『尼僧ヨアンナ』(1961年)

この作品はイエジー・カワレロウィッチ監督、ルチーナ・ウィンニッカ、ミェチスワ・ウォイト主演の大まじめな宗教ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1961年 ZRF "Kadr" ポーランド作品
ランニング・タイム◆111分
原題◆Matka Joanna od aniolów
プロット◆尼僧が悪魔に憑かれ神父が悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆使われていないそうです。
スカイパーフェクTV e2 CS224 シネフィルイマジカにて。画質はよいです。スクイーズ収録録画のフル表示。画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。

キャスト
ルチーナ・ウィンニッカ→件の尼僧ヨアンナ
ミェチスワ・ウォイト→5人目のスリン神父/ユダヤ人のラビ
アンナ・チェピエレフスカ →門番のシスター・マウゴージャータ
Jerzy Kaczmarek→宿屋の下男カジューク
Kazimierz Fabisiak→オッサンのブリム神父
Zygmunt Zintel→宿屋の主人ヴォオトコビッチ
マリア・フヴァリブク →宿屋の女将アウドーシャ
スタニスラフ・ヤシュキェヴィッチ →にやけた感じの逃げた男
話しに出てきただけの火刑にされたガルニェツ神父

この作品は尼僧が悪魔に憑かれるというプロットが気に入って興味本位で見ました。私は宗教にはくわしくありません。

イエジー・カワレロウィッチ監督の演出はまあよいと思います。

話しに出てきただけのガルニェン神父は悪魔おろしに失敗して既に火刑に処されて登場していません。

5人目の神父が修道院にやってくるとその失敗した前任者が火刑に処された跡が残されていました。
結局、本当の超常現象なのか集団ヒステリーなのかは曖昧なままでした。終わり方もあっけなかった。悪くはないです。
会話シーンでの切り返しはやっていません。パンニングは使っていました。

顔だけ見せてて後ろ姿は頭まで完全に覆って生身が見えない尼僧が振り向いたら悪魔が憑いてるということです。これはなかなかでした。8つの悪魔に取り憑かれてことになっていました。

タイトル
ZRF "Kadr"
床に腹ばいになって両手を広げてるスリン神父が祈っています。

スリン神父が起き上がります。ここは宿屋のようです。
窓を開けると鐘が鳴っています。
神父の荷物の中にムチがあります。短くて房になってるムチです。
何故か歌が流れています。それは宿屋の女将アウドーシャが楽器を弾き語りしているからです。

食堂で食事のスリン神父。
女将アウドーシャは歌をやめて出て行きます。食堂にはオッサンの先客がいます。
このオッサンは宿屋の主人ヴォオトコビッチでした。スリン神父のパンの切り方に難癖つけています。
宿屋の女将アウドーシャがスープを持ってきます。
アウドーシャは占いもやってるらしい。スリン神父を占うと不吉なようです。
尼僧と出会うと言ってるがそりゃそうです。
下男カジュークが登場。

スリン神父はここに来ることは極秘のはずですが何だかもうバレバレのようです。
で、スリン神父が尼僧院に赴任してきたことを知っていきなり低姿勢になってる宿屋の主人ヴォオトコビッチ。
また弾き語りの女将アウドーシャ。
若い男も登場。これも下男のようです。

下男カジュークがスリン神父を尼僧院まで案内します。

宿屋に残った人達は尼僧院の噂話になっています。
あることないこと喋りまくっています。
冗談を言うなと制する男もいる。別に信心深いわけではなくて教会に漏れるのを恐れているらしい。
そんな感じでこれまで悪魔払いに神父が4人来て全員失敗して、今度が5人目らしい。

下男カジュークがスリン神父を案内しています。
途中に失敗した神父が火刑にされた火刑台跡が残されています。
火刑にされたガルニェツ神父の子供2人が登場。下男カジュークと遊んでる。
オッサンのブリム神父が子供を連れていました。スリン神父と話し込む。
先任神父の話をしています。それから私はオッサンだからヨアンナ様のお気に入りではないとか言ってるブリム神父。
ここでは苦労しますよと脅かしています。
で、ブリム神父は子供2人を連れて帰ります。

いよいよ尼僧院に入るスリン神父。
門番のシスター・マウゴージャータがドアを開けます。これが美人なんです。
賛美歌が聞こえます。この作品は音楽はないけど歌は結構流れています。

シスター・マウゴージャータの案内で中に入るスリン神父。
で、シスター・マウゴージャータと入れ替わりでいよいよヨアンナが入ってきます。
ヨアンナは両目の間隔が離れがち、鼻筋は通って、厚い唇、凄い美人です。
ヨアンナは自分から悪魔がどうのこうのと言っています。
スリンは悪魔に取り憑かれるのは隙があるからだと説教しています。
まだまともなヨアンナです。スリン神父に助けて下さいと言ってる。

