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2007.08.21

『メトロポリス』手塚治虫原作、りんたろう監督版(2001年)

この作品は手塚治虫の原作、りんたろう監督の何だかよくわからんドラマです。
絵柄があまり好きではないので私は手塚治虫作品には全く思い入れはありません。原作の『メトロポリス』も未読でどういう話しなのか全く知らないで見ました。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2001年 メトロポリス製作委員会 東宝 日本作品
ランニング・タイム◆107分
プロット◆メトロポリスで騒動に巻き込まれる話しのようです。
音楽◆本多俊之 意外とまともというか平凡な感じでした。クライマックスのどこかで聞いたような歌は少し面食らった。
スカイパーフェクTV724アニメックスにて。画質はよいです。

キャスト→VC=ボイスキャスト
アンドロイドのティマ→井元由香
ケンイチ少年→小林桂
探偵のヒゲオヤジ→富田耕生
ロボット刑事ペロ→若本規夫
レッド公の自称息子ロック→緒方浩暉
支配者レッド公→石田太郎
ティマ製作者のロートン博士→滝口順平
ポンコッツ博士→青野武
ブーン大統領→池田勝
抵抗組織のリーダーのアトラス→井上倫宏
フィフィ→愛河里花子

りんたろう監督の演出はよいと思います。
手塚治虫の原作は未読です。脚本は大友克洋です。そんなわけで何となくクライマックスが大友克洋調になっています。

そういえば大友克洋にとって自作をアニメ化した『AKIRA』(1988年)の脚本を他人にまかせたのは一生悔いが残るでしょう。あの脚本はひどかった。原作を適当にダイジェストして後は野となれ山となれでした。ひどいものでした。
確かなことは『AKIRA』以降では自作をアニメ化する時は全部大友自身で脚本を書いています。
大友克洋はこの作品の脚本を書くより自作『AKIRA』のリメイクをやった方がいいのではと思えます。もちろん脚本は自分を書くでしょう。

この作品は映画を作る人は誰もがやりたいことらしい、この世の森羅万象あらゆることの総合的な話しにしたかったと思えます。人間とロボットの対立。階級社会の対立。人間とロボットの違いは?等が詰め込まれていました。

舞台となるメトロポリスの構造は地上には都市がありその地下は、
ZONE-1◆新宿みたいな無法地帯の階層のようです。
ZONE-2◆エネルギー関係の施設がある階層のようです。
ZONE-3◆下水関係の施設がある階層のようです。

アニメの苦手なモブシーン=群衆の動きの描写をやっています。
現在はCGで同じ絵を少しいじってのコピペで簡単に出来るの?興味深いとこです。ロングショットで群衆の動きが全開でした。
その他にもアニメの技術的な見どころは多いようでいままでには見たことがないような作品です。新しい技術を使いこなしているようです。この点は偉いと思います。

背景の実写風CGとアニメキャラが同居するのはあまり違和感はありませんでした。
面白い手法です。この手法はもうTVアニメでやってますね。スカイパーフェクTV274カートゥーンネットワークで放映されている『おくびょうなカーレッジくん』はそんな感じです。『おくびょうなカーレッジくん』はシュールな感じと日本語のだじゃれが最高でお勧めです。「このアホイヌ」のセリフさえ心地よい。

作画スタッフに日本人多数です。今どきこれは珍しい。動画はさすがに国外に外注のようです。

サイレント映画スタイルで画面を黒味で覆って強調したいところだけ丸や四角で切り取って見せる手法のアイリスが使われていました。
やたらと溶暗を使っていました。関係ないようなとこにも使われていたような。TVムービーのCF用の溶暗かと思った。


プロローグ。
生体実験をしたロートン博士を追って日本から探偵ヒゲオヤジとケンイチ少年がメトロボリスにやってきます。

メトロポリスは・・・
マルドゥーク党のロックはレッド公の威光でやりたい放題。
それに対しての抵抗組織らしいのがあります。
大統領一派はレッド公と対立しています。
レッド公は何かの実験をしてその副作用で町中のロボットが狂うシーンがあります。

ロックはレッド公の心配?をしてロートン博士の研究施設の破壊工作を敢行します。その騒ぎの中でアンドロイドのティマとケンイチ少年と共にZONE-3へと至る。
そのせいで探偵ヒゲオヤジとメトロポリスのロボット刑事ペロのコンビでしばらくいくことになります。
ZONE-1にはマル走がちゃんといたりします。これ大友克洋っぽい設定。

しつこくアンドロイドのティマを追うロックですが少し引っ張り過ぎでホトンド主役となっています。そのために作品全体の描写バランスを欠いてしまうのです。
大統領一派の煽動でクーデターが起きますがあっさりと鎮圧される。このことで大統領一派を一掃されます。レッド公の権力は万全となります。

そんなこんなで何となくAKIRAっぽいクライマックスとなります。
突然人間の方がいいと言い出すティマに?が付いたりします。ここは決めセリフで「あなたと同じがいい」とすればよかったのかも。

全体的に泣かせのりんたろう監督の演出にクライマックスはケーブルぐるぐる巻きの大友克洋調になっていて手塚治虫へのオマージュはどこへいったのだという感じでした。
これでは手塚治虫ファンに不評なのはわかります。手塚治虫ファンではない私は別にかまいませんけど。

そんなわけでキャラクターデザインだけは手塚治虫のよい作品でした。


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