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2006.09.21

『吸血鬼』aka『ヴァンパイア』(1932年)

この作品はカール・T・ドライヤー監督の有名な吸血鬼物ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1932年 フランス/ドイツ作品
原題◆Vampyr - Der Traum des Allan Grey
IVC発売のDVDにて。画質はそれなりに悪い。◆デンマーク語で英語字幕に日本語字幕となっています。◆音楽はそれなりに合っていたような。
プロット 吸血鬼を捜し回る話しのようです。

キャスト
ジュリアン・ウエスト→主人公のアラン・グレイ
Maurice Schutz→遺品の本を残す金持ちの老人
Albert Bras→その召使いの老人
Sybille Schmitz→吸血鬼になっている娘レオーネ
Rena Mande→その姉妹の娘ジゼル
Jan Hieronimko→怪しい医者
アンリエット・ジェラール→吸血鬼の老婆マルゲルタ
Jane Mora→尼さん看護婦


カール・T・ドライヤー監督の演出はよいと思います。
余計な説明がいっさいない演出でした。そんなわけでどういう話しなの?と見てました。
サイレント映画のような作りでした。この作品はドライヤー監督のトーキー第1作とのことです。

前説字幕あり。
グルタンピエール村。アラン・グレイはホテルへ入ります。
最初から怪しさ全開で話しは進みます。主人公が歩くだけで怪しい雰囲気になります。
ホテルの看板のような風見鳥のような飾りが盛んにワンショット入れられます。
影を多用しています。
この当時のカメラはやたらに動けないのかパンニングを多用して移動撮影もどきを実現させていました。カール・T・ドライヤー監督が現在の撮影技術を知ったらこれは何でも出来るぞとさぞ喜ぶでしょう。
ノックの音が入ります。サイレント映画ではないようです。
それでもサイレントスタイルの字幕も入ります。

アランがホテルで寝ているとこに初老の男が入ってきます。
死後開けることと書き記した包を置いてきます。中味は本のようです。

外に出るアラン。
地下へ入るアラン。
影が行くシーンとなります。アランは棺桶屋?入る。
ホテルに来た初老の男を探しているらしい。
眼鏡をかけた別の老人とセリフのやりとりがあります。トーキー映画らしくなっています。
「子供も犬もいない」と眼鏡をかけた別の老人。

アランはここを出ます。
影を追って公園へ、その先の屋敷では初老の男がいます。娘は2人いるらしい。
娘らしい女性がベッドで伏せっています。血を欲しがっています。
初老の男が撃たれます。アランは屋敷に入る。

例の包を開くアラン。
本が入っています。吸血鬼の歴史。ポール・ボナール著
吸血鬼の解説本が遺品で残されてそれを読んでいて説明と話しの進行をやっていました。

寝ていた娘が外に出ます。追うアランともう1人の娘。
外にでた娘がベンチに倒れています。屋敷に戻ります。
本の続きです。吸血鬼になっているらしい娘。

医者が来ます。眼鏡の老人です。アランから採血します。

採血後に寝ているアラン。異変というか夢を見ています。
召使いの老人が起こします。

吸血鬼の娘の自殺を止めるアラン。
医者はずらかります。アランは医者を追います。
カメラをパンしまくりで回るとこもあるような。凝っています。

アランは外に。
ベンチで休んでると二重露光で幽体離脱して幽体と実体の2つに別れて実体はいつのまにか棺桶の中に入り。幽体は引き続き探索していました。
二重露光なんて特撮を使っています。これは驚いた。
幽体は棺桶の中のアランを発見します。

棺桶の中の主人公から見た主観ショットがありました。これはまた斬新です。最初は何を映してるのかと思いました。
主観ショットは室内の天井ばかりではなく外に出ると木漏れ日を映していました。当時の撮影技術でよく木漏れ日が撮れたなと感心する。

ベンチで休んでる実体のアランは気がつきます。
墓を暴いてる召使いの老人に協力するアラン。
吸血鬼になっていた老婆に鉄の杭を打ち込みます。白骨化する老婆。
屋敷で吸血鬼になっていた娘が元に戻り助かります。

怪しい医者のアジトにて。
吸血鬼の手下だった怪しい医者を窓から巨大な顔が覗くようなショットがありました。これはドイツ表現主義の引用?

捕らわれていたもう1人の娘を助けるアラン。
2人で小舟に乗り移動します。
怪しい医者は逃亡します。で、製材所?へ逃げておが屑の中に埋もれてしまいます。
このクライマックスでは小舟で脱出する主人公と捕まっていたメイドにおが屑に埋もれる怪しい医者をクロースカッティングしていました。
特撮やカットバックを使うとはいい監督です。

小舟から降りて日の光の中を歩くアランと娘。
おが屑に埋まる医者。
エンドとなります。

そんなわけで何というかアバンギャルドなよい作品でした。

吸血鬼物といえばF・W・ムルナウ監督の有名なサイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22年)の感想があります。


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