『要塞警察』(1976年)
この作品はジョン・カーペンター監督作品の風変わりな巻き込まれアクションのようでです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1976年 CKKコーポレーション アメリカ作品
ランニング・タイム◆91分
原題◆Assault on Precinct 13
プロット◆いつのまにか襲撃を受ける話のようです。
音楽◆ジョン・カーペンター単独でした。アラン・ハワースの名はなかった。緊張感があるスコアでした。
◆スカイパーフェクTV311パワームービーにて。画質は悪い。
◆ジェネオン発売のDVDにて。画質は結構よいです。これで充分でしょう。DVDで買った価値はあります。スクイーズ収録のフル表示です。画面サイズはワイドで上下に黒味あり。
キャスト
オースティン・ストーカー→ビショップ警部補(黒人)
ダーウィン・ジョストン→囚人のウィルソン(白人)
ローリー・ジマー→事務員のリー
トニー・マーティン→囚人のウェルズ(黒人)
ピーター・フランクランド→囚人のコーデル(風邪をひいてる白人)
ナンシー・ルーミス→事務員のジュリー
チャールズ・サイファーズ→護送人のスターカー
マーティン・ウエスト→娘を殺されて仇を討って逃げ込んできた父親ローソン
キム・リチャーズ→殺された娘のキャシー
ハワード・ホークス監督作品のウエスタン『リオ・ブラボー』(1959年)をモチーフにしているということらしいのでそこを興味深く見ました。
ジョン・カーペンター監督の演出はよいと思います。
画質の悪いのがかえって妙な緊張感が出ています。時間経過の字幕が多用されるのも緊張感が出ています。このへんは『ニューヨーク1997』(1981年)に受け継がれている手法です。
編集がジョン・T・チャンスという名前でしたが、これは『リオ・ブラボー』(1959年)でのジョン・ウェインが演じていた役名です。ここが『リオ・ブラボー』(1959年)の引用なのか?これだけではないようです。編集は多分ジョン・カーペンター本人かも?
移転の引き継ぎ中の人員も装備も満足にない警察署が成り行きで狂信集団に襲われるという展開になっています。
ここを警官1人囚人2人女性2人で守ることになります。娘を殺されて仇を討って逃げ込んできた父親は非戦闘員でした。
警官と囚人が協力しなければならないのがアイロニーがあっていいです。
電話と電気を切断されて孤立化したとこをサイレンサー付きの銃で狙撃されまくります。これはなかなかのものでした。
『リオ・ブラボー』(1959年)の引用は囚人のピンチに警官がライフルのウィンチェスターではなくてポンプ式ショットガンを投げ渡します。カッコいいです。こういう引用はいいです。
そんなこんなで何故か警察内の証拠品の中に爆薬があったりします。
これで落ちがわかったと思ったらそうはなりませんでした。オリジナルそのままではないということでした。ジョン・カーペンター監督はやるじゃない。
ヒロインのローリー・ジマーはこれは見事なハワード・ホークス監督のハードボイルド系ヒロインぶりでした。
『リオ・ブラボー』(1959年)でのロマンティック・コメディ系のアンジー・ディキンソンではないのが面白い。
ルックスに喋り方がそんな感じなんです。ベージュのニットがいいです。
腕を撃たれても毅然として撃ち続けるとこですが、ここは少し違うけどウエスタンの『赤い河』(1948年)でのヒロインを演じたジョーン・ドルーにあたるような。
囚人のウィルソンのタバコに火を付けてやります。マッチで付けてやるとこがフィルム・ノワール風でいいのです。付けた後に火を吹き消すのがいいのです。これはローレン・バコールからのようです。
主役ビショップ警部補のオースティン・ストーカーはあまり押しが強くないキャラでハワード・ホークス監督作品の主役でいうと『赤い河』(1948年)のモンゴメリー・クリフトみたいな感じでした。悪くはないです。
ハワード・ホークスの主役らしいのは白人の囚人役のダーウィン・ジョストンが務めていました。
それにしてもこのキャストの方々は全然知りません。
ビショップ警部補の昔話で子供の時悪さをしてメモを持たされて警察に行かされた。これは警官嫌いのアルフレッド・ヒッチコック監督自身のエピソードで有名です。
銃器関連で・・・
戦場では撃ち尽くした銃を気づかずに撃ってるつもりなってしまうことは実際にあるそうです。そのために実包が無くなったら銃の遊底が開きっぱなしになって見てわかるようにしているそうです。
タイトル。
キャストはホトンド知らないキャストばかり。
最後に出てるキム・リチャーズって誰?→調べると殺された女の子キャシーでした。
プロデューサーがJ・S・カプランというのも偽名っぽい。ジョン・カーペンター監督本人か?
