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2009.10.24

『黒の報告書』(1963年)

この作品は増村保造監督、宇津井健、叶順子主演の法廷サスペンスのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1963年 大映 日本作品
ランニング・タイム◆93分
プロット◆裁判に負ける話のようです。
音楽◆池野成 妙なスコアがあったような。
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質 そんなによくはない。

キャスト
宇津井健→城戸明検事
叶順子→証人の片岡綾子
神山繁→容疑者の人見十郎
高松英郎→先輩の草間検事
近藤美恵子→柿本みゆき
小沢栄太郎→やり手の山室竜平弁護士
見明凡太朗→鳴海検事
弓恵子→中里常子
殿山泰司→津田進作刑事
仲村隆→舞台演出家の柿本富美夫
伊東光一→大庭検事正
高村栄一→深町源造
潮万太郎→中野亘
緋桜陽子→峯島たつ
須藤恒子→望月ハナ
上田吉二郎→柿本源太郎
中條静夫→須藤警部補
山中雄司→瀬川刑事
大山健二→江崎裁判長
武江義雄→雨宮事務官
渡辺鉄弥→寺山雄吉
小山内淳→電気器具店主人
村田扶実子→その妻
杉森麟→警察医
飛田喜佐夫→鑑識課員
花布辰男→法医学教授
早川雄三→法医学助手

増村保造監督の演出はよいと思います。
相変わらず喋りがいい演出となっています。もしかしてこの喋りは法廷ドラマ向けなのかも。
手前に人や物を配した構図が多用されています。意図は不明ですが。その他にも手前から検事-証人-被告-弁護士の構図もありました。

キャストがいい。特にサポートがいい。少し物足りないのは主演の宇津井健だけだったりして。ホントはそうではないけど。宇津井健はよくやっています。

若手検事を演じる宇津井健は頼りない感じです。法廷であっという間に旗色が悪くなっていた時には、これもこれでキャラに合っている感じでいいのではとなったりします。
そんな感じで神山繁容疑者や小沢栄太郎弁護士相手ではどうしても分が悪く見えてしまいます。これぞキャスティングの妙です。

ついでに高松英郎の先輩の検事も何か怪しそうな感じでしたがそうでなかった。私の偏見で読み過ぎでした。
『巨人と玩具』(1958年)
『黒の試走車』(1962年)
この2作品で目的に向かって突っ走るキャラが印象的でした。

ディテールで・・・
自白は最良の証拠とそうなっています。江戸時代から変わらないようです。現代でもそのようです。
この作品では架空な存在のあさひ銀行は現在にはホントにあったりします。
「真実はここにある」という言葉を連想しました。


話しの方は・・・
富士山食品の社長 柿本高信が殺される。
この件を担当するのが若手の城戸明検事です。
有罪にすれば東京に栄転、無罪なら青森に左遷となるようです。わかりやすい設定となっています。

裁判への準備となります。
社長秘書片岡綾子の取り調べです。この辺は順調な城戸明検事。

有力な容疑者 人見十郎に尾行がつく。
凶器の指紋とも一致してます。ここまでは検察側は順調です。

人見十郎容疑者に老かいな山室竜平弁護士がつきます。
小細工に励む山室竜平弁護士。これが効果十分だったりします。

自白はしない人見十郎。
とにかく自白はしない戦術らしい。ということは自白をしたらもうダメということか?

公判となります。
証言を翻す証人達。片岡綾子まで同じです。山室竜平弁護士の小細工のたまものです。
これで検察側の城戸明検事は旗色が悪くなり左遷が色濃くなってきます。それでも正攻法で悪戦苦闘している城戸明検事。キャラに合っている宇津井健が非常によろしい。

そんなわけで有罪に出来なかった城戸明検事。
裁判に負けてしまい千葉から東京に栄転するはずが青森に飛ばされて完となっています。
殿山泰司扮する刑事の見送りを受けて青森行きとなります。
エンドとなります。

そんなわけで『黒の試走車』(1962年)には及ばない出来でした。それでも悪くはない作品でした。


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コメント

叶順子様が・・・、私の永遠の日本映画におけるイコンなのです。
ああ、この映画も観たい!

私は増村監督の描く女性像が大好きですが、叶順子様の魅力とダブルのです。
しかし、私はマニラ在住で、なかなかこうした映画が入手できません・・・、う~む、残念。。。
(日本の巨匠の映画は、中国産のDVDが簡単に手に入るのです。それと、鈴木清純とかのカルトものも・・・、しかしこの辺が。。。)

はじめまして。
『黒のシリーズ』は一応全部見ましたが、田宮二郎と比べると宇津井健の役不足は否めませんね。主役は話を引っ張っていかなくてはならないと思いますが、どう見ても引っ張られる方。
こんな人が『ガードマン』で、長年に渡って主役を張り続けてこれたのが不思議です。まあ、強烈な個性を持った田宮二郎と比較するので、よけいにそう見えてる部分もあるとは思いますが。

『黒のシリーズ』は、『試乗車』と『超特急』の二つだけが群を抜いた出来で、あとは安直な作りが目立ちます。やはり増村保造監督の力量は端倪すべからぬものがありますね。
『黒の爆走』に至っては、田宮二郎と藤由起子がイチャツクだけの話で、取って付けたようなメタメタなストーリーになっています。(結婚直前だったので、ご祝儀映画だったのかな^^)

私的には、『黒』よりも『犬シリーズ』の田宮二郎の方が好きですね。スクリーンの中を水を得た魚のように縦横無尽に暴れまわっている姿が気持ちいいですね。

lalakiさんコメントありがとうございます。

叶順子で増村保造監督作品といえば『黒の試走車』(1962年)がクールでよかったですね。

増村保造監督のDVDですが私はもう諦めててスカイパーフェクTVで放映されている作品を片っ端から録画しています。元の音声がドルビーデジタル5.1というわけではないのでこれで保存版にしています。

てつさんコメントありがとうございます。

『黒のシリーズ』は増村保造監督作品以外はあまり見る気がしなくて全部は見ていません。独特のセリフ回し等が特徴の増村保造監督の演出は誰にも出来ず、増村保造監督一代限りの演出だと思ってます。

田宮二郎の犬シリーズは数作は見ています。村野鐵太郎監督作品は出来が比較的によいような感じがしました。

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