『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)
この作品は宮崎駿監督のTVシリーズ『ルパン三世』の映画版です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1979年 東京ムービー新社/東宝 日本作品
ランニング・タイム◆100分
プロット◆偽札を追ったら昔のことを思い出す話しのようです。
音楽◆大野雄二
ブエナ・ビスタ発売のDVDにて。画質は非常によい。音声1のオリジナルにて。
発売元はブエナ・ビスタ=ディズニーです。徳間書店や東宝よりはマシか?それとも最悪から別の最悪になっただけなのかも。
キャスト→CV
昔を思い出すルパン三世→山田康雄
幼い頃にルパンとコンタクトしていたクラリス→島本須美
ルパンの相棒 次元大介→小林清志
ルパンの相棒 石川五右ヱ門→井上真樹夫
ルパンを追う銭形警部→納谷悟朗
ルパンが気になる峰不二子→増山江威子
黒幕のカリオストロ伯爵→石田太郎
伯爵の忠実な執事兼殺し屋のジョドー→永井一郎
でくの坊の衛士グスタフ→常泉忠通
協力者の園丁 元庭師の老人→宮内幸平
宮崎駿監督の演出はよいと思います。
全体的にドラマ部分のディテールの凝りようはやはり大したものです。アクションの流れが細かく伏線化されているのには感心します。ホント芸が細かい。
クルマや銃器関係のディテールの凝りようとアクションの切れはホトンドは作画監督の大塚康生が担当していたようです。
アニメにおけるディテール描写の父です。大塚康生がいなければアニメではいまだに撃っても空薬莢が飛ばなかったでしょう。
ディテール描写といえばTVシリーズ『ルパン三世』(1971年)の第11話『7番目の橋が落ちるとき』ではワルサーP-38がショートリコイルしているとこまでも描写するシーンがあったりします。スライドが後退作動して薬莢が排出するとこは目につくからわかるけど銃身が一瞬後退するショートリコイルまでは普通はわかりません。ホントに凝り過ぎ。
プロローグ。
仕事中のルパン三世と相棒の次元大介。仕事は快調そのものです。
一息ついたとこで強奪した100ドル紙幣が偽札と気がつくルパン三世。札束を派手に捨てます。
タイトル。
黄色のフィアット500でカリオストロ公国へ移動中のルパン三世と次元大介。
洒落たタイトルとなっています。これだけでよい作品とわかります。
カリオストロ公国に入ります。
パンクするフィアット500。じゃんけんに負けた次元大介がタイヤ交換作業となります。
そんなとこに猛スピードで通りがかる赤いシトロエン2CV。
黒いセダンが追っています。フィアット500も加わってカーチェイスとなります。アニメならではの横向きになっても崖を登るフィアット500がいい。元ネタがありそうですけど。→たぶん『ラブバッグ』(1969年)からなのでしょう。
敵側の手榴弾はドイツ製モデルらしい。ディテール描写が凝っています。
赤いシトロエン2CVを助けるルパン三世。
アクシデントがあって気絶したルパン三世を残して花嫁衣装の女の子は去ります。で、指輪が残ります。
花嫁衣装の女の子は怪しい船が追跡に来ていたので気絶したルパン三世を助けるために去ったのです。見捨てたわけではありません。
城跡に入るルパン三世と次元大介。
城跡内を歩き回るルパン三世。
次元大介とプロレスごっことなります。で、適当に昔話をするルパン三世です。
オートジャイロからカリオストロ伯爵が登場。
キャラ紹介といったとこです。
執事ジョドーからこの件の報告を聞きます。じゃまをした2人組の男は片づけろとなります。
花嫁を見るカリオストロ伯爵ですが指輪のないことに気がつきます。
怪しげの雰囲気で話しは進みます。
夜、町食堂にて。
食事中のルパン三世と次元大介。
ウエイトレスとの話しから花嫁の名をクラリスと知ります。
夜、宿にて。
刺客の団体に襲撃されるルパン三世と次元大介。
多勢に無勢で勝目がないので逃げます。この辺の描写バランスがいい。
クルマには何があるか?車載工具があります。スパナで対処する次元大介です。こういうディテールがいいのです。
城内にて仕事中の峰不二子が登場。
偽札工房をのぞきにかかります。
カリオストロ伯爵がいます。偽札の出来は悪い。で、納期の話しは現実に引き戻されて正直言って沢山です。
執事ジョドーの報告から峰不二子はルパン三世がここに来ていることを知ります。
ルパン三世の相棒の石川五右ヱ門がやって来ます。合流する石川五右ヱ門。
