『毒薬と老嬢』(1944年)
この作品はフランク・キャプラ監督にしては珍しいブラック・コメディです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1944年 ワーナー アメリカ作品
原題◆Arsenic and Old Lace
株式会社トーン発売のDVDにて。画質はまあまあ。
プロット 死体を見つけて悪戦苦闘する話しのようです。
音楽 マックス・スタイナー
キャスト
ケイリー・グラント→舞台劇批評家のモーティマー
プリシラ・レイン→婚約者のエレイン・ハーパー
ジョゼフィン・ハル→叔母のアビー
ジーン・アディア→叔母のマーサ
ジョン・アレキサンダー→大統領妄想のテディ
レイモンド・マッセイ→兄の殺人鬼ジョナサン
ピーター・ローレ→整形外科医のアインスタイン
グラント・ミッチェル→エレインの父ハーパー神父
ゲーリー・オーエン→タクシーの運転手
ジャック・カーソン→若いオハラ巡査
エドワード・マクナマラ→中年のブロフィ巡査部長
ボーン・グレイサー→カルマン判事
エドワード・エベレット・ホートン→療養所のウィザースプーン
チェスター・クルート→ギルクリス医師
ジェームズ・グリーソン→ルーニー警部補
フランク・キャプラ監督の演出はよいと思います。
会話シーンの切り返しはあまりやっていないけど、後半になるとやっていたりします。よくわからん。
もとが舞台劇ということもあって、あまり映画的ではなくて舞台調の演出となっています。
効果は?だけどクローズアップショットがていねいに挿入されてました。
ラスト近くなってくると演出は破綻気味です。どうでもいいような感じです。
スペシャルエフェクトでロバート・バークスの名があった。
プロローグ
ハロウィンのブルックリンです。
野球場です。ブルックリンといえばエベッツ・フィールドで、ホームチームがブルックリン・ドジャースとなると相手はN.Y.ジャイアンツしかないでしょうと期待をすれば、いきなりバッターがアンパイアを殴る、キャッチャーがバッターを殴ると乱闘となります。これだけで肝心の野球の試合シーンがありません。しかも本編とは全く関係がないプロローグとなっています。知らない人が見たら野球ってこんなゲームなのかと誤解しそうです。
結婚登記所です。
ケイリー・グラント扮する舞台劇批評家のモーティマーとプリシラ・レイン扮する婚約者のエレインが登場。
何故か小声のモーティマーです。受付の人はもっと大きな声を出してくださいと聞かれたくないことを大声で聞き返される古典的なギャグとなります。有名人らしくパパラッチに追われたりもします。
モーティマーは副業で結婚を否定する本を書いてるので結婚するのが公表されると、こまった状態となる設定でした。
モーティマーの叔母の家です。
叔母のジョゼフィン・ハル扮するアビーとジーン・アディア扮するマーサが登場。
ジョン・アレキサンダー扮する自分でルーズベルト大統領だと思い込んでいるテディが同居しています。「突撃」と叫んだり、ラッパを吹いたりとにぎやかです。
叔母2人はグラント・ミッチェル扮するハーパー神父と談笑中です。
お巡り2人が訪問します。中年のブロフィと若いオハラ。
家を出たとこで、この家の家系には問題があるらしいことが描写されます。
家の外の墓場付近でエレインと会うモーティマー。
2人の仲のいいことを叔母2人が見ています。
1時間後に新婚旅行で列車に乗ろうとなっています。
エレインは帰りモーティマーは叔母の家に入ります。
テディは穴掘りに地下室に向かいます。
モーティマーは窓際の箱に入ってる死体を発見します。リアクションがいい。
問い詰めますが叔母2人は落ちついたものです。この死体はアダム・ホスキンスです。毒入りワインで死にましたといった感じです。
これまでの犯行の話しも出ます。で、11人目だとか12人目とかで議論する叔母2人です。最初のは突然の自然死だから殺した数に入れる入れないが論点の議論となっています。興味深い議論です。
カルマン判事に電話するモーティマー。
用件はテディを療養所に入れるにどうしたらいいかです。テディを療養所に入れることでこの件を収めたいのかもしれません。
