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2009.02.14

『失われた週末』

この作品はビリー・ワイルダー監督、レイ・ミランド、ジェーン・ワイマン主演のアル中ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1945年 パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆100分
原題◆The Lost Weekend
プロット◆アル中になって悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆ミクロス・ローザ
ユニバーサル・ピクチャーズ発売DVDにて。画質は非常によい。パラマウント作品ですが何故かDVD発売はユニバーサル・ピクチャーズになっています。

キャスト
レイ・ミランド→作家のドン・バーナム
ジェーン・ワイマン→ヘレン・ジェームズ
フィリップ・テリー→兄のウィック・バーナム
ドリス・ダウリング→バーのグロリア
ハワード・ダ・シルバ→バーテンのナット
フランク・フェイレン→看護人のビム

ビリー・ワイルダー監督の演出はよいと思います。
脚本はチャールズ・ブラケットとビリー・ワイルダー。
チャールズ・ブラケットは製作も担当。
脚本はいい筈ですから出来も大丈夫な筈です。

音楽には不思議な楽器テルミンが使われています。
アル中シーンになるとテルミンの音が流れます。全体的にテルミン全開の音楽となっています。アル中はホラーやサスペンスやSFと同じとなっているようです。
アル中は単なる飲み過ぎではなく病人とのことです。

この作品は紛れもないフィルム・ノワールのようです。話しの内容ではなく画調そのものがフィルム・ノワールなのです。

N.Y.が舞台です。
レイ・ミランド扮する作家のドン・バーナムは金曜に週末は田舎に行って休もうとなっています。兄と恋人がバーナムのアル中を何とかしようとしているとこです。
そんなことにはおかまいなしでバーナムは酒ビンを窓の外に吊るして隠していましたが兄に見つかります。
兄と恋人を送り出してから家政婦への10ドルを見つけてネコババして酒を買いに出かけます。

行きつけのバーに寄ります。バーテンと客なのかよくわからん女性グロリアのキャラ紹介となっています。
バーナムは飲み始めて止まらなくなってしまいます。カウンターに付くグラスの円い跡が何杯飲んだかを描写します。説明セリフでバーテンに「何杯目ですよ」とやらないのがいい。
結局飲み過ぎて旅行に出発する時間に遅れてしまいます。ここで兄にもう治らないと見切りをつけられてしまいます。恋人のヘレンはまだ見守っています。

次の日の朝からバーに行って飲み始めます。バーナムの回想となります。
ヘレンと知り合うきっかけとなったミュージカルの舞台を見に行った時のこと。舞台の小道具の酒に目が行くバーナム。幻覚を見てコートのポケットに酒ビンが見えます。
これは幻想ではなく自分が持ってるだけのことでした。そんなことから序曲だけで切り上げてコートを取りに行きます。
ここでコートが取り違えて足止めとなりようやく自分のコートを受け取るとこでヘレンと知り合います。
そういえばビリー・ワイルダー監督は回想好きとのことで死体が回想する作品があるくらいです。→これがハリウッド内幕物ドラマで有名な『サンセット大通り』(1950年)です。

バーに戻ります。
それにしてもよく聞き役のバーテンを相手に喋るアル中です。作家だから?
また回想となります。ヘレンの両親と会うためにホテルで待ち合わせますが偶然ヘレンの両親の話しをこっそり聞いていたたまれなくなって逃げ帰るバーナム。
酔っぱらっているとこにヘレンがやって来ます。そんなこんなでアル中になった経緯が明らかになります。知り合って3年でまだアル中が治らないようです。

今度こそ小説を書くと意気込むが上手く行かないバーナム。
酒を飲もうとするとテルミンが鳴り響きます。で、自分の隠した酒の在りかも忘れています。
飲みに出かけますがカネが足りずに他人のバッグに手を付けてバーから放り出されるバーナム。ここはかなり情けないシーンでした。情けなさのスリルとサスペンスが全開でした。
ようやく帰宅したとこで酒を隠してある場所がわかります。これで情けなさが倍増となります。

