『西部魂』(1941年)
この作品はフリッツ・ラング監督のウエスタンです。これは珍品でしょうと予想して見ましたがラング監督はウエスタンを数本撮っているから珍品というわけではなさそうです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1941年 20世紀フォックス アメリカ作品
原題◆Western Union
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質は結構よい。カラーです。
プロット 電信のための電柱工事で悪戦苦闘する話しのようです。
キャスト
ランドルフ・スコット→ガンマンのショウ
ロバート・ヤング→東部のドラ息子ブレイク
ディーン・ジャガー→ウエスタン・ユニオンのクレイトン
バージニア・ギルモア→クレイトンの妹でヒロインのスー
バートン・マクレーン→悪役のジャック・スレイド
ジョン・キャラダイン→ドクター
フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。
カラーでも結構いけてるし、ウエスタンでも快調そのもの。これはたいしたものです。才能のある人は違うのですね。それなら英国出身のアルフレッド・ヒッチコック監督も何かの間違いでウエスタンを撮ったらどういうふうになったか?興味深いとこです。
何かの間違いといえばヒッチコック監督はアメリカ式のロマンティックコメディは全く理解出来ないと『映画術』で言ってました。それなのにそのアメリカ式のロマンティックコメディ『スミス夫妻』(41年)を取ることになってしまい分からないので脚本の通りに撮っただけと称していました。時間の無駄だから出来るだけ早撮りにしたとなっていた。
始まってバッファローの群れが丁重に撮っていて何か意味があるのかと思ってたら特に意味はなかった。ドイツ人のラング監督にとって珍しい風景なのでこうなったようです。
ランドルフ・スコットは何かやらかして逃走中に馬を失い馬を奪おうしたけど怪我人を助けることになりその代わり馬をもらいます。
その怪我人がディーン・ジャガー扮する電信会社ウエスタン・ユニオンのクレイトンで後で雇われることになります。
撃ち合いになる直前に街の効果音等がフェイドアウトして静寂の中始まります。
ラストの撃ち合いのシーンはウエスタンにしてすっきりとはしない少しオフビートな感じでした。よくいえばオフビート悪くいえばだらだらとまるでサム・ペキンパー監督の『昼下がりの決斗』(61年)のようです。ランドルフ・スコットも出ていたし・・
ランドルフ・スコットは何で帽子のあごひもをちゃんとあごにかけているのでしょう。どの作品でもたいていそうしています。このようなスタイルはあまり見ないので目立ちます。
ロバート・ヤング扮する東部のドラ息子ブレイクは調子がよくて腕もたつ、いい男です。よくあっています。
ディーン・ジャガーはこんなルックスなんだとなります。『パニシング・ポイント』(71年)のヘビ採りのおじいさんとしか認識していないもので。若い時もあったのですね。
と、男が3人でヒロインが1人という人物配置です。少しキャラクターを多すぎるような感じもしますがラング監督なら上手く裁いてて大丈夫です。
インディアンのスー族で出ていてヒロインの名前がスーとは洒落ということなのかな。
ヒロインを巡って三角関係などルーティン描写が多い。でも演出がよければいいのです。実は悪役のジャックことバートン・マクレーンはランドルフ・スコットの実の兄だったのだという衝撃の事実、よくある黄金の設定があります。
ランドルフ・スコットとバートン・マクレーンは全然似てなくて分かるわけが無いので私には見事に衝撃の事実になりました。
この悪役の実の兄はは白人のくせにインディアンのふりをしたり悪行の限りをつくします。それなのに俺は南軍なんだとうそぶきます。戦争行為の一環としているのか?独立戦争中の設定のようです
中折れ式のリボルバーを使用。また金属薬莢ではなくて弾丸はシリンダーごと交換しているようです。史実に忠実なのかも?。
電信会社クレイトンが駅馬車中継所で手当てを受けてお礼をする人のリアクションのセリフがいい、「いい人だけど、電信は信じない」となっている。
ウエスタン・ユニオン電信会社はオマハをベースとしていた。これから電柱工事に出発は人を雇うシーンでコックを逃がすなとギャグが入ります。
電柱なんて初期の頃はいたずらやその他の理由で電線を切られたりと大変だったと思われます。
これは結構面白いウエスタンのよい作品でした。
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