『黒蜥蜴』(1962年)
この作品は原作江戸川乱歩、脚本三島由紀夫、井上梅次監督、京マチ子、大木実主演のミュージカルの入った探偵ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はカルトで有名なので見ました。原作は読んでます。同じ井上梅次監督の土曜ワイド劇場版も見ています。深作欣二監督の1968年版も見ています。
1962年 大映 日本作品
ランニング・タイム◆102分
プロット◆謎の黒蜥蜴と対決する話しのようです。
音楽◆黛敏郎 ホントにミュージカルシーンも担当しているのか?だとしたら見直します。
スカイパーフェクTV707日本映画チャンネルにて。画質はよいです。
キャスト
京マチ子→緑川夫人/黒蜥蜴
大木実→明智小五郎
叶順子→岩瀬早苗/偽物の早苗
三島雅夫→宝石商の岩瀬庄兵衛
川口浩→手下の雨宮潤
緋桜陽子→ひな夫人
杉田康→北村
中条静夫→手下の松吉
大庭健次朗→明智の部下 堺
長田健二→明智の部下 木津
竹村南海児→明智の部下 岐阜
目黒幸子→岩瀬夫人
阿部脩→岩瀬家用心棒
大川修→岩瀬家用心棒
藤山浩二→岩瀬家用心棒
北城寿太郎→岩瀬家用心棒
丸井太郎→岩瀬家用心棒
久里千春→岩瀬家女中 夢子
小笠原まり子→岩瀬家女中 色江
三角八郎→御用聞五郎
谷謙一→ホテル支配人
穂積明→ホテルボーイ
井上梅次監督の演出はよいと思います。
江戸川乱歩の原作から舞台化している三島由紀夫の作品となっているようです。これを映画にアレンジしているのです。
舞台調のセリフ回しとなっています。
江戸川乱歩の原作通りは無理なのですから舞台や映画向けに原作を変更するのは正解だと思えます。出来がよくなればの話しですが。
プロローグ。
明智小五郎の前説があります。過去形になっています。回想なのか。
音楽からタイトルとなります。鞭の効果音。ミュージカルです。これがいい感じ。
大阪です。ホテルにて。
屋上の温室?は作画合成です。
宝石商の岩瀬、その娘早苗、明智に緑川夫人。
京マチ子の緑川夫人=黒蜥蜴は貫録がありすぎのような感じもしますが。
ホテルの部屋にて。
ライターで合図を送る緑川夫人。
早苗と美しさを永久にそのまま保存する話しをする緑川夫人です。
雨宮を呼ぶ緑川夫人。
隣の部屋に行く早苗と緑川夫人。
雨宮と早苗を眠らせてトランクに詰めます。
緑川夫人は早苗になりすまして岩瀬氏の部屋に入ります。
ベッドの人形と入れ替わります。
このへんは原作通りにトリックとなっています。
脅迫状の電報が届き明智がやって来ます。
期限の12時まで緑川夫人と隣部屋にいることにします。
明知と緑川夫人はアメリカンピノクルで賭けをします。
期限の12時になります。
早苗は人形になっていました。動揺する岩瀬氏は自分の昔話をしたりします。これは面白い。で、エメラルドの話しがでています。
明智は自分の推理の話しをします。
犯行がバレた緑川夫人はホテルを脱出します。
ここがミュージカル・シーンとなっています。
シーンの終わりに画面外に語りかける手法をとっています。こういう手法があまり浮かないのがいい。
東京です。ロケで当時の風景が見られます。
岩瀬邸にて。ここで用心棒達のミュージカルなシーンとなります。これはぶっ飛びの傑作なシーンとなっています。
三島雅夫の成金演技がいい岩瀬氏は高級なソファの自慢をしています。
台所とはインタホンがつながっています。当時の最新アイテムです。
ピアノの演奏が止まります。
ピアノを弾いていた早苗を消えてホームレスな男がソファにゲロを吐いています。
男は叩き出されて家具屋のトラックが到着して汚れたソファが運び出されます。
このトラック到着シーンがミュージカルとなっています。いい感じ。
人物やクルマ等の出し入れのタイミングがよいです。
早苗を捕らわれの身となります。
実はすでに身代わりになっているようです。
緑川夫人の黒蜥蜴は部下に褒美を与えます。
雨宮には爬虫類の位はまだとのことです。よくわからん階級制度です。
家具屋に化けた手下4人のミュージカルシーンとなっています。これは好きですね。
褒美がもらえない雨宮は不満です。演じる川口浩は素のままで演技なんてやっていないけどいい感じ。
脅迫状が届きます。エジプトの星が身代金代わりです。
受け渡し場所は東京タワー。東京タワーは1958年に建設されました。
