『サイコ』(1960年)
この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、アンソニー・パーキンス主演のサイコ物ホラーです。サイコ物という新しいフォーマットを作った作品です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1960年 パラマウント アメリカ作品
原題◆Psycho
DVDスペシャル・エディションにて。画質は非常によいです。
プロット 泊まったモーテルがとんでもないモーテルだったという話しのようです。
音楽 バーナード・ハーマン◆素晴らしいスコアで鳴りまくりとなっています。
◆アルフレッド・ヒッチコックとバーナード・ハーマンのコンビは『めまい』(58年)、『北北西に進路を取れ』(59年)と、この作品で有名になっているようです。3作だけでこんなに有名になるのか?と思ってしまいます。
キャスト
アンソニー・パーキンス→ベイツモーテルのノーマン・ベイツ
ジャネット・リー→カネを持ち逃げした姉マリオン・クレイン
ベラ・マイルズ→姉を捜す妹ライラ・クレイン
ジョン・ギャビン→マリオンの恋人サム
マーティン・バルサム→探偵のアーボガスト
ジョン・マッキンタイヤ→アル・チェンバース保安官
サイモン・オークランド→事情説明する医師
フランク・アルバートソン→成金のキャシディ
ボーン・テイラー→不動産会社の社長ジョージ・ローリー
パトリシア・ヒッチコック→マリオンの同僚の事務員
アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
12月11日から12月17日の話しのようです。ラストの警察のシーンのカレンダーは12月17日でした。
プロローグでらカメラが窓の中に入るまでのシーンは編集でつないであります。現在の技術では1ショットで出来ます。1ショットにしたいというアイデアは素晴らしい。
4万ドルのレッドヘリングで見ている人を引きずり回します。ジャネット・リーが殺されてもしつこくを強調しています。
ノーマン・ベイツ以外の人達は4万ドルにこだわっています。ですからこの事件の核心に迫れないのです。
100ドル札で4万ドルということは400枚の札束ということです。ようやくわかった。
英国式の1人だけでフレームの使い方。空間の開け方がいい。いままでTVでのトリミング版しか見ていないのでそう思いました。劇場で見たときにはそこまで気がつきません。
主観ショットカットバックというかこの手法がいい。
正確のリアクションショット。
動き回るキャメラ。等々の演出がいいです。
低予算物には風呂やシャワーシーンが付き物です。ですから当時はここで殺人がおこるとは意外性があったようです。
低予算ではありませんがセシル・B・デミル監督のサイレント映画の頃からこの手の風呂のシーンは付き物ですけど。
キャストについて・・・
アンソニー・パーキンスの少し吃り気味の喋り方がいい。この1作で映画史に残るのは何となくわかります。演技には見えない位のいい演技。
ジャネット・リーとベラ・マイルズがワンショットで収まるシーンはありません。ドラマの集約化か、単なるビリングの問題か、わからん。どっちなんだろ?
