『三つ数えろ』(1946年)
この作品はハワード・ホークス監督でハンフリー・ボガートとローレン・バコール主演のフィルム・ノワールです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1946年 ハワード・ホークス・プロ/ワーナー アメリカ作品
原題◆The Big Sleep
DVDにて。画質はよいです。
プロット スターンウッド家を巡る複数の事件を追う話しのようです。
音楽 マックス・スタイナー
キャスト
ハンフリー・ボガート→私立探偵のフィリップ・マーロウ
ローレン・バコール→長女のビビアン・スターンウッド
マーサ・ビッカーズ→次女のカルメン・スターンウッド
ソニア・ダリン→ガイガー書店のアグネス
ドロシー・マローン→その向かいの書店の店員
ペギー・ナッドセン→エディ・マース夫人のモナ
ジョン・リジリー→大物のエディ・マース
ボブ・スティール→マースの子分カニーノ
レジス・トゥーミー→殺人課刑事のバーニー
セオドア・フォン・エルツ→書店主のガイガー
トミー・ラフィティ→ガイガーの付き人ラングレン
エリッシャ・クックJr.→小男のハリー・ジョーンズ
ルイス・ジーン・ハイト→ケチな脅迫者ジョー・ブローディ
チャールズ・ウォルドロン→依頼人のスターンウッド将軍
チャールズ・D・ブラウン→スターンウッド家の執事
ダン・ウォレス→スターンウッド家の運転手O・テーラー
トレバー・バーデッド→ガレージのアート・ハック
ハワード・ホークス監督の演出はよいと思います。
何故か意味もなくスクプロになっているシーンがありました。これはセット撮影でロケをしなかったせいのようです。
登場キャラをやたらと多い。話しはごちゃごちゃしています。わけわからん。
レイモンド・チャンドラーの原作『大いなる眠り』はホトンド忘れていますが読んでいます。
1940年代の作品にしては発砲シーンが多い。銃声も大きく響かせて効果を出しています。上手いじゃん。もちろん現在の作品は比べてはいけません。銃撃戦の量だけなら現在の作品の方が圧倒的に多くなっています。
プロローグ。スターンウッド家にて。
ハンフリー・ボガート扮する私立探偵のフィリップ・マーロウが依頼人スターンウッド将軍に会いにやって来ます。
屋敷に入ったとこでイカれた女の子カルメンが登場。1940年代にしては短過ぎるミニスカートがいい。
スターンウッド将軍に会い話しをするマーロウ。
カルメンのことでガイガーから強請られているとこと。
将軍のお気に入りでいい話し相手だったリーガンとは知り合いらしいマーロウ。
次にローレン・バコール扮するスターンウッド将軍の長女ビビアンと会うマーロウ。
マーロウは最初に妹から「背が低い」と言われ、姉には「サエないのね」と言われています。
リーガンは突然姿を消したとのことです。捜してくれとビビアン。
探偵活動でガイガー書店に行くマーロウ。
ここに出てくる店員アグネスの演じる女優さんソニア・ダリンが『デスペラード』(95年)のサルマ・ハエックにそっくりなのです。そう思うと『デスペラード』はこの『三つ数えろ』を引用している感じがします。
初版本について店員アグネスに絡むマーロウですが追っ払われます。
向かいの書店に入るマーロウ。雨模様となります。
この書店にはメガネをかけたドロシー・マローン扮する女性店員がいます。
