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2005.07.30

『幻の女』(1944年)

この作品はロバート・シオドマク監督でエラ・レインズ主演の巻き込まれサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1944年 ユニバーサル アメリカ作品
原題◆Phantom Lady
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
プロット 幻の証人探しをする話しのようです。

キャスト
エラ・レインズ→ヒロインのキャロル 通称カンサス
フランチェット・トーン→スコットの友人ジャック・マーロウ
アラン・カーティス→容疑者のスコット・ヘンダーソン
トーマス・ゴメス→バージェス刑事
フェイ・フェルム→幻の女/心の病気のアン・テリー
アンドリュー・トームズ→バー・アンセルモのバーテン マック
オーロラ・ミランダ→カジノ劇場の歌姫エステラ・モンテロ
エリッシャ・クック Jr.→ドラムス担当のクリフ
レジス・トゥーミー→チューインガムの刑事
ジョセフ・クレハン→年配の刑事
ドリス・ロイド→帽子屋のケテイシャ

ロバート・シオドマク監督の演出はよいと思います。
アソシエート・プロデューサーにアルフレッド・ヒッチコック監督とも仕事上の関係があるジョーン・ハリソンの名があります。

N.Y.が舞台です。土曜日の夜から話しは始まります。
アラン・カーティス扮する主人公のスコット・ヘンダーソンは夫婦仲が悪く奥さんと口げんかをした1人でバーヘ行き派手な帽子の黒いドレスの女性と知り合います。
その女性を誘って奥さん一緒に見るはずのブロードウェイの舞台を見ることになります。
暑い季節で皆汗をかいています。まだエアコンがないのです。

幻の女ならぬ容疑者の女。現在の日本にてニュースで〜の女と称するのは犯罪者と決めつける時のようです。この場合は女って差別用語か?と思えたりします。凄く印象が悪く聞こえます。

舞台を見に行くとショーの主役の人が幻の女がかぶってるのは私と同じ帽子じゃないのと怒るとこがあります。これは伏線になっていました。

舞台を見終わってスコット・ヘンダーソンが帰宅すると刑事が3人待っています。最初から夫を犯人扱いしているのがリアルです。
不仲の奥さんマルセラは死体となっていて登場せず。発見時も運び出す時も死体を見せないようになっていました。部屋には奥さんの肖像画が飾られていました。
その後の事情聴取では証人は容疑者の夫といた女のことは知らないと証言します。反証がなくこれであっさりと有罪となります。これでアラン・カーティスはラストまで出番がなくなります。主人公ではなかったようです。
事情聴取からすぐに裁判となります。速記の描写があります。これは興味深い。
傍聴席で票決を聞く心配そうなヒロインの後には意地汚く食い物を食いながら興味本位で見ているおばさんがいたりします。これと同じ描写がアルフレッド・ヒッチコック監督の『私は告白する』(52年)でもあったりします。この作品が元ネタだったのか。

典型的なフィルムノワールルックな映像となっています。黒白のコントラストがあって効果的に影を使う手法です。
タバコを吸う描写が多い。1940年代の作品らしいです。
バーテンの尾行シーンでロングでのバックは高架鉄道等をマット画の合成になっていました。こういうのは好きな手法です。

ヒロインは幻の女探しのためバーを張ることになります。3日となったとこでバーテンとコンタクトするがバーテンはクルマに轢かれて死亡となります。これは単なる偶然のようです。
その後にトーマス・ゴメス扮するバージェス刑事が裁判を見て気が変わったとヒロインに協力することになります。

次にはエリッシャ・クック Jr.扮する見に行った舞台でドラムス担当のクリフを引っかけるためにビッチなドレスでジーニーと名乗って接近することになります。口元をホクロもいい、これは付けホクロなのかな。
クリフはドラマーなのでジャムセッションに連れていったりします。こちらの方が本職のようです。
クリフの部屋まで付いていってようやく帽子のことから買収されて黙っていることにしたと聞き出すがクリフは殺されてしまいます。これで見てる人だけにはネタバレとなります。
エリッシャ・クック Jr.はこの作品でも死んでいますが他の作品でもホントによく死にます。

拘置所に入れられて姿を見せなくなった土木技師のスコット・ヘンダーソンに代わるかのようにフランチェット・トーン扮するスコットの友人ジャック・マーロウが登場します。見ている人にはネタが割れていますが登場人物は知りません。これでサスペンスになっています。

そんなこんな協力者のバージェス刑事がフィラデルフィアに行かなくてはならなくなりヒロイン単独で行動することなってしまいます。こういう設定は好きだな。
ようやく帽子の箱から舞台女優と同じ帽子のを頼んだとわかり会いに行きます。それでどうなると話しは進行します。

私はウイリアム・アイリッシュの原作は読んでいません。おそらく映画は原作とと違っていると思えます。これだと原作ファンの人は途中で犯人がわかってしまうではないかと不満になると思えますが映画ではこれでいいと思えます。

エラ・レインズ扮するヒロインのキャロルは土木技師のスコット・ヘンダーソンの秘書のような仕事をしています。ブルネットの受付担当の秘書もいます。通称カンサスは出身地から来ているようです。
痩せているレイチェル・ワイズといった感じでよかったですよ。

フランチェット・トーン扮するスコットの友人ジャック・マーロウの性格描写。自分は人とは違い天才だと思い込んでいの超人思想の持ち主のようです。ロバート・シオドマク監督はこの手のキャラを描写するのが得意のようです。


『飾り窓の女』と比較すればキャストが弱いし製作規模もB級のようです。でも悪くはないです。そんなわけでエラ・レインズがよかったフィルムノワールのよい作品でした。

『幻の女』(44年)を見たら似たタイトルの『飾り窓の女』(44年)も見逃すわけにはいきません。

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