ルパン三世を追う銭形警部と部下達がやって来ます。カリオストロ城に入る銭形警部。
カリオストロ伯爵と銭形警部。
露骨に迷惑な態度をとるカリオストロ伯爵。全く話しになっていません。話しの流れから後5日で結婚式とわかります。
水道橋から城へ潜入するルパン三世と次元大介。
アクシデントがあって次元大介は戻ることになります。ルパン三世は行ったきりです。どうなったかはわからない。
銭形警部と部下達はカップラーメンで食事中。
城内の豪華な食事と対比になっています。機動隊がカップ麺てのは実話からだそうです。浅間山荘事件の時この姿がTVに流れたそうです。なるほど。
泉水のことを聞いた銭形警部は調べに急行します。
ちょうど潜入しようとしてたルパン三世は泉水内に隠れています。
ここで銭形警部に帰還命令が入り、この場を去ります。
ここで入れ替わりのギミックで銭形警部に化けたルパン三世は衛士グスタフをおちょくります。そんなわけで衛士隊VS機動隊の大アクションとなります。
で、ルパン三世を追った銭形警部は落とし穴にはまります。もう退場なのか?
この騒ぎに乗じて城内深く入り込むルパン三世。
仕事中の峰不二子にコンタクトするルパン三世。
花嫁クラリスの居場所を聞き、すぐに消えるルパン三世です。
城の外壁を登るルパン三世。
当初のプランとは違って100円ライターが点かないのが原因で大ジャンプとなるルパン三世です。アニメならではの描写となっています。
そんなわけで何とか目的の塔の外壁につかまるルパン三世。
クラリスとコンタクトするルパン三世です。指輪を返し手品を披露します。
クラリスのカマトト演技を見ているとムズムズしてきますが、このカマトト演技も極めるといい感じになってきたりします。たいしたものです。
そんなとこに突然にカリオストロ伯爵と手下達が乱入してきます。
問答があって落とし穴に落とされるルパン三世。
クラリスを口説くカリオストロ伯爵ですがルパン三世が邪魔をします。
指輪も偽物で激怒するカリオストロ伯爵。
水洗トイレと同じように穴の底に落とされるルパン三世。
落ちたとこは朽ち果てた死体であふれています。400年分の死体が放置されてのとのこと。
ここで先に落ちていた銭形警部が登場となります。ルパン三世と合流する銭形警部です。協力しないと脱出が出来ないので考える余地はありません。
城外で手持ちぶさたの次元大介と石川五右ヱ門。
出番が少ない2人です。サポートキャラはつらい。
穴の底にルパン三世が持っている指輪を目的にカリオストロ伯爵の手下3人が地下水路を泳いでやって来ます。
ここは何故か手下の動きに合わせて音楽がアクションにシンクロしています。
この状況を逆に利用して脱出するルパン三世と銭形警部です。
指輪を見せて誘っといて逆に手も掴むショットがいいのです。これが何となくよいのです。
脱出したルパン三世と銭形警部は秘密の偽札工房に出ます。
当然驚く銭形警部です。
ゴート札の由来を説明するルパン三世。このシーンが何故か『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』(1984年)の夢邪気の夢を解説するシーンととシンクロしている感じなのが面白い。この作品を初めて見た時が3本立てで『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)他1本と一緒に見たので非常に印象に残っています。
クラリスに別れの挨拶をする峰不二子。
そんなとこでどこからか煙が漏れて火事が起こっているようです。
地下の偽札工房が火事なのです。ルパン三世と銭形警部の仕業です。
偽札工房から脱出するルパン三世と銭形警部。
オートジャイロを奪いにかかります。この辺は順調でしたが、目的の塔まで達してクラリス救出までもう少しのとこで撃たれるルパン三世。肝心のオートジャイロも被弾して遠ざかります。
ここでは峰不二子はトンプソン短機関銃。執事ジョドーはMG34軽機関銃。しっかりとしたディテール描写がいいです。
事態は急転して最悪の状況となります。
クラリスが何とかしようと献身的に交渉してしているとこに、行ったきりだと思っていたオートジャイロが突然戻って来て、一気にルパン三世、銭形警部、峰不二子の3人が脱出となります。
この仕事はルパン三世は負傷してクラリス救出は失敗で指輪は奪還されと、犠牲を多く成果はあまりなかったようです。
警察の会議です。どこでやってる?フランスあたりか?
