『夜までドライブ』(1940年)
この作品はラオール・ウォルシュ監督、ジョージ・ラフト、アン・シェリダン、アイダ・ルピノ、ハンフリー・ボガート主演のトラック運転手ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1940年 ワーナー アメリカ作品
ランニング・タイム◆95分
原題◆They Drive by Night
プロット◆トラック運送業で悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆Adolph Deutsch
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質は結構よいです。
キャスト
ジョージ・ラフト→兄のジョー
ハンフリー・ボガート→弟のポール
アン・シェリダン→キャシー
アイダ・ルピノ→エド夫人のラナ
ロスコー・カーンズ→運転手仲間のアイリッシュ
ゲイル・ペイジ→ポールの奥さんパール←語呂合わせか?
ラオール・ウォルシュ監督の演出はよいと思います。
ワーナーですがハル・B・ウォリス、マーク・ヘリンジャーが製作です。製作にジャック・ワーナーがからんでいなくて、本物の職人監督ラオール・ウォルシュが演出しているのでよい作品になるでしょう。
ギャング映画ではなく、これは珍しい運送屋映画です。
主演のジョージ・ラフトはよい作品の主演を断り続けて代わりに出演したハンフリー・ボガートを間接的にスターに押し上げた人らしい。
残った作品は『暗黒街の顔役』(1932年)でのコインを投げるの癖の相棒が1番有名なくらいでしょう。
まだサポート時代のハンフリー・ボガートはあまりいいとこはない。
トラックでは助手席で居眠りしているか、運転席では居眠り運転しているだけです。当然事故ります。いいとこない。
アン・シェリダンは『僕は戦争花嫁』(1949年)に出ています。
シェリダンって戦車(M551空挺戦車 シェリダン)みたいな名前です。そんなことを言ったらジュディ・ガーランドは自動小銃(M1ガーランド自動小銃)のような名前だ。
アイダ・ルピノは悪役を担当していて悪女物から法廷物へ、そしてニューロティック物にまでになっての大熱演となっています。
本編です。
ジョージ・ラフト扮する兄のジョーとハンフリー・ボガート扮する弟のポールのファビアーニ兄弟が乗るトラックがガソリンスタンドに着きます。カネがないのを黙っていてツケにします。
無謀運転を避けようとして事故ります。
店の前で運転手仲間のハリーと会うジョー。
ドライブインのバーニーズにて。
スマートボールにハマっている運転手仲間のアイリッシュに会います。
長距離電話で運送会社の社長と交渉します。
運送会社では社長のウィリアムズと借金取りのファンズワースが荷物を引き継がせようと画策しています。
借金させて働かせる、このパターンのようです。
引き継ぎのドーソンが現れてここは荷物を渡すことにします。
S.F.に戻り社長のウィリアムズと交渉するファビアーニ兄弟。
強引に300ドルの現金を頂戴して帰ります。
夜、ヒッチハイクの女を拾うファビアーニ兄弟。
バーニースのウエイトレスをしていたアン・シェリダン扮するキャシーでした。
やたらと親切なジョー。
カフェ、マンデルに寄ります。スマートボールにハマっている運転手仲間のアイリッシュがいます。
運転手仲間のハリーのトラックの後に付くファビアーニ兄弟。
居眠り運転をしているので助けようとするがハリーのトラックは事故ります。ここはミニチュアを使用。ラオール・ウォルシュ監督は他の作品でも結構ミニチュアを使っています。
帰宅するポール。
奥さんのバールが待っています。
ジョーはキャシーのために部屋を借りる手配をします。
疲れているので寝込んでしまうジョー。キャシーはイスで寝ていました。
市場に寄ったとこでケンカとなるジョー。カッコよくやっつけます。
知人で運送会社の社長になっているエドに会いに行きます。エド夫人のラナを演じているのがアイダ・ルピノです。かなりエキセントリックなキャラとなっています。
ラナはジョーに迫りますがジョーは相手にしない。
ポールの家に借金取りのファンズワースが押しかけてきます。
ここは裏口から脱出してトラックに乗り込みます。ジョーはレモンを仕入れて高く売れる場所に運ぶことをポールに言います。
着いた市場で上手いこと高く売れて儲けます。
カフェで一服して長距離電話をかけるジョー。
ここはスプリットスクリーンで真ん中に電信柱を挟んでジョーとキャシーの図となります。わかりやすい。
トラックを持ち出そうとした借金取りのファンズワースを捕まえて現金で借金を返してサッパリとします。
ガソリンスタンドのツケも払います。ここで一言あったのがポイントで弟のポールに運転に代わらせるがボールの居眠り運転で事故ることになります。
ミニチュアになると事故が起こるのではと思ってしまいます。悪い癖です。
ジョーは放り出されて軽傷ですがポールは重症で右腕を失います。
トラックを失ったジョーはエドの運送会社に雇われることになります。運転ではなく机組の事務仕事です。これはエド夫人のラナの入れ知恵です。
ボールの家での夕食の席が気まずくなったりします。
口が軽いアイリッシュを連れていったのが原因です。
エドの家でパーティがあります。エドは成金のようです。
ジョーは早めに帰り、エドは泥酔してラナと帰宅します。ここでラナはエドをガレージに置き去りにして排ガスで死に至らせます。
ガレージの扉を閉めるために光学センサーを通り抜けるラナ。ここがポイント。
検事の尋問も乗りきりラナは自由の身になります。
兄弟の話しかと思ったら一転して悪女物になっていまが、まだ1940年代なので良心の呵責に耐えかねて被害妄想気味となるラナ未亡人。アイダ・ルピノの神経症的演技が見どころとなっています。
ラナ未亡人はジョーに共同経営と持ちかけます。ジョーは引き受けることになる。
そんなわけで弟のポールも雇っています。コネの典型じゃん。
私には昔買った輸入映画本でおなじみのアイダ・ルピノの銀ラメの派手なドレス姿が見れます。これが1番よかったりします。
このシーンでジョーを迫るとこで思わずエドを殺したと口走るラナ未亡人。この場をジョーに逃げられたので、逆恨みしてジョーに脅迫されてエドを殺したことにします。
で、ジョーは逮捕されます。ここは映像ではありません。スターのジョージ・ラフトならではといったとこです。
ラナ未亡人が面会に行くとキャシーと出くわします。ここで自動ドアが嫌いなラナ未亡人のシーンがあります。これは伏線です。
法廷物になります。この作品は色々と話しを詰め込んでいます。
ラナ未亡人はもう耐えきれず法廷での証言が出来ずジョーは不起訴となります。
ラストに少し波乱がありますが運送会社にとどまるジョー。
これは少し出来過ぎなオチなような。まあいいけど。
そんなわけで色々と詰め込んであるよい作品でした。それにしてもトラック運転手出世物語とは珍しい。
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