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2009.04.11

『第七天国』

この作品はフランク・ボーゼージ監督、ジャネット・ゲイナー、チャールズ・ファーレル主演のサイレント映画のメロドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1927年 フォックス アメリカ作品
ランニング・タイム◆118分
原題◆7th Heaven
プロット◆会って別れて再会する話しのようです。
音楽◆サイレント映画なので終止音楽は付いています。途中で抜けてるとこもあったけど。
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質はそれなりに悪い。

キャスト
ジャネット・ゲイナー→ヒロインのディアン
チャールズ・ファーレル→アパート7階のシーコウ
アルバート・グラン→タクシー運転手Boul
デイビッド・バトラー→道路掃除人のゴバン
マリー・モスキニ→ゴバン夫人
グラディス・ブロックウェル→ディアンの意地悪な姉ナナ
エミール・ショータール→神父
ベン・バード→ブリサック
ジョージ・E・ストーン→シーコウの同僚 地下水道掃除夫The Rat


フランク・ボーゼージ監督の演出はよいと思います。
話しはなんてことがないボーイミーツガール物なのですが、これが見てて引っ張られます。映画の不思議なとこなのです。
この作品の出来はよすぎるような感じがします。フランク・ボーゼージ監督はそんなに悪くはない腕前だと思い済ますが,それにしてもこのこの作品、監督の能力以上に出来てしまったと思われます。

ジャネット・ゲイナーはこの作品とF・W・ムルナウ監督のこれもメロドラマの傑作『サンライズ』(1927年)の掛け持ちの同時撮影だったとのことです。ある意味凄い。出ているだけで十分な女優さんの強味なのかも。

タイトル
前説があります。
向上する云々、勇気の梯子・・・

パリ、下水道にて。
チャールズ・ファーレル扮する下水掃除人シーコウが登場。
もう1人の男と仕事中のようです。

地上には
デイビッド・バトラー扮する道路掃除人のゴバンがいます。
早く道路掃除人になりたいというシーコウ。
で、「僕は出来る奴」のセリフが出てきます。これが決めの伏線なのです。

ジャネット・ゲイナー扮するヒロイン ディアンが登場。
冷酷でアル中の姉にいじめられています。鞭でめった打ちにしています。シャレになっていないような。さすがにここだけはスタントのようです。

ジャネット・ゲイナーは小さくて可愛くて、12歳ぐらいにしか見えない。
ダコタ・ファニングみたいです。髪はブラウンか赤毛?
いじめる姉は目玉をむいてジョーン・キューザックみたい。

酒を買いにいかされるディアン。
まず懐中時計の換金からやっています。これはまた大変なことです。

アパートに神父がよい知らせを持ってやってきます。
姉妹の叔父夫婦が引き取りに来るとのことです。

叔父夫婦がやってきます。
ディアンに帽子を被せておめかしのつもりの姉。
良い子にしていなかったなら引き取らないと条件を出す叔父。
ここでは猫を被っていますが、朝寝朝酒、それからパチンコといった感じの意地悪な姉なのです。で、どうする?
ディアンが気配からか、実はホントのことを漏らしたのか、叔父はこれでは不合格として少しのカネだけを放り投げて帰ります。

激怒した姉はディアンをまた鞭でめった打ちにして道路まで追いかけてきます。
動けなくなったディアンに馬乗りになって首まで締めています。さすがサイレント映画は描写がストレートでどぎつい。
さすがに偶然マンホールから出てきたシーコウが止めます。これは偶然のようです。

キャラクターの発音ですが・・・
チコではなくシーコウ
ダイアンではディアン
と、なっています。英語のフランス風発音なのか?

昼飯となるシーコウら3人。
まだ道路で倒れたままのディアンをタマネギを使って起こしています。

神父から道路掃除人の鑑札をゲットするシーコウ。
ついでにペンダントというかロザリオももらいます。ペアのセットです。

先輩の道路掃除人ゴバンに挨拶のシーコウ。
挨拶の繰り返しのギャグとなっているようです。

いよいよナイフで自殺を計るディアン。
これを止めるシーコウ。「俺のナイフを使うな」とやっています。別に同情しているわけではないようです。

何だかわかりませんが姉が警察に捕まっています。
姉は妹のディアンを道連れにしようと捕まるように仕向けています。
成り行きでディアンを女房だと言うシーコウ。
そんなわけでディアンが居るのは警察が調べに来るまでというのでシーコウは自分のアパートに連れていくことになります。

タクシーと運転手のじいさんにディアンを紹介するシーコウ。
で、タクシーでアパートに行きます。

アバートにて。
階段を登ります。7階まで登ります。エレベーターはありません。
7階のセットをカメラが下から上へと移動しています。ここを1ショットで描写するのがポイントなのでしょう。
結構広いアパート7階の部屋です。
隣のアパートに行くための手すりもない渡り板がかけてあります。
「ここは天国」とディアンのセリフ。

