『サハラ戦車隊』(1943年)
この作品はハンフリー・ボガート主演の戦争映画です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
ガキの頃にTVで見て部分的に覚えている戦争物で大砲で撃たれたとこから水が吹き出してくるシーンだけ覚えている作品があってこれだけでは探しようがないのでどうすんべえと諦めていたところ何気なくハンフリー・ボガートが出ているのでこの作品を見たらラストがこのシーンになっていたビックリしたり喜んだりしたものです。
そんなわけでDVDで見直しました。
1943年 コロムビア・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆97分
原題◆Sahara
プロット◆少人数で井戸を死守する話しのようです。
音楽◆ミクロス・ローザ よいスコアです。
株式会社トーン発売のDVDにて。画質はまあまあ。
キャスト
ハンフリー・ボガート→米軍のガン軍曹
ブルース・ベネット→米軍への伝令になったウェイコ
ダン・デュリエ→米軍で通信担当ジミー・ドイル
リチャード・ニュージェント→英軍のハリディ大尉
ロイド・ブリッジス→負傷したフレッド・クラークソン
カール・ハーボード→狙撃されたウィリアムズ
ガイ・キングスフォード→見張り担当のステグマン
Louis Mercier→フランス人のフレンチー
パトリック・オムーア→生き残りのオズモンド・ベイツ
レックス・イングラム→スーダン人のタンブル軍曹
J・キャロル・ナイシュ→イタリア人捕虜のジュゼッペ
ゾルタン・コルダ監督の演出はよいと思います。
砂漠の中を1台の戦車が行く。登場する戦車はM3中戦車だそうです。私はあまり詳しくないのもので戦車というとタイガー戦車とかT34くらいしか見分けがつきません。
ルルベルという名が付いている戦車です。車体にそのネームまで書いてあります。何故かルルベルの名が合成で書いてるとこがあった。
砂漠を戦車が1台走るだけでは話しが単調になると思いますが、これが上手く話しをつなげていて見てて飽きません。
描写もそんなに戦意高揚のお気楽ではなく、見てて納得の出来でした。やたらは悲惨でもないしこの辺の描写バランスがいい。これはアメリカ人でない監督のせいかもしれません。
戦争物の見本みたいな描写がたくさんあります。
孤立して少人数だけになってしまう設定。これはジャンル物の王道の設定でいいです。
1人また1人と戦死していく描写。それぞれ見せ場も入れてあります。スーダン兵が戦死するとこもらしく見せています。
砂漠の中を1人で友軍に伝令に出る人。独軍ハーフトラックで出たが故障して歩くことになる。装備を捨てながらまた歩く。とルーティンな描写がいい。
前説があります。軍の協力がありましたと。
タイトルです。
また前説があります。戦況の状態等。
砂漠の戦場です。周りはドイツ軍だらけで、どこでもいいから逃げろと撤退指令が出ます。
M3中戦車を修理しているハンフリー・ボガート扮する米軍のガン軍曹。他に2人。
ようやく動くようにします。空冷エンジンと言ってます。
砂漠を走ります。
英国軍と遭遇します。
ハリディ大尉等数名。タバコ目当てのフレンチーがすぐに合流します。
結局全員ついてきます。総勢9名です。
砂漠を走ります。
止まります。エンジンがかからん。燃料を薄くしすぎたとのことです。
ここで無駄遣いは出来ないと飲み水を集めて管理することになります。
砂漠を走ります。
捕虜を連れたスーダン兵を発見します。
スーダン兵から井戸の話を聞きます。
イタリア人の捕虜を置き去りにしようとしますが結局連れていくことになります。
これで10人+1人となります。
ドイツ軍の戦闘機メッサーシュミットが攻撃をしてきます。単独機です。
弾切れと見せかけて撃ち落とします。パイロットを捕虜とします。
ここで負傷者が出ます。ロイド・ブリッジス扮するクラークソン。
砂漠を走ります。
井戸に向かっています。手持ちの水はもうない。
井戸に着きます。
水はなさそうです。負傷したクラークソンは死亡します。
埋められます。小銃にヘルメットの墓標。ルーティンな描写。
ロイド・ブリッジスの出番をもう終わりです。
砂漠を走ります。
80キロ先にある次の井戸アクロマに向かいます。廃虚があるらしい。
アクロマに着きます。
砂嵐が激しい。廃虚の中に逃げ込みます。
晴れます。
M3中戦車は半分砂に埋もれています。
井戸を探します。ようやく見つけます。砂が落ちるとこで井戸があることを描写しています。これは映画的なよいショットです。
木のフタを外して中をみるが水はないようです。
スーダン兵が降ります。水滴が少し落ちているとのことです。
水滴を集めます。役得でスーダン兵は水滴を舐めながら作業しています。
枯れそうな井戸から細心の注意で水滴を採取して集めて3口だけと回し飲みしていますが、ガン軍曹は最後に飲みます。さすがリーダー。
ドイツ軍です。
最初の井戸がある地点にいます。
水がない状態です。アクロマに先遣隊を送ります。
アクロマです。
ステグマンが見張りを担当しています。
