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2009.12.27

『狼の紋章』

この作品は平井和正原作、松本正志監督、志垣太郎、安芸晶子、松田優作主演のほぼ原作通りのSFアクションのはずが不条理ドラマになったようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1973年 東宝 日本作品
ランニング・タイム◆80分
プロット◆人狼が転校したら絡まれる話しのようです。
音楽◆真鍋理一郎
スカイパーフェクTV707日本映画チャンネルにて。画質は普通です。

キャスト
志垣太郎→転校してきた犬神明
安芸晶子→女教師の青鹿晶子
松田優作→ヤクザの息子 羽黒獰
伊藤敏孝→羽黒獰の腰ぎんちゃく 黒田力也
加藤小代子→不良少女の小沼竜子
本田みち子→ホトンド左翼の優等生 木村紀子
今西正男→大貫校長
林孝一→森塚教頭
富田浩太郎→田所
沢井正延→大賀
西尾徳→馬川
河村弘二→羽黒獰のオヤジ 羽黒武雄
水城蘭子→後見人屋敷の戸崎文
黒沢年男→正体不明のルポライター 神明

この作品は原作ファンからは忌み嫌われ、なかったことになっている怪作、珍作らしくて注目はしていましたが私も原作ファンの端くれなので気が進まなく長い間見てませんでした。ようやく最近になってスカイパーフェクTV放映で大部分見たらこれが凄かったので全編見なおしました。

平井和正の原作は読んでいます。結構ハマっていました。それは熱心な読者でした。ですから、ここまで間を見たほうがよかったみたい。早く見ていたら単に原作通りではないからダメと評価していたでしょう。十分に年月を空けて見るとまた違った見方となります。

どのくらい熱心なのかというと平井和正のあと書きを読んで山本周五郎の古本セット 新潮文庫50冊を買って読んだぐらいです。そのくらい熱心なのです。ちょっと違うか。

松本正志監督の演出はよいと思います。
真面目に作っているのはわかりますが何故かトンデモになっています。これは凄い。

話しやディテールはかなり平井和正の原作通りにしてあるようです。
全体的な雰囲気は東宝のTV青春ドラマ。ダサくて明るい。で、よくある言い方ですが、演じてる方々は妙に老けていて誰も高校生には見えません。
メソッド演技で悪役を原作小説の生頼範義の挿絵通りに演じる松田優作は見物です。よく似ているけど妙な感じがします。
安芸晶子演じる女教師の青鹿晶子はかなり増村保造監督作品のヒロインが入っているように思えます。熱演空回りといった感じ。
真鍋理一郎の音楽が『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)とホトンド同じです。何か変です。
幼い頃の回想シーンが全然ダメ。脚本で全部カットしてセリフのみにしたほうがまだ見ている人のイメージになるのでこの方がよくなりそうです。
狼の特殊メイクは全然ダメ。浮きまくりです。ここは見せないわけにはいかないから対策のしようがない。こまったものです。
そんなこんなが入り交じり見てて物凄いインパクトがあったりします。

キャストで・・・
志垣太郎の犬神明はまあまあ。少し背が低いかも。
よくもなければ全然ダメというわけでもない。

松田優作の羽黒獰は生頼範義の挿絵通りです。メソッド演技が全開になっています。
でも喋ると普通の松田優作みたい。

青鹿晶子を熱演している安芸晶子ですが、熱演とヌードが空回りしています。
青鹿晶子の読みは『あおじかあきこ』と発音。初めて知りました。『あおしか』とにごらない読みだと思い込んでいました。
安芸晶子ですがこの作品以外では見たことがない女優さんです。調べると芸名を変えてて市地洋子→安芸晶子→市地洋子となったらしい。映画やTVで出演多数のようですが全然見た覚えがない。
で、安芸晶子という芸名が凄い。両方とも名前のようでシャノン・エリザベスみたい。

