『足にさわった女』(1960年)
この作品は増村保造監督、京マチ子、ハナ肇、船越英二主演の里帰りコメディのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1960年 大映 日本作品
スカイパーフェクTV707日本映画チャンネルにて。画質はよいです。
プロット 女スリが故郷の厚木に戻る話しのようです。
キャスト
京マチ子→女スリの塩沢さや
ハナ肇→刑事の北八平太
船越英二→小説家の五無康祐
大辻伺郎→女スリの弟分 野呂走
杉村春子→女万引の築前春子
田宮二郎→雑誌記者の花輪次郎
多々良純→東京のTV局の重役
ジェリー藤尾→列車の学生
谷啓→列車ボーイ
植木等→からむ乗客
浦辺粂子→老婆のスリ
犬塚弘→熱海の駅員
潮万太郎→厚木の巡査
春本富士夫→厚木の洋服屋
江波杏子→若い嫁
高村栄一→黒ソフトの男
夏木章→特急の機関手
増村保造監督の演出はよいと思います。
この監督の特徴な独特の喋り方が全開となっています。いいものです。
列車のシーンから話しは始まります。
特急で大阪から東京に向かっています。列車内は色々な犯罪行為で混乱の極みとなっています。資本主義の行き着くとこなのだそうです。ホントかよ。
ところで誰のナレーション?→作家を演じている船越英二のようです。何だかんだとあって小説を読んでいるとこだとわかります。著者は五味康祐ならぬ五無康祐です
列車のビュフェ(食堂車)には船越英二扮するその流行作家の五無康祐に、田宮二郎扮する流行作家のご機嫌取りに精を出す雑誌記者がいます。女スリの話しからハナ肇扮する刑事が加わってきます。
「五味康祐と間違われてこまるんです」が口癖の五無康祐を演じる船越英二が非常にいいです。上手いものです。
客車では女スリの京マチ子のがカモの客な多々良純を相手にしています。
何故か多々良純が読んでいる新聞が読売新聞とよくわかるように大写しとなっていますタイアップなのかもしれません。
名古屋に着きます。
クレージー・キャッツの谷啓と植木等の一席となります。電気が消えたらスリがどうしたとなり間違われてハナ刑事が捕まりかけます。そんなことから女スリを捜すハナ刑事です。
故郷の厚木に帰って親類を集めて法事をするのが女スリの目的です。これで名誉を回復するらしい。よくわからん。
列車内には他にも浦辺粂子扮する老婆のスリがいたりします。
熱海に着きます。ここでハナ刑事を置き去りにする女スリです。
駅員にクレージー・キャッツの犬塚弘がいます。いかにも特別出演な出てるだけの扱いとなっています。
東京に着きます。出迎えは杉村春子扮する万引専門の春子。
当時の街の風景は興味深いものです。射撃訓練所の近くの春子の住んでいる団地に転がり込みます。
ここで列車内で法事の費用30000円をすられたとわかります。
そんなわけで路上でカモをさがす女スリ。
何回かのトライの後で偶然に作家の五無康祐が引っ掛かります。
作家御用達の旅館に行きます。すられたことだけを言って100000円と自己申告しますが70000円に値下げして後は風呂だけですませて調達します。これは何というの?やらずぶったくりの一種ですか。
インチキな流行作家の船越英二の演技が抜群となっています。
女スリは故郷の厚木に来ます。
厚木はアメリカ軍基地となりジェット機が飛び交っています。適当につないだのかもしれませんがロケの効果は出ていると思われます。
ジェット機の轟音が使い方は上手い。飛行音と衝撃波?のような音を組み合わせています。
説教する杉村春子の演技が見られます。
私はスリが出来ないから万引きをやっているんだと。この手の説教演技をやらせたら杉村春子の右に出るものはいないと思われます。あまり嫌みに見えないとこがいい。
厚木の町を歩いて洋服屋で聞くとわからんとのこと。
オンリーをやらないかと言われる女スリ。→オンリーとはアメリカ兵専門売春婦のことです。それにしても凄い言葉の使い方です。
ハナ刑事が追いついてきます。交番で実家のことを聞くことにします。村は無くなっていたとわかります。続いて作家の五無康祐も追いついてきます。
交番で聞いて行ったところ、わらぶき屋根の家が残っててその上をジェット戦闘機が超低空で通過しています。合成ですがよく出来た印象的なショットです。
このわらぶき屋根の家には江波杏子扮する若い嫁しかいなくて全く要領を得ません。
法事もせずにラムネを飲んでまた刑務所に戻りましょうと引き上げます。ラムネを飲む時に転がるビー玉の音が印象的。
女スリ御一行は警視庁で一悶着あって列車で大阪に戻りエンドとなります。
キャストでは主演の京マチ子は貫録たっぷりの演技です。
それ以外では船越英二が目立っています。田中康夫的キャラを怪演しています。本物かと思った。
田宮二郎が太鼓持ちな記者役で少し出ています。目立ちます。
ハナ肇はまあまあ。何故かその他のクレージー・キャッツの面々が出ています。クレージー・キャッツは東宝ではなかったのか。
そんなわけで可もなく不可もない普通のプログラムピクチャーのよい作品でした。
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