『トリコロール 赤の愛』(1994年)
この作品はクシシュトフ・キェシロフスキ監督、イレーヌ・ジャコブ、ジャン=ルイ・トランティニァン主演の自己回復ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
『ふたりのベロニカ』(1991年)が素晴らしかったイレーヌ・ジャコブ主演なので見ました。
1994年 フランス=ポーランド=スイス作品
ランニング・タイム◆97分
原題◆Trois Coulerurs:Rouge
プロット◆年老いた男が自己回復する話のようです。
音楽◆ズビグニエフ・プレイスネル
BS11衛星放送にて。画質はまあまあ。
キャスト
イレーヌ・ジャコブ→モデル兼学生のヒロイン
ジャン=ルイ・トランティニァン→盗聴してる元判事
ジャン=ピエール・ロリ→判事候補の男
クシシュトフ・キェシロフスキ監督の演出はよいと思います。
電話のモンタージュから始まります。電気信号の主観ショット?このような描写は好きです。
そんな感じでこの作品は電話がモチーフになっています。電話、電話、電話、→電話といえば私のイメージでは星新一のSF小説『声の網』となります。
電話の盗聴に関しては、スクランブルもかけてない電波をまき散らしていれば盗聴ではない放送だ、なんて言い方もあります。
タイトル名の『赤』の通りに赤い色が多用されています。赤いクルマが通る。赤いイスが置いてある。と色々ありました。
イレーヌ・ジャコブと判事候補の男の描写が『ファミリープロット』(1976年)式リレー手法を使っています。イレーヌ・ジャコブのクルマが通り過ぎるとカメラは本を落とした男に移行してつながります。この時点では全く関係なかったりします。
この2人は付かず離れずといった感じで結局ラストまでコンタクトしなかった。この辺はヨーロッパ映画らしい。
判事候補の男は元判事の過去の行動をなぞっています。
これは何か象徴的なのことなのでしょう。
前に見た『ふたりのベロニカ』でもそうでしたがイレーヌ・ジャコブはクルマを運転する姿がサマになります。クルマのCMに使えばいいのではと思えるくらいいいです。この作品ではフィアットの2ボックスに乗ってました。
男は赤いジープに乗っています。身分不相応というかヤンエグ候補だからいいのか?
イレーヌ・ジャコブは赤と黒の組み合わせの服がいい。この色の組み合わせがいいんです。この人にはシックという言葉がピッタリです。
それなのに彼氏には恵まれてなく。遠距離恋愛の彼氏と電話で喧嘩などをしてました。イレーヌ・ジャコブが彼女なら離れていれば嫉妬深くなりますか。
ジャン=ルイ・トランティニァンといえばサングラス姿も決まっていた『Z』(1969年)のトランティニァンが1番かっこよかったと思ってます。で、後にを見たら『日曜日が待ち遠しい!』(1983年)を随分と老けたねとなり。この作品を見たら更に老けたねとなります。歳月を重ねているからそりゃ老けます。
イレーヌ・ジャコブとは恋愛関係にはならず。そうなったらまた別の話になってしまいますから話し的には賢明な判断なのでしょう。
細かいとこでは・・・
あちらの電話の天気予報は質疑応答になっているんですか。これはいいです。日本の無味乾燥な録音よりいいと思えます。
CDは試聴してから買うようになっています。さすが合理的(ケチとも言う)なフランスは違います。これが普通かも。
そんなわけでこれは佳作です。人を癒すイレーヌ・ジャコブは天使な作品でした。見てよかった。
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