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2006.09.19

『吸血鬼ゴケミドロ』(1968年)

この作品は佐藤肇監督、吉田輝雄、佐藤友美、高英男主演の世にも珍しい松竹製作の吸血鬼ホラーのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1968年 松竹 日本作品
ランニング・タイム◆84分
原題◆きゅうけつきごけみどろ
プロット◆円盤が来襲して血を吸う話のようです。
音楽◆菊池俊輔

キャスト
吉田輝雄→熱血副操縦士の杉板英
佐藤友美→ハスキーボイスのスチュワーデス 朝倉かずみ

高英男→凄腕のスナイパー 寺岡博士

高橋昌也→宇宙人学専攻の佐賀敏行教授
加藤和夫→精神病理学の百武先生
山本紀彦→絵描きの爆弾魔 松宮

北村英三→標準的汚職代議士の真野剛造
金子信雄→脂ぎった兵器商 徳安
楠侑子→金子信雄の妻 徳安法子
キャッシィ・ホーラン→ベトナムウィドウの白人女性ニール

西本裕行→影が薄い機長

松竹嫌いの私は松竹なんて1本も見たことがないと思っていたがそうではなく松竹作品も見たことがありました。
この作品は珍品らしく昔モノクロTVで少し見て気になってるので見ました。

佐藤肇監督の演出はよいと思います。
音楽はやたらと大げさでギャグみたい。
一応題名通り吸血鬼のようなこともしてました。別に吸血鬼でもなくてよかったのかも。
怪しい雰囲気を出す斜めのアングルも使ってました。
ベトナム戦争中だったのでそのことが扱われています。もちろん半端な扱いですが。

この作品は多分極限状況におかれた人達を描く意欲作にしようとしたのでしょう。で、出来たのがコメディでした。
東宝のカルトな異色特撮ドラマ『マタンゴ』(1963年)みたいにはなれなかったよといった感じです。

旅客機のセットですが何もなくてガラガラのコックピット。質感が全くない。
これが見てて補正しきれずにこまるんです。貧弱で安っぽくで今作ったという感じで使い込まれている感じが全くしないセットで典型的な日本映画のマイナスな特徴です。

飛行中の旅客機のスピード感が全くありませんでした。
ですからカラスが窓に張り付く訳がないでしょう。不時着しても運がいいのかホトンド助かっています。

不時着したとことで舞台は荒野というか砕石場です。
ここでチープな実物大?とは思えない旅客機のセットとなります。これで予算は使い果たしたんでしょう。全編に渡りここが使われています。

キャラ設定が凝り過ぎでこんな変わった特殊特別な人達ばかりが集まるわけがないとなります。これもギャグ?
犠牲者を選ぶ時に「外人だから後腐れがなくていい」なんてセリフがありました。凄いセリフです。偏見たっぷりのセリフでこれだけで倫理規定に引っ掛かりそう。

ラストはスタッフがもうヤケになったかのようでそんな終わらせ方でした。
これでは吉田輝雄と佐藤友美の主演2人のこれまでの努力は何だったんだとなります。

キャストについて・・・
スナイパー兼ゴケミドロを演じる高英男。
最大の見どころがこの人です。この作品のキャラは狙撃の名手とのことです。何で実際は高名なシャンソン歌手の筈の人がこの作品に出てるのか理解に苦しみます。
といっても容貌魁偉で出れば場面をさらいます。ハンドガンを左で扱っています。
どうせ出るならチャンバラにすればいいと思います。ナチュラル目張りなのでそれ向きの顔をしています。

吉田輝雄は松竹というより東映みたいな感じでした。→新東宝から来た人のようです。なるほどだからこういう扱いなのか。ギャグになっていないような。

金子信雄があれこれとうるさいこと。これもギャグになっています。

加藤和夫演じる精神病理学の先生のキャラが最高。
極限状態で自分だって当事者なのに1人だけ妙に冷静で全て他人事なのがギャグになっています。ついでに説明役もやってますが冷静過ぎでこれもギャグ。

精神病理学の先生は山本紀彦演じる絵描きの爆弾魔に崖から突き落とされてしまいますが、他の連中は絵描きの爆弾魔を捕まえるほうが優先で誰も精神病理学の先生を助けにいかないのです。普通救助が先でしょうが。これは極限状況におかれたギャグか。

標準的な汚職代議士もカリカチュアされていまし。これもギャグになっています。
そんなわけで俳優の方々の熱演が全て空回りのコメディと化しています。これもこれでいいけど。

佐藤友美のスチュワーデス=客室乗務員。これがこの作品のプラスの全てです。ハスキーないい声が非常によろしい。催眠術で喋るシーンもよかった。

松竹発売のDVDにて。
画質はまあまあ。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはワイド。上下に黒味あり。
音声はドルビーデジタル2.0ch

著作権のアラート
SHV 松竹ホームビデオのタイトル

プロローグ
松竹映画のタイトル
赤い空を旅客機が飛ぶ。
コックピットのセットは安く殺風景でエド・ウッド監督の『プラン9・フロム・アウター・スペース』(1959年)並みです。そんなとこを競ってどうする。
会話によると羽田から伊丹に行く旅客機のようです。初めて知った。

