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2009.12.13

『ドリフトウッド 硝子の檻』(1997年)

この作品はローナン・オリアリー監督、アンヌ・ブロシェ、ジェームズ・スペイダー主演の異色監禁ドラマのようです。

1997年 アイルランド作品
ランニング・タイム◆101分
原題◆Driftwood
プロット◆拾ってきた男に逃げられる話のようです。
音楽◆ジョン・キャメロン
スカイパーフェクTV315スターチャンネルにて。画質はよいです。

キャスト
ジェームズ・スペイダー→流れ着いた男
アンヌ・ブロシェ→サラ・シモネ
アンナ・マッセイ→母親
バリー・マクガバン→配達人マクダビシ


ローナン・オリアリー監督の演出はよいと思います。名前からしてアイリッシュのようです。
基本的なショットでつなぐ手法でした。話は早くすぐにジェームズ・スペイダーが流れ着きます。で、しばらくは全くセリフなしで話は進行します。

原題Driftwoodの意味は流木で、流木の代わりにジェームズ・スペイダーが流れ着いて話しが始まります。

話の展開とすぐに読めてあとはどうなるかのサスペンスで見れました。描写バランスは?結末は?ジェームズ・スペイダーの正体は?と。
描写バランスの方はこの演出なら大丈夫と予想してそんな感じでした。

元ネタは『サイコ』(1960年)のようです。早々にヒロインの母親は存在してないと描写してました。この方が潔くていいです。でもアンナ・マッセイが出てればアルフレッド・ヒッチコック監督作品のバリエーションと思えてしまいます。

男が逃げないようにと自転車やボートを壊して始末する描写がありました。
ヒロインの「ここは島なのよ」という話とは違うことを映像で表しているのは映画的でいい感じです。

硝子の檻とは・・・。
期間はジェームズ・スペイダーの足の怪我が治るまで、範囲は海岸から丘の稜線まで。丘の向こうからいつ誰が来るかも分からない危うい境界です。これが邦題のゆえんです。ジェームズ・スペイダーの足にケガをして動けない設定が生きています。

海岸にて難破船のある構図はいい絵でした。
アイルランドの風景の描写が結構いい雰囲気で、この風景を見てたらドキュメンタリーの名作『アラン』(1934年)がまた見たくなった。『アラン』は本多猪四郎監督が『ゴジラ』(1954年)を撮るときに参考にしたという作品だそうです。どこを参考にしたのかというとよくわからんけど。

この作品は雑誌等の作品紹介文だけだとどんな嫌な女が出てくるのかと思ったらこれがまた素敵なサイコな人でした。しまいにはジェームズ・スペイダーが嫌な男に見えてくるほどです。これは見て得をしました。
この作品のことだけではないけどホントに紹介文はあてになりません。
ハズレをつかまされるのがホントこまります。雑誌等の紹介文だけだとキャシー・ベイツかジャーニン・ガラファロみたいな演技派が登場して男をベッドに縛りつけるのではと思っていました。

ヒロインのアンヌ・ブロシェはアイルランドの人に見えます。いかにもそんな感じ。でも名前からするとフランス系のようですが。
もったいないヌードがありました。これはいいです。

アンナ・マッセイは『フレンジー』(1972年)に出ていました。
ジョン・フィンチの内縁の妻でシリアルキラーのバリー・フォスターに殺されてじゃがいもの袋に詰められていました。この作品ではすっかりお婆さんになってヒロインの母親役がハマっていました。

バイク乗りが出てきますが海岸を八の字走行していました。
海水でバイクがいかれてしまうのではと余計なことが心配になります。こっちの方がとても正気とは思えない。バカなことをやっています。

この作品は女性映画なんですか?ですからこのような結末はなったのかな。
結局ジェームズ・スペイダーの正体は判明しなかった。
「アメリカン?」のセリフがあったけど。右肩に刺青がありましたがこれが話に聞いている自前の刺青なのかな?

結末について・・・
あまりにもヒロインの出来がよすぎて捕まらせるのもなんだし、かといってアメリカから来たゲストスターのジェームズ・スペイダーに罪を押しつけるわけにもいかず、ラストは切ってしまったみたいで落ちがないような感じでした。
ホントはジェームズ・スペイダーが死んで罪は全部のジェームズ・スペイダーになっていればよかったかもしれない。それでも解決とはいえないかも。
で、結局ジェームズ・スペイダーを悪役にするわけにはいかず曖昧なまま終わっていました。これでいいのかもしれません。

そんなわけでとっても素敵なサイコなヒロインのよい作品でした。


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コメント

久しぶりに見ました。アンヌ・プロシェが魅力的でした。
ドリフトウッドのタイトルのように流れ着いたジェームス・スペイダーを助ける女。そして彼女は献身的に男を看病する。しかし彼女は男を愛してしまった。それが悲劇の始まりで出て行こうとする男をなんとか止めようとする女。
最後は死体を発見する警官、出て行こうとする男を止める女。太陽がいっぱいを思い出しました。あのお母さんは彼女の記憶なのかそれとも実在していたのかが分りませんでしたが、DVDにもなっていないなかなかの秀作だと思います。人間の心のひだに鋭く鋭利な刃物を入れたような力作でした。大好きな作品です。

tsuyoshiさん、コメントありがとうございます。

この作品は邦題の『~硝子の檻』というのが秀逸だと思います。舞台になる場所をよく表しています。

普通のサスペンスかと思ったらヒロインの描写がよかったのが印象的でした。

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