『赤い河』(1948年)
この作品はハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン、モンゴメリー・クリフト、ジョーン・ドルー主演の牛の大群を移動させるキャトルドライブ・ウエスタンです。多分、開拓物ウエスタンになるのでしょう。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1948年 モントレー・プロ/ユナイト アメリカ作品
ランニング・タイム◆133分
原題◆Red River
プロット◆ 途方もない数の牛を途方もない距離運ぶ話のようです。
音楽◆ディミトリ・ティオムキン メインスコアはどこかで聞いた覚えがあります。
ワーナー発売のDVD オリジナル・バージョンにて。画質は非常によい。ばらつきもあります。ナレーションではなく手記で進行する133分のバージョンです。
キャスト
ジョン・ウェイン→頑固な牧場主ダンソン
モンゴメリー・クリフト→ダンソンの養子カウボーイのマット
ジョーン・ドルー→幌馬車隊のテス・ミレー
ジョン・アイアランド→早撃ちカウボーイのチェリー
ウォルター・ブレナン→ダンソンの相棒グルート
ノア・ビアリーJr.→カウボーイのバスター
ハリー・ケリーJr.→カウボーイのダン
チーフ・ヨーラチー→インディアン・カウボーイのクオ
ポール・フィックス→カウボーイのティーラー
ミッキー・クーン→子役のマット
ハリー・ケリー→アビリーンのメルヴィル
コリーン・グレイ→プロローグでダンソンと別れた恋人
ハワード・ホークス監督の演出はよいと思います。
総合的な話しとなっているようです。
会話シーンの切り返しはやっていない。それとは関係ないけど見てて引っ張られます。なにしろ飽きずに見れます。
結構スクリーン・プロセスが多い。アクションで俳優さんが絡むはそうなってしまいます。正直言って外されます。
20分で子役からモンゴメリー・クリフトになります。
93分でようやくヒロインのジョーン・ドルーが登場します。やたら強気だけど最後には男の立場を尊重するのはホークスヒロインのいつものパターンでした。これがいいんだな。
モブシーンはコントロールが効かないと本『映画術』であります。それもここでは牛の大群が暴走となるとホトンド無理でしょう、あとは編集で何とかするしかないようです。
溶暗を使っています。何故か1シーンが終わり溶暗になるとホッとしたりします。出来がいいからそうなるのです。
このDVDはMGMのタイトルがしつこい。製作元はユナイトでしょう。
上から下へのタイトルとなります。
浮き彫り風のマット画のようです。
前説があります。
これも浮き彫り風のマット画となっています。
赤い河 D
幌馬車隊が行きます。1851年にて。
ここから離れて南へ向かうとジョン・ウェイン扮するダンソン、隊長の大佐と話します。
ダンソンは横にラインの入ったパンツなので元北軍?。
ウォルター・ブレナン扮するダンソンの相棒グルートも同行します。
コリーン・グレイ扮する恋人と別れるダンソン。ブレスレットを渡します。
南へ向かうダンソンとグルート。
4頭立ての幌馬車と数頭の牛。
河です。赤い河だとダンソン。
遠くに煙が見えます。どうやら別れた幌馬車隊がインディアンに襲撃されてるらしい。ここからではどうすることも出来ません。
そんなわけで用心して河を背にして野営となります。
夜です。
インディアンが襲撃してきます。
鳥の鳴き声から数人と推定します。
河に飛び込んでのアクションとなります。音楽とシンクロしたアクションになっています。
インディアンはあのブレスレットをしていた。別れたばかりの恋人は死んだとわかります。
で、アクションシーンが続いて唐突に溶暗で終わります。
翌日の昼です。
出発というとこで少年が牛1頭を引いてやって来ます。襲撃された幌馬車隊の生き残りのようです。結局、マット少年を連れていくことにするダンソン。
ダンソン達は南へと移動します。
赤い河を渡りテキサスに入ります。
パンハンドル。
ピマス。
リオ・グランデ。
リオ・グランデ、ここにするとダンソン。
3000キロを移動したらしい。
烙印のデザイン、D 赤い河 を牛に押します。
そんなとこに2人連れの男がやって来ます。
メキシコ人の用心棒らしい。ここはドン・ディエゴの土地だときます。