カネがなくなりタイプライターを質屋に持っていくバーナム。
ところがどこの質屋もユダヤ教の何とかで休みだったりします。3つ球看板が質屋のようです。結局いつものバーに来てしまい文無しなので1杯だけ恵んでもらうます。
バーを出てグロリアのアパートにカネを借りに行くバーナムですが帰りに階段から転げ落ちて病院送りとなります。

バーナムは当然アル中の病院に入れられます。
看護人のビルの説明を受けます。この人はプロの看護人です。優しくもなく無意味に乱暴でもありません。本物のいい人のようです。
アル中は夜になると幻覚を見るとのことです。この病院はゴキブリの幻覚を見る男等々色々なタイプをそろえています。このへんの描写はホトンドホラー映画となっています。
暴れる病人がいて大騒ぎとなります。この隙にコートを盗んで病院を脱走するバーナム。ビリー・ワイルダー監督はサスペンス描写が上手です。
地下鉄に乗るようです。おカネはあるのかと余計な心配までしてしまいます。酒屋で酒を強奪するバーナム。おカネはないようです。それでようやく帰り着きます。

夜になっていよいよ幻覚を見るようになるバーナム。
壁の穴からネズミが出現して操演のコウモリが飛んで見ている本人が大騒ぎとなります。そんなことから大家のおばさんからの電話でヘレンがやって来ます。
大家の旦那が合い鍵を用意しますが果たしてバーナムが内側から安全チェーンを掛ける前にカギが間に合うのか?とサスペンスになっていました。ビリー・ワイルダー監督は上手いじゃん。

日曜(だと思う)の朝は雨が降っています。
ヘレンの毛皮のコートを質に入れてリボルバーを手に入れるバーナム。
遺書を書きます。リボルバーはS&Wミリタリーポリスだと思われます。おそらく38口径でしょう。

自殺する邪魔なのでヘレンには帰れというバーナム。
帰らないヘレンはリボルバーを見つけます。ここで一悶着ありますが希望を持たせる展開となってエンドとなります。ハリウッド映画らしい。
この作品はタイトル通り(金)(土)(日)の話しのようです。ですからタイトルが『失われた週末』となるのか、ようやくわかりました。

レイ・ミランドはこの作品で主演男優賞とのことですがアル中演技はアカデミーの受けがいいからそんなものでしょう。見た感じは普通の熱演でした。

レイ・ミランドはアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)の印象が強いので何か怪しい感じがします。
野球ファンタジー物の『春の珍事』(1949年)にも出ていた?→調べるとちゃんと出ていました。実は見ていたりします。
他の作品も結構見ています。セシル・B・デミル監督の海洋アクション大作でジョン・ウェインが大イカにやられるので有名な『絶海の嵐』(1942年)から、C級で出来も悪い『双頭の男』(1972年)だって見ています。
『ボー・ジェスト』(1939年)『恐怖省』(1944年)、途中からだけど『大時計』(1948年)、『銅の谷』(1950年)、『X線の眼を持つ男』(1963年)、特にレイ・ミランドのファンでもないけど自分でも驚くほど見ています。
アンソニー・クインが出ていたご都合主義的ラストの犯罪物は何だっけ?→調べたら『断崖の河』(1957年)のようです。

ジェーン・ワイマンはこのようなルックスでした?アルフレッド・ヒッチコック監督の『舞台恐怖症』(1950年)には出ています。
ミュージカルや『グレン・ミラー物語』(1954年)に出ていた人?と思ったが調べるとこれはジューン・アリスンでした。混同していました。


本『ザナック ハリウッド最後のタイクーン』での面白いエピソード。
アル中の脚本家がいます。酒が切れるとアイデアも切れて、酒が入り酔っぱらうとアイデアは出るがへべれけでタイプが打てないので書けない、そんな脚本家を相手に若い頃のダリル・F・ザナックが難儀していたとありました。それにしてもよく出来てる設定のエピソードです。


そんなわけでアル中の話しで持つのかと思いましたが見事にもたせていたよい作品でした。
何だか見終わるとこれはアル中になって小説を書こうというアル中肯定映画なのかいと思えたりします。



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