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2006.02.07

『裏窓』(1954年)

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、ジェームズ・スチュアート、グレース・ケリー主演の覗きサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1954年 パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆113分
原題◆Rear Window
プロッ◆ 覗きをして殺人事件に首を突っ込む話しのようです。
音楽◆フランツ・ワックスマン タイトルは軽快なスコアで印象に残りますが、後は全く印象に残りません。不思議です。
ユニバーサル・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質はよいです。

キャスト
ジェームズ・スチュアート→報道カメラマンのジェフ
グレース・ケリー→モデルのリサ
セルマ・リッター→通いナースのステラ
ウェンデル・コリー→友人の刑事ドイル警部補
レイモンド・バー→2Fの夫婦仲の悪いセールスマン ソーウォルド
アイリーン・ウィンストン→2Fの口が悪そうなソーウォルド夫人
フランク・キャディ/セーラ・バーナー→向かいのアパート3Fの犬を飼う夫婦
ジョージーヌ・ダーシー→ミス・グラマー=Miss Torso
ロス・バグダサリアン→音楽家
ジュディス・イブリン→向かいのアパート1Fのミス・ロンリー
ジェスリン・ファクス→向かいのアパート1Fの芸術家の女性
ランド・ハーパー→左側アパートの新婚の夫
へイビス・ダベンポート→左側アパートの新婚の花嫁


アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
覗く主人公で、視線を走らせてつなぐ、そのリアクションショットを入れてます。いわゆるクレショフ効果をやっています。
カメラは主人公のアパートの部屋から出ません。


最初にユニバーサルのタイトルが出ます。この作品の製作はユニバーサルではありません。それにしてもアラートが最初に長々と表示されるのはこまったものです。しょうもない仕様のDVDです。

しつこく出るユニバーサルのタイトル。
続けてパラマウントのタイトルが出ます。ここがホントの製作元です。
ここでAlfred Hitchcock'sと出ると何か特別な感じがします。

N.Y.のビレッジバンガードが舞台とのことです。
地元を知ってる映画批評家からはこれはビレッジバンガードではとないと酷評されたそうです。

プロローグ。
アパートの窓からカメラが色々な人達が映し出します。
アパートのすき間から見える道路の動きは完璧にタイミングを計っているようでクルマが通ったり動きがある部分は全部演出されているようです。

足にギブスをして車椅子で寝ているジェームズ・スチュアート扮する主役のキャラ紹介をカメラの動きだけで描写していきます。説明セリフはありません。ここは本『映画術』でも説明がありました。
報道カメラマンでカーレースの事故で脚を骨折して車椅子生活となっているわけです。

ジェフに上役のガニソン編集長から電話です。
まだギプスは撮れない。後1週間だとジェームズ・スチュアート扮する報道カメラマンのジェフ。

屋上で日光浴の女性を覗くのか合成のヘリコプターのショット。
いかにも合成なショットです。

ガニソン編集長と雑談のジェフ。
仕事のこと。結婚のこと。とりとめのない会話です。

セルマ・リッター扮する通いナースのステラが来ます。
喋りまくるステラです。覗きの話し。捕まった時の言い訳を代弁しているステラ。
GMの社長のトイレの回数の話し。恐慌の話しにつながります。
ジェフの恋人リサの話し。完璧過ぎて合わないとジェフ。
溶暗となります。

夜です。リサが来てます。
キスシーンとなります。ここはコマ撮りみたいな面白い動きとなっています。
スタンドのランプを次々と点けて行くグレース・ケリー扮するモデルのリサ。このシーンが1番好きです。
レストラン21のディナーの出前が着きます。ロブスターにワイン。
楽しい食事のはずですがリサに何かと突っかかるジェフです。

色々な人達。
向かいのアパート1Fのミス・ロンリーが描写されます。
ミス・グラマー。
音楽家。
向かいのアパート3Fの犬を飼う夫婦。
向かいのアパート2Fの仲の悪い夫婦。
向かいのアパート1Fの芸術家の女性。
左側のアパートの新婚夫婦。
等々のキャラ紹介です。

口論するアパート2Fの夫婦。
音楽家の部屋にヒッチコック登場。
溶暗となります。

口論となるジェフとリサ。
話しは平行線のままリサは帰ります。
溶暗となります。短く悲鳴が入ります。

夜中。雨です。
寝ているジェフ。
トランクを持って出かける2Fの夫婦仲の悪いセールスマン ソーウォルド。
溶暗となります。

まだ夜中です。雨。
見ているジェフ。
帰宅してまた出かけるソーウォルド。
溶暗となります。

寝ているジェフ。起きます。
帰宅するソーウォルド。
見ているジェフ。
溶暗となります。

朝です。
女性と出かけるソーウォルド。
寝ているジェフ。ここは見逃しています。
溶暗となります。

昼です。
アパート3Fの犬を散歩させる夫婦。
ジェフとナースのステラです。
2Fの夫婦の悪いセールスマンの話しが出ます。
ステラは帰ります。
双眼鏡を持ち出して覗くジェフ。
超望遠の一眼レフカメラも持ち出して覗きます。さすがにまだ日本製のカメラではありません。
溶暗となります。

夜です。
カメラを辺りを回ってアパート内に戻るといきなりジェフとリサのキスシーンとなっています。ジェフの主観ショットではなかったとなります。
キスをしながら殺人の話のジェフ。
もちろんこれを嫌がるリサ。
黒いドレス。タバコを吸うリサです。
覗きはよしないさいとジェフに意見するリサ。殺人なんてないと言います。
そんなとこで左側のアパートの新婚夫婦のネタもあります。あそこでは何か行われているか?→本『映画術』によると、ずっとセックスをやりっぱなしらしい。
ソーウォルドの荷物を見て考えを変えるリサです。この件に乗ってきます。
溶暗となります。

