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2007.04.21

『怪獣大戦争』(1965年)

この作品は東宝のカルトな特撮映画です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1965年 東宝 日本作品
秘蔵のLDにて。画質はよいです。気のせいなのかわからけど、このLDは反っているのか何となく再生が不安定です。
プロット X星から侵略される話しのようです。
音楽 伊福部昭

キャスト
宝田明→宇宙飛行士の富士一夫
ニック・アダムス→同じ宇宙飛行士のグレン=VC納谷悟朗
田崎潤→地球連合宇宙局の桜井博士
沢井桂子→富士一夫の妹 春奈
久保明→発明家で春奈の彼氏 鳥居哲男

土屋嘉男→X星人統制官
水野久美→世界教育社の波川女史
田武謙三→世界教育社の社長
伊吹徹→世界教育社社員A
宇野晃司→世界教育社社員B

田島義文→自衛隊移動司令官
堤康久→自衛隊第1調査隊長
桐野洋雄→自衛隊第2調査隊長

村上冬樹→医学代表
塩沢とき→婦人団体代表
清水元→防衛代表
松本染升→宗教代表
佐々木孝丸→自治代表
伊藤実→科学記者
千石規子→下宿のおばさん

中島春雄→ゴジラ
篠原正記→ラドン
広瀬正一→キングギドラ

本多猪四郎-円谷英二監督の演出はよいと思います。
本編と特撮だけではなく、結構カットバックを多用しています。
この作品の東宝特撮の技術はホトンド完成の域に達していると思えます。
どうひいき目にみてもリアルには見えないミニチュアはともかく、編集、光線作画、効果音等は上手いものです。

地球と宇宙をいったり来たりとシーンをカットバック全開で結構忙しい話しとなっています。
TVシリーズ『ウルトラマン』(65年)でもこのような話しがあったような。バルタン星人が2度目の登場のエピソード『科特隊宇宙へ』がこんな感じでした。

ここがカルトなポイントです。
土屋嘉男扮するX星人統制官。
水野久美扮する世界教育社の波川女史=X星人工作員。
この2人のキャラは素晴らしい。

タイトル。
音楽がいい。これは傑作なスコアです。

前説が入ります。
X星云々・・・

宇宙空間のP1号。
宝田明扮する宇宙飛行士の富士一夫。
ニック・アダムス扮する同じ宇宙飛行士のグレン=VC納谷悟朗。
主人公の2人が登場。
ニック・アダムスの声の吹き替え、いつ聞いてもVC納谷悟朗はいい声をしています。
地球の世界連合宇宙局本部と連絡を取ります。

世界連合宇宙局本部にて。
本部の機器のアナログな感じがして古いこと。
田崎潤扮する地球連合宇宙局の桜井博士と沢井桂子扮する富士一夫の妹 春奈が登場。
どうやら妹 春奈の彼氏が気に入らないらしい富士一夫です。

セリフでリードして次のシーンにつなぎます。これが東宝特撮のパターンです。
下宿にて。
久保明扮する発明家で春奈の彼氏 鳥居哲男が登場。発明品を紹介する描写が入ります。
千石規子扮する下宿のおばさんも登場しています。
ここのシーンは雰囲気がそのまんま『機動警察パトレイバー』(89年)のシバシゲオの下宿のシーンに引用されています。いいもんだ。

宇宙と地球2ヶ所のカットバックが忙しいこと。

どこかの喫茶店にて。
春奈と鳥居哲男は発明品の交渉となります。
水野久美扮する世界教育社の波川女史が登場。
件の発明品を買いますと簡単に取り引きが成立します。

木星付近です。
木星 13番目の衛星がX星とのことです。
逆噴射して着陸となります。エレベーターで1人ずつ降ります。
歩き回ります。旗を立てる富士一夫。
稲妻を見ます。で、足跡を発見します。
グレンと連絡が取れなくなります。戻るとP1号が消えています。
地表にエレベーターが出現して土屋嘉男の声で入れと命令されます。

このへんはX星と地球のカットバックになっています。

地中に降りた富士一夫は通路を歩く。モダンなデザインな通路です。
奥にグレンはいました。
2人そろったとこで、X星人5人がやってきます。
土屋嘉男扮するX星人統制官が登場。
交渉となります。
そんなとこに怪物ゼロが出現。これがキングギドラです。
光線作画が見事です。タイミングに効果音。
酸化水素工場に被害を受けたとこで富士一夫とグレンはシールドの中に入れられていました。近くにいるが関係ないツンボ桟敷の図です。

