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2010.02.21

『盲獣』(1969年)

この作品は増村保造監督、緑魔子、船越英二、千石規子主演の風変わりな愛憎ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1969年 大映 日本作品
ランニング・タイム◆85分
プロット◆監禁されて監禁に慣れてしまう話しのようです。
音楽◆林光
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質はまあまあ。

キャスト
緑魔子→モデルの女 島アキ
船越英二→盲人の男 蘇父道夫
千石規子→蘇父道夫の母 しの

増村保造監督の演出はよいと思います。
いつものパターンで独特のセリフの喋り方となっています。
キャストが3人しか出ていなくて、この話しで85分持つのかとなります。→これはまあ何とか持ちました。
「めくら」等の伏せ字セリフを連発しています。「キチガイ」もあります。

江戸川乱歩原作らしいけど、増村保造監督作品になっていてあまり江戸川乱歩という感じはしません。

この作品では緑魔子はヌードはぎりぎりで見せないのかと思っていたらラストにはおっぱいを見せてました。いいな。
ナレーションは緑魔子が担当しています。

緑魔子は東映所属だったのか、それではよい作品に恵まれないのもわかります。
結構大映作品にも出ているように思えます。増村保造監督ではこの作品と『大悪党』(1968年)の2作品、眠狂四郎シリーズの1作だけ『眠狂四郎 人肌蜘蛛』(1968年)に出ていて印象が強いせいもあるけど。もしかして大映出演作品はこれだけなのか?。
他にも東宝の『野獣死すべし 復讐のメカニック』(1974年)も印象的でした。
東映作品は見ないからわからん。

大映時代の船越英二は俳優としての能力を120%発揮していと思われます。大映時代の代表作は数知れず。全く大したキャリアの俳優でした。
息子の船越英一郎は実生活では性悪女に引っかかった単なるバカ息子の大根役者だけど・・・。

千石規子は東宝所属なのでは?何で大映に出てる。


プロローグ。
写真展にて。モデルの女から作った女体の彫刻をいじり回す男が登場。
これが船越英二扮する盲人の男 蘇父道夫です。

モデルの自宅アパートにて。
緑魔子扮するモデルの女 島アキがマッサージを頼むと例の盲人の男がやってきます。
マッサージをやっているうちに薬をかがされ眠らされます。助っ人の千石規子がやってきて、倉庫に運ばれます。話は早い。

盲人の倉庫にて。
そこはアトリエと称する空間となっています。
親が残した畑が高速道路予定地に当たって遺産が入り倉庫を買い彫刻作りに励んだとのことです。せっかくの大金をプレイマネー=泡銭にしていないのは偉い。
女のアパートからタクシーを乗り継いで移動したので足がつくような手がかりは残していないと言ってます。

そんなわけで倉庫の中は別世界となっています。
壁には多数の目の彫刻。
壁には多数の鼻の彫刻。
壁には多数の口の彫刻。
壁には多数の脚の彫刻。
壁には多数の手の彫刻。
壁には多数の耳の彫刻。
壁には多数の乳房の彫刻。
中央には巨大な女体のオブジェが2体。
大映が潰れる2年ぐらい前なんですがセットが結構頑張っています。

盲人には触覚だけとのこと。
盲人の男は触覚の芸術を完成させるために彫刻のモデルになってくれと頼みます。
当然断られて倉庫の中で鬼ごっことなっています。

一晩たったらヒロインは心変わりをして彫刻のモデルになると言います。
盲人の男に一緒に食事をしてくれと頼みます。とうやら色仕掛けで攻略しようとしているようです。

そんな感じでヒロインは隙を見て逃げようとしますが見つかって揉めているうちに盲人親子とヒロインの何だかよくわからん愛憎渦巻く三角関係のようになってしまいます。

何だかんだあって気が変わってヒロインを逃がそうとした母と、それを見つけた盲人の男にヒロインを巻き込んだケンカ騒ぎで盲人の男に突き飛ばされた母は柱に頭をぶつけて打ち所が悪く死に至ります。

頭に来た盲人の男はヒロインを犯して、2人の関係は新たな展開となります。
互いに触れ合う触覚の関係から、そのうちに互いに傷つけ合う関係となります。
そしてヒロインの手足を切り落とすことでこの2人の命が尽きてこの風変わりな生活が終わりとなります。

そんなわけで話しの展開が凄過ぎて少し辟易したというのが正直な感想ですがよい作品でした。



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