ところでタイトル文字は赤かった?全く見覚えがないんだけど。
カリフォルニア州 アンダーソンにて。
土曜日 03:10AM
チンピラ連中の強盗が警察に撃たれて全滅しています。
こんなシーンがあった?全然見覚えがない。
アジトにて。
6人が殺されたので復讐だとなっています。意気込んでる何人かの男達。
L.A.西部 土曜日 04:30PM
オースティン・ストーカー扮する黒人のビショップ警部補がクルマで出勤します。
どうやら警部補に昇進したばかりらしい。
ついでにパトロールとなっているらしい。無線機はモトローラ製。
9分署へ行けと無線で指令されます。
カリフォルニア州 L.A.
05:11PM
囚人の護送です。
ウェルズ、コーデル、それにウィルソン。ナポレオン・ウィルソン。
囚人3人の護送となります。
アンダーソン。05:32PM
カーラジオでストリート・サンダーがどうのこうのはニュースで言ってます。殺された6名云々・・・
女の子を連れた父親がクルマで移動中。
リンカーン・コンチネンタルの2ドア・ハードトップ。成金趣味のクルマです。
例の復讐の男4人が黒いクルマで移動中。
武装しています。消音器付の銃器。
さすがカルト作品だけあって何でもないシーンでも緊張感があります。
歩いてるシーンだけでも緊張感が出ています。
ビショップ警部補がアンダーソン署に到着します。
まわりには何もないとこです。
事務員のリーとここは引っ越しの最中とか話ししています。
電話の交換手ジュリーがここはもう移転しましたと通話しています。これで状況説明をやっているわけです。上手いじゃん。
直接に説明セリフを使わずに別の描写でわからせるのです。
署長と会うビショップ警部補。
ここは07:00PMには出ていく言ってる署長。後はまかせたとなっています。
黒いクルマで移動中き例の復讐の男4人は所構わず乱射するつもり?
狙いをつけてはやめています。
アイスクリーム屋のトラックが登場。
囚人護送バスにて。
ナポレオン・ウィルソンと護送人が話しをしています。
とりとめのない話し。何故人を殺すとか・・・。
会話から目的地まで移動にあと6時間もかかるらしい。
で、囚人の1人か病気なので最寄りの警察署に寄ろうということになります。その警察署がアンダーソン署なのです。臨時で止まったのか。なるほど。
女の子を連れた父親はクルマを止めて公衆電話を使う。
どうやら道に迷ったようです。
女の子はアイスクリームを買いに行きます。
アイスクリーム屋はもう終わりとか言ってます。
でもアイスクリームを買えた女の子。
このアイスクリーム屋は何か気にしています。ダッシュボードにはリボルバーを隠しているし。これは単なる護身用か。
黒いクルマが通りがかります。
女の子を平気で撃つ白人の若い男。モーゼル・ミリタリーを使用。
アイスクリーム屋にも発砲しています。
驚愕の女の子の父親。
アイスクリーム屋がリボルバーのことを伝えたのでリボルバーを持って黒いクルマを追います。
アンダーソン署にて。
囚人護送バスが到着しています。押し問答があったけど囚人を下ろし留置します。
護送人のスターカーが伝染病だったらどうするとか言ってる。
ナポレオン・ウィルソンはやたらタバコをくれと言ってる。こういうキャラらしい。
追跡中のクルマにて。
クルマを止めて撃ち合いとなります。油断していたのか父親に撃たれる白人の若い男。
父親は頑張って1人はやったようです。
公衆電話をかけようとする父親。
そこに他の男達が迫ってきます。慌てて逃げる父親。
アンダーソン署にて。
父親が逃げ込んできます。
この時点ではまだ男が警官1人、バスの護送人が1名、運転手が1名、護送人が1名、少ないけどまだ人員はいました。
護送人のスターカーは医者の手配の途中でもう出ますと護送バスに乗り込む。
ここで電話が不通になったようです。
続いて停電になっています。街灯は点いてる。
表に出た警官はアッサリと撃たれてしまった。まわりには大勢来ています。
護送バスに乗り込もうとしたとこでも撃ちまくられます。
ここで囚人2人を残して後は全滅します。これで残りはもう少ない。
囚人2人を留置所に戻すビショップ警部補。
まわりから撃ちまくられます。身動きが取れません。
この時点で残りはビショップ警部補。女性事務員2人。逃げ込んできた父親。囚人2人。となったようです。
とりあえず1回目の襲撃を終わったようです。
静かになります。まわりに人影も見えない。
この署のまわりには人家はない。署の裏口を出ても塀で囲まれているので結局正面に出るしかないとなっています。
またまわりにぞろぞろと集まってきます。数が増えています。
