『スピード・レーサー』(2008年)
この作品はアンディとラリーのウォシャウスキー兄弟監督、エミール・ハーシュ、クリスティーナ・リッチ、マシュー・フォックス主演のカーアクションのはずですが、何だか違うような。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
TVシリーズ『マッハGoGoGo』(1967年)の映画版ということで見ました。
2008年 Anarchos Productions/シルバー・ピクチャーズ/ビレッジ・ロードショー・ピクチャーズ/ワーナー/アメリカ作品
ランニング・タイム◆135分
原題◆Speed Racer
プロット◆内外の妨害に負けずにレースに勝つ話しのようです。
音楽◆マイケル・ジアッチーノ
ワーナー発売のDVDにて。画質はよいです。
キャスト
エミール・ハーシュ→スピード・レーサー
クリスティーナ・リッチ→ガールフレンドのトリクシー
マシュー・フォックス→実は何々なレーサーX
スーザン・サランドン→ママ・レーサー
ジョン・グッドマン→パパ・レーサー
キック・ガリー→メカニックのスパーキー:
ポーリー・リット→弟のスプライトル
ロジャー・アラム→大企業のローヤルトン
Rain→アジア系レーサーのテジョ・トゴカーン
Yu Nan→ハルコ・トゴカーン
伊川東吾→ミスター・トゴカーン
真田広之→何だかよくわからんミスター・武者
リチャード・ラウンドトゥリー→伝説のレーサー ベン・バーンズ
ベンノ・フュルマン→ディテクター警部
ジョン・ベンフィールド→ヤクザだかマフィアのクランチャー・ブロック
ラルフ・ハーフォース→現役では最高の筈のジャック・“キャノンボール"・テイラー
ピーター・フェルナンデス→レース・アナウンサー
アンディとラリーのウォシャウスキー兄弟監督の演出はよいと思います。
使われている音楽の1部はオリジナルTVシリーズと同じです。これはいい。
ヘルメット無しだとオリジナルのアニメキャラに何となく似ているエミール・ハーシュですがヘルメットを被るとまるで似なくなります。これが惜しい。やはりアニメならではの瞳の描写がポイントなのかも。
エミール・ハーシュの声はオリジナルTVのVC森功至とは似ていません。
アメリカ人には三船剛、ゼッケン5、GOで『マッハGoGoGo』になる洒落はわからんでしょう。いい感じです。
クリスティーナ・リッチはあまり似ていないけど合っています。
スーザン・サランドンもクリスティーナ・リッチも目玉が大きくてこの作品に合っています。これはよいキャスティングです。
マシュー・フォックスのレーサーXですが・・・
何だか扱いが妙に大きい。まあいけど。
このレーサーX=覆面レーサーですがオリジナルTVシリーズのVCは愛川欽也が演じていました。これがカッコいいんです。愛川欽也が演じたキャラでは1番カッコいいと思います。
細かいとこでマッハ号がジャンプするのはいいけど宙返りまでする必要はなかったような。
カーアクションでは肝心のエンジン音は?
これが大排気量、OHV、V8エンジンのエンジン音ではないのでかなり不満があります。この作品オリジナルのエンジン音で、素晴らしいエンジン音かというとそうでもないのです。こまったものです。
正直言ってカーアクションに必須な描写が欠けています。
ホイールスピンして加速の描写がない。ずっとホイールスピンをしているようです。
疾走感がない。走行中のシーンが何か足りないのです。
フルブレーキングがない。永遠に止まらないのかと思えます。
この作品では何しろドリフトというか滑りっぱなしなのです。これもこれでいいけど。そんな感じでカーアクションではないようです。
プロローグ。
まず子役から始まります。
学校にて。
態度に問題があるのでママが呼ばれています。
ママを演じるスーザン・サランドンは似合い過ぎ。
パラパラマンガを作る子役のスピード・レーサー。
兄レックスがマッハ号でお迎えに来ます。原作のアニメどおりで左ハンドルです。
カットバックを多用しています。
現在過去と忙しく切り替えています。サム・ペキンパー監督に比べればこのぐらいたいしことはない。充分についていけます。
1ショットごとに付けている説明セリフを削ればいいと思うくらいです。
サンダーヘッド・レースウェイにて。
ヘルメット無しで運転しています。せめてゴーグルぐらいは・・・
そうはいってもゴーグルだと顔が見えなくなるとハリウッドは嫌がるでしょう。
ところでベン・バーンズって誰?
レースシーンは何だか懐かしのスロットレーシングのようです。
岡本TVって何だ?
