『スカイ・クロラ』(2008年)
この作品は押井守監督のある世界での戦争映画のようです。
2Dと3Dを組み合わせたアニメで、デジタル・サウンドとなっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2008年 プロダクションI.G/「スカイ・クロラ」製作委員会/日本テレビ放送網/バンダイビジュアル/ディーライツ/バップ/読売テレビ放送/博報堂DYメディアパートナーズ/D.N.ドリームパートナーズ/読売新聞/中央公論新社/報知新聞/ワーナー 日本作品
ランニング・タイム◆122分
原題◆The Sky Crawlers→ずっとスカイ・クロレラかと思ってた。違うじゃん
プロット◆見せ物仕事としての戦争を続ける話しのようです。
音楽◆川井憲次
バップ発売のDVD通常版にて。画質はよいです。珍しくバンダイ発売ではない。いっそのことワーナー発売の方がよかったような。
キャスト→VC
新任のパイロット 函南優一→加瀬亮
上司の草薙水素→菊地凛子
函南優一と同室のパイロット 土岐野尚史→谷原章介
途中参加のパイロット 三ツ矢碧→栗山千明
草薙水素の娘 草薙瑞季→山口愛
新聞をていねいに畳むパイロット 湯田川亜伊豆→平川大輔
同僚パイロットの篠田虚雪→竹若拓磨
メカニックの笹倉永久→榊原良子
合同作戦の指揮官 山極→麦人
司令部課長 本田→大塚芳忠
背中にタトゥーのフーコ→安藤麻吹
フーコと一緒にいるクスミ→兵藤まこ
ダイナーのユリ→ひし美ゆり子
ダイナーのマスター→竹中直人
基地見学のバスガイド→西尾由佳理(日本テレビアナウンサー)
押井守監督の演出はよいと思います。
全体的にセリフは押井守監督が書くよりはマシなようです。
VCのキャスティングはコネでしょう。とてもオーディションとは思えない。主にアメリカ映画に出演した人ばかりそろえているようです。海外受けの狙い過ぎなような感じがします。
同室の土岐野尚史のキャラデザインはVC谷原章介に似せているようです。これは面白い。
そんな感じで他のキャラもVCに合わせてキャラデザインをしているようです。
本末転倒とは言わないけど妙な手法です。。
作品に出てくる戦闘機で・・・
「散香」は日本九州飛行機試作戦闘機「震電」
「スカイリィ」はドイツフォッケウルフ高高度戦闘機「Ta-152」
「泉流」は日本空技廠試作偵察機「景雲」に酷似している。
「染赤」は例がないが、震電のジェット化あるいは米国「XP-55」の改良型かと思われる。
と、なっているそうです。私はこの方面は詳しくないのでよくわからん。
2Dと3Dのアニメを使い分けていたとのことですが、そんなことは全く気になりませんでした。そもそ全部普通の2Dアニメだと思っていました。私は飛行シーンはずいぶんときれいな作画だなと思っていました。
タイトル。
色々とところが製作に関係しています。船頭多くして山を登るにならなければいいけど・・・
さっそく空中戦となっています。
ティーチャーなるキャラの紹介のようです。
押井守監督が大好きな空薬莢が飛び散っています。
タイトル。
タイトル名ですがクロラではなくクロレラだと思っていました。早めに気がついてよかった。
脚本の出来はどうかな?。→これは無難な出来のようです。押井守監督は脚本は他人にまかした方がいい。
滑走路がある基地にて。
ベンチで寝ている犬。この犬の寝方に見覚えがあります。
それは海洋ドキュメンタリー『沈黙の世界』(1956年)に出ていた船内でのダックスフンドの面白い寝方でした。
飛行機が着陸します。
この飛行機の形が変わっています。プロペラが機体の後ろに付いています。プロペラの位置が前と後ろでは効率の違いはどうなんでしょう。
二重反転プロペラです。このプロペラに妙にこだわっているようです。
タバコをマッチで点けて吸っている主人公の函南優一が登場。マッチを使うとはクラシックです。
上司の草薙水素に移動の報告する函南優一。
2人部屋に入る函南優一。
日常の風景となります。
食堂にて。
新聞をきれいに畳む男 湯田川亜伊豆がいます。
先輩が3人、合計4人のパイロット。
