『マンクスマン』(1929年)
この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、カール・ブリッソン、マルコム・キーン、アニー・オンドラ主演のメロドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1929年 ブリティシュ・インターナショナル・ピクチャーズ 英国作品
ランニング・タイム◆80分
原題◆The Manxman
プロット◆親友を裏切ることになってしまった話しのようです。
音楽◆この作品はサイレント映画です。ピアノの伴奏がついています。ステレオです。
ユニバーサル・ピクチャーズ発売のDVDてに。画質はそれなりによいです。粒子が粗いけど、これで充分です。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。
キャスト
カール・ブリッソン→漁師のピート・クイリアム
マルコム・キーン→弁護士のフィリップ・クリスチャン
アニー・オンドラ→ヒロインのケイト・クレジーン
ランドル・エアートン→父のシーザー・クレジーン
アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
視線を走らせそこにつなぐ手法。
灯台のミニチュア。家のミニチュア。
日記をめくるショットで経過説明をしてます。
近づく船とのカットバック。
ドアが開く主観ショット。
身投げした所に立つ泡からインク壷へのオーバーラップ。
等々演出は凝っています。後の作品にも使ってる手法がもうあります。
主役のカール・ブリッソンは『リング』(1928年)にも出てました。まだヒッチコック監督作品のタイプではないように見えた。
ヒロインのアニー・オンドラはこの後の『恐喝(ゆすり)』(1929年)に続けて出てます。この作品の方がきれいに撮れてるようです。字は右手で書いてます。
他にピューリタンな父親のキャラが印象的。
スタジオ・カナルのタイトル
また日本語を選べとなっています。
警告が出ます。
メニュー画面となります。『マンクスマン』(1929年)を選んでようやく始ります。
スタジオ・カナルのタイトル
ブリティシュ・インターナショナル・ピクチャーズ
撮影はジャック・コックス 英国時代はこの人と組むことが多かったようです。
ところで昔の映画はタイトルの出し方が何か変則です。別にいいけど。
前説字幕があります。
・・・何どうしてそうなったと、よくわからん。
港町にて。
小さな帆船がたくさん出ています。漁業の町らしい。
弁護士のフィリップ・クリスチャン
漁師のピート・クイリアム
2人は幼なじみで兄弟のように育った。とキャラ紹介となります。
パブにて。英国といえばパブです。
漁場を巡って色々とあるらしい。署名活動のシーンとなります。
ケイトはマンクス・フェリー社長のシーザーの娘である。
そういえばマンクス島というくらいですから島なのです。バイクレースで有名。
アニー・オンドラはきれいに撮れています。何となくナオミ・ワッツに似てる。
女優さんをきれいに撮ります。さすが英国の元祖変態監督は違います。
フィリップ弁護士は張り切って解決しますなんて言っています。
ピートはケイトが仲良くしているのが気になって署名活動にかこつけてピートを呼んでいます。
請願書に署名活動のシーンとなります。
灯台が映ります。これがミニチュアです。
ケイトの家にて。
パブのピートとフィリップ。ピートがケイトの父に話すと言っているが、父が怖そうなのでフィリップ弁護士に代わりに言ってくれと頼んでいます。
で、代わりに父に話すフィリップ弁護士。
窓越しにピートが見ているようです。主観ショットになってる。
話しは上手く行っていないようです。父がやってきてピートを「この貧乏人、出てけ」と言ってます。いきなりそれかい。
そんな感じで男2人、女1人の典型的に三角関係の話しになっています。
ケイトの部屋の外にて。
やってきたピートとフィリップ。小石を投げて2階のケイトを呼び出しています。
ピートは「外国に出稼ぎに行く、待っていてくれ」と言ってる。
ケイトは成り行きで「待っている、約束する」となります。大丈夫なのか?
