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2005.07.10

『飾り窓の女』(1944年)

この作品はフリッツ・ラング監督の巻き込まれサスペンスです。よく言われる驚愕の落ちというフレーズがつく作品になっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1944年 インターナショナル・ピクチャーズ/ナナリー・ジョンスン・プロ/RKOラジオ・ピクチャーズ アメリカ作品
原題◆Woman in the Window
スカイパーフェクTV312 CSN1ムービー・チャンネルにて。画質はなかなかよい。
プロット 飾り窓の女で悪戦苦闘してトンデモないひっくり返るオチになる話しのようです。念のために書きますがこの作品はコメディではなくフィルムノワールです。
音楽 アーサー・ラング

キャスト
エドワード・G・ロビンソン→犯罪学のR・ウォーリー教授
ジョーン・ベネット→飾り窓の女アリス・リード
ダン・デュリエ→脅迫者の男/倶楽部のドアマン
レイモンド・マッセイ→ 顔だけで鬼検事のフランク・レーナー
エドモンド・ブレオン知人の医者マイケル
アーサー・ロフト→殺されたフランク・ハワード=クロード・マザード/倶楽部のクローク、チャーリー
トーマス・E・ジャクソン→ジャクソン検査官
アーサー・スペース→死体遺棄現場のケネディ警部

フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。
脚本ははダリル・F・ザナック専属で有名なナナリー・ジョンスンが書いてます。製作もナナリー・ジョンスンがやっていました。

プロローグ
奥さんと2人の子供が出かけて気楽な夜が過ごせる日。倶楽部で雑談をしています。当時のスター女優のラナ・ターナーとかリタ・ヘイワースの名が出ています。

エドワード・G・ロビンソン教授が飾り窓の女ジョーン・ベネットに出会うシークエンスは特殊効果は使っていなくてガラスに映る姿だけで描写しています。シンプルですが上手い描写です。
で、ジョーン・ベネットのアパートに行ったら午前01:00に男がやってきます。時計が眼につくように配置されているので経過時間はわかりやすくなっています。
ハサミで殺す手法はこの作品でもうやっていたんですな。男が男を殺すんですがね。

ショットごとでサスペンスになっているのではなくて設定でサスペンスしています。
伏線の張り方が基本的処置の図です。薬とか、前振りがあると必ず後で効いてくるようになっています。これは脚本のナナリー・ジョンスンが上手いからでしょう。

死体を処理しようとしますが事はスムーズに運ばず何かと引っ掛かって印象に残る行動になっていました。どれも有力な証拠になりそうでスリル満点です。

殺されたフランク・ハワードことクロード・マザードは大企業のワールド商事の会長で大ニュースになってしまい苦境に至ります。その上にこの会長の用心棒が脅迫に来てまた苦境に至ります。それでいつ死体を始末した教授が捕まるのかと引っ張ります。ところでこれは倒叙形式になるのか?、なんか変な倒叙形式です。面白くてよいけど。

ボーイスカウトがクロード・マザードの死体を発見しましたというとこはニュース映画として描写されててギャグ1発が入っていました。
この少年の言うことがよくて「ボーイスカウトは死体を恐れません」ときて、「懸賞金の10000ドルでハーバード大学に行きます」だって。見てる方はそれは感心なことでとなるか、むかついて蹴りをいれたくなるか、反応がむずかしいとこです。

エドワード・G・ロビンソンとジョーン・ベネットの2人は事件の後は2度と出会わないとのことでしたがあっさりと教授の身元がベネットに分かってしまうとこは上手でした。急に電話がかかってきて何事かと思えば新聞で知りました。昇進おめでとうとなる。似たようなシチュエーションが『太陽を盗んだ男』(79年)であったような。捕まったのかと思わせて実は表彰されるとこでしたというシーンです。あれは上手かったな。

エドワード・G・ロビンソン教授は自分に処方された劇薬で脅迫者を始末しようとベネットにやらせようとしますが失敗となります。
ここも脅迫者が死んだことを知ったベネットが教授に知らせようとするとこも上手く活用してサスペンスにしていました。ですから何重にもなっている設定だったのです。上手いです。

で、ラストにはこれは見ている人がひっくり返るオチとなるわけです。
夢落ちの手法が中々気がきいていてよい。眠っているショットが2重に生かされているのです。こっちは自殺かと思っていたら単にうたた寝していただけとはね。騙すのならこのくらい上手くやってほしいものです。ここはカットを割らずにワンショットで描写しているのが憎いね。ワンショットなのでサプライズがあります。
絶体絶命の図からカットを割って起きるとこにつなぐのがイマイチなやり方なのです。芸がないに尽きるのです。こうゆうのが案外多いかったりします。

会員制と思われる倶楽部が出て来ます。こんな感じのは日本にもあるのかいな。ないかな。で、教授が眼が覚めてからフロント(殺され役との)とボーイ(ゆすり屋役との)の2役は悪ノリですな。まあいいけど。ラストのラストの飾り窓の女は別人のようです。ジョーン・ベネットは2回は出ていないはずです。

ジョーン・ベネットは素敵です。
黒のドレスで髪をブルネットと全身は黒で統一されています。コートを脱ぐとこのドレスは上半身が黒のシースルーでインナーが白となっていて、ちょっと見だと全部透けて見えるようになっています。これはいいです。
部屋着の胸の開いたブラウスにロングスカートが素敵です。

教授の知人フランク・レーナーはレイモンド・マッセイが演じるとその顔だけで鬼検事になります。マッセイが捜査状況を言えば全てお見通しのよう思えて教授はまた不安になります。

脅迫者の男ダン・デュリエは半分以上過ぎてから登場。なかなかの脅迫ぶりでした。ですがこの当時の倫理コードでは悪は必ず報いを受けなければならないので何でそんなことでと唐突に死に至ります。


これはまた面白くて名高いだけはあるよい作品でした。


『飾り窓の女』(44年)を見たら似たタイトルの『幻の女』(44年)も見たくなります。

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