼氏 三谷
稲垣昭三→恒川警部補
大和田獏→助手の小林
五十嵐めぐみ→助手の文代
菅貫太郎→恋敵の岡田
稲川善一→執事の斉藤老人
加島潤→谷山二郎
荻野尋→柳倭文子の息子 茂
北町嘉郎→常川の部下 田村刑事

井上梅次監督の演出はよいと思います。
「うめじ」ではなく「うめつぐ」というのが正しい読み方であることを最近知りました。
全体的によく出来ています。ちゃんとカットを割っています。

天知茂の明智小五郎探偵は原作とは全く違うけどそんなに気にならない。

ゲスト出演の松橋登ですが髪形がオスカルなんです。結構似合ってるのが凄い。
松橋登は一世一代の名演です。私にとって松橋登といえばこの作品と『変奏曲』(1976年)なんです。


プロローグ
釣りをしている天知茂扮する明智小五郎探偵。
三ツ矢歌子扮する未亡人の柳倭文子と挨拶をしています。
松橋登扮する三谷が登場。
主要キャストの名前が字幕で出ています。

タイトル『江戸川乱歩「吸血鬼」より 氷柱の美女』が短く入ります。

最初の見せ場の三谷と恋敵の岡田の毒入りワインの決闘となります。
岡田を演じる菅貫太郎の情けない演技がいい。

ワインを先に飲んで無事な三谷を見て動揺している岡田。
硫酸を三谷の顔にかけようとして自分が浴びてしまいます。
ほうほうの体で逃げる岡田。

三谷といい雰囲気になってる倭文子。
残されたエログロなコラージュの写真を見て動揺してる倭文子。
いい雰囲気は中断となります。

現場にて。
岡田の死体を確認する三谷と倭文子。
岡田の顔は目茶目茶になっています。特殊メイクはそれなりです。

柳邸にて。
倭文子は死んだ旦那の写真をとっとと片づけて三谷といい雰囲気になっています。
私はお金がなかったとか、色々と言ってる倭文子。
伏線の18歳の時の色恋沙汰のことも言ってます。

執事の斉藤老人に意見されてる倭文子。
倭文子は逆ギレして口論となっています。

電話です。
倭文子の息子からです。自分が誘拐されてと言ってる。
わざわざ誘拐された子供に言わせてるのがさすが元祖変態の江戸川乱歩です。

警察にて。
どうやらアッサリと警察に通報したようです。

柳邸にて。
女装した三谷が身代金受け渡しに行くようです。松橋登は女装が似合い過ぎ。
1万円札がまだ聖徳太子です。

夜、橋の上にて。
怪しい男を取り押さえるがこれがカネで雇われただけのホームレスでした。

柳邸にて。
また脅迫状が届いてます。
今度は倭文子だけで迎えのクルマに乗り込みます。

警察にて。
証言するホームレス。帽子に黒メガネにマスクの男に雇われたとのこと。

クルマにて。
この黒メガネにマスクの男が運転しています。

クルマを降りる倭文子。
この男も全く関係ない雇われただけの男でした。

ここはどこ?、古い工場のようです。
入る倭文子。息子の声が聞こえるので捜します。
怪しい顔に怪しい包帯の男が襲ってきます。包帯を取ると顔面はヒドイ。顔面が崩壊しています。

倭文子を手込めにしてる顔面崩壊男。
時代劇でおなじみなルーティン描写で悲鳴と着物の帯を解くシルエットのショットがあります。面白い。この描写はギャグになっています。

ここで自殺した画家のフラッシュバックが入ってます。
回想のシーンもちゃんと作ってあります。で、結構ネタバレはしています。

手込めのシーンですが最初から吹き替えだけどおっぱいが見えています。

明知探偵事務所にて。
常川警部から以来の電話が入ります。
五十嵐めぐみはいい。それでどうしたんだろう。いい男を見つけて芸能界から足を洗ったんでしょう。そう思いたい。
大和田獏はどうでもいいけど。

柳邸にて。
明智小五郎探偵のクルマはトヨタ・マークIIで、しかも2ドア ハードトップです。色は茶色。

囚われの倭文子。
脚にクサリがはめられています。何か凄いな。当たり前過ぎて凄いのです。

CM前のアイキャッチがちゃんとあります。
DVDなのでもちろんCM抜きです。

柳邸にて。
明智小五郎探偵と警察の面々。
女中の悲鳴がします。怪しい人影を追う一行。門の上に立ち警告する顔面崩壊男。

クルマで逃げる顔面崩壊男。
追う明智小五郎探偵のマークII。

クルマが止まった付近を捜索している一行。
今度は走って追っかけとなります。
消え去る顔面崩壊男。
そんなとこに三谷がいます。アパートが近所で散歩していると称してます。