クルマネタでは・・・
神明のクルマは原作通りにちゃんとニッサン・ブルーバードになっています。510ではないけど。この点はえらい。日本映画にしては珍しい。


タイトル。
最初から子役で出てきて回想のようなシーンになっています。見ててとにかく安い。脱力します。
歌まで流れています。杉田二郎の歌でした。
製作は田中収。脚本は石森史郎、福田純、監督の松本正志の3人。
ヘリコプターが飛んできて犬神明の両親をマシンガンで撃ちまくり山小屋は爆破しています。ここは派手です。これだけで予算を使いきったのかも。
子役の犬神明が遠吠えするとこまでちゃんと原作通りにやっています。ちゃんとやり過ぎていて見ててこまります。
ここまできてようやく『狼の紋章』とタイトルが出ています。

街中にて。
チンピラに絡まれる犬神明。
ナイフでブスリと腹を刺されます。でも平気でナイフを抜く犬神明。満月なので再生力が十分なのです。
これを目撃した青鹿晶子は気絶します。

博徳学園高校にて。
ここはどこでロケをしている?東宝撮影所近く?→そうではなく東宝本社のある銀座近辺らしい。
転校生の犬神明が紹介の図です。
教員3人の話しからキャラ紹介となっています。
松田優作扮するヤクザの息子 羽黒獰も少し出てきます。何か凄いな。
学校で会う犬神明と青鹿晶子。
マジで原作通りにやっています。

学校の屋上で日本刀の具合を見ている羽黒獰。
ここどこだ?すぐ近くは皇居ではないかい。凄いな。

犬神明を身体検査する青鹿晶子。
ナイフで刺された腹を見ているのです。
そこにいて突っ込みをいれる加藤小代子扮する不良少女の小沼竜子。
ここもホトンド原作通り。

お面をかぶった不良2人が他の女教師を襲い強姦します。
これは原作にないような。普通のポルノみたいなシーンです。

対策会議の先生方・・・
ことなかれ主義な校長。
サングラスで太っているヤクザみたいな体育教師。
痩せていていかにも腰ぎんちゃくな教頭。
ステロタイプな教師をそろえています。

屋上でリンチされる犬神明。
犬神明を演じる志垣太郎の靴が何ですか?、上げ底のヒールが高い革靴かい・・・こまったものです。羽黒獰を演じる松田優作の背が高過ぎるからこうなったのか。
羽黒獰が日本刀で犬神明の背中に犬と刻むシーンもちゃんとあります。これは凄い。原作通りです。

屋上にやってくる青鹿晶子。
もう誰もいません。日本刀の血をふき取った紙が舞っています。

羽黒獰の自宅にて。
ここに出てくるヤクザの紋章が凄い。菊とナチスを組み合わせた紋章です。わかりやすいといえばわかりやすい。造形が凄く安っぽいのが難です。

犬神明の後見人の屋敷に行く青鹿晶子。
後見人代理の戸崎文が出てきます。犬神明はここにはいませんとのこと。
戸崎文を演じるのがイングリッド・バーグマンの日本語吹き替えでおなじみの水城蘭子らしい。初めて顔を見ました。

電車で移動の青鹿晶子。
満月が見えます。ということはこの話しは満月から新月までの半月の間の話しなんだと初めて知りました。原作を読んだ時は夢中で読んでいたのでそんなこと考えもしかなった。

犬神明のアパートに入る青鹿晶子。
ドアを開けるとそこは草原です。草原にデスクとイスをあったりします。これは映画的でいいシーンです。
で、普通の室内のシーンに戻ります。
暗闇に目が光っています。これが変身した犬神明というわけです。
体は人で顔だけ狼の犬神明なんです。この狼マスクが安っぽくて見ててこまります。
驚愕する青鹿晶子。笑ってごまかす犬神明。マジでそうなっています。驚くほど原作通りになっています。

狼マスクを取ろうと犬神明に襲いかかる青鹿晶子。
カットバックで草原の犬神明と青鹿晶子のシーンが入ります。
草原で戯れる2人となっています。何だいこりゃ。凄いな。
ここは原作にはありません。映画的でいいシーンです。率直にそう思った。