いきなり客席の窓に血まみれの鳥が張り付く。
無線連絡で時限爆弾が持ち込まれてるので荷物検査をせよとなります。
旅客機は羽田に引き返す。

そんなわけで荷物検査をする操縦士。
また客席の窓に鳥が張り付く。色々と忙しい。

カメラか微妙に揺れています。不安定な感じが出てきます。
演出なのか撮影が下手なのかは不明。

殺し屋はハンドガンを出してハイジャックします。
コックピットの窓にも鳥が張り付く。
それからUFOとすれ違います。旅客機の計器が狂って墜落となります。
プロローグは結構長かった。大作並みです。

吸血鬼ゴケミドロ

スタッフの紹介
特撮はピー・プロダクションでした。

出演
吉田輝雄 杉板英(パイロット)
佐藤友美 朝倉かずみ(スチュワーデス)

高英男 寺岡博士
高橋昌也 佐賀敏行(宇宙生物学者)
金子信雄 徳安

北村英三 真野剛造
楠侑子 徳安法子
加藤和夫 百武

西本祐行 機長
山本紀彦 松宮
キャッシィ・ホーラン ニール

佐藤肇監督

本編です。
墜落した旅客機のコックピットにて。
機長は既に死亡してるようです。
道理で機長の印象がなかったわけです。パイロットが布を被せる。
乗客もかなり死亡しています。そんなわけで数が絞られています。
殺し屋も死んだと思われてる。

佐藤友美は当時としては珍しい茶髪です。いいじゃん。

真野剛造議員なんていたのか。全く覚えがない。
というかどうやら金子信男の兵器商人と混同していたらしい。

爆弾男が外に逃げてパイロットが追いかけてます。
このロケ現場はどこの砕石場なのかが興味深い。いつもの東映TVシリーズが使う砕石場だと思うけど。

JA8012 旅客機の固有ナンバーです。
生き残ったのは9人です。殺し屋は死んだとなってます。

議員からここはどのへんだと聞かれてわからんパイロット。
ちょうど羽田に戻る進路変更とハイジャック騒ぎと光体に遭遇と色々とあってマジでわからんようです。

操縦ミスだと非難されるパイロット。
光体を見たと証言するパイロットですが本気にされない。まだUFOとは言ってない。

残り9人でしたが殺し屋が死んでなかったので10人になります。
殺し屋はスチュワーデスを拉致して外に逃亡する。

外にて。
あれは何だ?となる殺し屋とスチュワーデス。
着陸してるUFOが見えます。光り輝いてます。
これがアダムスキー型の絵に描いたようなUFOでいいデザインです。

殺し屋はUFOにおびき寄せられて入る。
それで流動体生物に乗り移られるわけです。
悲鳴を上げるスチュワーデスですがUFOの中が見えるのか?まあいいけど。

そんなところをパイロットが探しに来ます。
スチュワーデスを助けて殺し屋は見つからないので旅客機に戻ります。

旅客機にて。
そのへんを自分達の墓穴を掘ってる面々。マジでやってます。
そんなとこで漏れた燃料を受けてるバケツが発火して大騒ぎになってます。
墓穴を掘ってたスコップで土をかけての消火活動もしてます。

いきなりラジオがかかってます。爆弾男がスイッチを入れた。
ニュースで旅客機は行方不明。乗客は絶望と流れてる。
頭にきた金子信男がラジオを破壊する。これで情報源はなくなった。いいわけない。

あの冷静な精神病理学の先生がスチュワーデスに催眠術をかけてます。
これで何があったのかがわかります。しかし信じられない面々。

宇宙人学専攻の教授は空飛ぶ円盤の話しをする。
そんなところに殺し屋吸血鬼が接近してます。

ここで爆弾男が精神病理学の先生に絡んで崖下に転落させる。
転落した先生に殺し屋吸血鬼が迫る。アッサリと血を吸われて片づけられる先生。

旅客機にて。
立てこもってるとこにドア附近で音がします。
パイロットが見に行く。外には殺し屋吸血鬼がいます。これは大変。
ベトナムウィドウは殺し屋吸血鬼を怪我人だと思い込んで助けようとする。

そんなわけで殺し屋吸血鬼は旅客機内に運び込まれる。
額のキズなので怪我人だと思われてるわけです。
スチュワーデスが何とか言えよと思えるがどうやら忘れているようです。非常に嫌なことなので忘れてしまったらしい。一応ロジックは通ってる。

兵器商が議員にウイスキーを勧めてます。
そうなると何故か兵器商と女房が夫婦げんかになる。凄い展開。

兵器商はウイスキーで咽が渇いた議員に水をやるからホントのことを言えと迫る。
このへんの金子信男は名演してます。
兵器商はライフル銃で脅かして全員を外に出す。
そうなると殺し屋吸血鬼に血を吸われる兵器商。金子信男なので血の気が多くご馳走だと思えます。