話し込むマーロウ。ガイガーの特徴等を聞き込みます。雨が激しくなってきて店はお休みとなります。女性店員が髪留めを取ってメガネを外すと美人になります。ビックリするマーロウ。これはアニメでもある定番の描写です。
ガイガーを尾行するマーロウ。
ラバーン・テラスに着きます。家に入るガイガー。
クルマを止めて張り込むマーロウ。カルメンがやって来ます。
しばらくして銃声と悲鳴。2台のクルマが走り去ります。
家に入るマーロウ。チャイナドレス風の服を着たカルメンがラリってて人事不省で、ガイガーは撃たれて死体となっています。
調べるマーロウ。エロ写真を撮る隠しカメラがあります。フィルムはない。
カルメンを屋敷まで送りビビアンと話しをするマーロウ。
何もなかったことにしろと歩いて帰ります。
自分のクルマを取りにラバーン・テラスに戻るマーロウ。
家に入るとガイガーの死体は消えています。
マーローの事務所にて。
レジス・トゥーミー扮する殺人課の刑事バーニーがやって来ます。
スターンウッド家のクルマが波止場で発見されてとのこと。
現場に向かいます。スターンウッド家の運転手O・テーラーの死体を検分します。原作とは違い映画では運転手の行方はちゃんとしているようです。ちゃんとしていない映画はキューベルワーゲンの運転手が消えてしまった『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』(84年)です。←三つ数えるシーンが繰り返しあるのがよかったりします。
次の日。マーローの事務所にて。
ビビアンが待っています。カルメンの写真で5000ドルの強請りがあるとのことです。成り行きで警察に電話をするビビアンですがマーローは受話器を取ってお遊びの一席となります。合わせるビビアン。ここはお遊びのシーンです。
ガイガー書店に行くマーロウ。
夜逃げ?の準備で大忙しのようです。店員アグネスと話しをするマーロウ。
書店を出て女性ドライバーのタクシーに乗ってガイガー書店のワゴンを尾行するマーロウ。
ジョー・ブローディのアパート ランドルプレイスがわかります。タクシーのままガイガー書店に戻ります。
自分のクルマに乗り換えてラバーン・テラスに向かうマーロウ。
家の前の物影にカルメンが待っています。家に入ります。
そこにエディ・マースがやって来ます。カルメンは帰り、エディ・マースはとりとめのない話しをするマーロウ。
ジョー・ブローディのアパート ランドルプレイス前で張り込むマーロウ。
ビビアンがやって来ます。アパートに入ります。
少し時間が経過してマーロウもアパートに入ります。ブローディの部屋に入ります。ブローディは見た目通りの小物です。
ブローディと話すマーロウ。物影にはアグネスがいて、ビビアンもいます。
ここでブローディのことはそっちのけで口論するマーロウとビビアンです。小物のブローディは吉本新喜劇のヤクザみたいに「ほったらかしかい」という感じで面白いシーンです。
カルメンもやって来ます。リボルバー持参です。
ここでマーロウが素早くその場を制圧して、ビビアンとカルメンは帰ります。
マーロウは残りブローディと話しの続きとなります。強請りのこと、写真をどうやって手に入れたこと等。昨夜のことを話すブローディ。ケチなやり方です。
ここにまた誰かがやって来ます。出るブローディですがいきなり撃たれます。
撃った男を追うマーロウは捕まえて警察に引き渡します。これで解決?
バーにて。マーロウとビビアン。今回の件の支払い小切手を渡します。仕事はこれで終わりということらしい。エディ・マースが黒幕?