ベッドの隅で悪魔を見ましたとヨアンナ。
後姿のヨアンナがいきなり振り返ると別人になっているというわけです。
笑い声と共に振り返るともう別人になっています。悪魔になって色々と喋っています。
スリン神父は悪魔よ去れと言って、エクソシスト物のルーティンな展開になっています。
脚を見せてスリン神父が怯んだ隙にドアから出て行くヨアンナ。出て行く時に壁に手形を残していきます。

宿屋にて。
門番のシスター・マウゴージャータが来ました。
女将アウドーシャと雑談となっています。息抜きで尼僧院内のことを喋りまくっています。それでいいのか。

男が話しかけてきます。
これが身分があって金持ちそうな男でに薄っぺらくてにやけた感じがメル・フェラーにそっくり。そうなるとどんなキャラなのか想像出来ます。
有名な尼僧に会えて光栄ですとお世辞を言ってます。

手形のことがもう話しに出ています。墨の手形らしい。
オッサン達がシスター・マウゴージャータに酒を飲まそうとしています。
結局飲んでるシスター・マウゴージャータ。
後ろ姿から振り返ると歌を歌ってるシスター・マウゴージャータ。悪魔憑きのようなものなのか。
スリン神父が来たと声がかかる。急いでここを出るシスター・マウゴージャータですが出たとこでスリン神父と鉢合わせとなる。
言い訳をしてるシスター・マウゴージャータ。

悪魔を斧を置いたというセリフから斧が樹に刺さってるシーンが入ります。
何の意味があるのかと思ったらこれは伏線でした。

ところでスリン神父は夜になると宿屋に戻り寝てるのか？
私は神の使いと称する鏡に映った自分と会話しています。
光の国から来たと言ってるもう一人の自分。それはウルトラマンのことか？

厩にて。
下男カジュークともう1人の下男が馬の世話をしています。
雑談になっています。悪魔を見たとか・・・
この2人を厩で寝るようです。

尼僧院にて。
ヨアンナが歩いています。尼僧達が続いて歩いています。何が始まる？
尼僧の1人だけがクルクルと回る。なんなんだ？
広間に尼僧達が入る。回りには村民が大勢見物しています。
高名な神父4人がそろっていて悪魔払いの儀式を行うようです。
ほうきに聖水を含ませて尼僧達にかけています。悲鳴を上げて逃げ回る尼僧達。
神父は悪魔は肉体から出ていけとやっています。
後ろ向きで両手を上げてるヨアンナ。そのままブリッジしています。で、呪いの言葉を吐き散らす。ルーティンな展開です。いいな。
どうやら悪魔が1人だけ去ったようです。ですが悪魔は何人も取り憑いていたはず。
また違う悪魔だとやっています。まだダメです。
この悪魔払いのシーンは延々とやっています。
ヨアンナは床を転がって出入り口からズラかろうとしますが取り押さえられてベンチを縄で縛りつけられる。この手のマニアの方々は必見のシーンになります。
神父4人がそろって十字架を突きつけて悪魔払いとなります。
縄脱けの術で拘束から逃れるヨアンナ。これは凄い。まるで忍者のようです。
新任のスリン神父はずっと側で見てるだけです。

倒れるヨアンナ。他の尼僧達も倒れます。
両手を左右に広げたまま倒れてる尼僧達。何か不思議なシーンになっています。
これでエクソシストショーは終わったようです。

ムチのクローズアップ。
このムチを手にとるスリン神父。上半身裸になって自ら鞭打ちをやっています。
マジで鞭打ちをやってるようです。特殊メイクなしで背中が腫れてるみたい。

門番のシスター・マウゴージャータが下男と雑談しています。
ヨアンナ様だけは隔離されてるとか・・・

スリン神父は床に腹ばいになって祈ってます。
ヨアンナに跪きなさいとスリン神父。祈りなさいとスリン神父。
他の神父4人をいます。
またヨアンナは悪魔憑きになってるようです。服を破って一瞬おっぱいを見せています。
これで終わりかい。

今度は厳重に鍵がかかったドアを開けます。するとそこは尼僧達の服を干してある部屋です。鳩が飛んでいます。ジョン・ウーではない。
尼僧の服を干すのは外から見えるとこに干せないからこのような部屋かあるようです。
ここに2人きりになるスリン神父とヨアンナ。ドアを締まります。
ヨアンナは洗濯物の影に隠れています。父は貴族で没落して、私は尼僧になったと。
悪魔に取り憑かれたのは私の責任でしょうか？とか言ってるヨアンナ。
自ら背中に鞭打ちをするヨアンナ。スリン神父も同じことをやっています。
どうやら鞭打ちは終わったようです。
スリン神父の手にキスをするヨアンナ。悪魔はあんただと言ってスリン神父は出て行きます。
残されたヨアンナは泣いてます。

