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2005.02.06

『ザッツ・エンターテインメント』(1974年)

この作品はジャック・ヘイリーJr.監督のトーキーから1950年代頃までのMGMミュージカルのアンソロジーのようです。
見てるだけで楽しくなり私の大好きな作品の感想です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1974年 MGM アメリカ作品
ランニング・タイム◆135分
原題◆That's Entertainment!
プロッ◆ MGMミュージカルのアンソロジーと紹介です。
音楽というより編曲 ◆ヘンリー・マンシーニ
ワーナー発売のDVDにて。画質はよいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。フルスクリーンだけど左右にわずかに黒味がある。もちろん古い作品はスタンダードサイズなので左右に大きく黒味がある。
進行役が登場するとシーンはスタンダードサイズになっています。最初だけかと思ったら全てのシーンかそうなっていました。
新しく付けた音楽はDolbydigital5.1chになっているようです。古い作品でもリニューアルしてDolbydigital5.1chにしてるのもあるみたい。

キャストというより進行役担当のようです。登場順です。
フランク・シナトラ
エリザベス・テイラー
ピーター・ローフォード
ジェームズ・スチュアート
ミッキー・ルーニー
ジーン・ケリー
ドナルド・オコーナー
デビー・レイノルズ
フレッド・アステア
ライザ・ミネリ
ピング・クロスビー
再度フランク・シナトラ

ジャック・ヘイリーJr.監督の演出というか編集はよいと思います。
進行役を使う演出はよいとなります。
全体的にジュディ・ガーランドと振り付けのバズビー・バークリーがフィーチャーされているような感じがします。
ジーン・ケリーはフレッド・アステアの紹介をして、フレッド・アステアはジーン・ケリーの紹介をしています。

ミュージカルは好きなんですが致命的な欠点があります。
素晴らし過ぎるミュージカルシーンに比べるとどうしても悪くはない本編でも非常に退屈に感じるのです。アクション物や特撮物と共通している欠点です。

冒頭にMGM50周年記念は出ますが2004年現在のMGMを思うと何だかむなしくなります。
2005年現在は過去の作品は根こそぎワーナーに持って行かれ残りはソニーに買われてしまった。何が残っているんだ?過去の作品も映画を作るノウハウも残っていないのでは?
ワーナーにMGMの過去の作品を持ってかれたのはテッド・ターナーが原因です。C NN等の景気がいい時にMGMを買収して後にタイムワーナーに身売りした時に何故かこうなったようです。


プロローグ。
クリフ・エドワーズのからの『雨に唄えば』メドレーです。ジミー・デュランテ→ジュディ・ガーランド→『雨に唄えば』(1952年)の主演3人となります。

タイトル。
早速フランク・シナトラが登場。
偏見があるせいか何か聞いていると一々気に障るナレーションです。
MGMミュージカルは1929年からとのことです。サイレントからトーキーになったばかりでもうミュージカルなのかと感心します。
『ブロードウェイ・メロディ』(1929年)◆唄とタップダンス。
『ロザリー』(1937年)◆エリノア・パウエルの見事なタップダンス。
『ローズ・マリイ』(1936年)◆ネルソン・エディとジャネット・マクドナルドの唄。
『巨星ジーグフェルド』(1936年)◆巨大な塔。クレーンのカメラ。左右から閉じる幕の揺れ方でこのセットの巨大さがわかります。
『踊るニューヨーク』(1940年)◆フレッド・アステアとエリノア・パウエルのタップダンス。これが傑作で何度見ても楽しい。シナトラのナレーションがかぶるのはマイナスです。
『下町天国』(1947年)◆シナトラとジミー・デュランテの唄。最初の手を掴み止めるショットは決して食い逃げを捕まえるとこではない。ハート云々と歌っていますが肝心のシナトラにはハートがあるのか?もしかしたらないのでは。

エリザベス・テイラー登場。
『万雷の歓呼』(1943年)◆レナ・ホーンの唄。1940年代で黒人女性がよく映画に出れたなと感心します。
『野球場に連れてって』(1949年)◆シナトラとジーン・ケリーのソング&ダンス。このナンバーを見て察するにどう見てもジーン・ケリーはシナトラの太鼓持ちなのではと思わせます。ホントは出たくはなかったと思えます。シナトラよりキャリアが浅いので断れなかったのでしょう。キャリアが先のフレッド・アステアは断れたでしょう。
ジーン・ケリーはシナトラより少し上手くダンスしてる?。これで意地を見せるというか憂さを晴らしていたのか?、普通はシナトラに合わせてダンスするとこを少し上手くダンスする。なるほど。
『グッド・ニュース』(1947年)◆ジューン・アリスンとピーター・ローフォード。これは群舞の傑作です。でも本編は退屈そうです。
そういえばジューン・アリソンとジェーン・ワイマンを混同していました。まだ他にもあるけど。

ピーター・ローフォード登場。
この人はマジでシナトラの腰ぎんちゃくです。使い走りともいう。
『ハーヴェイ・ガールズ』(1946年)◆ウエスタン・ミュージカル。ジュディ・ガーランドの歌"On the Atchison, Topeka and the Santa Fe"が最高です。汽車も登場しています。