で、ここは俺の土地だとダンソン。どういう根拠なのか不明ですがアメリカ人は言うことが豪快です。
ここで早撃ちとなって1人片づけるダンソン。撃ち殺した相手を埋葬します。
シャベルとバイブル=聖書となります。シャベルとバイブルで韻を踏んでいるか?。
ここでどうするかのダンソンの話し。
牛肉のこととか。
10年後にはテキサス1の牧場にするとか。
ここでシーン転換となります。これは映画的なよいシーン転換となっています。
子役はモンゴメリー・クリフトのマットになっています。
ジョン・ウェインのダンソンは老けメイクになっています。
ウォルター・ブレナンだけは変わっていない。老けたまま。
牛は増えたけど南北戦争で負けたテキサスにはカネがない。ここでは売れないとなっています。牛が売れるミズーリまで1600キロある。9000頭の牛を移動させるのは出来るのか?。
14年経ったとグルート。マットはここに戻ってきたばかりらしい。どこへ?それは牛を追っていたのでしょう。→これは南北戦争から戻ってきたらしい。
キャトル・ドライブ前に牛に烙印を押す作業となります。
ここで他の牛には自分の烙印を押そうとするダンソンとマットが口論となります。
この作品の重要な設定、父と養子の確執がもうあります。
そんなとこに他の牧場主のミーカーがやって来ます。
ジョン・アイアランド扮するカウボーイというか用心棒の早撃ちチェリーが登場。
ミーカーは逃げた牛を見に来たとのことです。ミーカーの牛に烙印を押すけど帰ったら1頭2ドルということで話しが付きます。
チェリーとこのキャトルドライブに参加するとミーカーと別れます。
マットとチェリーの腕比べの図となります。
リボルバーよりいいものはスイス時計に女のセリフがあります。これは本『お楽しみはこれからだ』に取り上げられていました。
若いカウボーイが砂糖を舐める。これを咎めるグルート。これはあとの牛の大群が暴走=スタンピードする伏線となっています。
カウボーイの部屋にて。食堂?
ポーカーをしているグルート。インディアンのクオと入れ歯をかけることになります。で、負けます。
ケンカしてる山高帽の男もいる。何か唐突な感じ。
ダンソンが来ます。
明日出発と知らせます。10000頭の牛を1日16キロ進むとか。
カウボーイでは降りる人も2人ほど。賢明な判断なのかもしれません。
翌日早朝。
いよいよキャトル・ドライブとなります。
出発です。
カウボーイ達の顔のクローズアップショットが続きます。
歌が入ります。
見事なシーンとなっています。牛の大群を撮るだけでスペクタクルな感じがします。カメラがパンニングしてこれだけの牛がいるのかと見せてくれます。
夜,宿営です。
入れ歯のことでクオともめてるグルートです。
マットとチェリーは話し込む。
アビリーンに鉄道が来てると聞いたとチェリー。
2週目です。260キロ移動。
文句をいうカウボーイもいます。
3週目です。サン・サバ。
水のことで口論のマットとダンソン。
ダンソンは進めと言ってます。
30日経ちます。ブラゾズへ。
夜,宿営です。
牛を見回りながら歌うハリー・ケリーJr.扮するカウボーイのダン。
仕事を終えて100ドルで家を買ったり夫人に赤い靴を買うと言ってます。
音を立てるなと前ふりがあって。
以前のことで牛の暴走を追って10キロを走ってようやく止めたとか誰かが言ってます。
砂糖を舐めようとする男が慌てて食器をひっくり返して大きな音を立ててしまい、牛の群れの暴走=スタンピードがおこってしまいます。
これは吹き替えなしでマジで牛の群れが暴走しているのでダイナミックです。俳優さんが絡むととたんにスクリーン・プロセスになりますが・・・
ここでハリー・ケリーJr.のカウボーイのダンは暴走に巻き込まれてあっさりと退場となります。
牛の群れを谷に追い込んでようやくスタンピードが止まります。
ダンの死体を発見します。翌日埋葬となります。
埋葬後にこのスタンピードの原因となったカウボーイのケネリーを鞭打ちにするとダンソン。
成り行きでこれを止めることになるマット。
10日後から雨となり40日続いたとなっています。
雨はつらそう。
30人の食事を世話するグルート。
文句が出ます。で、続けるしかないとダンソン。
ようやく雨をやんだらしい。
ここで負傷したカウボーイがやって来ます。サターと名乗ります。
4日食っていないと言ってる。
