『禁断の惑星』(1956年)
この作品はフレッド・M・ウィルコックス監督、ウォルター・ピジョン、アン・フランシス、レスリー・ニールセン主演の古典的なSFというよりスペースオペラ的な作品のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1956年 MGM アメリカ作品
ランニング・タイム◆98分
原題◆Forbidden Planet
プロット◆惑星アルテア4に行って色々とある話しのようです。
音楽◆ビーブ・バロン/ルイーズ・バロン。元祖シンセ・サウンドでした。
ワーナー発売のDVDにて。画質は結構よいです。
キャスト
ウォルター・ピジョン→惑星アルテア4のモービアス博士
アン・フランシス→惑星アルテア4のアルタ
レスリー・ニールセン→地球連邦のアダムズ船長
ウォーレン・スティーブンス→軍医のオストロー中尉
ジャック・ケリー→恋敵のファーマン中尉
リチャード・アンダーソン→チーフエンジニアのクイン
ロボットのロビーは中味がフランク・カーペンター、フランキー・ダロ/CVはマービン・ミラー
フレッド・M・ウィルコックス監督の演出はまあまあだと思います。
話しはSF物のスタンダードで手堅く進行します。演出は1シーンごとにていねいに撮っています。ていねい過ぎて何かのんびりした感じの演出で、これが少し退屈なのが難です。もう少しなんとかならなかったのかとなります。
ウィリアム・ワイラー監督あたりが演出したら本編がビシッと締まってもっと面白くなったと思えますがこの当時で巨匠がSF特撮物の監督?とは無理なことですか。
ハワード・ホークス監督だったら実質的な監督だったといわれている『遊星よりの物体X』(1951年)と同じになる?俺たちアメリカ軍(地球連邦ではなかったのか?)は怪物になんかに負けないぜと明るく話しは進行するでしょう。
アルフレッド・ヒッチコック監督だったら『レベッカ』(1940年)のように訪れた惑星には怪しげな邸宅があったと怪しく話しは進行するのかな。
音楽はやけに怪しく終止鳴っています。普通の会話なのに怪しくなっていたりします。
舞台は23世紀。ハイパードライブで宇宙空間を移動する地球連邦の宇宙船C-57-Dは惑星アルテア4へと向かいます。この惑星には20年前に地球からベララホン号が行って行方不明になっています。アルテア4にはクレルという発達した文明を持っていた先住民がいて謎の滅亡をしたとなっていました。
イドの怪物が建物外側の黒い扉を破る描写が結構怖そうな感じがしたりします。ガキの頃に見たら怖かったでしょう。
ハイライトのアクションシーンはイドの怪物が宇宙船C-57-Dを襲いそれを迎え撃つC-57-Dの隊員達です。これ1回だけのアクションシーンでした。映画の構成としてはこれが正解なのでしょう。今のアクションてんこ盛りの作品が間違ってるというか、いくらアクションを入れても入れた分だけ面白くなるとは限りません。
イドの怪物の描写ですけどC-57-Dが張るバリアに接触して輪郭が見えますが何となくユーモラスに見えるのはディズニーのスタッフが担当したせいなのか。現在のディズニーはあまり好きではないけどこの当時のディズニーは嫌いではありません。
イドの怪物を攻撃する光線にイマイチ躍動感がありませんでした。東宝特撮の光線作画の方が全然いいです。当時でも光線作画は東宝が1番です。光線に効果音を付けるセンスがまたよいのです。東宝の光線作画はこの当時がいまだに1番です。
イドの怪物が地下の4重扉を破る描写で赤く熱せられ白くなったら扉を破られると説明セリフが入って盛り上げます。その後の描写はあっけなかったけど。
部下に厳しいアダムズ船長を大まじめに演じる若きレスリー・ニールセンを見てると現在のコメディ・イメージからすると妙な感じがします。やっぱり大根?と書いてはいけないことを書いたりする。
ヒロインのアルテア4のアルタを演じるアン・フランシスは始まってから23分頃に登場します。口元のホクロが素敵。
家の中では裸足だったりします。これもいい。
ウォルター・ピジョン扮するアルテア4のモービアス博士の演技は舞台のシェークスピア物のように演じているではとなります。この大げさ演技が結構合っている感じがします。
タイトル。
宇宙っぽい音楽が鳴り響いています。
23世紀。
光速を上回るハイパードライブで宇宙空間を移動する地球連邦の宇宙船C-57-Dは惑星アルテア4へと向かいます。ハイパードライブの描写で乗員達が直立姿勢でバリアの中に入るとこがありました。
宇宙船C-57-Dはロケット型ではなく普通の円盤型になっています。地球っぽくないのですが何で?
