『美女と液体人間』(1958年)
この作品は本多猪四郎監督/円谷英二特技監督、佐原健二、白川由美主演の特撮ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1958年 東宝 日本作品
ランニング・タイム◆87分
プロット◆液体人間を焼き尽くす話しのようです。
音楽◆佐藤勝 手抜きなのか忙しかったのか普通のスコアでした。テルミンを使っています。
秘蔵の東宝発売のLDにて。画質はまあまあ。このLDはチャプターがついてます。ということはTOCを入っています。
キャスト
佐原健二→科学者の政田
平田昭彦→富永刑事
白川由美→キャバレー歌手の新井千加子
小沢栄太郎→宮下刑事部長
田島義文→坂田刑事
土屋嘉男→田口刑事
坪内鎌之→小川刑事
山田巳之助→楠田刑事部部長
中丸忠雄→関刑事
山田彰→若杉巡査
林幹→警視庁幹部A
津田光男→警視庁幹部B
草間璋夫→警視庁幹部C
千田是也→真木博士
白石奈緒美→助手の峯子
佐藤允→ギャングの内田
伊藤久哉→最初に液体となった三崎
藤尾純→液体になった西山
三崎耕→岸
山本廉→佐伯
桐野洋雄→キャバレーのボーイ 島崎
大友伸→浜野
園田あゆみ→エミー
北川町子→花枝
中野トシ子→管理人のおかみさん
中村哲→金と呼ばれる紳士
漂流船に乗りこむ6人。
中山豊→花田組のアンチャン
瀬良明→堀田
重信安広→安吉
大村千吉→大チャン
加藤春哉→宗チャン
加藤茂雄→松ッチャン
本多猪四郎監督/円谷英二特技監督の演出はまあよい思います。
全体としてのノリはのんびりと進む感じです。リアルと非リアルがないまぜになっている感じです。これのバランス取りは難しいのです。
いつもの特撮物とは違ってアダルトなノリでもありました。
「メクラ」がカットされてません。このLDは個人的にしか見れないんだから当たり前といえば当たり前なのですが・・・
大金ですが高額紙幣が5千円札というのは時代を感じさせます。
プロローグで雨が下水講に吸い込まれるショットがあり。1958年当時でヨーロッパスタイルの下水道完備の施設がもうあったのかと感心したりする。もしかしてセットか?ということはこの作品世界だけの設定のようです。→この作品を見てると何だか同じようなヨーロッパスタイルの下水道完備の『人狼 JIN-ROH』(1999年)が見たくなります。
後半にはクルマによる追っかけシーンがあって、ここはロケなので当時の町並みがモロに描写されてしまいます。思わず眼を閉じたくなるほど貧乏な町並みです。
これでも当時の最先端なのがまた悲しい。まあ現在も似たようなものだから気にしないほうがいいのか?現在の軽トラック代わりにオート三輪が走っています。
キャストでは小沢栄太郎が珍しくて後は常連です。平田昭彦が科学者ではなく刑事役なのも珍しいかも。
佐藤允が悪役を勤めています。桐野洋雄と2人で並んでいるとこれはまたアクの強い2人だことと感心したりします。東宝らしくない個性の2人です。
ヒロインは白川由美です。これまたアクの強いルックスです。
黄色いスーツ姿で下水を引き回されるとこなんていいものです。その上セミヌードまでになってました。これまたいい感じ。
タイトル。
核実験です。
新聞で核実験のの見出しのモンタージュが入ります。
雨の夜、ビル街にて。
クルマにギャングがいます。
下水道から出てきた子分が何かにやられます。
この子分が伊藤久哉扮するギャングの三崎のようです。
クルマのギャングは佐藤允のようです。
側にいたアベックの男は夏木陽介か?