ジェームズ・スチュアート登場。
ミュージカルの歴史のお勉強となります。MGMのスター達の風景。メイキング等。
ロバート・モンゴメリーが唄って悪戦苦闘のシーン。この人はTVシリーズ『奥様は魔女』(1964年-1972年)のエリザベス・モンゴメリーの父です。
とても下品なジョーン・クロフォードが紹介されて、下品なダンスを見せてくれます。1930年代にしてはかなりなものです。
『無軌道行進曲』(1935年)◆ジーン・ハーローが歌います。これは上手くないのでハーロー本人が歌ってるのでしょう。
『暁の爆撃隊』(1935年)◆こっちでのジーン・ハーローは吹き替えで歌います。共演のケイリー・グラントは本人が歌っているようです。この人は何でも出来るの?
『踊るアメリカ艦隊』(1936年)◆ジェームズ・スチュアートが歌います。
『愚者の歓喜』(1939年)◆クラーク・ゲイブルのソング&ダンスが見られます。このナンバー『プッティン・オン・ザ・リッツ』は『ヤング・フランケンシュタイン』(1974年)でフロンコンスティン博士とモンスターのコンビが見せる芸でも見られます。
子役のジュディ・ガーランドがゲイブルに歌を捧げます。これは何だ?単なるやらせなのか?ところでファンレターを書くガーランドは左利きのようです。このシーンではゲイブルの出演作品がフラッシュバックで流れます。最後は映画ではなくプロモーションで実生活の夫人キャロル・ロンバートと一緒のゲイブルとなります。
ロマンティックコメディをこなせるかけがえのない女優キャロル・ロンバートは1942年に飛行機事故で死亡しました。

ミッキー・ルーニー登場。
子役がそのまま年取ったような感じです。正直言って異様です。
ジュディ・ガーランドとの共演作の数々。
ガーランドは下品なルックスだと思えます。カイリー・ミノーグのようです。
バスビー・バークレーの監督がどうのこうのと言ってます。振り付けではなかったのか?◆この人の振り付けの特徴は、俯瞰ショットの使用、群舞が得意、とにかく人数は多い。人数を生かした連続したアクションが得意のようです。

ジーン・ケリー登場。
フレッド・アステアの紹介をします。
『ジーグフェルド・フォリーズ』(1946年)◆フレッド・アステアとジーン・ケリーのダンス。2人の唯一の共演作。
『ブロードウェイのバークレー夫妻』(1949年)◆フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのダンス。タップではない。
『バンド・ワゴン』(1953年)◆フレッド・アステアとジャック・ブキャナンのソング&ダンス。
『恋愛準決勝戦』(1951年)◆フレッド・アステアと帽子掛けのダンス。
『ブロードウェイのバークレー夫妻』(1949年)◆フレッド・アステアと靴達のダンス。
『恋愛凖決勝戦』(1951年)◆フレッド・アステアは壁を伝い天井でもダンスが出来ます。これは傑作なナンバーです。
『バンド・ワゴン』(1953年)◆フレッド・アステアとシド・チャリシーの公園でのダンス。ターンし終わってストップしたとこで遅れてスカートが揺れます。これがいいです。

ジーン・ケリーを見ていたら誰かに似ている。
で、ジェイソン・ステイサムはジーン・ケリーに似ています。意外だけど似てる。

ドナルド・オコーナー登場。
エスター・ウィリアムズの作品の数々が紹介されます。
無意味に豪華なナンバーがそろっています。悪くはないと思えます。
ブランコから飛び込む群舞シーンが非常に印象に残ります。
マーク・スピッツとは時事ネタになっています。古びるネタです。

ドナルド・オコーナーは『カリブは最高』(1997年)に出ていました。
ジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビのコメディです。TVシリーズ『新スタートレック』(1987-1994年)にてアンドロイドのデータ少佐で有名なブレント・スパイナーが実は唄って踊れて悪役?兼コメディリリーフで出ていていました。

デビー・レイノルズ登場。
2004年現在も現役で活動中。娘のキャリー・フィッシャーは引退している。
MGM25周年パーティのシーン。
『小さな町の娘』(1953年)◆アン・ミラーのタップダンス。脚が素敵。バスビー・バークレーの振り付け。確かに風変わりで個性的です。
『The Toast of New Orleans』(1950年)◆マリオ・ランザのやたらと大きい声の歌。大きければいいわけではないと思えます。
『雨に唄えば』(1952年)◆ドナルド・オコーナーのソング&ダンス。壁を蹴って宙返りは見事です。ダンスナンバーに溶け込んでいるいい技です。
『ショウ・ボート』(1951年)◆群舞がいいです。有名な歌『オールマン・リバー』は付けたし?