この惑星アルテア4には20年前に地球からベララホン号が行って行方不明になっています。
アルテア4から連絡が来ます。
ベララホン号のモービアスからです。
着陸する地球連邦の宇宙船C-57-D。
乗降用のステップが3つあるようで、このステップが脚にもなっているようです。合理的でいいじゃん。
お迎えのクルマが砂ぼこりを上げて来ます。
ロボットの運転手のクルマです。ロビーは触覚のようなとこの根元にランプが点灯しているのでここが目なのか?
このクルマは電動モーターで動いてるようです。ケーブルを引きずっています。少し見えました。
モービアス博士邸にて。
呼ばれて食事の3人。
ロビーに船長に向けて光線銃を撃たせようとするする図。
突然雨戸を閉めるデモンストレーションの図。
ベララホン号の他の乗員は全部死んだとモービアス博士。死んだ原因を聞いてる船長。見えないものに殺されたとモービアス博士。
それって1番疑われるのはモービアス博士ではないかい。
食後のコーヒーのとこで娘のアルタが突然登場。
恋敵のファーマン中尉はアルタに船長の悪口を言っています。船長のことを色キチガイの変態だとしています。
船長はこの件について地球との緊急連絡の準備に10日間はかかるとモービアス博士に言っています。物資は援助するとモービアス博士。
円盤にて。
通信の準備で大忙しのシーン。
コックがロビーにバーボンを注文する。
恋敵のファーマン中尉が新陳代謝がよくなるからとアルタにキスをする。アルタは何にも変わらない私がおかしいのか?とボケをかます。で、船長が乗り込んでくる。そんな感じになっています。
船長とキス談義となっているアルタ。円盤の乗員は18名と船長。そんなこんなでアルタは怒って帰ります。
モービアス博士邸にて。
パパに船長の悪口を言ってるアルタとなります。
それでもロビーに脚が出ない服を注文しているアルタ。ロビーに抱きつくアルタのスティルはどこかの作品紹介で見たことがあります。
夜、円盤にて。
見張りに気付かれずに何かが侵入しています。船内を破壊したようです。
で、次の日、見張り3人が船長にどこを見ていたと絞られています。3人は厳罰にされます。
モービアス邸にて。
円盤の2人、船長とドクターがやって来ます。ファーマン中尉は円盤に置き去りです。
アルタが泳いでいます。これはいいなではない堅物の船長。で、キスをすることになります。もう乗り換えたのかアルタは・・・。
トラが出現。このトラがアルタに対して害意を持っていました。光線銃でトラを消し去る船長です。
無断で書斎に入る船長とドクター。
モービアス博士が登場。何でも持っていけと嫌味を言っています。
2人は円盤内が壊された件について来たようです。
アルテア4の事情を話すモービアス博士。
頭部分に創造力養成装置の3つの端子を付けてデモンストレーションのモービアス博士。で、ここにいる3人で1番頭が悪いのは船長だとなります。
夜、円盤にて。
廻りにポールを立ててバリアを張っています。
コックが散歩をするとバリア外に出ています。ロビーにバーボンを作らせていたとなっています。一応ギャグらしい。
バーボン480本を全部小道具でそろえているのがハリウッドらしい。カネだけはある。
バリアに何か接触したようです。
地面に足跡がくっきりと付いています。階段がへこんで何かが登っているらしい。
これで乗員1人がやられます。
モービアス邸にて。
船長とモービアス博士が口論となっています。ここの施設をもっと活用させるようにと船長。まだその時期ではない人類には早過ぎるとモービアス博士。
そんなとこに円盤からチーフのクインが殺されたと連絡が入ります。
