『好色一代男』(1961年)
この作品は増村保造監督、市川雷蔵主演の時代劇の色物コメディです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1961年 大映 日本作品
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質はよいです。
プロット 女好きのバカ息子が全国各地を流れる話のようです。
音楽 塚原哲夫
キャスト
但馬屋の世之助→市川雷蔵
但馬屋で世之助の父 夢介→中村鴈治郎
京都の吉野太夫→水谷良重
世之助の悪友 勘九郎→大辻伺郎
世之助の悪友 長次郎→中村豊
春日屋→菅井一郎
春日屋のお園→浦路洋子
月夜の利佐→船越英二
高尾太夫→藤美恵子
お町→中村玉緒
お杉→阿井美千子
お梶→藤原礼子
若い尼→中川弘子
山の女→真城千都世
但馬屋の支配人→見明凡太朗
夕霧太夫→若尾文子
坂田染之丞→越川一
坂田新九郎→高見国一
増村保造監督の演出はよいと思います。
時代劇の割には喋り方が現代的な感じがします。別にかまいませんけど。短いエピソードがつながって構成されています。そんなことからやたらと話しが早い。
吝嗇な(ドケチということです)父を演じる中村鴈治郎と女好きのバカ息子を演じる市川雷蔵のやりとりが非常によろしい。この作品では市川雷蔵と女優さん達のからみより、こっちの中村鴈治郎と市川雷蔵のからみの方がよかったりします。
プロローグ
バカ息子の世之助はゲップのことからもめて斬り合いとなる貧乏侍の争いに巻き込まれます。斬られた侍の妻に言い寄る世之助。
京から江戸に飛ばされる世之助。
江戸では来たそうそうから船越英二演じる月夜の利佐と近藤美恵子演じる高尾太夫を助ける世之助。
そんなこんなで勘当されて仏門に入れられて仙台に飛ばされる世之助。
仙台から新潟へと流れる世之助。で、尼に言い寄る世之助。
新発田に流れる世之助。プロローグにあった斬り合いが原因の仇討ちに巻き込まれる世之助。
網元の妾の中村玉緒演じるお町に言い寄る世之助。
お町と一緒に逃げる世之助。金沢の関所であっさりとつかまり牢屋に入れられる。
恩赦が牢屋は出れたが網元の追手達につかまり別れさせられるお町と世之助。
金沢から新発田に戻ったとこでお町は首を吊って死んでいたとなります。
熊本に流れる世之助。美人局のようなことをやっています。
熊本から京へ戻る世之助。父の臨終を看取ります。世之助は非常に喜んでいます。ここでの父子のやりとりもいい。
母も父の後を追うように亡くなります。母が亡くなったことには世之助は悲しんでいます。
京へ戻ってから若尾文子演じる高級芸者夕霧太夫を買い取ったりして金遣いが荒くお上に目をつけられます。そんなことからお上との追っかけになります。
エピローグ。
あるかもわからない島へ、無事にそこまでたどり着けないような船で出る世之助一行です。ファンタジーのようなラストとなります。
話の方はなんてことはないものです。
市川雷蔵はとてもスターがやるとは思えないバカ演技を全開で見せてくれます。
とても眠狂四郎を演じてる人は思えません。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)の諸星あたる並みのバカ演技となっています。やはりスターはこれくらい余裕がなければいけません。
大映の中村鴈治郎・・・
私がもっぱらTV放映で1960年代の大映作品を見始めてからサポートですがやたらと目立つ爺さんの俳優は誰でしょうと気になり調べると中村鴈治郎という名前とわかる。これはまた凄い名前でそれにふさわしい容貌魁偉ぶりと感心したものです。
中村鴈治郎は名前からして歌舞伎の人で、そのルックスから歌舞伎界で何か悪さをやらかして映画界に流れて来た人かと思いこんでいましたが、実際には確かに映画界には流れて来たけど悪さはやっていないと知り、そうなのかと意外に思ったものです。色々なしがらみから逃れて永田雅一に誘われて大映に出るようになったのとのことです。
全体的にみるとファンタスティックな時代劇といった感じになっています。
そんなわけで数少ない増村保造監督と市川雷蔵主演のよい作品でした。
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