『恋愛日記』(1977年)
この作品はフランソワ・トリュフォー監督の風変わりなドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1977年 レ・フィルム・デュ・キャロッス/ユナイト フランス作品
原題◆L' Homme qui aimait les femmes
スカイパ−フェクTV317スターチャンネルにて。画質はまあまあ。
プロット ナンパを続ける話しのようです。
音楽 モーリス・ジャール
キャスト
シャルル・デネル→中年男のベルトラン
ナタリー・バイ→人違いのマルチーヌ
サビーヌ・グラゼル→レンタカー会社の女性
ジュヌヴィエーヴ・フォンタネル→下着店の女性
アンナ・ペリエ→ベビーシッターの女性
ミシェル・マルティ→少年時代のベルトラン
マリー=ジャンヌ・モンファジョン→ベルトランの母
モニーク・デュリー→清書タイプのデュデテイユ夫人
ヴァレリー・ボニエ→最初の愛人ファビエンヌ。
ロズリーヌ・ピョイヨ→映画館の案内の女性
ネラ・パルビエ→電話交換手のリリアーヌ
ネリー・ボルジョー→風変わりなグレゼル夫人
レスリー・キャロン→再会するヴェラ
ブリジット・フォッセー→女性編集者
フランソワ・トリュフォー監督の演出はよいと思います。
この作品は最初から回想になってて途中でも回想回想の連続となっています。でも自然な流れだったりします。トリュフォー監督上手いじゃん。
シーンの終りは溶暗で締めます。
演出というのは不思議で、こうすれば成功するというマニュアルがないのです、これはノウハウだと改めて思います。
フランス、モンペール、1976年のクリスマスにある男の葬式が行われます。
参列者は女性ばかり。
どうしてこうなったかと回想となります。
死んだベルトランという男は女性に関してはとにかくマメな男です。フランス人の男はみんなこうなのかと感心します。日本でやったら洒落にならずにストーカーとなります。
仕事は飛行機や船の風洞実験等をやっています。流体力学研究所とのことです。女性の脚に強く魅かれています。いつも茶色の革のジャケットを着てい
ます。
ベルトランのクルマはアルファロメオです。女性と調子よくやっている男をロミオと称するので、アルファロミオというのでなるほどとなります。
ベルトランの吸っているのはタバコは青い箱の銘柄はジタン。かなり以前にF1のオールフランスチーム、リジェのスポンサーでおなじみでした。今はチームも広告もないですね。F1の広告と言えばウィリアムズのスポンサーを見れば現在景気がいい会社がどこかわかります。
ベルトランはクリーニング店で脚のきれいな女性を見れば乗り去った黄色いルノーのナンバーを書き留めて調べます。事故で保険絡みでないとダメと分かれば自分のクルマをぶつけても調べます。
ようやく調べて会ったマルチーヌは実は人違いで本人のいとこはカナダに行ってしまったとのオチとなります。でもそんなことにはめげません。
レンタカー会社の女性を誘いすぐにセックスとなります。
この人は片方だけの肩にかかった下着のストラップがいいです。アンバランスなとこがいい。
下着店の女性は話すベルトラン。
ベビーシッターの女性を尾行するベルトラン。
目覚まし電話の女性とも話すベルトラン。
このように主人公の行状が描写されます。マメです。
下着店の女性とデートするベルトランですが41才の女性の意見として若い男の方がいいと言われてしまいます。
ベルトランはつき合った女性を写真をしこたまため込んでいます。ハメ撮りではありません。
タイプライターを持ち出して2本指打ちで今までのことを書きます。で、ここから回想で最初の女性は娼婦ジネットこと。
母の回想もあります。この母がまた風変わりな人で子供のベルトランに強い影響を与えています。
自説で女性のタイプでセロリ型とリンゴ型となっていますが何だかよくわからない。脚の美しさについて延々と語られます。
ベルトランはデュデテイユ夫人に書いた文のタイプの清書を頼みます。で,ここから回想となります。最初の愛人ファビエンヌ。
映画館の案内の人。脚を組み替える時のストッキングの衣擦れの音がいいとのことです。この人は耳が不自由。
仕事先での電話交換手のリリアーヌ。レストランで柔道の技を披露してここに転職してきたとのこと。矢印の髪飾りはフリッツ・ラング監督の『マン・ハント』(41年)からのようです。
仕事場の流体力学研究所に刑事が来てベルトランにデルフィーヌ・グレゼル夫人があなたを恨んでいると警告を与えます。何故そうなったのかが回想されます。
デルフィーヌ・グレゼル夫人は変わり者です。ほてった顔(何故ほてったかは想像におまかせします。)を120km/hで走るクルマから顔を出して冷やすとか色々とあります。120km/hでは息も出来ないのではと心配になりますが平気なのでしょう。典型的な直情径行タイプの人です。でも美人だから見ているぶんには楽しい。
医者にかかるベルトラン。淋病と診断されます。
女性の話から自費出版の話となります。
自分のマネキンの夢を見るベルトラン。
目覚まし電話の女性に特徴を言われます。当たりすぎ。
これまたベルトランの言動が点描されます。
赤いドレスの泣いている女の子に話しかけるベルトラン。
9才から17才になるには8年かかります。このシーンはいいです。日本でやったらいいわけなくロリコンで御用となります。
デュデテイユ夫人にタイプの清書を断られます。読んでて気分が悪くなるからダメとのことです。自分を否定されたと落ち込むベルトラン。
そんなこんなでベルトランの小説?と完成して出版社で評価となります。ここで小説の内容として回想となりベビーシッターの女性とのことが出てきます。「赤ん坊は私です。」のセリフ。フランス人はいいですね。
バリ行きの飛行機に乗る空港のベルトラン。
ロビーには足を組む女性達が一杯です。スーツにスーツケースを持つ男達でも一杯です。よいシーンです。
パリに行きヴェラと突然の再開をするベルトラン。
この人はが誰とキャラも女優さんも正体不明です。後で調べたら演じてるのがレスリー・キャロンとわかってまたビックリ。
編集者と印刷所に行くベルトラン。
印刷所はモンペールにあります。ここで校正の段階で赤いドレスを青に訂正するとこがありました。回想でも青いドレスになってしまいます。現在のデジタル技術なら衣装を変えなくても出来そうですが、当時はちゃんと衣装を変えて撮り直しをしたのでしょう。
クリスマスの夜に女性を尾行しようとして赤いポルシェにはねられるベルトラン。病院送りとなります。その病院で看護婦の脚に魅かれてベッドから転落します。これで死亡となったようです。本望ということらしい。
で、プロローグの葬式のシーンに戻りエンドとなります。
私はこのプロローグに戻る手法は好きなのです。
主人公の中年男ベルトランを演じるシャルル・デネルは誰かに似てるなと思ったら天地茂に似てるのです。これで納得して安心して見れました。
IMDbで調べたらレスリー・キャロンはパリの生まれなのですか。ということはフランス人なのですか。知りませんでした。『巴里のアメリカ人』(51年)のレスリー・キャロンしか知らなかったのでハリウッド生まれのバレエ人形かと思っていました。
そんなわけで話しの都合上女優さん達が大勢出ているよい作品でした。
« 『ダウン』(2001年) | トップページ | 『欲望』(1966年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1970年代」カテゴリの記事
- 『見えない恐怖』(1971年)(2021.11.27)
- 『危険な愛の季節』(1975年)(2021.06.19)
- 『サイコマニア』(1972年)(2020.06.07)
- 『殺人ブルドーザー』(1974年)(2020.06.06)
- 『キラーカーズ パリを食べた車』(1974年)(2020.04.05)
コメント