同室の土岐野尚史。
キャラ紹介となっています。
函南優一と土岐野尚史で飛行となります。
ダムに異常接近飛行の度胸試しに合格する函南優一。
続いて敵機が3機接近で空中戦となります。
さすがにこのアクションシーンはいい。
2機撃墜の函南優一。
帰投します。
上司の草薙水素に報告の函南優一。
自分の前任者のことを聞く函南優一。
キルドレとは?とはと話しは進む。
夜、ダイナーに向かう函南優一と土岐野尚史。
バイクは何だ?わからん。
ダイナーにあるTVは薄型TVです。レトロフィーチャー?という設定のようです。
対ラウテル?→予備知識無しの初見では話しの方は全然わからん。
ここで落ち合った女性2人とクルマで移動となります。
森の中の屋敷に入ります。
背中にタトゥーの女性。
いなくなったジンロウとは?→これは伏線だったようです。
バイクで帰宅の函南優一。
2サイクルエンジンの音がしています。どうやらバイクではなくスクーターでした。それならベスパしかないことになります。
2人部屋に入る上司の草薙水素。
ベッドにに顔を伏せて函南優一の匂いを感じているようです。意図不明な描写だ。→トンデモホラーの『ジーパーズ・クリーパーズ』(2001年)の引用ではないようです。
1機戻ります。函南優一の機体です。オイル漏れがしているとのこと。
上司の草薙水素の娘 草薙瑞季と会う函南優一。
話し込みます。キルドレのことを聞かれる函南優一。
相棒も戻ります。
この作品の会話シーンの見ていると小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督のような感じがします。押井守監督もようやくこのへんにレベルに達してきたようです。
◆ちょうど小津安二郎監督、池部良、淡島千景、岸恵子主演の『早春』(1956年)、成瀬巳喜男監督、佐野周二、原節子主演の『驟雨』(1956年)を途中から見始めて最後まで見ていた頃なのでそう思った。
で、あまり見たことがない原節子ですが目が大きく大作りな顔で当時にはしては珍しいタイプのルックスです。まるでアン・ハサウェイのようだ。
上司の草薙水素と娘の 草薙瑞季が手を繋ぐとこがていねいにクローズアップショットで描写されていました。印象に残ります。
食堂にて。
新聞をていねいにたたむ男 湯田川亜伊豆からジンロウを撃ったのは上司の草薙水素だと聞かされる函南優一。
◆この作品に登場する新聞は当然というか讀賣新聞となっています。ところで讀賣新聞はCIAの機関紙と言われています。正力松太郎の頃からアメリカのプロパガンダ専門のとなっているそうです。現在でもそうかも。
見学者達がパスでやってきます。
上司の草薙水素がフケたので函南優一が案内役となっています。
サイレンが鳴り響きます。1機墜落します。これは他の基地の機体でした。
墜落現場にて。
ポルシェ911・タルガで移動の上司の草薙水素。
ここで草薙水素が見物人達に対して感情を爆発させるとこがありますが見てて何故か違和感。何か唐突な感じがします。VCがお粗末というわけではない。
「おためごかしは言うな」、言わんとしていることはわかるが、少し描写が直接的に過ぎるのでは?と思えます。
スクーターで移動の函南優一。
ヘルメットは無しでゴーグルのみがいい。ヘルメットは気休めなんです。ゴーグルは機能的だから必要だけど・・・
ダイナーにて。
低空飛行の編隊が通過しています。自軍の基地に向かっているらしい。
もう乗る飛行機がないけどとにかく基地に戻る函南優一。
代わりに上司の草薙水素が乗って出撃しています。
ポルシェ911・タルガで移動の上司の草薙水素と函南優一。
今回の件について司令部に抗議に行くようです。
司令部に入ります。止められるが中に入る上司の草薙水素。
ポルシェ911・タルガで基地に戻る上司の草薙水素と函南優一。
途中でレストルームの家に寄ります。
食事の後は服を脱いでる上司の草薙水素。
溶暗となります。後は想像でお楽しみ。
2機で飛行しています。
ティーチャーと遭遇します。
相棒機は撃墜されて海に落ちてます。これで湯田川亜伊豆が退場となります。
雨の中を飛行している残った函南優一機。