エレインが来ますが電話で忙しいモーティマーに怒って帰ります。
新しい下宿希望のギブス氏が来ますが追い返すモーティマーです。
叔母2人を説教するモーティマー。
療養所に電話するモーティマー。
療養所のウィザースプーンの話しではナポレオンなら空いてるがルーズベルト大統領は空いていなとのことです。何のことだ?→妄想患者が重複するのは具合が悪いらしい。
カルマン判事に会いに出かけるモーティマー。
タクシーの運転手にタクシーを拾わせるモーティマーです。古典的なギャグとなっています。
叔母の家に客人2人がやって来ます。
これがレイモンド・マッセイ扮するモーティマーの兄で殺人鬼ジョナサンとピーター・ローレ扮するジョナサンの人相を変えるための専属整形外科医アインスタインです。
自分の顔がボリス・カーロフと言われると怒り出すジョナサン。
映画を見ていたせいで似てしまったと言い訳するアインスタイン。これはまたブラックな設定の凄いコンビです。スピナルゾという名の死体持参でこの家に居座るつもりです。
カルマン判事邸のモーティマー。
必要なサインを貰います。どうやらテディを療養所送りにする準備となっています。
ジョナサンは持参の死体を地下室に埋めようと画策します。
叔母2人はテディにホスキンスの死体を地下室に運ばせます。
原作が舞台なので暗闇の中で人物の出入りが激しくなっています。
エレインがやって来ます。
ジョナサンに捕まります。そんなとこにモーティマーが戻ってきます。
ここで兄弟が再会の図となります。20年ぶりとのことです。
すぐにジョナサンの顔のことを言うモーティマーです。ボリス・カーロフ云々となります。当然怒るジョナサンです。
電話で忙しいモーティマーにエレインは怒って帰ります。
窓際の箱の死体が入れ替わっていることに気がつくモーティマー。
叔母2人に確認しますがこの死体とは初対面とのことです。死体だということには驚いていないのがポイントです。死体が違うことには驚いています。
お巡りのオハラが来ます。
ホスキンスの死体のことをお巡りにバラすと脅すジョナサン。
そんなことから何人殺したか?談義となります。叔母コンビと同じ12人では殺人鬼のプライドが許さないのか13人だと言うジョナサン。そんなことはない12人だと言うアインスタイン。何かそんな話題でいいのかと思えますが興味深い議論です。
ギルクリス医師を連れてくるモーティマー。
医師にテディを診てもらっている間に隣りのエレインに会いに行きます。
家系の事情で結婚出来ないと話します。
ジョナサンとアインスタインはまた議論しています。
モーティマーを殺すのはロンドン方式にするかメルボルン方式にするかとなっています。何だかわからんが興味深い議論です。
アインスタインは戻ってきたモーティマーと舞台談義となります。
間抜けな登場人物の話をするモーティマーですが自分がその通りになってしまいます。椅子に縛りつけられます
オハラ巡査がやって来ますが自分の書いた舞台脚本のことしかアタマにないようです。モーティマーが縛られていることを全く気にしていません。
ルーニー警部補がお巡り2人とやって来ます。
ハッピーデール療養所のウィザースプーンもやって来ます。
地下室の13人の死体が話しが出そうになったり、乱闘になったりします。
この最中にアインスタインは無事に逃亡しています。これでいいのかい。
モーティマーはもうどうでもいいと投げやりになっています。
親族のサインが必要との話しからモーティマーは、この狂気の家系ではないと判明し、狂気の面々は警察と施設に収容されて全て丸く収まって?います。こんな結末がいいのかと思えます。ヘイズオフィスの検閲はどうしたと突っ込みたくなります。
ケイリー・グラントは大熱演でした。リアクションがいいです。やり過ぎでくどすぎたかも。まともなはずがキャラが異常に見えてくるほどでした。
プリシラ・レインはきれいでよかった。本『映画術』では『逃走迷路』(42年)に関連して下品と言われてました。ここでは普通の女優さんに見えますけど。
そんなわけでこれはブラック・コメディの傑作です。
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