『アデルの恋の物語』(1975年)
この作品はフランソワ・トリュフォー監督、イザベル・アジャーニ主演のストーカー・ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
フランソワ・トリュフォー監督作品とヒロインのイザベル・アジャーニで見ました。
この作品の邦題のセンスのよさにも感心します。原題通りなら『アデルの物語』になるとこを『アデルの恋の物語』とする。これを七五調とでもいうのでしょうか。上手いじゃん
1975年 フランス作品 ユナイトのタイトルがあった。
ランニング・タイム◆97分
原題◆L'Histoire d'Adele H.
プロット◆片思いが突っ走る話のようです。
音楽◆Maurice Jaubert
スカイパーフェクTV316スター・チャンネルにて。画質はまあまあ。
キャスト
イザベル・アジャーニ→片思いするアデル・ユーゴー
ブルース・ロビンソン→片思いされる英国軍中尉
フランソワ・トリュフォー監督の演出はよいと思います。
カナダを舞台に英語とフランス語が無理なく使い分けていました。
溶暗が多用されていて見てて溶暗になるとホッとしたりします。何故かそうなるんです。溶暗になっても効果音が残っていたりします。
手記を書いてるのがナレーションになっています。面白い。
自業自得に見えないのと演出がよいからでしょう。
アデルの父ビクトル・ユーゴーを出さなかったのはドラマの集約化のためでょう。
出せばそれなりの存在感を持った俳優にしなければならないので誰が主役かを考えれば妥当な選択と思えます。
アデルが自分の身分を偽わるとこは何だか『マルタの鷹』(1941年)みたいな出だしでした。私の妹ではなくて姪になってしましたけど。
他にもアデルは色々と偽っていました。これらが次第にエスカレートして常軌を逸していくわけです。自分だけで話が進んでいくとこも凄い。
凄いアデルの思い込みです。思い込みはいえば何故かイングリッド・バーグマンを連想します。映画でも実生活でも思い込みをやっていました。
アデルは男装してたりします。
帰国後は病院で暗号で日記を書くと説明されていました。これは凄い。自己完結してるのが狂気のゆえんと思われます。
アデルに片思いされる英国軍中尉はどうもよくわからない男でした。
アデルが男をその気にさせようと催眠術師を訪ねるとこは、催眠術師が本物ではないと判るお笑いの一席でした。でも実際はあのようにはいかずもっと深みにはまる場合が多いと思うから見てて寒気がします。→バカにされてカネは盗られてと全くいいとこがありません。
アンハッピーエンドでも後味は悪くありません。めったにはないけどこれは演出しだいでそうなります。抑制の効いた描写バランスがよかった。
セピア色の後タイトルの長回しに耐えるイザベル・アジャーニのアデルは凛々しさを感じます。
そんなわけで出来がいいけど見ているので辛く1回で結構という作品でした。このヒロインを見ているの辛くて2回は見れません。
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