服を脱いでベッドに入るディアン。
一夜明けて朝食となります。

隣のアパートから渡り板を使って先輩道路掃除人ゴバンが来ます。
ゴバンがさあ仕事に出かけよう、その前にお出かけのキスだと言います。
そんなわけでディアンとシーコウ、お出かけのキスの図となります。

シーコウが仕事に出かけた後にて。
下は向かずに、上を見るようにしているディアン。
昨日はは出来なかった渡り板を歩きます。出来ました。

仕事中のシーコウ。
放水の図。サイレント風ルーティンなギャグといった描写です。

この辺は音楽が途切れています。

アパートにて。
警察が調べに来ます。ここはなんて事はなく済みます。
ホッとするシーコウ。
これからが心配なディアン。
で、どうする?となったけどあっさりと「いてもいい」とシーコウ。

シーコウの上着を繕うディアン。
そんなとこにウェディングドレスを買ってきたシーコウ。
「シーコウ」「ディアン」「ヘブン」のセリフ。
もらったロザリオの上に座ってしまうシーコウ。これは縁起が悪い?

隣のアパートにスープを届けに行くディアン。
ゴバン夫人はベッドに臥せっています。妊娠中らしい。

街中には戦争開始の告知が出ています。
そんなわけで1時間以内に前線に出発となります。

プレゼントされてウェディングドレス姿で戻るディアン。
ここをすぐに出るとシーコウ。
この場ですぐに結婚式をしようとなります。
互いにロザリオをかけています。

いよいよ出発の時間となります。
ディアンとオーバーラップする振り子時計。
「毎日午前11:00に君のところに来る」とシーコウ。
出て行くシーコウ。残るディアン。

すぐに入れ替わりに意地悪な姉がやってきます。
どうやらお礼参りらしい。
最初はやられていますがロザリオを盗られてブチ切れたディアンは逆に姉をボコボコにして追っ払ってしまいます。やれば出来るじゃんといった描写でした。


第一次世界大戦です。
戦争の前説の字幕が出ます。
モブシーンが凄い。
クルマの列とか、とにかく人数が多い。
歩兵を前線に送り込むために一般車両が動員されています。そんなわけでタクシーが行進する列が出来ています。
合成にミニチュアをも使っているようです。奥の方はミニチュアのようです。

タクシーの運転手のじいさんは食料を調達してディアンとゴバン夫人に届けてくれます。食料の1部のネコババもやっていますけど。

戦闘となります。
第1次世界大戦はもの凄い消耗戦で歩兵がムダに死んでいました。
この時代になると弾丸をバラ撒くマシンガンがあり脅威となっています。
旧来の戦法で歩兵が一斉突撃をしてマシンガンで一掃されるのがパターンのようです。

工場で働くディアン。
仕事は手動プレスのようです。
にやけた大佐がディアンを口説いています。戦争だから大変なんだと口説いているようです。これ国を問わずに実際にもそうだったのでしょう。何か凄い。

戦場にて。
午前11:00の約束を実行しているシーコウ。
「シーコウ」「ディアン」「ヘブン」とやっています。

戦闘です。
火炎放射器を使うシーコウ。
負傷するシーコウ。それでも午前11:00の約束を実行しています。

仲間の歩兵に自軍の塹壕まで運ばれる負傷したシーコウ。
シーコウを助けた歩兵は運んだとこで戦死します。
神父に見取られて遺言のシーコウ。これで死んだの?→この描写では普通は死んでいます。

アパートにて。
シーコウ戦死の知らせを届けるにやけた大佐。
信じないディアン。
隣のゴバン夫婦がやってきます。戦死を支持。
神父もやってきます。遺品のロザリオと遺言を持ってきます。決定的となります。
絶望するディアン。

街中には休戦の知らせが入っています。
パレードとなります。
そんな中をアパートに戻る途中のシーコウ。これは唐突な感じです。
ここをアパートのディアンとカットバックで描写してます。
階段を上るシーコウ。俯瞰のらせん階段のシーンとなっています。
「ディアン」の字幕のリフレイン。だんだんと「ディアン」の字幕文字の大きくなっていくのが洒落ています。声の大きさを視覚的に描写しているのです。

午前11:00となります。
アパートのドアが開いてシーコウが戻ってきます。
再会のディアン。幻ではありません。
決めセリフの連続となります。
「あなたの目になるわ」
「僕は出来る奴なんだ」
エンドとなります。素晴らしい。


そんなわけで時間のたつのが早いこと。メロドラマのマスターピースなよい作品でした。
淀川長治の解説によると『第七天国』(1927年)は永六輔作詞の『上を向いて歩こう』の元ネタだそうです。シーコウがディアンに「下は向かずに、上を見るように」と言うのです。これが元ネタらしい。


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