タバコを吸うビビアンです。タバコは1940年代のヒロイン必須のアイテムです。
エディ・マースに電話するマーロウ。会うことになります。
エディ・マースのカジノにて。
ビビアンのローレン・パコールの歌のシーンがあります。(残念ながら吹替です。)
エディ・マースと会い話しをするマーロウ。互いに探り合いのようです。
消えたリーガンのことが話題となっています。マース夫人のことも。
ビビアンはルーレットが大儲けしています。マーロウが送ることになります。
駐車場にてビビアンが強盗に会いますがマーロウが助けます。強盗のことをハイジャックと言ってるビビアン。
クルマ内のマーロウとビビアン。
狂言強盗と見破りエディ・マースと取引きをしているのか?と聞かれるビビアン。ビビアンにキスをするマーロウ。
事務所に戻るとこ路上でマースの手下2人に痛めつけられるマーロウ。
スターンウッド家から手を引けということのようです。手下2人の脅しが終わったとこでエリッシャ・クックJr.扮する小男のハリー・ジョーンズがやって来ます。「今頃来るな」と愚痴が出るマーロウです。
マーロウの事務所に行きます。
ハリー・ジョーンズはアグネスと結婚すると言ってます。小男では背たけが合わないと言うマーロウ。嫌な顔をするハリー・ジョーンズです。
肝心の用件はリーガンの居場所を200ドルで買ってくれとのことです。
1時間後に会うことになります。
待ち合わせのビルに行くマーロウ。
先客がいます。マースの子分カニーノです。隠れて伺うマーロウ。
「映画みたいに三つ数えようか」とカニーノのセリフがあります。
ハリー・ジョーンズは酒を飲まされ死に至ります。カニーノはずらかります。
マーロウはハリー・ジョーンズがカニーノの吐いた住所に電話しますがアグネスはいない。ハリー・ジョーンズはアグネスをかばって命を賭けて嘘をついたようです。泣けるではないか。
手掛かりはこれまでというとこで電話がかかってきます。アグネスです。
アグネスのクルマ内にて。
200ドル渡してマース夫人の居場所を聞きます。
その場所に向かうマーロウ。
怪しいアート・ハック・ガレージに事故を装い探りを入れますが、アートがリボルバーでお出迎えとなります。
話しで探りを入れますが殴られて捕まるマーロウ。
気がついたらガレージ奥にある家のマース夫人の部屋にいるマーロウ。
ビビアンもいます。
ロープを切ってもらいますが手錠が残ってるマーロウ。さてどうする。
外に出て電話をかけに行ったカニーノ、アートを待ち伏せするマーロウ。
アートはあっさりと逃げて、カニーノはビビアンを盾にして出てきますが2人で機転をきかせてカニーノを片づけます。
引き上げるマーロウとビビアン。クルマ内にて。ぶ愛想に「あなたが好き」と言うビビアン。これはいいシーンです。
ラバーン・テラスの家に向かいます。
ラバーン・テラスにて。
エディ・マースに電話をかけるマーロウ。自分の居場所はまだアート・ハック・ガレージ付近にいると言います。
会おうということになり場所を上手くラバーン・テラスとなります。
エディ・マースはマーロウより先に来るつもりですがマーロウはすでにいます。そんなわけで待ち伏せするマーロウ。
エディ・マースがやって来ます。
話しをします。リーガン殺しはカルメンとわかります。
そんなこんなで「三つ数えようか」のセリフでエディ・マースを家から追い出してをマース自身の手下に片づけさせるるマーロウです。
バーニー刑事に電話するマーロウ。カルメンにことは内緒にしてリーガン死亡は死んだエディ・マースのせいにします。
キスに至らずその前にエンドとなります。こういう微妙なタイミングがいい。1940年代はこんな感じが流行していたのかも。アルフレッド・ヒッチコック監督の『汚名』(46年)もキスではないけど微妙なタイミングでエンドになっていました。
フィリップ・マーロウは38歳の設定。ハンフリー・ボガートは撮影の44年当時は45歳です。この程度はたいしたことはないと思えます。
ジョン・リジリー扮する黒幕のエディ・マースはハンフリー・ボガートより背が高い。普通は主役のスターに合わせて低くすると思えるが何故か高くなっていました。ハンフリー・ボガートは176cm位ですから長身とはいえません。ここはアメリカ流に5フィート11インチというべきですか。
エリッシャ・クック,jr.はフィルムノワール3作に渡って印象に残ります。『マルタの鷹』(41年)、『三つ数えろ』(46年)、『現金に体を張れ』(56年)です。
どの作品でも印象に残っています。
女優さんは端役を含めて大勢出ててカジノのバニーガールまで豪華にそろえています。でもローレン・バコールは誰にも負けていません。誰と比べてもかすんでいないのはさすがです。
実はホークス監督の好みの女優さんはバコールよりガイガー書店のアグネスを演じるソニア・ダリンだと思えます。
それとは別にこの作品を見ると同じロシア系のミラ・ジョボビッチはローレン・バコール並みと思えます。
そんなわけで名高いだけはあるよい作品でした。正直言ってジョン・ヒューストン監督の『マルタの鷹』(41年)より監督の差でこっちの方が出来がいいと思えます。
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