円盤にて。
足跡の型をとって石膏で再現しています。これは怪物です。
コックが呼ばれて尋問となります。ロビーと飲んでいましたとコック。これでロビーにはアリバイがあったとなっています。
チーフ クインの埋葬となります。
聖書を読んでる船長。ハリウッド作品なので当然ある描写なんです。
クルマでロビーとモービアス博士とアルタが来ています。
次はこの程度はすまないと脅かしているモービアス博士です。ところでモービアス博士のアリバイは?なんて描写はありません。
夜です。
円盤の廻りにはバリアを張り、レーザー砲を準備OKと迎撃体制なっています。
レーダーに反応があると報告が入る。見えない怪物がレーダーに反応するのか?
見えない怪物に2人をがやられて、あのファーマン中尉もやられます。
モービアス博士の方は机に突っ伏して寝ています。
エネルギーゲージは半分ほど使っています。結構使っているわけです。
船長とドクターはモービアス邸に向かう。
円盤は引き上げ態勢にしています。
モービアス邸にて。
急行して来た船長とドクター。IQ増幅器を使おうとしているようです。
モービアス博士の指令でロビーが立ちふさがります。
アルタが指令解除して邸内に入る船長とドクター。
船長はアルタと話し込んでいる。その隙にドクターは奥に向かう。
ようやくドクターがいないことに気がつく船長。さすがレスリー・ニールセン。
のびてるドクターを運んでくるロビー。
イドの怪物の話をするドクター。死に至ります。
モービアス博士が来ました。イドの怪物のとこを聞く船長。
アルテア4にはクレルという発達した文明を持っていた先住民がいて謎の滅亡をしたとなっていました。
真相は先住民クレルの憎悪が実態化してあっという間にクレルは滅亡したとのことです。
ロビーが何か来ますとアラートを出します。
ホントに見えない何かが来ています。急いで防御の雨戸を閉めます。
怪物はモービアス博士だと船長。そんなわけでロビーがショートしています。モービアス博士がロビーに怪物をやっつけろと指令したからです。
エネルギーゲージは結構使っている状態になっています。
分厚い4重になっているドアを怪物が破るシーンはいい。エネルギーゲージがどんどん上がっています。
で、突然エネルギーゲージが全部消えます。モービアス博士は自分の作った怪物にやられたのか?
自爆装置のスイッチを船長に入れさせるモービアス博士。
アルテア4を離れる円盤。
アルタは当然います。ロビーもいます。
爆発するアルテア4。地球に向かう円盤。
エンドとなります。
この作品が年月を経ても残ったのはヒロインのアン・フランシスとロボットのロビーからでしょう。けっしてレスリー・ニールセンが主演だったからではない。
そんなわけで有名な割にはまあまあな作品でした。
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>東宝特撮の方が全然いいです。
公開時点の新作で見たときの印象は、東宝なんかとは比べものになりませんでしたよ。
今の東宝と比べてはかわいそうだと思いますが?
投稿: コウスケ | 2009.08.09 11:39
コウスケさん、コメントありがとうございます。
私が言いたかったのは、光線作画のみで、1960年代の東宝特撮と、比較したつもりでしたが、私の言葉足らずで誤解を招いたようです。
そんなわけでよろしくお願いします。
で、現在の東宝の特撮は論外で全く比較や評価の対象にはなりません。この点はコウスケさんと同意見となります。
投稿: ロイ・フェイス | 2009.08.10 19:10