話しを聞きます。2000頭の牛を追っていたら100人ばかりに襲撃されたとのこと。チザムという男からカンザスへの道。アビリーンに鉄道がと話します。
この話しを聞いてこのキャトル・ドライブには反対だと3人。
ダンソンと撃ち合いとなります。
3人を片づけるがかなり疲れているようなダンソン。
全体の士気も落ちています。
負傷したのでグルートに治療されるダンソン。痛そうなダンソンを見てうれしそうなグルートです。
翌日、脱走者が出たとグルート。
ティーラー他2名。チェリーとグラントに追わせるダンソン。
赤い河に着きます。
ここで河を渡るのは明朝でもいいでしょうとマット。今すぐだとダンソン。口論となっています。こればっかりですが必要な描写でしょう。
渡ります。始めたら終わるまで大変そう。
河を渡るとこで馬車の中からのショットがあります。
夜です。渡ったとこで宿営となります。
4時間で9000頭の牛を渡らせたらしい。下流に流れた牛を回収してくるマット。
30〜40頭の損失をあったらしい。
いよいよ異常になっているらしいダンソンです。牛をミズーリへ移動させることしか頭にないようです。眠らないと称しています。もう異常だ。
相談の3人。
マット、グルート、もう1人はカウボーイの丸顔のバスター。
ダンソンは参っているとか色々と。
翌日。チェリーが戻ってきます。
2人を連れてきます。ティーラーとラレド。
縛り首だとダンソン。反対するマット。
なんだかんだあって、マットがこのキャトル・ドライブを指揮してミズーリではなくアビリーンに行くことにします。
ダンソンはここに残していくとのとこです。
長年の相棒グルートはマットに付きます。
出発前のダンソンとマット。
残されるダンソンはマットに「お前を殺す」と言ってます。
話しは続きますと手記のオーバーラップのショット。
たびたびこのショットが入ります。
宿営です。
ダンソンの影におびえるグルート。
マットと相談となります。ダンソンが街にまで行って何日。ダンソンが街で人を集めるのに何日とやって、追いついてくるまで何日と勘定しています。
移動中です。
牛が矢に刺されて死んでいるのを発見します。
コマンチの矢と推定されます。
チェリーとバスターを先遣隊で送るマット。
夜です。
落ち着かないカウボーイ達。
前にはコマンチ、後にはダンソンでは落ち着かない。
翌日。バスターが戻ってきます。
25キロ先にネヴァダに向かう幌馬車隊がいるとのこと。ヨーロッパからの移民だとか。そこに向かうことになります。
移動します。
前方に異常を感じて5人が向かいます。
円陣を組んだ幌馬車隊がインディアンに襲撃されてます。
1人を連絡に戻して残り4人が突入します。
馬に乗った4人が並んで進行する見事なシーンです。このシーンは好きだな。
例によってクローズアップで俳優さんが絡むといきなりスクリーン・プロセスになったりしますけど。
幌馬車隊の円陣内に入るマット。
ジョーン・ドルーがようやく登場。始まって90分以上たってからです。
ジョーン・ドルー扮するライフルで撃ってるが当たらないテス・ミレー。
そんなこんなで肩口に矢が刺さってしまうテス・ミレー。
戦況が一段落したとこで矢を抜くマット。
毒を吸い出します。
夜、ダンス大会となります。
チェリーにマットのことを聞くうテス・ミレー。
通り掛かりのグルートからまた詳しく聞いてます。
見張り中のマットに会いに来るテス・ミレー。
ダンソンのことをもう聞いてます。
話し込むマットとテス・ミレー。
霧の中で雨も降ってきます。キスシーンとなります。溶暗となります。
雨で増水しているので今夜、河を渡ることになります。
いったん別れるマットとテス・ミレー。
ダンソンを人を集めて追ってきます。
幌馬車隊にダンソン一行がやって来ます。
会ったことがないのに、いきなりダンソンと名指しするテス・ミレー。
あのブレスレットをしているテス・ミレー。
ダンソンとテス・ミレーが話し込みます。
恋人は別れた時は「ナイフで刺されたような気持ち」とテス・ミレーの気持ちをわかっているダンソンです。
ダンソン一行に付いていくとテス・ミレー。
このシーンはいいです。素晴らしい。
100日経ちました。まだ鉄道は見えない。
このままではカナダまで行ってしまい氷山で牛を追うのかと愚痴も出ています。
そんなとこで聞いたことのない音がします。汽笛の音です。
鉄道です。ついに到達しました。