怪物ゼロが去ります。
交渉となります。怪物ゼロ対策で地球の怪物01と02=ゴジラとラドンをレンタルしたい。その代償としてガンの特効薬を送るとなります。


X星から発進して帰還するP1号。
見送るX星人統制官と手下達。
含み笑いのX星人統制官です。嫌な感じとなります。わかりやすい。

地球に帰還するP1号。
議会です。代表達の発言。
村上冬樹とか塩沢とき等が登場。

世界教育社です。
契約したら後はなしのつぶてなので交渉にきた鳥居哲男。
適当に追い返せと世界教育社の社長。発明品の図面を燃やしています。わかりやすい。

恋人の兄 富士一夫と会うことになる鳥居哲男。見通しは暗いようです。

喫茶店にて。
富士一夫とグレン。
鳥居哲男と春奈がやって来ます。
会話は全く弾まない。
同席してたグレンはデートだと途中で退席します。何故か相手は世界教育社の波川女史。
偶然の一致でこうなったのか、いわゆる世間は狭い=スモールワールド状態のようです。

明神湖です。
ガイガーカウンターが反応しています。ゴジラがいるらしい。

クラウンのオープンカーで移動中の富士一夫とグレン。
明神湖に調査に行くらしい。
X星は怪しいと2人の意見を一致します。

現場に着き自衛隊の検問をフリーパスの富士一夫とグレン。
宇宙局はどこでもフリーパスなのか。

そんなとこで明神湖から円盤が出現します。まず1機。合計3機出現して上空に静止しています。
この円盤はクラシックなデザインとなっています。特撮の出来がまたよかったります。特に効果音がいい。見事なシーンになっています。
1機着陸してX星人が降りてきます。ここの合成が見事です。

湖畔で交渉となります。
01と02=ゴジラとラドンを運べますとX星人側。
まず明神湖のゴジラを引き上げます。
次に鷲が沢のラドンを引っ張り出します。
円盤には富士一夫とグレン、桜井博士の3人が同乗します。

赤いオープンカーで会っているグレンと波川女史。
別れ話ではないけど話しはこじれています。

波川女史をタクシーで尾行する鳥居哲男。
シーンがあっちこっちに飛んで忙しいこと、特撮作品ってこんなにカットバックしてた?

発進する円盤。ゴジラとラドンを運ぶ円盤2機と宇宙へ。

島のX星人地球本部にて。
ボートにまで入り込んで尾行していた鳥居哲男。とても素人とは思えません。
ですが玄関で落とし穴にハマってあっさりと捕まります。
波川女史は社長のこの失態を責められています。

X星です。
統制官の椅子は金張りでした。凄い成金趣味で嫌な感じです。
ゴジラ+ラドン対キングギドラとなります。
何だかんだで飛んでずらかるキングギドラ。
シェーしているゴジラ。何でこうなのか、よくわからん。ここはカルトなポイントではありません。

この隙にX星内部を調べようと歩き回る富士一夫とグレン。
あっさりと見つかってエレベーターに逃げ込みます。
行った先にはX星人の並川女史がいたります。しかも2人も。外見は同じでも別人らしい。
拘束される富士一夫とグレン。

とにかく放免されて、ガンの特効薬データの磁気テープを受け取り、P1号レプリカで地球に帰ることになります。

発進するP1号レプリカ。
ゴジラとラドンはX星に置き去りのようです。
まるで南極に置き去りにされて犬達のようです。もしかして少し遅れた時事ネタなの?

世界教育社にて。
春奈が並川女史と会います。要領を得ず。

島で捕まっている鳥居哲男。

X星人側計画を実行となります。
予定を早めています。

地球に戻るP1号レプリカ。
発表の席で、とんでもない事態となって大騒ぎ大混乱となります。
テープの内容は地球はX星の植民地となれというメッセージでした。
現実の日本はアメリカの植民地なのでは?突っ込みたくなります。奇妙な現実なのです。

世界教育社にて。
X星人の並川女史と会うグレン。
他のX星人達が現れて捕まるグレン。
処刑されるの並川女史。

宇宙局本部では対策の打ち合わせ中。
X星の円盤が襲来です。P1号レプリカは爆破されて、パラボラアンテナは溶かされます。念が入ってる行動のようです。

円盤からメッセージを送るX星統制官。
キングギドラは最初から電磁波でコントロールしていたと自らネタばらしをしています。これが策士策に溺れるの伏線になるようです。
24時間の猶予を与えるときます。

これを聞いた宇宙局側は資料ケースから電磁波遮断のアイデアを引っ張り出してきます。

島のX星人地球本部にて。
鳥居哲男が入ってる檻に入れられるグレン。
殺されないのは一応2人は実験台とエクスキューズがついています。何でもいいからこのようにディテールを積み重ねた方がいいと思います。つじつまが合っていないとこまるけど。

