『GODZILLA ゴジラ』(1998年)
この作品はローランド・エメリッヒ監督、マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、主演の怪獣映画のはずです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1998年 セントロポリス/トライスター アメリカ作品
ランニング・タイム◆139分
原題◆Godzilla
プロット◆ゴジラ相手に悪戦苦闘する話のようです。
音楽◆デビッド・アーノルド あまり印象に残らず。怪獣映画の音楽が目立たない!。それじゃダメじゃん。
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。
画質はよいです。
大げさなパッケージに高い値段に呆れてDVDを買うのはやめといた。
キャスト
キャスト
マシュー・ブロデリック→ニック・タトプロス博士
ジャン・レノ→フランスのエージェント
マリア・ベロ→レポーター志願のオードリー
ハンク・アザリア→報道カメラマンのアニマル、
アナベラ・フィールド→アニマルの奥さんルーシー
ビッキー・ルイス→女性のチャップマン博士
マイケル・ラーナー→エバートN.Y.市長
ケビン・ダン→出ずっぱりの大佐
ダグ・セイバト→オニール大尉
注目のディーン・デブリン製作=ローランド・エメリッヒ監督のU.S.ゴジラということで見ました。ホントはDVDではなくてもスカイパーフェクTVで充分というのもあります。
ローランド・エメリッヒ監督の演出はよいと思います。
プロローグの船が襲われるシーンでは普通のミニチュアが使われていました。
ここで日本人の日本語がちゃんとしていたのがいい。こういうとこはアメリカ作品はいいかげんですから珍しい。
出だしは快調でした。ゴジラは案外は早く登場してました。これは途中がダレければいいです。
中盤もダレれませんでした。
アクションシーンは途切れなく入るのが、この製作、監督コンビ作品のいいところです。いいとこはこれしかないような気もしますが・・・
ゴジラはパナマ運河を通らず陸路を横断して大西洋側に出たようです。
水門のあるパナマ運河を人知れず通れないから当然の行動です。
マシュー・ブロデリック博士はクビになってフランスのジャン・レノの合流してゴジラの巣を捜索に向かいます。少人数で孤立して奮闘する。このルーティンな設定はいい感じです。
潜水艦内のシーンは何となく安っぽくて東宝テイストなのが面白い。
→『ゴジラ』(1984年)のようです。この(1984年)作品はDVDで買ってもいいかなと一瞬思うけど武田鉄矢が出てるのを思い出してDVDを買う気が失せます。
クライマックスのマジソン・スクエア・ガーデン内での攻防で子ゴジラ達がドアをドンドンと破ろうするのはハリウッドSF作品の伝統的な描写だと思います。
→『禁断の惑星』(1956年)に似たようなシーンがあります。
私にもわかりやすいN.Y.観光映画でした。
あれがジャック・フィニイのSF小説『時の旅人』にも出てた有名な細長いフラット・アイアン・ビルとか・・。
これは高さは1番ではないけど外観が美しいクライスラー・ビルとか・・。
これまた美しいブルックリン・ブリッジとなかなかいいとか・・。この作品は何故か名所を選ぶ趣味がいい。
ディテールで・・・
トレーラーの運転手がゴジラが接近しても気が付かないのはヘッドホンをしているからです。これは見ててわかりやすい。
ゴジラの歩く震動でクルマが揺れて上下し盗難防止のアラームが一斉に鳴るシーンはいいです。
魚でゴジラをおびき寄せるというアイデアは面白いしフラット・アイアン・ビルの前に魚が山になってるのも絵になっていました。
ゴジラの描写で・・・
白熱光を吐かないゴジラというのも妙な感じです。これではゴジラではないじゃん。
大幅にゴジラの強さがなくなっています。白熱光は出さず、通常攻撃には耐えられずのゴジラとは・・。
ラドンは飛行して衝撃波があったけど、このゴジラにはその類いの攻撃方法もない。これは厳しい設定です。
そうなると、この厳しい設定のゴジラですが後は走って逃げるしかなかったのか?。どうせなら走る体勢になってからの加速感を出して欲しかったと思えます。
そんな感じで怪獣にとっては悲劇的な話しは『空の大怪獣ラドン』(1956年)のようです。
肝心のゴジラのデザインは何となくゴロザウルスのような感じに思えました。
アタマがデカ過ぎでもう少し小さい方がよかったような。でもアタマを小さくしたらそれこそゴロザウルスそのものになります。
