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2009.07.11

『電送人間』(1960年)

この作品は福田純監督/円谷英二特技監督、中丸忠雄、鶴田浩二、白川由美主演の特撮ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1960年 東宝 日本作品
ランニング・タイム◆86分
プロット◆復讐を果たす話しのようです。
音楽◆池野成
東宝発売の秘蔵のLDにす。画質は結構よいです。ですがA面の最後の方が再生不能になってしまい、しょうがないので飛ばしてB面にしてみました。そんなわけで途中がとんでいます。

キャスト
中丸忠雄→中本伍郎/須藤兵長
鶴田浩二→学芸部記者の桐岡勝
白川由美→中条明子

河津清三郎→元中尉の大西社長
田島義文→元諜報員で第三国人の隆昌元
堺左千夫→弱気なのにやったことは凄い元何だ?滝
大友伸→最初に殺された塚本

平田昭彦→小林警部
土屋嘉男→岡崎捜査主任刑事

佐々木孝丸→電送装置の仁木博士
村上冬樹→仁木博士の知人 三浦博士
向井淳一郎→警視庁部長

沢村いき雄→スリラーショウの呼込みの親父
瀬良明→源三
大村千吉→漁師の音吉

中山豊→キャバレーのボーイ大野
樋口年子→ユミ子
小西瑠美→トミ子
水の也清美→管理人のおばさん
馬野都留子→漁夫の婆さん

大西社長の手下3人
天本英世→海南貿易社員
広瀬正一→海南貿易社員
桐野洋雄→海南貿易社員

宇野晃司→トラックの運転手
松村達雄→井田
西条康彦→給仕
堤康久→記者
松尾文人→志村
山本廉→丸根刑事
佐田豊→本田次席

福田純監督/円谷英二特技監督の演出はよいと思います。
意外とよく出来ていました。脚本がよいからだと思う。何となくそう思う。

電送の仕掛装置が現場の近くにないといけない設定になっていてサスペンスの要素になってます。
やたら斜めのアングルを多用してます。まあまあの効果?
ラストもあっさりと終わってよい。全体的にタイトに仕上がっていてよい感じ。
ロケで当時の映像が見られます。これも資料みたいなものです。
貨物列車爆破のシーンには ビックリ。ミニチュアがよく出来ていたのでホントビックリ。
小道具でソニーのテレコが登場。脅迫され恐れおののき衝動的にぶっこわすののかと思ったら。そうせず。高価な借り物の小道具を壊す訳がないか。実際そんなものです。
タイアップで出ているサントリーオールドは当時はもうあったようです。

中丸忠雄の儲け役で一世一代の大熱演でした。見ててロジカルな行動が何で非難される?と思ってしまう。
珍しく放射能が原因で電送人間になったのではなかった。今頃気がついた。
◆それでも中丸忠雄は次作品『ガス人間第一号』(1960年)の主役を断ったら田中友幸プロデューサーの怒りを買ってしばらく干されたそうです。さすが良心の無いプロデューサーはやることがえげつない。→映画伝記本『ザナック ハリウッド最後のタイクーン』によると、プロデューサーは良心のないのが普通だそうです。

土屋嘉男と平田昭彦が刑事コンビです。これは豪華。土屋嘉男はいつガス人間になるのかとサスペンスがあるわけない。大体ガスは電送より後の作品です。
平田昭彦と鶴田浩二が絡むのも珍しい。並んでいるとわかりますが、この2人はよく似ています。声まで似てます。初めて気がついた。

鶴田浩二がこの作品で東宝に愛想を尽かしたとのことですが、それは違うと思います。
実は平田昭彦と土屋嘉男の特撮俳優コンビに完全に負けたからだと思えます。ルックスから演技力にキャラクター等・・・全部負けています。ついでにまだ新人俳優の中丸忠雄にも同じように負けています。
そんなわけで東宝にいては自分はダメだと賢明な判断をしたのでしょう。ですが移籍の理由に特撮作品をダシにしてするのが気に食わない。素直に俳優としての能力で完敗しましたと言えばいいのに。→そうもいかないか。

私には変身人間シリーズの印象がイマイチなのは特撮に嫌々出演している俳優さんが多いせいがあるかもしれまん。

タイトルです。
電送の効果音がいい。シャキーン、というのがいいんです。
福田純監督です。出来は大丈夫かな?となります。

遊園地にて。
スリラーショウをやっています。呼び込みは沢村いき雄です。
大友伸扮する塚本が1人で入ります。
女学生2人のコンビもいます。
悲鳴がして瀕死の塚本が屋外に出てきます。軍刀が刺さっています。

新聞社にて。
まだ姿を見せていませんが鶴田浩二扮する学芸部記者の桐岡勝のキャラ紹介のようです。

また遊園地にて。
現場検証です。新聞記者が押し掛けています。
土屋嘉男扮する岡崎捜査主任が登場。
鶴田浩二扮する学芸部記者の桐岡勝も登場。勝手に現場を調べて捕まっていました。
それでも成果はあったようで謎のコイルのワイヤを見つけていました。