各国代表が集まっています。銭形警部の意見は無視されています。
隠れ家のルパン三世と仲間達。
老犬の名をカールと知ってるルパン三世。詳しい昔話となります。
結婚式が明日と知り体調回復のため食事を要求するルパン三世です。
昼、渋滞です。
司教を拉致する羊飼いに変装した次元大介です。
TV局も入ります。
銭形警部と部下達も入ります。途中でのパトカーを押すシーンも、押せと引けの違いですけど『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とシンクロしています。何しろ初めて見たのが一緒だったので非常に印象に残っています。
銭形警部のパトカーはニッサン・ブルーバード410です。何故かナンバープレートは埼玉ナンバーになっています。
夜。結婚式前の儀式となります。
教会に入るクラリスとカリオストロ伯爵。
結婚式に邪魔が入ります。スパッと斬るショットがいい。
ここで仕掛けるルパン三世です。「ロリコン云々」のセリフがありますがよく使えたと感心します。脚本は誰だっけ?現在ではとても使えないセリフだと思えます。→現在では宮崎駿監督のヒロインの好みに異常接近で自粛ネタになっていると思えます。
峰不二子が使用するルガーP-08が撃ったらトグルアクションが作動するとこをちゃんと描写しています。こういうディテール描写がいいんです。
銭形警部はルパン三世にかこつけて実は偽札工房が目的で地下に突入します。
ルパン三世はクラリスと指輪2個を奪取して城外に向かいます。
水道橋を走り抜け時計塔に来ます。
船でカリオストロ伯爵と手下達が到着して時計塔内でアクションとなります。
手下達はシュマイザーMP-38短機関銃を使用。
ここでカリオストロ伯爵とチャンバラとなるルパン三世。
孤立したクラリスは追われて時計塔外に出ます。そこは大時計の文字盤です。
カリオストロ伯爵に追いつめられるクラリス。
交渉を持ちかけるルパン三世。出し抜くカリオストロ伯爵と、この辺の模写バランスは凄いです。あらゆる描写がこれ以上にないバランスを保っています。上手いものです。
そんなわけで時計塔から落ちるクラリス。落ちる際に一瞬ドレスがふわりと広がる描写がいい。
クラリスを追って飛び降りるルパン三世。2人一緒に落下します。これがいいのです。
残ったカリオストロ伯爵は時計塔の仕掛けにはまって自滅します。
時計塔の大仕掛けが作動を開始します。
塔は倒壊して放水されます。あまり意外な感じはしなかったりします。
それに時計塔の異変を描写するショットとリアクションのセリフのカット割りが逆のような感じがします。これはどういうわけなのか興味深い。
夜明けです。
ローマの遺跡を見るルパン三世とクラリス。
この遺跡にはあまり関心のないルパン三世です。
エピローグ。
クラリスと別れるルパン三世。
ここは見せ場となっています。さわやか過ぎて見ててムズムズしてきますが、これも極めた描写なので見ててよくなってきます。
そんなわけでさすがに傑作と言われるだけのことはあります。ノンストップアクションで描写バランスも絶妙となっています。たいしたものです。
イタリアのミラノを舞台に英国車ミニが主役ですが、普通のクルマとしてルパン三世の愛車フィアット500がたくさん出ている、犯罪コメディの『ミニミニ大作戦』(1969年)もお勧めです。
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