兵器商の奥さんはこれで自由になったと喜ぶ。凄い展開。
そんなところに殺し屋吸血鬼が接近する。
何故か吸血鬼になる前から白い手袋をしてる殺し屋。吸血鬼だからではなく元から白い手袋なのです。

殺し屋吸血鬼と奥さんはUFOに入る。

夜が明けてます。奥さんを探してる面々。
もしかしてこの話しは墜落した夜から次の日の昼間だけの期間のようです。

崖の上に奥さんが立ってます。
宇宙人に乗り移られて話しをする奥さん。我々は人類抹殺に来たと宣言してます。
何故か額にキズはない奥さん。女性なのでそうなの?、それじゃ下の口から入ったのか?と下ネタになりそう。

話し終えたら崖から転落する奥さん。
助けに行くとミイラ化しています。驚愕する面々。

旅客機にて。
立てこもってる面々。
時々戦争のシーンが真っ赤な画面で入ります。ベトナム戦争の真っ最中なのでそうなる。

何故か生け贄が必要だとなります。
ここで議員が外人なら後腐れがなくていいと主張するわけです。凄いセリフだ。
コックピットに監禁した爆弾男が騒ぐ。ちょうどいいと生け贄にされます。
代わりにパイロットとスチュワーデスはコックピットに監禁される。

外に締め出された爆弾男を速攻で殺し屋吸血鬼と遭遇する。
爆弾男はそのへんに隠した自分の爆弾を取り出し旅客機を爆破すると脅かす。何でそうなる?。
殺し屋吸血鬼に使えばいいのにと思えますが、極限状態の現場にいると何を思いつくがわからんのかも。何となく説得力があります。

そんなわけで旅客機外壁で爆発がおこる。
これで爆弾男を死に至ります。しかし血は吸われていないので生け贄にならない。

旅客機内でもめ事がおこってます。
そんなこんなでベトナムウィドウがライフル銃をゲットして議員と外に逃亡してしまう。とにかくそうなってます。

殺し屋吸血鬼は無事でした。ベトナムウィドウと議員を追う。
まずはベトナムウィドウが捕まってやられます。議員は逃げた。

旅客機にて。
議員が戻ってます。しょうがないので入れてます。
殺し屋吸血鬼も迫ってきます。
議員を入れようとしたパイロットとスチュワーデスが外に締め出される。

パイロットとスチュワーデスは逃げるしかない。
速攻で殺し屋吸血鬼が迫ってきます。
漏れた燃料を受けたバケツを使い殺し屋吸血鬼に燃料を浴びせライターで点火させるパイロット。

炎上する殺し屋吸血鬼。
額のキズから流動体が脱出してます。
黒焦げになった殺し屋吸血鬼の死体は朽ち果てる。

旅客機内にて。
吸血鬼の本体である流動体は機内に入ってます。
ケガをしてる宇宙人学専攻の教授に取り憑いたらしい。額のキズはない。

取り憑かれて無口になってる教授を何とか言わんかいと責める議員。
そんな感じで1人で盛り上がってる議員。
教授のクビを締める議員。いつの間にか額が割れてる教授。
何故か教授から流動体が出てるみたい。よくわからん。

教授吸血鬼は議員を捕まえてます。
この隙にパイロットとスチュワーデスは逃げる。
議員は血を吸われてようやく退場になります。武器商人の金子信男と同じで血がタップリとありそうなタイプでした。ご馳走です。

パイロットとスチュワーデスは必死こいて逃げる。
教授吸血鬼が追ってきますが崖下で落石に当たって教授吸血鬼はやられてる。
また逃げるパイロットとスチュワーデス。

UFOにて。
教授吸血鬼は戻ってます。額のキズから出る流動体。
倒れた救援の体は朽ち果てる。

逃げているパイロットとスチュワーデス。
高速道路の料金所に来ます。クルマが並び、中の人達は死んでいる。
料金所なのにインターチェンジと表示されています。まあこの先はそうだけど。日本はアメリカの植民地なのに英語を覚える気が全くないのです。
これはサボタージュかレジスタンスになるのか?英語を覚えないと日本人の方が損をしてる感じもする。

ホテルにて。
ここに入るパイロットとスチュワーデス。
しかしここも死体だらけでした。宇宙人の声が入る。

赤い場面でキノコ雲が上がります。

また外を逃げるパイロットとスチュワーデス。海岸にたどり着きます。
どうしてこんなことになったと嘆くパイロット。頭上をUFOが通過してる。

それから俯瞰シーンになります。
そのまま地球全体を俯瞰するシーンになりUFOの大群が地球に迫る。
それから青い地球は死の星へとなる。
エンドとなります。


何とか途中で投げ出さずに最後まで見れました。全然怖くありません。
これは全て佐藤友美スチュワーデスのおかげです。佐藤友美が出てなかったら誰がこのようなコメディを見ますか。
そんなわけでホラーなのにコメディなよい作品でした。
→久しぶりにDVDで見直すと普通のB級ホラーのよい作品でした。年月が経つと見ている方の考え方も随分と変わります。
全体的にオフビートな感じがして、存在するだけで不気味な高英男でカルト作品になってるわけです。


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