東京タワーですが『モスラ』(1961年)にも出てきます。東京タワーといえば『モスラ』が1番有名なのでしょう。
黒蜥蜴と明智のカットバックとなります。
アジトと探偵事務所。明智には部下が3人います。
カットバックからスプリットスクリーンとなります。ここは舞台調です。
東京タワーです。
ミニチュアのヘリコプターがフラフラと飛んでいます。正直言って見苦しいです。ここはヘリコプターのライブフィルムをスクリーンプロセスか編集で処理した方がよかったような感じです。
いよいよ受け渡しとなります。
下の出入り口におそらくタイアップの大洋の缶詰めと広告があります。大洋漁業はもうないのか・・・
エジプトの星を受け取った黒蜥蜴は逃走します。尾行する明智。
船です。黒蜥蜴のアジトに移動中。
早苗を尋問する黒蜥蜴。
明智が入ってると思われるソファと話す黒蜥蜴。で、ソファを海に捨てます。
ここは船もソファもミニチュアで処理しています。
原作では船をランチと称していましたが現在では何という?→トレジャーボート、レジャーボート、遊漁船等々。日本語はむずかしい。不必要にわかりにくい。
黒蜥蜴のアジトに着きます。
自慢のコレクションを早苗に説明する黒蜥蜴。
何故か本物の早苗がやって来ます。
檻の早苗をは雨宮に私は替え玉と告白します。
2人の早苗を演じる叶順子は結構大役になっていてよくこなしています。
どっちが本物か偽物かともめてるとこに本物の松吉もやって来ます。
で、本物を宝石=黒蜥蜴は死にましたとエンドとなります。
このラストも舞台調となっています。スパッと終わるのがいい感じ。
黒蜥蜴役は山本富士子でもよかったような気もしますが。顔に似合わないキンキラ声が気になるからダメかも。
明智役ですがわざわざ松竹から大木実を呼ぶなら大映の菅原謙次あたりでもよかったような気もしますが好演しているのでこれでいいのでしょう。
岩瀬庄兵衛を演じる三島雅夫はオーバーアクトの怪演で通していました。悪くない。
お手伝い役で少し出ている久里千春はTVアニメのVCもやっていたと記憶しています。声でわかった。TVシリーズ『ハッスルパンチ』(1965-1966年)のキャラのどれか。
江戸川乱歩の原作は明智小五郎物物だけではなく初期短編から少年探偵団物までホトンド読んでいます。
井上梅次監督の土曜ワイドのTVシリーズですが全く全然原作通りではありません。ですが不満はなかったりします。面白いからいいのです。
で、TV土曜ワイドを数本見てから大映の映画版を見て、さすが映画だTVもぶっ飛んでたけど、そのTVよりぶっ飛んでいると感心したものです。
(1973-1974年)のニッポン放送のラジオドラマも聞いてたこともあります。
20面相は小山田宗則で、明智小五郎は納谷悟朗でした。
そんなわけで見終わった後でも黒蜥蜴のテーマソングが頭の中に鳴っています。ミュージカルでも舞台劇としてもよく出来ているよい作品でした。
随分前に地上波TXの日本映画名作劇場で見ましたが、今回見てホトンドの部分を覚えていました。さすがに強烈な印象だったようです。
« 『足にさわった女』(1960年) | トップページ | 『ヘッド・ロック GO!GO! アメリカン・プロレス』(2000年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1960年代」カテゴリの記事
- 『暗くなるまで待って』(1967年)(2021.11.28)
- 『泳ぐひと』(1968年)(2021.06.20)
- 『ビリディアナ』(1961年)(2020.07.05)
- 『皆殺しの天使』(1962年)(2020.07.04)
- 『不意打ち』(1964年)(2019.12.01)
「日本映画」カテゴリの記事
- 『海女の化物屋敷』(1959年)(2021.05.09)
- 『九十九本目の生娘』(1959年)(2021.05.08)
- 『カメラを止めるな!』(2017年)(2020.05.17)
- 『翔んで埼玉』(2019年)(2020.05.16)
- 『生きていた野良犬』(1961年)(2018.07.22)
« 『足にさわった女』(1960年) | トップページ | 『ヘッド・ロック GO!GO! アメリカン・プロレス』(2000年) »
コメント