メイキングにて。
アルフレッド・ヒッチコック監督はロケが嫌いなそうです。ですからスクリーンプロセス多用なの?これはまた随分と簡単で意外なオチがついた。
検閲のことをプロダクションコードと言ってました。
音楽無しのクライマックスシーンが見れました。ここでアンソニー・パーキンスは「アイム ノーマン・ベイツ」と絶叫していたのです。母になっていたのにこのセリフとはこれまた凄い。でもこのシーンは音楽があったほうがいいようです。
この作品のモデルになっていたエド・ゲインは凄いことをやっていたようです。そんな先入観で見直すとこれまた凄い感じでした。手首だけの置物は象徴的となっているようです。本物を並べるわけにはいかないので置物にしたのかも。
DVDはユニバーサルのタイトルはなくてちゃんと製作元パラマウントのタイトルになっています。
タイトルです。
このタイトルデザインと音楽がよくて、これだけで傑作となっています。
アリゾナ州 フェニックス 12月11日金曜日 午後2時43分
ロングからカメラは移動してホテルの窓に入ります。ここはオーバーラップを使っていると思う。ワンショットに見えるように上手くごまかしています。
ホテルの一室です。
ジャネット・リー扮するマリオン・クレインとジョン・ギャビン扮するマリオンの恋人サムが登場。
白いブラジャーのマリオン。
セックス後の2人の会話となります。
それでもサムがいいマリオンです。キャラ紹介といったところ。
マリオンの勤め先です。不動産会社らしい。
戻ってくるマリオン。
事務所の外にヒッチコック監督が登場。風に吹かれてゆーらゆらといった感じで佇んでいます。
同僚の事務員にパトリシア・ヒッチコックが登場。
成金のキャシディと不動産会社の社長ジョージ・ローリーが登場。
4万ドルを見せびらかす成金のキャシディ。
早退するマリオン。4万ドルを預けられます。
マリオンの自宅です。
黒いブラジャーのマリオン。
4万ドル。トランク。カメラが動いて描写しています。説明セリフを省いています。
クルマで移動中のマリオン。
走りながらサムとの会話を想像するマリオン。
信号で止まったとこで勤め先の社長と会ってしまいます。
挨拶してからこれはまずいと思うマリオン。
夜でも走り続けるマリオン。
土曜の朝です。道端で止めてクルマ内で寝ているマリオン。
お巡りが登場して大いに怪しまれます。
お巡りに尾行されるマリオン。
音楽が凄くて勝手に盛り上がってます。
中古車屋に入るマリオン。
クルマを買い替えるマリオン。
店員がタイプキャストでいい感じ。軽くてお喋りな若い男です。
ここでも怪しまれます。
クルマを下取りにプラス700ドルで57年型のフォードの小型車を買います。
お巡りも乗り込んで来ると焦るマリオンです。
最後にトランクを忘れていますの駄目押しな描写が入ります。
運転中のマリオン。
悪い想像の会話が延々と続きます。
夜、雨が降ってきます。
音楽が凄い。勝手に盛り上がってます。
モーテルに着きます。ベイツ・モーテル。
誰もいません。
モーテルの奥には母屋があります。誰かがいます。
クラクションを鳴らすマリオン。
母屋からアンソニー・パーキンス扮するノーマン・ベイツが登場。
1号室へとマリオン。
夜食を頼むマリオン。母屋に来ればとノーマン・ベイツが言います。
母屋から親子ゲンカが聞こえてきます。口の達者な母親です。
口論に負けてモーテルに食事を持ってくるノーマン・ベイツ。
事務所奥の応接室で食事となります。
鳥のはく製が目立ちます。
よく喋るノーマン・ベイツ。鳥のはく製には詳しいらしい。
見た目通りのマザコンのようです。
逃げられない話しをしています。
マリオンが口を滑らしたとこで、母親への悪口は許さないノーマン・ベイツ。
あるところ(精神病院)をマッドハウスと言ってます。そのまんまではないか。
そんなとこから、明日フェニックスに帰るとマリオンです。
マリオンは1号室に戻ります。
これを事務所から覗くノーマン・ベイツ。
少し覗いてから母屋に戻るノーマン・ベイツです。
マリオンのシャワーシーンとなります。
ここを謎の人物に襲われるマリオン。大型の包丁でめった刺しにされて死に至ります。
風呂の排水口からマリオンの目につなぐシーン転換があります。
4万ドルにカメラが向けられています。これは目くらましのレッドへリングです。
殺人現場にかけつけるノーマン・ベイツ。
雨上がりの空の雲は合成なのでしょう。
驚くがすぐに冷静に対応しています。まずどうするか考えています。
後始末をするノーマン・ベイツ。ここは全く説明セリフが入っていません。見事なシーンの連続です。1人しかでていないせいもありますけど。
