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2011.01.09

『ラ・ジュテ』(1962年)

この作品はクリス・マルケル監督の有名なタイムトラベル物のSFドラマの中編のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1962年 Argos Films フランス作品
ランニング・タイム◆28分
原題◆La Jetee
プロット◆近未来から過去と遥か未来を行き来する男の話のようです。
音楽◆トレバー・ダンカン
イマジカ/カルチュア・パブリッシャーズ株式会社/ビーム・エンタテインメント発売のDVDにて。画質はそれなによいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはややワイド。フル表示だと画面の上下左右に黒味となってしまうのでスーパーライブで見ました。こうすると上下に少し黒味ある程度になりました。

キャスト
ダフォ・アニシ→タイムトラベルする男性
エレーヌ・シャトラン→過去の女性
ジャック・ルドゥー→担当の科学者
ジャン・ネグローニ→ナレーター


クリス・マルケル監督の演出はよいと思います。
スティルによるモンタージュ。
押井守監督の『紅い眼鏡』(1987年)『天使のたまご』(1985年)に引用されています。
強い影響を受けたとの押井守監督のインタビューからするとそんな感じがします。

スティルでもモンタージュで映画が出来る。
こんなの簡単だよと思うことだけは誰でも出来る。で、実際に作った人は偉い。

カット割りと溶暗を基本にしてオーバーラップも少々。
戻って来るときにはオーバーラップ使用。
動くショットはヒロインは目を覚ます時のみです。
『天使のたまご』のラストシーンのような引くオーバーラップのシーンがありました。未来都市のイメージのシーンでした。
望遠鏡みたいな眼鏡が出ていました。特にラストでの追跡者を描写するためのアイテムとしてです。この引用も『攻殻機動隊』(1995年)に出てくるキャラのバトーはこのスタイルのサイボーグです。

そしてプロローグに戻ります。この構成はいい。私はこれが好きなんです。

テリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995年)はこの作品のテイストをよく受け継いでいました。

この作品は当時流行っていた冷戦時代の核戦争物らしい。
話は平凡ですが演出スタイルで後世に残る作品となったようです。


始まります。
黒味でジェット機の音がします。オルリー空港にて。
タイトル。
フランス語なのでよくわからん。
ここでコーラスが入る音楽だけで何か普通ではない雰囲気が全開になっています。

前説があります。
これは少年期のイメージにとりつかれた男の物語である。
オルリー空港の送迎台。
第3次世界大戦の数年前。

プロローグ。本編が始ります。
何だか『紅い眼鏡』のような感じです。
日曜日のオルリー空港の送迎台。羽田空港ではない、それは私の記憶だ。
少年時代、家族で旅客機の離陸を見物に来ていた。
女性の顔に見覚えがあった。戦争前の平和な時代。
現実なのか妄想なのかともうそんなことを言っています。
ここである男の死を目撃することになる。

それから戦争を勃発してパリは崩壊し廃虚となった。
戦争で破壊されたパリの町のモンタージュ。凱旋門も破壊されています。

地下にて。
地上は放射能で移住不可能。
地下は勝利者達が支配している。捕虜を実験台にする。
捕虜をハンモックに乗せてリード線のついた目隠しをさせてる。

静止画=スティルのみですがカット割りではなくオーバーラップを多用して上手く描写しています。

ある日実験台に選ばれた捕虜があの送迎台の少年だった男でした。
科学者は噂とは違い冷静な男で、彼は説明した。
人類の滅亡を防ぐためにタイムトラベルして薬や燃料を持ち帰る計画とのこと。現在を救うことが目的とのことです。
科学者の望遠鏡のようなメガネがそれっぽくていい。

被験者の想像力が強いと衝撃にも耐えられて現在に戻れるらしい。
過去の映像に執着してる男が選ばれたらしい。

実験が開始されます。
ハンモックの男。で、タイムトラベルの描写は注射してるだけです。リード線のついた目隠しがされます。そんな感じで安上がりな描写です。
この男は死なずに錯乱をしない。有望だ。その代わり苦痛のみとのこと。
実験が続行されます。