何だかんだあってアパートを追い出される青鹿晶子。
帰りに暴走族2人に襲われます。忙しい人です。
バイクは2サイクル並列2気筒エンジン。750ccではありません。ヤマハかスズキです。車種がわからん。
強姦されるとこを完全に変身した犬神明が助けに入ります。
原作通りにバイクの後輪が空転して、そのバイクを振り回すシーンもちゃんとあります。
ですが、狼マスクはひどい出来です。見てて補正も出来ずにこまります。
噛みつくと血が凄い勢いで出ています。『椿三十郎』(1962年)みたいです。
遠吠えするとこまで原作通りにちゃんと入っています。

アパートで静養中の青鹿晶子。
読んでいる新聞は毎日新聞です。普通の新聞名が出ているのが珍しい。
そんなところに黒沢年男扮する正体不明のルポライター 神明がやってきます。
襲われた現場に残っていたのは野良犬の毛ではなく狼の毛だとか言ってます。

博徳学園高校にて。
相変わらずリンチされている犬神明。
ここで流れている音楽がまた『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)なんだから見てて頭がおかしくなりそうです。
剣道、柔道、色々なリンチとなっています。映画的モンタージュでつなげています。
学校内だけではなく学校外でもリンチをやっています。皇居の近くで乱闘をやってていいのかと見てて余計な心配をしてしまいます。
ここまでやられるなと学校へ行かなきゃいいじゃんと思えます。このような場合では現在は学校なんか行かなくなっているのでしょう。

優等生の生徒会グループが先生2人を連れて抗議にきています。
これも原作通りです。

作戦会議の生徒会グループ。
生徒会グループは犬神明を利用しようと画策しています。

噴水で体を洗っている犬神明。
ちょっかいを出している小沼竜子。噴水に突き落とされます。
小沼竜子が「バカ野郎」と連呼するけど何だかどこかで聞いたようなセリフです。→それは『太陽を盗んだ男』(1979年)の池上季実子でした。

街中を歩く犬神明。杉田二郎の歌が流れます。
工事中の高架道路が見えます。首都高のどの辺?
回想の草原と工事中の高架道路を走る犬神明がカットバックされます。ここは映画独自のシーンです。
工事中の高架道路を登る犬神明。ただ登っただけでした。

下弦の半月になっています。
これから新月に向かっていくことになります。

学園紛争のようなシーンとなります。
まだこの頃は金属バットがないのか木製バットを使用しています。木刀も使用。

生徒会グループの要請を断る犬神明。
暴走族に襲われて自宅静養していた青鹿晶子はもう学校に来ています。仕事熱心な人です。

屋上で逆立ちしている犬神明。
回りの風景が逆さのままに映っています。面白い。

集会のシーンとなります。
野球場でやっています。どこの野球場?わからん。東京球場ではないと思う。
野球場の広告はテクニクスとアサヒビール。スコアボードはバックスクリーン右に配置しています。

応援団が景気付けに応援しています。
アジ演説している優等生の木村紀子。ホトンド左翼です。
ヤジで自己批判とか総括と言ってます。このような言葉ですがホントに安い言葉だと思えます。→権力側のプロパガンダと左翼側の内部闘争といえば聞こえがいいけど抜け駆けや分断等で崩壊したせいでホントに安い言葉となっています。

不良グループが殴り込みをかけてきます。何故か全員茶色のドカヘルをかぶっている。
何が起きても応援団は関係なく応援だけをやっています。
この辺はデフォルメされマンガチックに描写されています。これはわかってそのように演出していると思われます。

ここで羽黒獰の腰ぎんちゃく 黒田力也が自滅します。
校長に教頭に体育教師がここぞと「やめろ」と言われ引っ込みがつかなくなっている黒田力也の状況がよく描写されています。上手いじゃん。
原作通りにナイフで自分を刺してしまう描写はそんなに悪くはない。

