『ジョルスン物語』(1946年)
この作品はアルフレッド・E・グリーン/ジョセフ・H・ルイス監督、ラリー・パークス、イヴリン・キース主演の伝記物ミュージカルです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品は「お楽しみはこれからだ」のセリフがあるミュージカルで見ました。なにはともあれ映画ファンとしては見ておきたい作品です。
「お楽しみはこれからだ」は意訳の傑作だそうです。
1946年 コロンビア・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆129分
原題◆Jolson Story
プロット◆功成り名を遂げた歌手アル・ジョルスンの半生の話のようです。
音楽◆モリス・W・ストロフ
コロンビア・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質はよいです。テクニカラーです。2.0chステレオ。
キャスト
ラリー・パークス→アル・ジョルスン
イヴリン・キース→ジュリー・ペンソン
ウィリアム・デマリスト→芸人からマネージャーのスティーブ・マーティン
ビル・グッドウィン→歌手から劇場支配人のトム・バロン
スコッティ・ベケット→子役のエイサ・ヨルセン
ルドウィグ・ドナス→エイサの父
タマラ・シャイン→エイサの母
ジョン・アレキサンダー→黒塗り歌手楽団のドッグステーダー
アルフレッド・E・グリーン/ジョセフ・H・ルイス監督の演出はよいと思います。
本人が吹替を担当するミュージカル伝記物というフォーマットとなった作品だと思います。
アル・ジョルスンがやたらと美化され過ぎのような描写はご愛嬌ということです。まだ本人がピンピンしてる頃ですから無理はないでしょう。
ティナ・ターナーの伝記映画『ティナ/TINA』(1993年)もこの手法で撮られていて元夫のアイクが暴力亭主として描写されているようです。実際にそうだったようですが映画では当然もっと一方的な描写となっているのでしょう。
プロローグ
20世紀初めのワシントン。
芸人のスティーブ・マーティンが舞台をやっています。客席に向かってリクエストをします。そこに見物に来ていた子役のエイサ・ヨルセンが成り行きで歌を披露することになります。
スティーブ・マーティンとはどこかで聞いたような名前ですが、こちらの方がオリジナルなのでしょう。いかにも芸人といった感じのオッサンです。
スティーブ・マーティンがエイサをスカウトに来ますが父は断ります。
そんなわけでエイサは家出します。貨物車に乗ってワシントンからボルティモアまで。補導されて教会に預けられます。ここでも歌っていたりします。
そんなこんなで事情説明からシーン転換して舞台活動するとこにつながります。
さすがに話が早い。
絵はがきが届くことで地方巡業してるモンタージュがあります。これは古典的も手法なのです。いいもんだ。
スティーブ・マーティンとは意見が違うようになるエイサ。
声変りをするエイサ。辞めるのを止められて口笛芸をします。まだ子役が演じています。
芸名をアル・ジョルスンとします。ここも絵はがきで描写しています。説明セリフに頼らないようになっています。
また巡業のモンタージュがあって子役からラリー・パークスが演じるようになります。
酔っぱらったトムの代役を勝手に務めるアル・ジョルスン。顔を黒く塗っています。
この代役が受けて黒塗り歌手楽団のドッグステーダーにスカウトされます。ジャズを聴いて舞台を忘れるアル・ジョルスンは話合ってドッグステーダーの好意で辞めて別れることになります。話が上手すぎに進行しますが気にしてはいけません。
実家に帰るアル・ジョルスン。
独立の準備をしているらしい。そんなとこに歌手から劇場支配人となったトムから電話で出演依頼が来ます。しかも好条件です。結局これはスティーブ・マーティンの紹介というわけです。世の中コネなのかいと思えますがまあいいです。気にしない。
劇場です。
単独公演ではないようです。時間の都合で出番をカットされそうになりますが勝手に舞台に出てアドリブをかますアル・ジョルスン。トークで「お楽しみはこれからだ」が出てきます。『マミー』を歌います。受ける。
余裕が出てきたアル・ジョルスンは恩人スティーブ・マーティンを逆にマネージャーで雇うことになります。ここで一悶着ありそうですがスティーブ・マーティンはあっさりと承諾して話はスムーズに進みます。気にしない。
舞台で楽屋オチネタをかますアル・ジョルスン。トークが冴えています。
『君を愛す』ジュディ・ガーランドの歌でもおなじみ。
地方巡業のモンタージュ。汽車に新聞記事のスクラップ。これもクラシックな定番描写です。
トーキー映画に出ることにするアル・ジョルスン。
日曜の舞台公演でこのことを発表しています。
「お楽しみはこれからだ」のトークがあります。
客席にはイヴリン・キース扮するジュリー・ペンソンがいます。最初の出会いです。ジュリーのリクエストで『四月の雨』を歌います。
ハリウッドにやってくるアル・ジョルスン。
トーキー映画『ジャズ・シンガー』(1927年)を撮影します。本『ザナック ハリウッド最後のタイクーン』では作品の内幕が非常に面白く描写されていますが、ここでは他社のワーナー作品なのであっさりと描写しています。
本によるとワーナー兄弟はトーキーを買い付けたのはいいが、ちょっとカネがかかると早くも腰が引けてきたとか、歌うだけだといったのに何でセリフも入れると、その“喋る小細工”をやめろと言ったりして、色々と面白過ぎな描写となっています。
ジュリーの舞台初日に駆け付けるアル・ジョルスン。
緊張して失敗しかけますがアル・ジョルスンが助けます。ホントか?調子よ過ぎとなっています。でも気にしない。
結婚するアル・ジョルスンとジュリー。
『ジャズ・シンガー』のプレミアです。
本によるとトーキー映画『ジャズ・シンガー』(1927年)は1番最初のトーキー作品ではないけど事実上サイレント映画を終わりにした作品とのことです。
ジュリーとの結婚生活はあまり上手く行きそうにないようです。
映画が気に入ってアル・ジョルスンはジュリーも映画に出演させます。これが『四十二番街』(1933年)でした。主演はルビー・キーラーではなかったのか?
ワーナーと契約したら大変ですよ。こき使うし、支払いは渋いし、恐怖の7年契約で縛るし、大変なものです。セクハラはワーナーに限らず当時はどこでもやっているし現在でもやっていますか。
働くことが好きでワーカホリックなアル・ジョルスン。
アル・ジョルスンとジュリーが主演の映画のプレミアとなります。
帰宅してしてから長い話し合いとなります。ジュリーは落ち着きたいがアル・ジョルスンはそうではない。結局、休むことにします。
引退して2年になるアル・ジョルスンとジュリー。
アルの両親やトムがやって来ます。食事となります。
その後、トムの誘いでナイトクラブに行くアル・ジョルスン御一行。
ナイトクラブにて。
その場の雰囲気に流されて歌うことになるアル・ジョルスン。
『リー』これもジュディ・ガーランドの歌でもおなじみ。
「お楽しみはこれからだ」がまた出てきます。
続けて『ロッカバイ』
『四月の雨』2人が最初に会った時にジュリーがリクエストした歌です。この歌を聴きながらジュリーはナイトクラブを出ます。歌うことが命のアル・ジョルスンとはお別れです。歌うアル・ジョルスンでエンドとなります。
そんなわけでアル・ジョルスンの歌がよい作品でした。
でも女性の歌の方がいいなと私は思う。
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