鼓動のような効果音を入れています。これがマジで効果充分なのです。

映像がわき出てくるとのこと。
平和な時代の朝。
平和な時代の部屋。
本物の鳥。
ネコ。
何だか『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)みたい。

16日目 送迎台にいます。無人。
誰か不明の女性がいます。送迎台にいる見覚えのある女性。これらの映像が交錯しているそうです。

30日目。2人は再会した。見覚えのある女性。
実験は繰り返されるそうです。
男は彼女に話しかける。応じてくれる女性。
公園の2人。デートしています。
彼女をは男のネックレスを見る。それは認識票でした。この時代には存在しない物なのでごまかす男。

セコイアの切り株で2人を立ち止まる。
男をあそこからきたと未来をさす。

実験室に戻ります。
また注射されて過去へと向かう男。

公園のベンチで寝ている女性。目を閉じています。
隣に座ってる男。
起きた女性に話しています。タイムトラベルのことを話してる。

散歩する2人。
結構いい仲になっているようです。さすがフランス人は違う。

突然障壁が現われる。
実験室にて。戻ったようです。
これで第1段階が終わったそうです。

第2段階の最初です。
また女性と会っている男。
女性には「私の幽霊」と呼ばれてる男。そのこころは「すぐ消えるから」だそうです。

ベッドで寝ている女性。
ここは顔のクローブアップをオーバーラップでしつこくていねいに何回も描写してます。ここが1番のポイントなのかも。
最後に女性を目を開けるショットとなります。ここだけがスティルではないそうです。
スティルをオーバーラップしてる手法らしい。実際見ていると実に上手くつなげてるので普通の映像のように見えます。

元に戻ります。実験室にて。

50日目。2人ははく製で溢れた博物館で会う。
どうやら男は思い通りの時間に行けるようになったらしい。
色々なはく製を見ている2人。このシーンが結構長い。

ところでこの主人公の男ですがアルジェリア系?、そんな感じに見えます。
女性の方はもうフランス人そのものです。

女性の方はすっかり出たり消えたりする男に慣れてるとのこと。
突然男が消えても平気らしい。

戻ります。実験室にて。
微妙な変化を感じたとなっています。所長がいます。
過去へのタイムトラベルは成功で、次は未来となるようです。
そんなわけで今度は過去ではなく未来にタイムトラベルさせるらしい。
女性と会ったのは博物館が最後となったようです。

過去より未来の方が難しいタイムトラベル。
男は未来へのタイムトラベルをやって成功した。

地球は変わっていた。変貌していた。
未来人がいた。この黒味に顔が並んですスティルはThe Beatlesのアルバム『With The Beatles』みたいです。
過去の人類を拒絶した未来人。
説得にかかる男。「私達がいないとあなた方未来人は存在出来ない」というロジックで説得したようです。
全産業を復活させるエネルギーを持ち帰る男。そうしたら未来は閉ざされた。
とりあえず任務を成功したようです。

男は部屋を移された。
少年期の映像を与えられてしばし快適な暮らしとなる男。
で、役目を終わったから抹殺されるだけの男。未来の記憶を消滅される。

男は再びを未来人のメッセージを受けた。
未来人がタイムトラベルで現われた。男を仲間として受け入れるとのこと。
しかしそれは男の願望ではなかった。男は少年期に戻りたいのだ。
女性の待つ過去へタイムトラベルする男。

エピローグ。オルリー空港 送迎台にて。
男を少年期を思い出す。女性を見つけ出す。走って女性に向かう男。
追跡者がいる。望遠鏡メガネの男。
撃たれて倒れる男。
少年の頃に見た映像はこれだった。
エンドとなります。


そんなわけで有名なだけあるよい作品でした。
この作品が多大を影響を与えてることは確かです。


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