マリオンの死体をカーテンに包んでクルマのトランクに入れます。
クルマを近くの沼に沈めます。沈みかけて1回止まるのが芸が細かい。無事に沈みます。
やけに手慣れているのは以前にも同じことをやっていたと後になってわかります。
サムの勤め先の金物店にて。店員のボブもいる。
何処の都市?→S.F.のようです。
ベラ・マイルズ扮する姉マリオンを捜す妹ライラ・クレインが登場
姉と何処?とサムに聞きます。
表ではマーティン・バルサム扮する探偵のアーボガストが中を伺っています。怪しい雰囲気が全開となってます。いいキャスティングです。
探偵のアーボガストが中に入ってきて私にも参加させろとなります。
アーボガスト探偵のホテルやモーテルに聞き込みのモンタージュ。
ベイツ・モーテルに入るアーボガスト探偵。
聞き込みとなります。宿帳からマリオンが来ていたと判断します。
話しが核心に迫ってくると吃るノーマン・ベイツです。
母親に会わせてくれとアーボガスト探偵。強く断るノーマン・ベイツ。
電話ボックスから連絡をとるアーボガスト探偵。
ライラと話します。マリオンはベイツ・モーテルに来ていた。もう一度ベイツ・モーテルへ行くと話します。
ベイツ・モーテルです。
誰もいない。事務所を調べるアーボガスト探偵。
母屋に向かいます。中に入ります。
階段を登ったとこで謎の人物にかたづけられるアーボガスト探偵。ここはかなり強烈なシーンとなっています。
サムの勤め先の金物店にて。
連絡を待っているサムとライラ。
サムがベイツ・モーテルへと向かいます。
ベイツ・モーテルです。
後始末完了中のノーマン・ベイツ。
サムが到着する。アーボガスト探偵はいない。
店に戻るサム。
誰もいなかったとライラに言います
保安官の自宅に向かいます。
アル・チェンバース保安官の自宅にて。
ライラとサムが事情を話します。まだ警察沙汰にはしないのを前提に話しています。
で、問題のノーマン・ベイツの母親は10年前に死んでいるとチェンバース保安官。
これは超常現象物なのかと思わせます。
ベイツ・モーテルです。
母親を抱えて地下室へ避難させるノーマン・ベイツ。
俯瞰になるシーンです。これが凄いフェイクになっているのです。
日曜の教会です。
チェンバース保安官とライラとサム。
この件は終わりだ。もう捜索願を出しなさいとチェンバース保安官です。
ベイツ・モーテルに向かうライラとサム。
10号室に入ります。相談します。
まずマリオンがいた1号室を2人で調べます。これはアーボガスト探偵からの情報からの行動です。。
証人の母親に会わなければとライラ。それならノーマン・ベイツを引きつけるとサム。
サムはノーマン・ベイツと事務所に入る。
その隙にライラは母屋に向かいます。ライラの主観ショットとライラを映すショットをカットバックして描写しています。ヒッチコック監督の得意な手法です。カメラは移動しても映されているショットのサイズは付かず離れずと変わらないのがポイントです。
母屋に入るライラ。
調べます。ここと事務所をカットバックして描写しています。
2階の寝室です。ベッドに寝ていた跡が凹んで残されています。かなり不気味です。
手首だけの置物があります。これも不気味。
囮に気がついてサムをノックアウトしたノーマン・ベイツは母屋に向かいます。
隠れるライラ。地下室へと入ります。
地下室のまた奥の部屋に母親がいました。近づくライラ。凄い緊張感があるシーンとなっています。
で、乱入している母親になったノーマン・ベイツは「私はノーマン・ベイツだ」と叫んでいます。凄いシチュエーション。メイキングでの音楽無しのシーンで初めてわかりました。で、音楽はあった方がいいとよくわかります。
エピローグ。
サイモン・オークランド扮する医者の説明となります。何となく嬉しそうに説明しています。こんないい研究材料はないといった感じです。
当時はこの手の話しについては全く予備知識がないので必要なシーンでしょう。
驚愕の事情が明らかになります。
他にも2人の行方不明の若い女性がいた。
女装するのは服装倒錯とは違うとのことです。
母親になったノーマン・ベイツのモノローグ。
笑うノーマン・ベイツの顔に骸骨=ドクロが一瞬オーバーラップしています。芸が細かい。
沼から引き上げられるマリオンのクルマ。
エンドとなります。
そんなわけで評判通りの傑作でした。興行収入もよかったし、新しいフォーマットを作ったし、年月を経ても残ったし、他の監督やスタッフに多大な影響を与えてますし、映画監督なら誰でもこのぐらいの作品を作ってみたいと思うでしょう。
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