3人が接近してきます。血の入ったガラス容器を放り投げ、文字の書かれた旗?を置いて戻ります。
父親を引き渡そうとジュリー。いくらなんでもそれは出来ないとビショップ警部補。
囚人2人を除くと男1人、女2人しかいない状態です。
クルマを盾に押して移動しながら接近してくる一味。
裏口が破られたようです。留置所から囚人2人を出す事務員のリー。
間一髪逃げてきてショットガンを投げ渡されて撃ちまくるナポレオン・ウィルソン。ここがこの作品の白眉のシーンです。
撃ち合いが続きます。で、一段落したらしい。
ジュリーは撃たれて死亡していました。この時点で戦力は4人。ビショップ警部補、事務員のリー、囚人のナポレオン・ウィルソンとウェルズ。
銃声がしたから今度はパトカーが来るとビショップ警部補。
表の死体もなくなっています。撃たれた警官の死体さえなくなっています。
チョロとは何だ?という話しになっています。
ウェルズはチョロのことを知ってて説明しています。狂信的で命知らずの連中のらしい。
ウェルズ相手に度胸のあることを見せているリー。
で、リボルバーにはもう弾がないと言ってます。
その話しの流れで残弾は?となります。3発、2発、3発。これだけです。
ウェルズのリボルバーは残弾ゼロだし。
タバコの話となります。
ナポレオン・ウィルソンにタバコをあげて火までつけてあげるリー。
1940年代フィルム・ノワール的でいい感じ。ちゃんとマッチでつけてるのもいいし。マッチの火を吹き消すとこまでをちゃんとやっています。さすがハワード・ホークス監督を尊敬してるだけはあって忠実に演出しています。
パトカー7号車が登場。
9分署、つまりアンダーソン署の近くで銃声がしたと通報があったらしい。
異状なしと言ってます。それじゃダメじゃん。
アンダーソン署にて。
外のマンホールに注目となっています。どうやら下水道を通ってこのマンホールに出て止めてあるクルマでここを脱出して通報しようとするらしい。
この仕事はクルマ泥棒が出来ないとダメということらしい。
キー無しのクルマを始動出来るのは囚人2人だけなのでジャンケンでどちらが行くかを決めています。コインの表裏を当てるのは嫌なウェルズ。命をかけたジャンケンとなっています。
ウェルズを地下道まで送るナポレオン・ウィルソン。
とりとめのない話しになって・・・。
リーは警察勤めが5年だと言ってます。
マンホールから出るウェルズ。
クルマに入ります。エンジンを始動させます。発進します。これで上手くいったと思ったら後部シートにもう1人いて撃たれてしまいます。凄いサプライズとなっています。
これまでとなり残り3人だけです。
地下道に入って立てこもろうとナポレオン・ウィルソン。
そうします。
また相手がぞろぞろと出てきました。
逃げ込んできた父親はまだ生きています。
合計4人です。1人は戦力にならないけど。
即製の爆弾を用意して、これを撃って爆発させようとなります。こっちはバリケードで身を守るという作戦となります。
パトカー7号車が来ました。
異状なしとやっています。ですがパトカーの屋根に何か垂れている。雨でもないのに。
それは電柱上の電話修理人の死体から血が垂れているからです。
これで異状ありとなって増援を要請しています。
地下道にて。
いよいよ攻め込まれています。バリケードを盾にして殴り合い。
残弾が残り1発になったとこでようやく爆弾に命中して爆発となります。
外では増援が来ています。パトカーに白バイ。
白バイ警官2人とご対面となる残り3人。
これで助かったとなります。
ナポレオン・ウィルソンを護送するは私だとビショップ警部補。
エンドとなります。
ホントにハワード・ホークス監督作品を引用してるの?と疑って見たらちゃんとそうなっていました。そんなわけでハワード・ホークス監督のスピリットがあるよい作品でした。
« 『オー・ブラザー!』(2000年) | トップページ | 『スペシャル・イフェクツ 謎の映像殺人』(1984年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1970年代」カテゴリの記事
- 『見えない恐怖』(1971年)(2021.11.27)
- 『危険な愛の季節』(1975年)(2021.06.19)
- 『サイコマニア』(1972年)(2020.06.07)
- 『殺人ブルドーザー』(1974年)(2020.06.06)
- 『キラーカーズ パリを食べた車』(1974年)(2020.04.05)
« 『オー・ブラザー!』(2000年) | トップページ | 『スペシャル・イフェクツ 謎の映像殺人』(1984年) »
コメント