フレッド・アステア登場。
ジーン・ケリーの紹介をします。
『踊る海賊』(1948年)◆ジーン・ケリーの他2人でのダンス。
『ビッグ・ウェイ』(1947年)◆ジーン・ケリーのハシゴを使ったスタントシーン。
『踊る大紐育』(1949年)◆またシナトラが出ている。今度はジーン・ケリーとジュールズ・マンシン〜の3人でソング&ダンス。
ところでMLBのN.Y.ヤンキースのヤンキースタジアムでのゲーム終了後にはシナトラのニューヨーク・ニューヨークが流れるそうです。傲慢なとこがイメージ的には合ってるじゃん。
『錨を上げて』(1945年)◆アニメのジェリーとダンスするジーン・ケリー。
『雨に唄えば』(1952年)◆タイトル名となっているの有名なジーン・ケリーのソング&ダンス。『時計じかけのオレンジ』(1971年)の挿入歌と後タイトルに使用されている有名な歌です。何であんな近未来暴力映画の歌になっているわけは撮影時にスタンリー・キューブリック監督にどうせ後で吹き替えるから何でもいいから知ってるのを歌ってくれと指示を受けた主演のマルコム・マクダウエルは唯一知っているこのナンバーを歌ったら独自の音楽センスを持っているキューブリック監督がこのナンバーを気に入って使ったとのことです。そんなわけで不満のある人は何でそんなとこで歌ったんだとマルコム・マクダウエルに不満をぶつけよう。
続けて同じ『雨に唄えば』(1952年)◆群舞の『ブロードウェイメロディ』これはまあまあ。

ライザ・ミネリ登場。
母ジュディ・ガーランドの作品の数々が紹介されます。
『オズの魔法使』(1939年)◆勇気のないライオンと脳のない案山子とハートがないブリキ男、ハートがないのはシナトラでスティーブン・キングの描写を借りれば、“エンジンの無いキャデラック”とはシナトラのことを言うのでしょう。
『ガール・クレージー』(1943年)
『若草の頃』(1944年)
『サマー・ストック』(1950年)◆ソング&ダンス。見事ナンバーです。『ゲット・ハッピー』これに合わせてガーランド出演作品のフラッシュバックが入ります。集大成といったとこです。→ですがまだ続きがあります。この後にワーナーで撮った『スタア誕生』(1954年)がまだあったりします。これでアカデミー主演女優賞を取ればよかったのですがどういうわけかグレース・ケリーが今でもあまり知られていないアル中の夫に尽くすメロドラマ『喝采』(1954年)で主演女優賞となったのです。

ライザ・ミネリを見ていたら誰かに似ている。
それはブリットニー・スピアーズです。実人生の展開も似ている。

ピング・クロスビー登場。
『虹の都へ』(1933年)◆マンハッタン駅のセットでのピング・クロスビーの唄。
『上流社会』(1956年)◆シナトラとクロスビーでどこが上流なんだと疑問もあります。アメリカではこの程度が上流なのかと思えば妙に説得力があります。このナンバーは正直言ってビデオクリップで見たことがあるパンクロックのデボラ・ハリーとイギー・ポップ版の方が私の好みです。少なくともハートはこっちのコンビの方がありそう。
同じ『上流社会』(1956年)◆クロスビーとグレース・ケリーのソング。『トゥルー・ラブ』
『艦隊は踊る』(1955年)◆お気楽な軍隊ミュージカル。
『略奪された七人の花嫁』(1954年)◆これは群舞の傑作。振り付けはマイケル・キッド。この名前からの連想でマイケル・トッド→リチャード・トッドとなります。
『恋の手ほどき』(1958年)◆レスリー・キャロンがヒロインです。このへんになるとMGMミュージカルもかなり疲れてきている感じがします。モーリス・シュバリエの歌はいいけど。
最近になってレスリー・キャロンがフランス人と知り驚きました。同じようにてっきりフランス人だと思い込んでいたジーン・セバーグがアメリカ人というもの驚いたものです。アイオワ州出身のフランス人はいないなとようやく気がついたものです。

またシナトラが登場。最後のナンバーを紹介します。
『巴里のアメリカ人』(1951年)◆さすがにナレーションはかぶっていません。でも途中でカットされています。全部見るにはオリジナルを見るしかないです。

後タイトル。
映像がストップすることやクレジットが出るとこが音楽とシンクロしています。立派なミュージカルナンバーになっています。これがいいのです。

私のお気に入りを3つに絞ると、
1.『踊るニューヨーク』(1940年)のフレッド・アステアとエリノア・パウエルのタップダンス。
2.ヘンリー・マンシーニ編曲の『ザッツ・エンターテインメント』が流れる後タイトル。
3.『恋愛淳決勝戦』(1951年)のフレッド・アステアの天井ダンス。
と、なります。他にもお気に入りはたくさんありますけど。


私がミュージカルを好きになった作品です。
初めて見たのは日曜の午前10時放映で実質90分位にカットされていたTV放送(フジテレビ)→2面に収まるように120分にカットしてありノイズまで入っていた輸入版LD→ノーカットにはなったけど120分以上となって3面となり再生時に入れ換えが面倒だった国内版LD→画質充分で一気に見られるDVDと、ようやくここまでたどり着きました。
そんなわけで何回見ても楽しいよい作品でした。傑作です。



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