事務所にて。
河津清三郎扮する元中尉の大西社長
田島義文扮する元諜報員で第三国人の隆昌元
悪役の2人が登場。

研究所にて。
村上冬樹扮する三浦博士が登場。上原謙と思ったら違っていて村上冬樹でした。
桐岡記者が遊園地で発見したコイルを見せています。
このコイルは低温でないと作動しないと三浦博士です。

で、冷凍装置のシーンにつながるわけです。
当時の東宝特撮で多くある『セリフでリードして次のシーンにつなぐ』手法なのです。

日邦精機株式会社にて。
白川由美扮する営業部の中条明子が登場。お茶汲みではなく営業担当です。
中丸忠雄扮する注文主の中本伍郎が催促にやってきます。
もう発送しましたと中条明子。行き違いでしたがそれはどうもと中本伍郎。
で、このシーンの締めは中本伍郎の笑いとなります。これは普通ではありません。中丸忠雄だから出来るシーンです。

殺された塚本のアパートにて。
桐岡記者は勝手に調べています。取材なのかい。
何故か偶然にこのアパートに住んでる中条明子と知り合います。
部屋を調べる桐岡記者。ですが先客がいました。張り込み中の刑事2人です。
岡崎捜査主任と平田昭彦扮する小林警部です。この2人のコンビらしい。
小林警部と桐岡記者は知り合いでした。平田昭彦は前作『美女と液体人間』と似たようなキャラでした。

キャバレー大本営にて。この名前をつけるとは凄いセンス!!!
金粉のダンサーが踊っています。『007 ゴールドフィンガー』(1963年)より早い。
小林警部と桐岡記者がいます。
このキャバレー大本営のオーナーが第三国人の隆昌元で田島義文が妙なアクセントで喋っています。何か変です。ギャグにもなっていない。
隆昌元は大西社長と相談中。
ホステスが旧日本軍の認識票を届けにきます。これに動揺する2人です。
ハンドガンを取り出す隆昌元。これが旧日本軍の南部式自動拳銃です。日本映画にしてはディテールがちゃんとしているじゃないと感心する。。
堺左千夫扮する滝がやってきます。認識票の件らしい。
認識票はこの3人ではない。果たして誰?となります。
須藤兵長の名前が出ます。そんなとこにボーイがテープを届けにきます。

ソニーのオープンリールテープレコーダーにかけます。
途中までエロテープでしたが突然中丸忠雄の声がします。激しく動揺する3人となります。
3人はキャバレーの外に出てテープを届けた奴を探します。
あっさりと戻る3人。テープは消えていました。ということは侵入者がいるということです。
電送人間の須藤兵長が登場。
隆昌元が軍刀でぐさりと刺されてやられます。他の2人は逃げています。それでも仲間かかいと突っ込みたくなります。
小林警部と桐岡記者がかけつけます。
電送人間の須藤兵長は窓から逃げます。

追っかけのシーンとなります。
クルマに乗った電送人間の須藤兵長は逃走する。
倉庫街に入ります。芝浦あたりの倉庫らしい。
パトカー2台が到着となります。

夜道を歩く中条明子。
これはどうやら偶然らしい。この作品の脚本は偶然が多い。まあいいけど。
いきなり電送人間に襲われてだっこされています。意味がわからん。
で、しばらくしたら中条明子を置いて走って逃げる電送人間。なんなんだ。

電送人間は倉庫の2階窓に侵入しています。
で、火事となります。

燃えた後のの現場検証となります。
手がかりは残っていません。なにやら機械装置を燃やしたらしい。

事務所にて。
大西社長と滝がもめています。
この件を警察に届けると滝。このキャラを気弱なくせにやることは大胆というか無茶しています。件の洞窟爆破の実行犯なのです。
警察が来ます。小林警部です。何故か桐岡記者もいます。
そんなこんで結局この件の事情を話すことになる大西社長。

回想となります。
移動中の教授とその護衛の兵隊達。
科学の資料が入ってるはずの軍用行李の中には金の延べ棒が入っていました。
義憤にかられて小銃を向ける須藤兵長。
きれいごとを言うなと大西社長の中尉。
で、ダイナマイトに点火する滝。やることが大胆です。

回想から戻ります。
で、後年回収に行ったら金の延べ棒も死体2つもなかったと大西社長。
そんなわけで儲けられずに恨みを買っただけだったようです。

中条明子のアパートにて。
桐岡記者と中条明子。
豪華な花束が届きます。送り主はクレームをつけにきていた中本伍郎でした。
こんなとこをするから足がつくんです。

このあたりからLDのA面の再生が怪しくなってきました。LDプレーヤーはソニー MDP-A7です。この製品はまだソニータイマーが付いていなかったのか、これまではずいぶんと年数が経っていてもちゃんと動いていましたが・・・
どうやってもダメです。LDの外周に行くとダメ?それともディスクによってダメ?わけわからん。ディスクの見た目は何ともない。
しょうがないのでB面に行きます。→結局B面はラストまで再生出来ました。

