『イギリスから来た男』(1999年)
この作品はスティーブン・ソダーバーグ監督と豪華なキャストの風変わりなサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1999年 アーチサン・エンタテインメント アメリカ作品
ランニング・タイム◆89分
原題◆The Limey
プロット◆英国人がアメリカで娘の行方を追って調べる話しのようです。
音楽◆クリフ・マルティネス
スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。画質よいです。
キャスト
テレンス・スタンプ→英国人のウィルソン
ピーター・フォンダ→音楽関係の大物テリー・バレンタイン
バリー・ニューマン→用心棒のエイブリー
レスリー・アン・ウォーレン→協力者エレイン
ルイス・ガスマン→協力者エド・ロエル
アメリア・ヘインル→若い女アダーラ
スティーブン・ソダーバーグ監督の演出はよいと思います。
回想シーンに引用しているケン・ローチ監督の『夜空に星があるように』(1967年)は未見です。
原題のLimeyは英国人の俗称のようです。
L.A.が舞台。
空港に着くテレンス・スタンプ扮する英国人のウィルソン。
手紙をくれたルイス・ガスマン扮するエド・ロエルを訪ねます。この辺からあっちこっちにシーンが飛んでいます。こういうの大好き。
リボルバーを手に入れます。シリンダーのエジェクターの形でS&Wとわかります。S&Wのコピーなのでは?というのはは考えない。
交通事故が死んだ娘のジェシーのことを調べ始めます。テリー・バレンタインなる男と関係があったとのことです。
怪しい倉庫に侵入する英国人のウィルソン。
囲いの金網を切って侵入する時はL字型に切るのが普通だそうです。大藪春彦の小説で知りました。私は実際にはやっていません。
英国人国人のウィルソンは太った男と交渉するがリボルバーをとられて叩き出されますが、実は小型のオートマティックを隠して持っていて過激に仕返しをしたりします。
ピーター・フォンダ扮する音楽関係の大物テリー・バレンタインが登場。豪華な家に住んでいます。若い女もかこっています。
バリー・ニューマン扮する用心棒のエイブリーもいます。倉庫の件をテリーに報告しています。
この作品の悪役?は『イージーライダー』(1969年)のピーター・フォンダと『バニシング・ポイント』(1971年)のバリー・ニューマンのアメリカン・ニューシネマ2本立てコンビとなっています。
それなら『コレクター』(1965年)のテレンス・スタンプの相棒は『サイコ』(1960年)のアンソニー・パーキンスとなってサイコ物のマスターピース2本立てコンビしかいませんが、アンソニー・パーキンスは既に麻薬中毒等が原因で死亡しています。麻薬を扱っているこの作品なので洒落になっていないような。
そんなわけで相棒というか協力するのはいかつい顔のルイス・ガスマン扮するエド・ロエルが務めます。
レスリー・アン・ウォーレン扮するエレインが登場。
死んだジェシーの知りあいとのこと。芸能関係の仕事をしています。
ウィルソンが会いに来ます。
回想シーンが『夜空に星があるように』を使っています。
ジェシーの話しをします。警察に電話するエピソードが伏線になっています。
テリーの豪邸を偵察している2人。クルマは何だかわからんが安そうなアメ車です。次はその豪邸のパーティに紛れ込む2人。
邸内を調べる英国人のウィルソン。ジェニーの写真が飾ってあります。
ここでテリーに対して発砲するシーンが入りますがこれはフラッシュバックの反対で先のことを予想したシーンのようです。予想ですから少しずつ違ったりしています。凝った手法となっています。こういうの大好き。
フラッシュフォワードというのかな。未来のことなので確定しないのでシーンが色々と変わります。面白い。
英国人のウィルソンはプールのあるベランダから太った男を放り出します。そのまま待たせてあるクルマで逃げます。それを追う用心棒のエイブリー。カーアクションから銃撃シーンのサービスがあります。
運転してるバリー・ニューマンが見られます。これが最高のサービスショットです。クルマが『バニシング・ポイント』のダッジ・チャレンジャーではなくベンツなのが少し不満。
結局逃げられて、戻ってテリーに報告する用心棒のエイブリー。
エイブリーは殺し屋を雇って始末するといいます。テリーは聞かない振りをしています。
エレインといるとこを殺し屋に襲われる英国人のウィルソンですが思わぬ助けが入ります。そのまま2人とも連行されます。助けたのはDEA=麻薬取締局でした。事情聴取となります。
DEAの上司相手に英国スタイルで喋りまくるウィルソン。要するに麻薬とは関係ないと言っているようです。そんなわけで放免となります。
郊外の別荘に移動中のテリー。
アダーラを連れています。若い頃はオートバイに乗っていたなんて言っています。楽屋オチのようです。
この作品は時々溶暗を使っています。妙に印象に残ります。
郊外の別荘のテリー。アダーラや用心棒数人。
TVではジョージ・クルーニーのインタビューが流れています。これも楽屋オチのようです。
英国人のウィルソンが侵入してきます。
迎え撃とうとしますが雇っていた殺し屋と同士討ちとなります。
テリーを追いつめてジェニーのことを問いただす英国人のウィルソン。ジェニーは電話をする伏線が生かされます。フラッシュバックの反対の手法もやっています。
そんなこんなで少し風変わりなフィルムノワールにもなっていました。
テレンス・スタンプは色々とあったようですがよく正気を保ってここまで来たものです。アンソニー・パーキンスみたいにはならなかったのは偉い。
ルイス・ガスマンはこのような協力者というか助手というか従者みたいなキャラが多いような。ケビン・レイノルズ監督の『モンテ・クリスト伯』(2002年)でも同じようなキャラでした。
カルト作品『バニシング・ポイント』(1971年)の1本だけのバリー・ニューマンもおかしな人で最近作ではこの作品に限らず尊重されているのかいないのかよくわからん扱いになっています。
アメリア・ヘインルさんの出演作は見ていました。パトリック・マルドーンとピーター・グリーンが出ているB級アクション『ブラック・ラン』(1998年)に出ていました。IMDbで調べてわかりした。そういえば人質役でしたが目立っていました。
そんなわけでスティーブン・ソダーバーグ監督らしい出来のよい作品でした。
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