汽車の機関士から20キロ先に街への近道があると聞きます。
街です。アビリーンに着きます。
出迎えのハリー・ケリー扮するメルヴィルとあいさつのマット。
1885年08月14日。後にチザムの牛の道と呼ばれるとのこと。
商談となります。
グリーンウッド商会のメルヴィルとマット。
1頭20ドル。これで決まりです。
ダンソン一行も鉄道にたどり着きます。
ダンソン宛の5万ドル小切手。
まだ落ち着かないマット。他のカウボーイ達も同じ状態です。
マットが宿に戻るとテス・ミレーが待っています。
後のことは考えずに行動するマットです。こういうのがハワード・ホークス監督らしい展開でいいです。
翌朝です。
落ち着かないカウボーイ達。
いよいよダンソン一行がやって来ます。
皆に知らせに走るバスター。
いよいよダンソン対マットの対決となります。
その前にチェリーがダンソンと絡んで退場となります。死んではいないようです。
これで1発食らっているダンソン。
対峙するダンソン対マット。
成り行きで撃ち合いではなく殴り合いとなっています。
ここでテス・ミレーが2人に対していきなりリボルバーを撃って止めてるのか続けさせたいのかよくわからんことを言い怒って去っていきます。ここまで話しを引っ張ってどんなオチをつけるのかと思ったらこんなオチでした。これは傑作です。ハワード・ホークス監督らしいロマンティック・コメディが入ってるオチになっています。
あっさりと仲直りとなるダンソン対マット。
新しい烙印のデザインを地面に描くダンソン。D 赤い河 M
エンドとなります。
キャストでは・・・
モンゴメリー・クリフトはどうみてもカウボーイに見えないけどミスマッチがよかったりします。
ジョン・アイアランドはこの作品のこの役がキャリアのベストだそうです、何となく大映のサポート専門俳優の伊達三郎に似ています。マジでソックリです。
ウォルター・ブレナンはホークス作品によく出ています。
ジョン・ウェインは大根には見えず、セリフは聞けます。
ウェインは外見とは違って柔らかい感じのいい声をしています。これも不滅の人気のゆえんでしょう。
ウェインが熱望していたアカデミー賞ですが、私はしては『駅馬車』(1939年)で貰ってもいいし、『赤い河』(1948年)で貰えないとはおかしいと思えます。『捜索者』(1956年)で貰ったっていい。『アラモ』(1960年)はさすがに無理だと思うけど。で、結局『勇気ある追跡』(1969年)となったようです。ここまでになるともう功労賞みたいな感じですけど。too lateとはこのことなのでしょう。
ジョン・フォード監督は『赤い河』のジョン・ウェインを見て「あいつにも演技が出来たのか」なんて言ってたそうです。で、自分の作品でもジョン・ウェインに演技させるようになったそうです。ジョン・フォード監督って面白い人だ。
そんなわけで本物のウエスタンな作品でした。評判通りこれは傑作です。
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昔のモノクロ・スタンダードサイズ画面なので初めはちょっと取っつきにくかったですが、間もなく物語りに引き込まれ気にならなくなりました。 9千頭の牛を運ぶ壮大な画面に圧倒されましたが、こういう場面を現代の大スクリーンでやれば、更にすごい迫力でしょうね。 現代ではあり得ない大量の牛を集められたのは、当時の製作者や大監督の渾身の執念があって出来たことなのでしょうか。 暴走する大群の中を馬で乗り回す場面も、まさに命がけの撮影だったと思います。 映像に気を取られましたが、物語りも旧世代の指揮者の頑固な気質と、若者の現実思考との断絶が面白く身につまされます。 俳優では、モンゴメリ・クリフトも良いが、圧倒的な存在感のジョン・ウエインと早撃ちジョン・アイアランドが印象的でした。 久しぶりに満足感の大きい いい映画を観ました。
投稿: ナカムラ ヨシカズ | 2019.07.22 20:46
ナカムラ ヨシカズさん、コメントありがとうございます。
『赤い河』(1948年)の演技でジョン・ウェインはジョン・フォード監督にまた使われるようになってウエスタンの傑作を連発したのですから傑作では収まらない作品だと思えます。
コメントを読んでまた『赤い河』(1948年)が見たくなりました。
投稿: ロイ・フェイス | 2019.07.23 21:46