駅にて。
何のシーンだかよくわからん。
桐岡記者と中条明子が中丸忠雄の牧場に乗り込むらしい。

滝の自宅にて。
滝はまだ殺されていませんでした。

このあたりは話しの都合上滝の自宅と牧場を忙しくカットバックしています。
桐岡記者と中条明子の正体を見破っている中本伍郎。
怪しげな機械音がしています。
電送人間が発進=発信します。この映像は見事です。アナログ特撮の極致といえます。光線作画に効果音が素晴らしい。中丸忠雄はレプリカントみたいにぐるぐる回っているし・・・
『プレステージ』(2006年)を見た時に電送人間の描写ならこっちの作品の方がいいのではと思えました。


脅えている滝。何故か置かれているタイアップのサントリーオールドが妙に目立ちます。
刑事2人もいます。
滝の自宅行きの荷物を詰んだトラックを調べています。
刑事2人が荷物を開けています。
表に出ていた滝が部屋に戻ります。お巡りにサントリーオールドを勧める滝。そんなことするから?お巡りは電送人間になっていました。
軍刀でぐさりと刺されて絶命する滝。
刑事2人が戻ると電送人間はズラかっていました。

追っかけシーンとなります。
何故かやたらと走るシーンが多い。ここは省略した方がいいような気がする。
鉄道貨車に逃げ込む電送人間。
牧場の地下室を調べている桐岡記者と中条明子。突然中本伍郎が現れます。これで中本伍郎のアリバイは完璧というわけです。

貨車が爆発するシーンとなります。
このミニチュアはよく出来ています。爆発すると炎の感じでミニチュアとわかりますけど。

警察の対策会議にて。
向井淳一郎がお偉い役です。珍しい。
怪しい牧場を手入れすることになります。
大西社長がズラかったと連絡が入ります。

港にて。漁村です。
大西社長一行が到着します。歩くシーンが長い。
手下3人ですが・・・
マタンゴの天本英世→海南貿易社員
キングコングの広瀬正一→海南貿易社員
ケロニアの桐野洋雄→海南貿易社員
となっています。東宝特撮ではおなじみの方々です。

牧場にて。
ショットガンを構えて手入れを拒否する中本伍郎。
にらみ合いのとこでスピーカーから仁木博士の声がして「入ってもらいなさい」と声がかかります。拡声器が装備している牧場のようです。モダンです。

地下の研究室にて。
三浦博士と再会の仁木博士。久しぶりの再会から電送装置について話し込む。
そんなとこでどさくさにまぎれて中本伍郎はズラかっていました。

港にて。漁村です。
怪しげに荷物はもう届いているようです。

鶴田浩二は浮いています。
電送人間に関する決めセリフの「血管の代わりに・・・」も浮いてるし。

仁木博士の研究室にて。
中本伍郎が仁木博士に迫っています。首を締めて電送に必要な部品を持っていきます。
もみ合ったとこでマスクがとれて傷跡がある顔となります。中本伍郎ではなく須藤兵長です。

電送装置を作動させています。
装置の中に入る須藤兵長。
部品を装着して電送となります。電送のシーンは最高です。素晴らしい。

須藤兵長は島に着きました。
手下をハンドガンで片付けて大西社長に威嚇射撃の連発となります。
そんなもので銃声を聞きつけて島に到着していた警官隊を押し寄せてきます。
当然とどめと銃剣でぐさりとやる須藤兵長です。

カットバックが多い。
やることを終え走って逃げる須藤兵長。やらた走るシーンが多い。

浅間山が噴火しています。
気がついて電送装置のスイッチを切る仁木博士。
研究所は火山噴火の影響で埋もれます。これで電送装置は失われます。

倉庫内では電送する須藤兵長。
ですが受信先がないので電送は不能となります。電波となりどこか彼方へ消え去る須藤兵長です。
エンドとなります。スパッと終わっています。こういうのはいいな。


やたら走るシーンが多かったような。
そんなわけで何だか走っているとこばかりでしたが、何より電送シーンが素晴らしい作品でした。悪くはない。


東宝の変身人間シリーズ全4本
『美女と液体人間』(1958年)
『電送人間』(1960年)
『ガス人間第一号』(1960年)
『マタンゴ』(1963年)


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コメント

液体人間のい方は、「新東宝」のドロドロ情念セクシーの雰囲気がありましたが、「ガス」と「電送」は「東宝特撮」のムードが勝っており、もっと少年っぽくなりましたね。

「少年画報」や「ぼくら」といった少年誌は、この面白さにあふれていました。
昭和の少年の夢想は、楽しいイメージに溢れてましたね。

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