宿屋にて。
鐘の音がが聞こえています。
外では下男2人が格子を作っています。
門番のシスター・マウゴージャータが来ました。女将アウドーシャ相手にまた尼僧院内のことを喋りまくっています。

あの薄っぺらくてにやけた感じの男がまたシスター・マウゴージャータに話しかけています。
弾き語りの女将アウドーシャ。結構音楽はあります。

格子を運んでる下男2人。

スリン神父は呼ばれています。ユダヤ人のラビと面会するようです。
ここはスリン神父とラビは同じ俳優が1人2役しています。
何だかよくわからん宗教的な問答となります。
ラビはヨアンナはあれが本来の姿だと言ってます。
天使とは？、悪魔とは？とか、悪魔はどんな時に取り憑く？
で、尼僧院に戻るスリン神父。鐘が鳴っています。

尼僧院にて。
ヨアンナを呼び出すスリン神父。
作らせた格子を挟んで対峙しています。ヨアンナは座敷牢状態なのか？
また悪魔憑きになってるヨアンナ。色々と喋っています。
いかにして救うかとスリン神父。
ヨアンナの手にキスをしている神父。そこを窓から覗いてる宿屋の主人と下男。見つかって大急ぎで逃げています。屋根に上って覗いていたようです。
格子越しにキスをされたらしくスリン神父はいきなり出て行きます。

子供2人が遊んでいます。
ブリム神父のところに来てるスリン神父。
気分転換にどこかに旅行に行った方がいいとか無難な助言をしているブリム神父です。
私が悪魔だと相当思い詰めてるスリン神父。私に取り憑いてるのは彼女の肉体に取り憑いた悪魔だと言ってます。

いきなり主観ショットになって坂を転げ落ちています。
これはスリン神父の主観ショットでしょう。

宿屋にて。
椅子に座り込んでるスリン神父。
そんなことに馬を走らせて誰かが来ます。あの言い寄ってる薄っぺらくてにやけた感じの男です。
馬に乗ってるぐらいだから身分とカネがある男なのでしょう。
で、馬がなかなか落ちかつかないシーンがあります。意味不明。

座り込んでるスリン神父のとこに歌が聞こえます。
ドレス姿のシスター・マウゴージャータがあの男とダンスをしています。
そんなとこにスリン神父が入ってきてその場が凍りついています。
目一杯気まずい雰囲気で1人1人出て行きます。残ったのは笛を吹いてた宿屋の主人だけ。

厩にて。
下男2人はヨアンナ様の悪魔はスリン神父に取り憑いてると言ってます。

スリン神父は鏡を見て話をしています。
私に取り憑いてろと言ってるスリン神父。斧のある場所は覚えてるとセリフが入る。

で、移動して斧を手に取るスリン神父。厩に向かいます。
馬の首でもとるつもりなのか？

ベッドのシスター・マウゴージャータ。
あの薄っぺらくてにやけた感じの男は1発やったのでこの場からズラかるようです。
で、マジで馬に乗ってズラかっています。

シスター・マウゴージャータは宿屋の女将アウドーシャに泣いて文句を言っています。やられ損の典型的なパターンらしい。
そんなとこに宿屋の主人が厩で下男2人、カジュークとユーライが死んでると知らせに来ます。

シスター・マウゴージャータがスリン神父を呼びに行ったら、当のスリン神父は斧を手にしていました。
静かにしろと。これで私は永遠に悪魔と共に生きますとスリン神父。尼僧院に帰りなさいとシスター・マウゴージャータに言ってます。
シスター・マウゴージャータは帰りたくないと言っている。
私に悪魔が取り憑いてもうヨアンナに戻らないようにしたと伝えてくれと言ってるスリン神父。

ドレス姿のまま尼僧院に入るシスター・マウゴージャータ。
余計なことですが早く着替えた方がいいような気がする。
座敷牢のヨアンナと面会して手を取り合って2人とも泣いています。

鐘のクローズアップショットが入りエンドとなります
これで終わりかい。わけわからん。そんなものらしい。

そんなわけでアートシアターまではいってないけど娯楽作ではないけど、よい作品でした。

この作品は町山智浩の批評の通り『エクソシスト』(1973年)の元ネタのようです。
実は怖くて『エクソシスト』(1973年)は未見なんですが・・