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2010.02.20

『大悪党』(1968年)

この作品は増村保造監督、緑魔子、田宮二郎、佐藤慶主演の巻き込まれサスペンス?のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1968年 大映 日本作品
ランニング・タイム◆93分
プロット◆ヤクザに引っ掛かったヒロインが開き直る話しのようです。
音楽◆山内正
地上波TXにて。画質はよいです。

キャスト
緑魔子→安売り不可の太田芳子
田宮二郎→悪徳弁護士の得田仁平
佐藤慶→最低ヤクザの安井一郎
倉石功→アイドル歌手の島輝夫
内田朝雄→アイドル歌手のマネージャー
北村和夫→岡野検事
早川雄三→マスクの男
森矢雄二→大学生
伊東光一→裁判長
井上大吾→検察事務官
三夏伸→バーテン
谷謙一→管理人
小山内淳→刑事
中条静夫→鑑識主任
西條美奈子→少女

アシュレイ・ジャッド主演のサスペンス『ダブル・ジョパディー』(1999年)を見ていたら、こんな感じの作品を見たことがあるとなって、何かなと思い出すとこの作品でした。

ダブル・ジョパディー=“誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない"のアイデアは前にもあり使われ方は全然違いますが増村保造監督の大映作品『大悪党』(1968年)はこの設定の先取りをしていました。同じ罪には問われない。これがポイントです。

増村保造監督の演出はよいと思います。
相変わらず演出手法はサッパリわかりませんが見てて引っ張ります。
前半、後半は分かれている構成のようです。当時は破綻していると評されたと思われます。ヒロインに焦点を合わせていると思えばいいと思う。
増村保造監督はヤクザ礼賛でないとこがいい。ヤクザをクズとして描いています。

キャスティングが素晴らしい。
緑魔子、田宮二郎、佐藤慶、この主役3人が特にいい感じです。緑魔子のヌードがあります。

タイトルのキャスト紹介では大映のスター田宮二郎が当然一番先で、ラストでも花を持たせています。
緑魔子は東映から、佐藤慶はよくわからん大映ではないことは確かです。
倉石功がアイドル歌手とはいい。笑えてしまいます。それで何でマネージャーが内田朝雄なのかとこれもいい。

地上波放映で見ると例によって伏せ字セリフがあります。『キチガイ』がそうです。で、『乞食』も伏せ字セリフではなかったっけ?
アクションシーンが案外いいのが増村保造の特徴です。緑魔子が殴られたり蹴られたりが凄い。見てて結構興奮します。
増村保造がアクションを作っても案外いけると思います。

増村保造の活動期間は実質的には大映の時のプログラムピクチャー路線(1957年~1971年)の10年ぐらいなんです。何て短いのでしょう。サム・ペキンパー監督のようです。サム・ペキンパー監督はもっと短いけど。(1969年~1972年)ぐらいか?

プロローグ。
緑魔子扮する自分を安く売りたくないが信条のヒロイン太田芳子ですが、よりによって佐藤慶扮するヤクザの安井一郎につかまってひどい目に合います。

ある日、緑魔子扮する大学生の太田芳子は恋人とケンカ別れをします。
ボーリング場で知り合った佐藤慶扮するヤクザの安井一郎に誘われてバーに行きます。ここで睡眠薬入りの酒を飲まされ、ヤクザのアパートに連れ込まれて人事不省のとこを強姦され写真を撮られて学生証の住所まで控えられます。

翌朝、服を着てヤクザのアパートからを逃げ出す太田芳子ですが、すぐに太田芳子のアパートにヤクザが脅しにやって来ます。

そんなわけでヤクザの言う通りにアイドル歌手とセックスする太田芳子。
このセックスしているとこを16ミリフィルムで撮られる。これをネタに脅迫してカネをせしめる予定らしい。

予定通りにアイドル歌手を恐喝するヤクザです。
こまった内田朝夫扮するアイドル歌手のマネージャーは田宮二郎扮する得田仁平弁護士に相談します。

得田仁平弁護士はヤクザのアパートに乗り込みます。
アイドル歌手のことで話をつけながら監禁されている太田芳子を見てヤクザには内緒で「ヤクザを殺したほうがいい、その後は私が何とかする」と、あまり感心しないアドバイスをします。

ある日、例によってヤクザは酔っぱらってまた太田芳子を暴力で痛めつけて寝込みます。ここがチャンスだとヤクザを絞殺する太田芳子。思い切り首を絞めてます。
で、得田仁平弁護士に電話する太田芳子。やって来た得田仁平弁護士は殺人現場を小細工をしてから太田芳子を自首させます。

裁判となります。
得田仁平弁護士は現場の小細工と得意の三百代言を駆使して太田芳子の無罪にします。

エピローグ。
美人局のようなことをさせて脅して盗ったカネを山分けとなるとこで太田芳子が「また裁判になるのでは」と心配すると、得田仁平弁護士が「大丈夫、同じ罪には問われないんだ」と答えます。これが『ダブル・ジョパディー=誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない』のアイデアです。この作品はこのアイデアをよく生かしています。

そうなると、太田芳子は美人局で脅して盗ったカネを「カネは全部私のものです、それじゃあなたとはさよならね」とかまします。
こいつはやられたなとなる田仁平弁護士。まあいいやとエンドとなります。

そんなわけで女性自立オチのよい作品でした。
正直言って『ダブル・ジョパディー』(1999年)より『大悪党』(1968年)の方がずっと面白い作品です。『ダブル・ジョパディー』もキャストの主役3人、アシュレイ・ジャッド、トミー・リー・ジョーンズ、ブルース・グリーンウッドはいいから惜しいとこです。つまらないのは監督がボンクラだったからでしょう。



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