夜です。
リサから電話です。
表札からアパート2Fの男はソーウォルドとのことです。
溶暗となります。

友人の刑事ドイルに電話のジェフ。
ジェフの食事中にバラバラ死体の話しをしているステラ。職業柄こういうことには非常に詳しいステラです。
ステラも殺人の話に乗っているようです。
運送屋に大きな荷物を運び出させるソーウォルド。
溶暗となります。

友人の刑事ドイル警部補が来ています。
個人的に調査するとことです。
アパート庭の花壇を掘り返す犬。
溶暗となります。

ドイルの報告です。
ソーウォルドは怪しくはないとのことです。
突っ込みを入れるジェフです。戦友なので遠慮はないようです。
ソーウォルド夫人アンナから手紙が着ているとドイル。
夫人は死んでいないとこになって、これでどん詰まりとなります。
溶暗となります。

夜です。
サンドイッチを食べるジェフ。
また見ています。
ミス・ロンリーが出かけます。
ソーウォルドが帰宅します。これを見てるジェフはソーウォルドがずらかるのではないかと慌ててドイルに電話してます。

リサが来ます。グリーンのスーツ姿。
ハンドバッグの話しが出ます。リサの意見。
ナイトガウン入りのスーツケース持参のリサ。

ドイルが来ます。
もったいつけますが結果はシロとなります。
戦時はドイルがパイロット、ジェフがカメラで、偵察任務をやっていたらしい。
ドイルは帰ります。

ミス・ロンリーが男を連れて帰宅します。

気まずい雰囲気なジェフとリサ。
ジャケットを脱ぐと背中の開いたトップできれいな背中のグレース・ケリーです。
窓にかかってる日本式のすだれを下ろすリサ。もうやめましょうとのこと。
溶暗となります。

着替えてナイトガウン姿のリサ。
悲鳴が聞こえます。3Fの犬が殺されていました。
ここでカメラは外に出てリアクションする人達のクローズアップを撮ります。
2Fのソーウォルドだけは電気を消して部屋に閉じこもっています。暗いとこでタバコの火だけが目立っています。これもいいシーンです。
溶暗となります。

ジェフ、リサ、ステラの3人がそろっています。
リサは素敵なノースリーブのワンピース姿です。この衣装が1番いいです。
花壇の花の異変に気がつくジェフ。何か埋めたらしい。
ソーウォルドに脅迫状を書くジェフ。
溶暗となります。

脅迫状を出しに行くリサ。見てるジェフ。
ミス・ロンリーが自殺を図ります。→これは未遂になります。後味をよくするためでょう。
リサが戻ります。
リサとステラは花壇を掘りに出かけます。
ソーウォルドに電話のジェフ。カネはないとソーウォルド。100ドルしかないと言ってます。

外に出るリサとステラ。
カメラをこれについて外に出ています。
花壇を掘りますが何も出ない。
ドイル宅に電話するジェフ。不在でベビーシッターが出ます。伝言を頼むジェフ。

リサは勝手に非常階段を上って2Fに入ります。バルコニーから身を乗り出して窓から侵入しています。カットを割ったような?これスタント?
ソーウォルドが帰宅します。リサはまだ中にいます。すぐに見つかってしまいます。
これを見ているだけのジェフ。
危機一髪で警察が到着します。事情説明のソーウォルド。リサは見つけた結婚指輪をジェフにさりげなく見せています。これはいいシーンです。
リサの動きに気がつくソーウォルド。覗いてるジェフをにらみつけます。これでジェフは安全ではなくなります。これはなかなか凄みのあるシーンです。
リサは警察へ連行されます。

対策を練るジェフです。
ステラはリサを引き取りに警察へ行きます。
ドイルから電話です。リサを引き取りに行くとのことです。結婚指輪のことを話すジェフ。
また電話です。ドイルだと思って取ったジェフですが今度はドイルではなく無言電話でした。切れる電話。

怪しい物音がします。
ソーウォルドが来ます。まず詰問となります。
接近してくるソーウォルドに対して目くらましにフラッシュを焚くジェフ。これはあくまで時間稼ぎです。
乱闘となって窓から落ちるジェフ。ここではアクションにクローズアップショットを入れてリズムをつける手法が使われています。
溶暗となります。

エピローグ。
それぞれのエンディングとなっています。これも説明セリフを使わずに最低限のセリフとカメラの動きで描写しています。
ジェフは両足ともギプスとなっています。これでリサに捕まったということらしい。


DVDではエンドの後にはリストアのタイトルが付いています。これはいらないような。それでも音楽がフェイドアウトではなくスパッと終わってるのがいい。

ジェームズ・スチュアートは少し歳を取り過ぎている感じですが、ここはスターシステムで押し切ります。
日本語字幕ではリサですがリザと発音しているスチュアートです。何となく気になる。
グレース・ケリーを見ていつも思うのは可愛い声に、きれいな背中となります。
ヒッチコック監督3作品ともに背中を見せていたりします。これは偶然ではなくそのように演出しているのでしょう。

グレース・ケリー出演の他2作。
『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)◆Dial M for Murder
『泥棒成金』(1955年)◆To Catch a Thief


17回の溶暗をしつこく書いたのは?。→これは双葉十三郎の本『映画の学校』での『裏窓』評と同じことがしたかっただけです。それだけで特に意味はありません。
そんなわけでヒッチコック監督の代表作と言われるだけのことはあるよい作品でした。

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