『シンプル・プラン』(1998年)
この作品はサム・ライミ監督、ビル・パクストン、ブリジット・フォンダ、ビリー・ボブ・ソーントン主演の巻き込まれ泥沼サスペンスのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1998年 ミューチュアルフィルムズ/パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆121分
原題◆A Simple Plan
プロット◆シンプルに行こうしたら泥沼にはまる話しのようです。
音楽◆ダニー・エルフマン
キャスト
ビル・パクストン→まじめな勤め人のハンク
ブリジット・フォンダ→ハンクの奥さんサラ
ビリー・ボブ・ソーントン→ハンクの兄で無職のジェイコブ
ブレント・ブリスコー→ハンクとつるむ粗暴で無職のルー
ベッキー・アン・ベイカー→ルーの奥さんナンシー
チェルシー・ロス→保安官のカール
トム・キャリー→スノーモビルの近所の老人ドワイト
ゲーリー・コール→FBI捜査官のバクスター
サム・ライミ監督の演出はよいと思います。
カラスのクローズアップショットから始まります。これでラストも締めるのかと思いましたがそうではなかった。どうやら純粋に絵が気に入っているだけのようです。
画面が暗くなる溶暗があります。その反対の明るくなる溶明?もありました。こういうセンスは好きです。
雪等の自然を描写するのに相当特殊効果を使っているようです。後クレジットでわかっただけで、それを知らずに見てれば全然気がつきませんでした。
サム・ライミ監督は伏線を上手く見せてサスペンスを効かしています。
これは上手です。これでとってつけたような意外な落ちがなければいいと見てました。
問題の440万ドルを3人で見つけてカネのことをルーが喋ってしまうと言いながら自分が奥さんに喋ってしまうまじめな勤め人のハンクの図。自分だけはいいらしい。
素人が無理をするなという話しと思って見てました。色々とありまして、なりゆきで泥沼へとはまりこんでいきます。偶然に助けられてその場その場をしのいでいきます。素人が上手くやるにはこれしかないので見てて納得だったりします。
MLBネタから私は知りましたが多分元ネタがあると思うけど、それがどこなのかわからんけど、このような格言があります。
『あらゆる行為には代償が付き物である』
で、この作品ではとても高価な代償となったようです。
見込み違いの紙幣のナンバーが1部だけ5000枚は控えられているというよくある設定でした。紙幣全部ではなく1部だけというのがポイントのようです。
440万ドル。100ドル紙幣で何枚?→100枚1束10000ドルで44束です。
ビル・パクストンのまじめな勤め人のハンクのセリフで証拠の足跡などが「雪が降れば全て消えてしまう」とありますが、これが何か悲しい。
まじめにことに対処しようて悪戦苦闘しています。自分のことで精いっぱいな他の2人にも攻め立てられこれまた苦戦しています。
で、ラスト近くで兄のジェイコブがこの状態にもう耐えられないなんて言いますが、「今更言うな」という気持ちをよくわかります。まじめな人が1番損をするということですか。ビル・パクストンは大熱演でした。
ビリー・ボブ・ソーントンの無職のジェイコブは情緒不安定気味で緊張するとどもります。毎度のことでビリー・ボブ・ソーントンの迫真の演技は少しくどいようですが・・・。あまり好みではない。
ビリー・ボブ・ソーントンはいわゆる『苦労に苦労を重ねて元々曲がっていた根性が更に曲がった』というタイプだと思う。
ブリジット・フォンダは地味でサポートのみであまり目立たず。
スカイパーフェクTVで見た来日インタビューの時は金髪で派手でしたが。あれだけ見れば主役かと思っていました。
ディテールで・・・
新年おめでとうとTVでモノクロの映画をやっていましたがなんでしょう?『哀愁』(1940年)あたりかも?
小型のテープレコーダーのブランド名が消してありましたが、わざわざ消すくらいですからソニー製だと思われます。自動録音のVORの文字まで消してあった。セコい。
ビリー・ボブ・ソーントンは少しおいし過ぎるキャラ設定で儲け役で得をしてました。
そんなわけで正攻法で余計な落ちがなくてよかった作品でした。
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コメント
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この映画の原作は以前読みましたが、とても面白かった。
普通の善良な市民が、ある日、大金を手にしたために、ずるずると悪の道へ-------。
映画版では、犯罪サスペンスよりも、人間の心理の描写のほうに、より重点が置かれている。
雪景色の中に展開する、善良なる心と邪悪なる心の相克。
白一色の背景が、シンプルにくっきりと人間の姿を際立たせる効果を上げている。
良識的な人物のようだった弟(ビル・パクストン)が悪辣になっていき、非常識な落ちこぼれのようだった兄(ビリー・ボブ・ソーントン)が、神や天使に近いような聖的な存在になっていくというように、善悪が入れ替わっていくところが、実に面白い。
ビリー・ボブ・ソーントンは、妙な眼鏡をかけて、強い印象を残してくれました。
この俳優は、出演作のたびに別人のように見かけが違ってくる、変身魔。
やっぱり、いい役者には違いない。
投稿: 陽炎 | 2024.08.17 23:08
陽炎さん、コメントありがとうございます。
ビリー・ボブ・ソーントンは作品によってオーバーアクトが気になるけど、フィルムノワールな『バーバー』(2001年)は淡々とした演技がよかったです。
投稿: ロイ・フェイス | 2024.08.19 12:25