このへんの印象ですが正直言って面白い。低予算ですがよく出来ています。
鏑木創の音楽もいい。まだエンディングはアップテンポのおなじみの曲ではないけど。

人がいない荒れ果てた工場に入る一行。
三谷の先導で地下室に入る明智小五郎探偵。
何の迷いもなく1発で倭文子のいる部屋に入ります。手際がいいというか、無駄をなくしたドラマの集約化というか、悪くない。

明知探偵事務所にて。
三谷が来ています。岡田が怪しいと力説しています。
結婚するのかと聞かれて「愛し合っています」と三谷。ここは日本映画らしくない素晴らしい演技です。
三谷が帰って、タバコを吸ってる明智小五郎探偵。

柳邸にて。夜、雷雨です。
おびえてる倭文子。ナイトガウンが素敵ではないか。
三谷が来ます。伏線の宝石云々の話しとなります。
いい雰囲気になるけど、匂いがどうのと気になる倭文子。

岡田の墓にて。
調べに来ている明智小五郎探偵と小林。工場で見つかった歯形を調べるようです。
棺桶を掘り出して開けると空っぽでした。明智への脅迫状が入ってます。

お寺から電話ですと呼ばれます。
携帯電話はまだありません。しかも電話機は黒電話です。
倭文子が斉藤老人を殺したと知らされます。

柳邸にて。斉藤老人の葬式です。
倭文子は失踪しているとのこと。女中の証言。倭文子がナイフを握っていた・・・。

空井戸にて。
底に隠れてる倭文子と息子。三谷もいます。
三谷が先導して隠れてるようです。一緒に逃げましょうと言ってる。
この作品はミスディレクションが結構あります。で、これが三谷の本心の可能性もあるから複雑なキャラクターとなっているわけです。松橋登は名演してる。

葬式に戻る三谷。
明智小五郎探偵と常川警部補と話し込む。

明知探偵事務所にて。
明智小五郎探偵は顔面崩壊の顔のスケッチをやっています。

柳邸にて。
棺桶から斉藤老人の死体を出して押し入れに隠す三谷。
倭文子と息子を棺桶に入れます。

霊柩車に棺桶を積んでいます。
三谷はそわそわしています。
明智小五郎探偵は天井裏にいました。

霊柩車は走る。
棺桶の中の倭文子と息子。

柳邸にて。
明智小五郎探偵は天井裏から宝石箱をゲットしてきました。
三谷は棺桶のことを喋っています。
これで明智小五郎探偵一行が火葬場に急行することになります。

火葬場にて。
倭文子と息子の棺桶は焼却作業となっています。
明智小五郎探偵一行が到着してようやく救出となります。

柳邸にて。
明智小五郎探偵と倭文子。
魔性の女の話をしている明智小五郎探偵。
恨みを買う話しになっています。さすがに1人いると言ってる倭文子。
その谷山二郎の話をしています。
そんなとこに三谷がやって来ます。倭文子との結婚の話で明智小五郎探偵と口論となります。
で、殴り合いになっています。

三谷のアパートにて。
明智小五郎探偵の暴力沙汰の謝罪に来てる助手の文代。

アトリエ岡田にて。
調べに来てる常川警部補。岡田みたいな人がいたと証言があります。

信州にて。
調べに来てる明智小五郎探偵と小林。
近所のおばさんから谷山兄弟の話を聞いて、写真も見ます。
兄は自殺して弟は行方不明。
で、犯人は谷山三郎だと連絡する明智小五郎探偵。

また捕まってる倭文子と息子。
顔面崩壊男が口上を述べています。大笑いの図もあります。
谷山二郎の話をしています。
メイクを取って正体を現すと三谷でした。実は三谷が谷山三郎でした。

柳邸にて。
倭文子は行方不明となっています。

一行は三谷のアパートに行きます。
製氷工場に行ってるとのこと。

製氷工場にて。
氷詰めにするぞのシーンでまた吹き替えのヌードがあります。
パトカーのサイレンの音がしたので外に見に行く三谷。戻って作業を続けます。

常川警部補の一行が踏み込んできます。
とぼける三谷。そんなとこに顔面崩壊男がいます。驚愕する三谷。
顔面崩壊男の正体は明智小五郎探偵でした。

証拠を突きつけられて白状する三谷。
氷詰めを見せますが、中味がすり替えられていました。
そんなわけでカミソリで自殺する三谷の谷山三郎。

ところでラストは原作とは違うんです。
場所が変わらずそのままエンドになるので映画的にはいいけど。カネもかからないし。
でも原作のラストもよかったりします。

三谷の主観で氷詰めの倭文子と無事な倭文子をカットバックしています。
三谷には氷詰めの倭文子も本物に見えてるのでしょう。
これは見事な演出です。
エンドとなります。


そんなわけでシリーズ第1作の割にはちゃんと出来てるよい作品でした。


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