水を集める間の描写が入ります。とりとめのない会話。
ここでドイツ人捕虜は英語がわかるらしいと描写が入ります。
ドイツ軍先遣隊が来ます。ハーフトラック1台のみ。
戦闘となってドイツ軍の捕虜が2人となります。
水をえさに尋問となります。
ここで会議というか話し合いとなって、井戸を守ろうとなります。
9人対500人の戦いとなるようです。
捕虜2人は返します。帰り道に喋った方が殺されてます。
ウェイコがドイツ軍のハーフトラックで伝令に出ることになります。
残った連中はドイツ軍を迎撃する準備となります。
ドイツ軍が到着して戦闘となります。
機械化部隊ではなく歩兵だけです。
最初の戦闘でドイツ軍が撤退となります。
ガン軍曹は点呼を取ります、返事のないステグマンが死亡。
白旗を揚げてドイツ軍が来ます。
交渉となります。ガン軍曹が出ます。相手はファルケン少佐。
条件が合わず決裂となります。
ウェイコのハーフトラックはオーバーヒートで降りて徒歩で移動となります。
また戦闘となります。
少人数で防戦するがここでドイツ側の狙撃兵が脅威になっていました。
戦闘が一段落というかそんな時にガン軍曹とウィリアムズがとりとめのない会話をしているとこでウィリアムズが狙撃兵に撃たれて死亡。
それまで何ともなかったのに次の瞬間には死んでいたとなる戦争映画のルーティンな描写となっています。
砂漠を灌漑するのが夢と言っていたウィリアムズ。
ドイツ人捕虜とイタリア人捕虜が口論となります。
イタリア人捕虜のジュゼッペが刺されます。ドイツ人が逃げたと知らせて死亡。
逃げたドイツ人をスーダン兵が追います。格闘となってドイツ人を始末して戻るとこを機関銃で撃たれます。スーダン兵はドイツ人は始末したと味方に合図して死亡する。これは1番かっこいい死に方でした。
また白旗を揚げてドイツ軍が来ます。
今度をフレンチーが相手をします。水のあるふりをする味方達。
例によって交渉は決裂します。
フレンチーは交渉が終わって戻るとこを後ろから撃たれて死亡。
ウェイコは歩きでヘロヘロ状態となっています。
残りは4人となります。
ジミーが負傷、医者のハリディ大尉が建物内で治療しているとこに擲弾筒の直撃弾を受けて2人が死亡。ここも戦争物のルーティンな描写となっています。
ウェイコは流れ落ちる砂が水に見える状態でもうダメというとこで友軍のジープが通り掛かり助かります。
残りは2人となります。
ガン軍曹とオズモンド。とりとめのない会話となります。
ここで井戸を直撃弾があったようです。大砲ではなく擲弾筒でした。
ドイツ軍は司令官が死亡して指揮系統が乱れ歩兵達が水を求めて降伏し歩いて来ます。
そこには井戸からホントに水が出ていました。ハッタリだったのが現実になってしまったのです。
エピローグ
多数の捕虜を連れて友軍と合流しウェイコと再会します。
死んでいった仲間を名を語るガン軍曹。
エンドとなります。
米軍のガン軍曹のハンフリー・ボガートはスターの魅力全開で頼りになるリーダー役を好演していました。
ロイド・ブリッジスが負傷する役で出ていてあえなく死んでいきます。やはり親子で息子のジェフ・ブリッジスにそっくり。
1940年代の個性派のサポート俳優のダン・デュリエは何でも賭けるコンビの1人で出てました。
戦車のエンジンのガス欠の音、これは分かります。バイクの燃料コックをオフにしてガス欠したことがあります。同じです。
そんなわけで戦争映画の見本みたいなよい作品でした。
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戦争映画には戦意高揚型と反戦型とがあり、この映画はどちらかと言えば前者に属すると思います。どちらの場合も、描き方が行き過ぎると不快に感じるものですが、これは戦場を舞台にした人間ドラマで、さわやかな感動をともなった名作と言えます。
古い映画ですが、米駆逐艦と独潜水艦との頭脳戦を描いた「眼下の敵」も同じ系統の作品ですね。
「サハラ戦車隊」は人間ドラマとは言っても説教くさい映画ではなく、米戦車と独戦闘機との一騎打ち、砂漠で井戸を探しながらの逃避行、9人の連合軍と500人の独軍との知略を尽くした攻防戦など見せ場もたっぷりあります。
その中で、戦友愛、捕虜に対する人道愛、独軍との駆け引き、指揮官のリーダーシップなどが自然体で描かれ、バランスのとれた名作に仕上がっています。
数年前にテレビで、ジェームス・ベルーシ主演(監督は失念)のリメイクを観ました。
制作が新しいだけに映像は綺麗で、筋書きもこの映画を忠実になぞっていましたが、内容は比較にならない出来栄えでした。
監督の演出や俳優の演技で、こうも違うものかと痛感しました。
投稿: ナカムラ ヨシカズ | 2010.06.10 21:27
ナカムラ ヨシカズさん、コメントありがとうございます。
この作品はハンフリー・ボガートがカッコよくて好きな作品です。
私はこの作品のリメイクは見ていません、そうですかイマイチなのですか。リメイクもヘタに作ると、同じすれば芸がないし、変更するとイマイチになり、リメイクの泥沼にハマるから難しいとこです。
投稿: ロイ・フェイス | 2010.06.12 13:32