無理してよいとこ探せば後ろ脚の造形がポイントになります。この造形はよかった。これが見たかったという感じでした。
マシュー・ブロデリックとジャン・レノは期待通りの演技で大変よかったです。この作品は2人でもっています。
女優さん達がそろいもそろってイマイチ魅力薄なのはゴジラに遠慮してなのですか?。1960年代東宝特撮の女優さん達の方が全然いいです。
全体的にはそんなにつまらないわけではなく、まままあな面白さなのに何であまりヒットしなかったのでしょう。フランス人が活躍し過ぎたからですか?。
末期の東宝ゴジラで・・・
このアメリカのゴジラは強力な火器だとと死んでしまうので可哀想ですが、東宝のゴジラは死ねなくて可哀想です。伝統があり過ぎで外野の雑音が多過ぎたりで結局超無難になってしまいつまらない出来となる、この時期のゴジラは恥をさらす地獄巡りをしてるようなものでした。
2000年代に入ってどんな作品かは忘れたけどの東宝の新作のメイキングで泳ぐシーンがありましたが腕を前に突き出していました。ソフビ人形が風呂の中を泳いでいるみたいでイマイチでした。これだけで見る気がしなくなります。手間をかけても出来がよくなるわけではない。
ゴジラが泳ぐのは海イグアナの泳ぎ方のバリエーションでいいと思います。
『ゴジラVSビオランテ』(1989年)では海イグアナの泳ぎ方で、このハリウッド作品でも同じようになってました。これがロジカルで正解なのです。
そんなわけで2000年代に入っての東宝に比べれば立派な娯楽作品になっているまあまあな作品でした。
噂のヤン・デボン監督だったらもっとひどい出来だと思われるのでそうでなくてよかった。
« 『フューリー』(1978年) | トップページ | 『コモド』(1999年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1990年代」カテゴリの記事
- 『地獄の女スーパーコップ』(1992年)(2018.12.30)
- 『マングラー』(1995年)(2018.12.16)
- 『ホムンクルス 新種誕生』(1997年)(2018.12.15)
- 『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』(1998年)(2018.08.26)
- 『ありふれた事件』(1992年)(2018.03.11)
「特撮 怪獣映画」カテゴリの記事
- 『大怪獣ヨンガリ』(1967年)(2019.09.08)
- 『プルガサリ 伝説の大怪獣』(1985年) (2019.09.07)
- 『シン・ゴジラ』(2016年)(2017.10.28)
- 『クリーピング・テラー』(1964年)(2017.06.18)
- 『怪獣ウラン』(1956年)(2017.05.28)
ちゃんと言ってる人もいるように、この作品、大概の人が言ってるような“失敗作”では無い、結構良く出来たモンスター・ムービーだと思います。只従来の東宝ゴジラと違い過ぎた、それが一番非難の元とされているんであって…
でもそうだとしたら、我々観客の側にも問題がありますよね。旧来のゴジラ像に執着し過ぎて、従来の物から脱却して新しくクリエイトされた物を受け入れようとしない我々にも…
確かに放射能火炎は吐かない、ミサイル数発でやられる程弱い、当不満はありますが、あれが東宝ゴジラをそのままハリウッドのスクリーンに登場させただけの作品でも、果たしてあれより面白い作品になったかどうか…
今度の最新作ゴジラも、今までの東宝ゴジラと違う点は恐らく多々出てくる事でしょう。
でも今度は“只の巨大生物”じゃ無い、日本のゴジラのように“荒ぶる神”“災害”“破壊の聖獣”としてのゴジラになると思われます。いつまでも「日本のゴジラと違う」ばかり言いまくっていては、新しいゴジラは生まれないでしょう。今度こそ現代に相応しい“新生”ゴジラを期待し、応援したいです。
投稿: 通りすがりの者 | 2013.08.15 22:42
通りすがりの者さん、コメントありがとうございます。
新作のギャレス・エドワーズ監督の腕前はそんなに悪くはないと思えますが脚本のフランク・ダラボンの影響はかなりあるような感じするし出来は予想が付きません。
それでもCGとデジタル合成があるのでゴジラの描写は不満はないと思えます。肝心はデザインはシルエットだけは東宝ゴジラと似てるそうですが油断は出来ないところ。
私としてはゴジラが背びれを光らせて白熱光を吐くシーンを多めに見せてくれればいいと思っています。
投稿: ロイ・フェイス | 2013.08.17 19:32