黒田力也の葬式です。
先生方の話しがかぶります。羽黒獰は登校してこない。

街中にて。
生徒会の木村紀子が犬神明を尾行しています。
アパートのロビーで木村紀子を追い返す犬神明。
シーンは変わってアパート内を裸でいた小沼竜子を追い出す犬神明。
原作通りです。あまり意味がないようなシーンになっています。

博徳学園高校にて。
音楽室から屋上で女同士で取っ組み合いの図となっています。
小沼竜子と青鹿晶子のようです。犬神明に追い出されて納まりのつかなくなった小沼竜子がケンカを売っているようです。

神明と青鹿晶子。学校内にて。
神明の話しを聞いてる青鹿晶子。もうすぐ新月だから犬神明が危ないと言っています。
羽黒獰を止めてくれと言われる青鹿晶子。

犬神明のアパートへ行く青鹿晶子。
不在です。書き置きを残していきます。
で、入れ替わりに書き置きを読んでる犬神明。

羽黒獰の自宅に入る青鹿晶子。
すぐに閉じこめられます。羽黒獰が現れます。
いきなり柔道技で青鹿晶子を投げ飛ばしまくる羽黒獰。唐突でシュールです。
ふんどし姿になって青鹿晶子を強姦する羽黒獰。シュールです。

青鹿晶子のアパートに来ている犬神明。
部屋着にしている浴衣の匂いを嗅いでる犬神明。
そんなとこに神明がやってきます。説教をたれて犬神明を送り出します。
ですが現在は新月なんです。状況は非常に悪い。
また工事中の首都高の上を走る犬神明。

羽黒獰の自宅に忍び込む犬神明。
ここで見張りのチンピラにやられていきなり致命傷を負ってしまうのがまずかった犬神明です。
弓矢で背中から撃ち抜かれて、ドスで腹を刺されてしまいます。
ここもホトンド原作通りになっています。

背中に矢が刺さったままヨレヨレの状態で青鹿晶子を助けに行く犬神明。
原作通りなんだけど映画になると変に見えるのは毎度のことなんですが何とかならないものか。

待ち伏せていた羽黒獰が出てきます。
白の詰め襟に日本刀の羽黒獰はまるで凶暴な面堂終太郎です。でもギャグではありません。
日本刀で串刺しにされたとこで変身する犬神明。顔だけです。原作ではいいんだけで映画ではダメじゃん。こまったものです。
驚愕した羽黒獰を自分の胸から突き出した日本刀で貫きます。絶命する羽黒獰。

火矢を放つ神明です。一応援護のつもりのようです。

犬神明を助けて脱出の青鹿晶子ですが羽黒獰のオヤジや手下のヤクザ達に捕まります。
なんかこればっかりの青鹿晶子です。忙しい人です。
ここで今度は完全に狼に変身する犬神明。ヤクザ達を一気に片づけます。
ここは狼そのもののライブフッテージ映像を使用しています。編集で何とかしていますが見ててつらいじゃん。こまったものです。

回想の狼が入ります。
炎上する屋敷の外の青鹿晶子と犬神明。

神明のブルーバードで脱出となる青鹿晶子と犬神明。
青鹿晶子の唐突な決めセリフがあり、回想のシーンが入ります。
杉田二郎の歌も入ります。
何となくエンドとなります。


そんなわけで何ともいえない奇妙な作品でした。悪くはないけど。
どうせやるなら『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)並みにぶっ飛んでいればもっと評価はよくなっていました。惜しいとこです。
原作至上主義で評価すればこの東宝作品はひどい出来ですけど、東映で製作された『ウルフガイ 燃えろ狼男』(1975年)の方がもっとひどいらしい。さすがに見る気がしない。

この作品を見て狼はこんなにダサいのかと思ったら『ネバー・クライ・ウルフ』(1983年)を見て下さい。本物の狼が見れます。



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