上司の草薙水素に報告の函南優一。
ティーチャーのことが話しに出ます。相手のエースとのことです。
◆このティーチャーなるキャラもよくわからん。
発進となります。
上司の草薙水素が出て函南優一は残される。
戻る2機、1機だけ戻りません。これが上司の草薙水素機でした。
レーダーの回る描写が妙にていねいで印象に残ります。
風の音がいい感じに鳴っています。
上司の草薙水素機は不時着していました。
女性のクルマが来て救出となったようです。
基地に戻る負傷した上司の草薙水素。
夜間飛行の編隊4機。
別の基地に着陸となります。
歓迎パーティにて。
思い切り盛り下がっています。
双子のパイロットの話しが出ています。
函南優一に話しかける新キャラの三ツ矢碧が登場。
戦術説明のミーティングです。
今回は大掛かりな作戦らしい。
発進となります。
双発機に後プロペラ機と色々と混じっています。
ダイナーのTVでもこのことがニュースで放映されています。
空中給油の図があります。
この空中給油のシーンで有名なのがスタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』(1964年)のタイトル部分です。
空中戦が始まります。
これがTV中継されているようです。スコアも出ているのかはわからん。
爆撃もするようです。
作戦は終了して戻ります。
またTVニュースか流れます。
◆結局どうなったのかよくわかりません。まあいいけど。
基地に戻る函南優一。
今回の作戦の報告ミーティングとなります。
路面電車で出かける函南優一と土岐野尚史。
成り行きで上司の草薙水素と3人でボウリングをすることになります。
バーにて。
ワインを飲んでいる上司の草薙水素と函南優一。
トイレで鏡の前の上司の草薙水素。これはいいシーンです。『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のグレース・ケリー、『キャット・ピープル』(1982年)のナスターシャ・キンスキーのようです。
で、クルマ内で酔っぱらって函南優一にハンドガンを向ける上司の草薙水素。
このハンドガンはワルサーPPKか?32口径のダブルアクションのオートマティック。
編隊飛行で移動しています。
元の基地に戻ったようです。
新たに来たパイロットに新聞をていねいに畳む男がいたりします。もしかして伏線なの?
日常の風景となります。
移動してきた三ツ矢碧とメカニックの笹倉永久。
上司の草薙水素に関して激しい会話となっています。
◆この激しさが何か唐突なのです。
2人部屋にて。
土岐野尚史と函南優一の会話。今夜は出かけないと函南優一。
三ツ矢碧と函南優一の会話。キルドレについて。
◆もしかしてキルドレはレプリカントと同じ扱いなのか?
夜、上司の草薙水素のオフィスにて。
上司の草薙水素にハンドガンを向ける三ツ矢碧。
止めに入る函南優一。
部屋を出て行く三ツ矢碧。
上司の草薙水素と函南優一。
◆これも一種のの痴話げんかみたいなものか?
発進となります。
空中戦開始となります。
ティーチャーと勝負となる函南優一。
基地にて。
戻らない函南優一機。
溶暗でエンドとなります。
後タイトル。
歌が入っています。これは典型的なタイアップなのでいりません。
オマケがあります。
新任パイロットを乗せた飛行機がやってきます。
上司の草薙水素に報告の新任パイロット。
また同じことの繰り返しなのか・・・、よくある話しです。
◆これもこれでいいのではと思えます。
そんなわけでもっと退屈な出来かと思っていましたが、そんなことはなく、よい出来の普通の作品でした。悪くはない。
師匠の鳥海永行が2009年1月23日に67歳で死去したことを機会に押井守監督も師匠越えをすべく、エモーショナルな作品を作ってください。
ただし絶叫芝居の連発は無しでやって下さい。押井守監督の脚本はセリフが退屈なので脚本は他人にまかせた方がいい。
もう淡々というか単調な会話ドラマには飽きたのでそう思います。
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