子分の姿がなくて服その他だけが残されています。
警察にて。
刑事の面々が登場。
小沢栄太郎が刑事でいます。東宝特撮では珍しい。でも1番偉いのは平田昭彦刑事のようです。
中丸忠雄は刑事の1人です。まだそんなに目立っていません。
中村哲の容疑者がいます。
そんな感じでキャストを見ているだけで面白い。
アパートにて。
ここは消えた三崎のアパートらしい。
警察が踏み込みます。
三崎の部屋には白川由美扮するキャバレー歌手の新井千加子が寝ているとこでした。
ちゃんと警察を待たせての着替えのシーンが入ります。
警察にて。
平田昭彦扮する富永刑事が新井千加子の取り調べをしています。
キャバレーにて。
ストリップではないけどダンスが入ります。
キャバレー歌手の新井千加子の歌が吹き替えで入ります。
佐原健二扮する科学者の政田が新井千加子に伝言メモを渡します。
控え室にて。
で、科学者の政田が張り込んでいた刑事2人に捕まります。
警察にて。
科学者の政田は富永刑事と知り合いでした。
液体人間の話しをしている科学者の政田です。
とりあえず解放される政田。
アパートにて。雨が降っています。
新井千加子が帰宅すると怪しい男が待ち伏せていました。
これが藤尾純扮するギャングの西山です。
窓からズラかる西山。で、銃声がします。
どうやら西山も服だけ残して消えたようです。
警察です。
取り調べを受ける新井千加子。
アパートにいた男2人は張り込み中の刑事だったようです。
また政田が来ています。
病院にて。
液体人間を目撃した船員2人たら証言を聞きます。
政田と刑事2人。富永刑事と坂田刑事。
回想となります。
漁船の面々が漂流船に乗り込みます。無人となっています。
乗り込む面々は東宝特撮作品での目撃者や被害者役のいつものメンバーです。大村千吉や加藤春哉他、計6人・・・
で、大村千吉や加藤春哉がやられます。
何だかんだで2人だけ逃げ帰ります。後は液体人間となったらしい。
回想から戻ります。
研究所にて。
富永刑事と坂田刑事はあまり信じていない。
ガマを実験台にして実演となります。
放射能を浴び溶けて流れるガマ。
◆千田是也扮する真木博士の助手を演じているのは白石奈緒美のようです。
鑑識にて。
上司2人が話ししています。
この上司に呼ばれる富永刑事。プレッシャーをかけられているようです。
刑事部屋にて。
捜査は進んでいないらしい。
アパートにて。
政田が富永刑事に液体人間の話しをしていますが邪魔にされています。
そのままクルマに乗っていく2人。
警察にて。
ここは追い返されている政田。
消えた西山の自宅にて。
踏み込む警察の一行。
誰もいないと思ったら若い男の死体がありました。これは何だ?わけわからん。
研究所にて。
例の船に浮き輪を持ってきています。放射能の反応があります。
この研究所の先生の千田是也扮する真木博士が本格的に登場します。
政田に新井千加子が面会に来ます。話し込みます。
警察にて。
チンピラの容疑者の取り調べとなっています。結局関係なかったらしい。
また捜査は行き詰まっています。
政田に新井千加子が面会に来ます。富永刑事と話しをしますが気まずい雰囲気となっています。
キャバレーにて。
桐野洋雄扮するキャバレーのボーイ 島崎がいて,他にも怪しい面々がそろっています。
またキャバレー歌手の新井千加子の歌が吹き替えで入ります。
で、またストリップではないけどダンスが入ります。
その一方ではここにいる連中を次々と捕まえている張り込み中の警察の面々。
説明セリフはあまり使っていない。福田純監督にしては上手いと思ったらこの作品は本多猪四郎監督でした。
で「外のドブ川から液体人間が出てきます。
控え室では佐藤允と桐野洋雄の2人が並んでいます。両方ともいかつい(個性的ともいう)ご面相なので迫力があります。
窓からズラかろうとしているとこで外から液体人間が入ってきて桐野洋雄がやられます。次にダンサーの女がやられます。
トイレにいた新井千加子のとこにも液体人間が来ます。