フェリーでマンクス島からリバプールへ、そこか貨物船に乗って外国へ・・
見送るフィリップ弁護士。
あっという間ににピートはいなくなります。
ケイトの日記のクローズアップ。ページをめくります。
ピートに会った、フィリップに会った、この繰り返し。当然ピートは消えてフィリップに会うのが多くなります。
フィリップ弁護士とデートのケイト。
屋外でデートです。ロケでの撮影がきれい。モノクロだけどきれいです。画質がいいと撮影のよさがよくわかります。
フィリップ弁護士の自宅にて。これもミニチュア。
帰宅するフィリップ弁護士、伯母に小言を食らいます。
宿屋の娘は釣り合わない。キャリアのじゃまになる。裁判長になるにはあんな娘と付き合うんじゃないと言われてます。
むしゃくしゃして出かけるフィリップ弁護士。
パブにて。
フィリップ弁護士が入ると雰囲気が何かおかしい。
ケイトの父からピートが死んだという手紙を見せられます。
「わしが間違ってた」なんて言ってるケイトの父。
ケイトの方は内緒で「もう自由になった」言われるフィリップ弁護士。
外国にて。
ピートは生きています。手紙を書いて送ります。
「ぼくが殺されたというのは間違いです。たくさん稼ぎました。国に戻ります」
そんな感じでこれはまずい状況になりつつあるようです。
この手紙はフィリップ宛てに出す。
マンクス島にて。
またデートしているフィリップ弁護士とケイト。
水車小屋に入ってます。石臼の粉砕機を動かしてます。
これで音を出してごまかしてキスをしているか。溶暗になってるから、この後セックスまで行ったのでしょう。
船で帰国するピート。
電報を打っています。「もうすぐ帰ります。フェリーに乗ります。」
マンクス島にて。海岸です。
フィリップ弁護士に会いに行くケイト。
撮影は見事です。積乱雲から太陽が出るとこも撮ってる。
海岸の岩床を降りてるケイト。軽々と移動してる。
フィリップと会いキスしてるケイト。話しは佳境に入る。
2人からは遠方のフェリーが見えます。ピートが乗ってるフェリーです。
電報を見せてるフィリップ。
フェリーはミニチュアっぽいけど。煙突から煙を多めにだしています。煙はこれから面倒なことが起こる前触れというわけです。
ケイトはピートはもういいやでフィリップの方になびいてます。
パブにて。
ピートとご対面となるケイトとフィリップ。
何も知らないピートははしゃいでる。フィリップは目一杯暗くなっています。
ケイトはどうする?、少し固いケイト。
ケイトの父は「金持ちになって元気に帰ってきた」と喜んでいます。現金な父です。
この父は貧乏人が大嫌いなのです。
ピートはケイトと結婚する気満々です。
フィリップに付添人になってくれと行ってるピート。
呆然としているケイト。
ベールがかぶされ、指輪がはめられる。ピートとの結婚式となっています。
想像なのかと思ったらマジで結婚式でした。
水車小屋にて。
テーブルが置かれ宴会場になっています。
宴会となります。ウエディングケーキにナイフを入れるケイト。
ところでケイトの父は両耳にピアスを入れてます。何か宗教的なアレなのか?、タダのおしゃれではないと思う。
父はさかんに誓約を破ると大変なことになると連発しています。
石臼の粉砕機を回している父。「神の粉砕機は・・・」
この粉砕機は何かの象徴ということか?
ようやく宴会がお開きになるようです。
みなさん帰ります。
2人の新居にて。
客を帰り2人きりとなります。ようやくキスをしています。溶暗となります。
信用しきっていて不幸せな夫、秘密がある夫人。
新聞の見出しで、「フィリップが本日帰島、裁判長は確実」と出ています。
自宅で食事してるピートとケイト。楽しくやっています。
仕事に出かけるピート。ケイトはフィリップに手紙を書いてます。呼び出してる。
フィリップがやってきます。
ケイトはフィリップに「一緒に逃げて」のようなことを言ってる。
ところで子供が出来たとの描写はどこであった?