宇宙局本部にて。
電磁波遮断のAサイクル光線のデモです。これは成功です。

それにしてもカットバックが忙しいこと。

島のX星人地球本部にて。
並川女史のグレンに渡したメモから鳥居哲男の発明品を使い脱出する2人。
ボートが出ます。グレンと鳥居哲男が乗っている筈。
このボートを円盤に攻撃させます。
爆発するボート。これはいいシーンです。光線と爆発のタイミング。爆発の効果音。いい感じに仕上がっています。

で、実はボートには乗っていなかったグレンと鳥居哲男。
X星人達が引き上げたとこで泳いで陸に向かいます。

宇宙局本部にて。
戻ってくるグレン。鳥居哲男がいるのでわけがわからん富士一夫。
グレンの説明で発明品の音をラジオで流すことになります。

円盤にて。
計算の異常で攻撃時間を繰り上げるX星側。
怪物01と02=ゴジラとラドンが活動を始めます。
暴れるシーンで巨匠の合成が見られます。

円盤は第1次Aサイクル攻撃部隊を攻撃します。被害はかなりなものです。

01と02=ゴジラとラドンが暴れ回ります。
使い回しのショットがかなりあります。過去の作品のあちこちからかき集めて編集でなんとかつなげて使い回し大会となっています。ここは粗製乱造の悪い面が出ています。
東宝特撮作品には必ずある避難する人々のモブシーンも入っています。

ラジオ局にて。
X星人が苦手な音を放送する音響攻撃が始まります。

第1次Aサイクル攻撃部隊が攻撃を始めます。

第2次Aサイクル攻撃部隊の攻撃が始まるとこでマーチが入ります。
爆発する円盤2機。
爆発する島のX星人地球本部。
統制官のセリフとともに爆発する円盤。痛快なシーンです。
ここの一連のシーンがカルトなポイントです。音楽と映像が組み合わさった傑作なシーンです。音楽があるとないとでは出来というかノリが全く違うとよくわかります。

で、付け足しのようなゴジラ+ラドン対キングギドラとなります。
そんなこんなで宇宙にずらかるキングギドラ。
ゴジラ+ラドンは海の中です。

エピローグ。
またX星へ向かえと指令があり、またかいとうんざりな富士一夫とグレンの2人でエンドとなります。
このオチはいい感じです。

そんなわけでカルトの名にふさわしい特撮作品でした。


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コメント

こんばんは。
「怪獣大戦争」では地球が初めて宇宙人からの侵略を受けるのですよね。あの有名なゴジラの「シェー」はさておいて(笑)、本編に登場するX星人という科学万能主義の宇宙人。何でも機械任せというのが後に「対ガイガン」に出てくるM宇宙ハンター星雲のG達に共通しますが、行動及び人生の選択までが機械任せというのが恐ろしいです。
機械の計算ずくで作り出された悪徳も争いも無い秩序正しい世界。果たしてこれが本当の平和な世界なのでしょうか?自己主張もできず機械の命令に従うだけの、ただ生きているだけの人生。これでは文字通り「機械の部品」。
ここまでの世界に到達するまでには、かなりの血が流されたはず。結局のところ根っこの方は何も変わっていない、うわべだけの秩序です。
それに機械にはたまに「誤算」というものが生じますから、その指示に従って動いていたら破滅に向かって一直線か、他者に多大な被害を及ぼす事になるか・・・・・・。

本作の侵略行為が良い例です。もし良識のある宇宙人であれば「侵略」よりも「共存」の道を選ぶでしょう。地球には「負」の歴史もありますが「正」の歴史もあるのですから、計算ずくでそれらを踏み潰す事は許されません。受け入れるはずです。
結局、X星人達の自己主張の否定、全てに公平な機械の決定に逃避するようになってしまったのは、同族同士であっても自分と異なる意見や思想を受け入れる心を持てなかった事にあるのではないでしょうか?統制官その他がどのような未来へ向かって脱出したかは分かりませんが、こんな考え方を改めない限り明るい未来は無いでしょう。
機械任せで破滅してしまったX星人の姿を見て、我々地球人もそうならないよう努めたいですね。

A-chanさん、コメントありがとうございます。

絶対にいないけど『高潔な独裁者』が理想的?なのかもしれません。X星統制官はセコい裏切りをやってるので高潔ではなかったけど・・・
未来への脱出ですが間一髪で間に合わなかったと私は思えました。話しの流れ的にはその方がいいし。

女優さんにとって賞は意味がなく代表作が全てです。
水野久美のX星人姿はアイコンだと思えます。結果的に水野久美を世界的に有名にしてますし。女優さんは何が有名になるわからんとこも映画の面白いポイントです。

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