電話室に逃げる新井千加子。政田に電話しています。
坂田刑事がやられます。
佐藤允は服だけ残してズラかります。これでごまかすようです。
さすがに刑事がやられると警察も信じないわけにはいかないようです。これは脚本が上手いです。
窓から液体人間がズラかるとこも警察の面々が目撃しています。これで警察が液体人間対策で動くのが決まりとなります。
で、放射能反応が残っていない服が残っています。警察は気にしていない。
新聞の見出しのモンタージュが入ります。
研究所にて。
取材に押し掛けている新聞記者の面々。入れません。
中ではガマを使った実演中。警察の面々に見せています。
液体になったガマが別のガマを液体化させています。
決めセリフ「これが液体人間か」は小沢栄太郎が言っています。
新聞の見出しのモンタージュが入ります。
液体人間とデカデカと出ています。
対策会議にて。
千田是也博士の液体人間に関する説明となります。
続いてその液体人間対策?はとなります。どうやら徹底的に燃やすようです。
逃げた佐藤允の服には放射能の反応はなかったと富永刑事に伝える政田。
アパートにて。
クルマに連れ出される新井千加子。
遅れてやってきた政田はそのままタクシーで尾行となります。
クルマが走る主観ショットになるとロケがいいんです。
当時の風景がそのまま見れるからです。この貧乏な感じがなんともいえません。
オート三輪が多いこと。当時のトラックはホトンドこれだったようです。
クルマを運転しているのは佐藤允。
尾行のタクシーは事故ってしまいます。尾行は失敗となります。
対策会議にて。
液体人間焼却作戦の最終的な打ち合わせのようです。
続いて避難する一般市民のシーンとなります。これでこの作品は本多猪四郎監督だとわかります。
下水道にて。
この作品ではちゃんとヨーロッパにあるような下水道がある設定となっています。
液体人間が動いています。
下水道内を歩いている新井千加子と佐藤允のギャング。
隠してある麻薬?を取り出す佐藤允のギャング。
焼却作戦は始まっています。
液体人間も出てきます。
新井千加子の服を脱がして服を流して死んだことにするらしい。なるほど下着姿になる必然性はあるわけです。
流された服を発見して下水道内に入る政田。
三菱スーパーガソリンのタンクローリーが着きます。
ガソリンを下水道内に流し込みます。
作業班は引き上げます。
点火となっています。ガソリンが流れ着くまで後15分となります。
佐藤允のギャングが液体人間にやられます。
ようやく新井千加子を発見して救出する政田。
火炎放射器が液体人間に向けて放射されます。
この辺で画面の下の方等に横線のような筋のようなノイズが入ります。
いよいよLDプレーヤー ソニー MDP-A7か、LDのディスク自体がイカレてきたのかトラッキングが怪しくなっているようです。
下水道から川周辺等のあちこちの燃える描写が入ります。
ナレーションが入りエンドとなります。
見ててノリはまあよかった。それほど退屈ではありません。
そんなわけで下水道完備の設定の東京が興味深い作品でした。悪くはない。
東宝の変身人間シリーズ全4本
『美女と液体人間』(1958年)
『電送人間』(1960年)
『ガス人間第一号』(1960年)
『マタンゴ』(1963年)
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これもねー、「憲兵とバラバラ死美人」と同じような怖さがあるのですよね~。
昭和の真ん中の次期は、シミーズ(スリップ)、パーマの長い髪、ちょっと太めの年増、暗めの照明、安いサックスの音、というのが、セクシーの条件でしたが、そのドロドロした感じに「液体」といコンセプトがバッチリはまってるのですよ。
湿気の多い、ドブ板のある、冷房もない蒸し暑さ、正に昭和の情念の恐怖です。
寺山修司なんかもしっかり受け継いでましたよね。
これも、今の人には完全には理解できないのではないでしょうか。。。
投稿: lalaki | 2009.07.22 18:41