いつの間にかそんな感じになっています。
フィリップはスキャンダルになるから今はダメだと言ってる。
そんなとこにピート帰宅します。
何だフィリップかいと歓迎しています。
ケイトを話す気でいるようですが、どこで間違ったのか「赤ちゃんが出来てるわ」となってしまったようです。喜んでるピート。溶暗となります。
ピートの自宅にて。
ボードのゲームをしながら時間を潰しているピートとフィリップ。
医者が降りてきて出産をピートに伝えます。
赤ちゃんが産まれています。
幸せそうなピートの図。
新聞の見出しで「フィリップが裁判長となる」
町中で大騒ぎといった感じになっています。地元の名士のフィリップ。
フィリップの事務所にて。
若い女性がお見えです。ケイトでした。
「ピートと別れた、ここにいさせてくれ」とケイト。
裁判長になったのに最初から前途は暗いフィリップです。
何となくいることになるようなケイト。
ピートの自宅にて。
赤ちゃんの世話しているピート。
ケイトがいないことに気がつきます。テーブルの置き手紙を見る。
ここで食器が現われたり消えたりするギミック描写があります。
手紙には出て行く、理由もしっかり書いてあります。
知り合いや近所には「ケイトは休暇のためにロンドンに行かせました。」としているピート。
フィリップの事務所にて。
隠れてるケイト。
相談しに来てるピート。一緒にケイトを捜してくれと言ってます。
どうするフィリップ。
赤ちゃんの世話があるとすぐに帰るピート。
ピートの自宅にて。
赤ちゃんを風呂に入れてるピート。
ケイトの父が置き手紙を発見してしまいます。
フィリップの事務所にて。
ケイトとフィリップは上手くいかなくなっているようです。
「キャリアと私、どちらかを選んで」とケイト。
「私に残された最後のものを取ってくる」と出かけるケイト。
ピートの自宅にて。
戻るケイト。迎えるピート。さてどうなる。
すぐに出て行くとケイト。
「あんたの子ではない」とハッキリ言ってます。
それでも赤ちゃんは渡さないと部屋に立て篭もるピート。
ケイトは出て行きます。
もう夜です。
堤防を歩くケイト。海に転落します。
泡立つ海からインク壺へとオーバーラップして法廷となります。
初仕事のフィリップ裁判長。英国なのでかつらを被っています。日本人から見ると凄く変に見えます。変態のコスプレだと思えます。
で、扱う事件が自殺未遂。被告は匿名です。
お巡りが証言をしています。
被告の顔を見たらケイトなのでビックリのフィリップ裁判長。これは凄いな。
そんなとこにピートが乱入してきます。強引に証言となる。
フィリップ裁判長は「ご主人の元に帰りなさい」と言うが、ケイトは拒否する。
ピートは結婚前のことも証言しています。
ケイトの父が爆発してケイトの男はフィリップ裁判長だとバラしてしまいます。
法廷から退場させられるケイトの父親。
フィリップ裁判長は全てを告白し裁判長を辞任します。
自宅にいる3人と赤ちゃん。
窓の外には見物人が大勢張り付いてます。
フィリップとケイト、赤ちゃんの3人は出て行きます。
外に出るは回りの見物人達からなじられています。
いつものように漁に出るピート。
エンドとなります。
そんなわけで普通の三角関係の普通の作品でした。悪くはない。
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いつも楽しく拝見させてもらっています。
この映画はサスペンス作品ではないけれど、どきどきする場面がありますね。
とくにケイトとフィリップの表情は「目は口ほどにものを言う」と表現がぴったりです。
ところで、この悲劇のきっかけが、「ピートが殺された」という偽情報なのですが、
ここの説明がないですね。せめて同名のピートという他人が殺されていたぐらいに
してほしかったと思うのですが、どうでしょうか。
投稿: 牧子嘉丸 | 2021.06.28 16:05
牧子嘉丸さん、コメントありがとうございます。
ピートの件に関してはあまり話しを広げるととっ散らかってしまうので、ここはドラマの集約化を優先させたのかもしれません。
それはいいけどこの作品はサイレント映画です。
何でもせリフで全部説明したら字幕画面がいくらあっても足りません。そんなわけで視覚的に話しを組み立てるわけです。
現在の日本映画はわかりやすくするという名目でキャラクターの心情の全てを説明セリフにしてるようで、いわゆる喋って動く写真集になってるらしい。
説明セリフなんて誰も聞いてないというヒッチコック監督の発言があるのにこまったものです。
投稿: ロイ・フェイス | 2021.06.29 21:05
ご返信ありがとうございます。
なるほど、よくわかりました。あまり細部にこだわって、全体を見失ってはいけませんね。
観客にわかりやすく、ということは同時に、観客の想像力を奪ってしまう。
たしかにわかりやすい映画ばかり見ていると、サイレント映画の良さを見失いますね。
ありがとうございました。また、ときどきお邪魔します。よろしく。
投稿: マキコ・ヨシマル | 2021.06.30 07:54