スタンド上にはスポッターがいるみたいです。インディカーやナスカーのような感じになっているようです。
事故ったらドライバーはバブルに包まれて放出されているようです。一応安全ということになっているようです。
ドリフトしまくりで何だかどこかで見たような。
それは2008WRC 札幌ドームのスペシャルステージでした。スピードは遅いけどこんな感じだった。なにしろ人工芝を取り去ったフロアをそのままコースに使用しているので滑りやすそうで実際に滑っていました。
そんな感じでこの作品を例えるならドリフトするスロットレーシングみたい。
兄レックスの赤いゼッケン4。
スピード・レーサーの白いゼッケン5。
過去と現在が忙しくカットバックしながらのレースとなっています。
そんなとこでカットバックで過去に戻ったりしています。
子役のトリクシーをガレージに連れてくるスピード・レーサー。
家を出て行く兄レックス。
ラリーで事故って行方不明となるレックス。
ワイプも忙しく使っています。
これは結構古典的な手法なのです。たまにはいい。
そんなこんなでスピード・レーサーの白いゼッケン5は兄レックスの赤いゼッケン4より遅れてゴールとなります。でも優勝しています。
スピード・レーサーの自宅にて。
日本語のアニメを見ている弟とサル。
でもキャラデザインはアメコミ調です。よくわからんアニメです。
どのチームと契約するのかスピード・レーサー。
そんなとこに地震です。
これが来客でした。プライベートジェットを真ん前に止めていました。
これが地震の原因でした。
大企業ローヤルトンの社長です。
プライベートジェットで移動となります。
ローヤルトン社に着きます。ローヤルトン・タワー。
工場見学となります。
パーティ。WRL5度チャンプのジャック・テイラーと会うスピード・レーサー。
スイートルームへ入るレーサー一家。
交渉となります。
ここはひとまずよく考えることにするスピード・レーサー。
走る大型トレーラーにて。
これが未見ですと突然な設定なので誰が何なのかさっぱりわかりません。
拷問されているアジア系の若い男。
拷問しているが後でわかりますがジョン・ベンフィールド扮するヤクザだかマフィアのクランチャー・ブロック。
ピラニアがペットでこれを使った拷問となりかけます。
そんなとこに尾行のクルマがいます。
これがゼッケン9のレーサーXのクルマです。
アクションとなります。
何故かヤクザだかマフィアの使う銃器が旧式なトンプソンのサブマシンガンとかエンフィールドのリボルバーです。
速度を落とした大型トレーラーから放り出されるアジア系の男。
これがブロックの手先で八百長レースをやっていたRain扮するテジョ・トゴカーンです。この後も出番が多い。わけわからんキャラですけど。
マッハ号でデートのスピード・レーサーとトリクシー。
トランクには弟とサルが入り込んでいましたと原作通りの話しの展開となっています。
GRX、トランスポンダー、等のわけからん用語が飛び交います。
交渉中のローヤルトンと真田広之扮するミスター・武者。
何だかさっぱりわかりません。GRXはオリジナルのTVシリーズでは運転してはいけない禁断のエンジンということだったけど、この作品ではそんなに重要にはなっていないような。
ローヤルトン・タワーにて。ローヤルトン社のイメージカラーはパープルようです。
ローヤルトン社長に会いに来たスピード・レーサー。
例によって忍び込んでいる弟とサル。プライベートジェットのキャンディを狙っているようです。ここの係員はモトローラの無線機を使用。
そんなこんなで契約を断るスピード・レーサー。
これに怒ってWRLの仕組みを説明するローヤルトン社長。
インディアナポリス500マイルレースのようなものらしい。
燃料電池がどうのこうのという説明セリフも入ります。
ところで現実の燃料電池は開発がどのくらい進んでいるのか興味深いとこです。まだ実用化にはほど遠いのか?
ローヤルトン社長の説明は続く。
レースは全部八百長だと言ってます。それを言ってはおしまいなのでは突っ込みを入れたくなるけど。
工場内で見つかって捕まる弟とサル。
引き続きスピード・レーサーを脅すローヤルトン社長。
カットバックでフジ・ヘキレシコン・サーキットとなります。
レースです。ゼッケン9も出ています。
ビリーとテジョ・トゴカーンがクラッシュします。
スピード・レーサーもクラッシュします。
なんだかんだでレーサー・パパは訴えられます。これがローヤルトン社長の脅しの結果ということです。
カットバックからローヤルトン社に戻ります。
このレースは実際にあったようです。時系列がわけわからん。
ロッカールームでベン・バーンズと会うスピード・レーサー。
1943年のレースのことを聞くスピード・レーサー。
自宅にて。
ママと話すスピード・レーサー。
元気づけているママです。
そんなとこに来客です。
レーサーXとディテクター警部です。
カーサ・クリフト・ラリーへの参加を要請してきます。
断るレーサー・パパです。兄レックスがこのラリーで死んだのです。
マッハ号でデートのスピード・レーサーとトリクシー。
スキーに行くとしてラリーに参加することになります。
カーサ・クリフト・ラリーです。
5000キロのラリーらしい。
改造されてマッハ号。アニメでおなじみな装備となります。
スピアフックはイリーガルということです。
これは一応伏線らしい。
アジア系のレーサー テジョ・トゴカーンと協力することになります。
このテジョ・トゴカーンの出番は多い。真田広之より多い。なんでそうなるの?
ヤクザだかマフィアのクランチャー・ブロックお抱えのレーシングドライバー スネーク・オイラーが吠えています。俺が1番だとか・・・
スタートです。
お城の中のようなとこを走ります。
砂漠へとコースは変わる。
ヘリコプターでナビのトリクシー。ナビといってもスポッターのようなことをやっています。
そんなこんなで何となくWWEプロレスのような展開のレースになっています。
フジのレースでは負けていたらしいスピード・レーサー。
ようやくわかりました。
コンテガの町が1日目のゴールです。
スピード・レーサーとレーサーXに文句が多いテジョ・トゴカーン。
レーサー一家がやって来て家庭内争議で一騒ぎとなっています。
夜中です。
刺客がやって来ます。忍者です。
そんなわけでカンフーアクションとなります。忍者とカンフーはジャンルが別なんですがハリウッドでは一緒になっているようです。あまり気にしない。
レース2日目は山坂道が舞台となります。
トリクシーが途中まで体調不良のテジョ・トゴカーンの代役となります。
途中でトリクシーと体調の戻ったテジョ・トゴカーンが交代となるとこでクランチャー・ブロック一味がやって来てアクションとなります。
アニメっぽくやっているらしい。効果は?が付くけど。
レースが再会されて頭にきてハンドガンを乱射したスネーク・オイラーは退場となります。それをやったらおしまいなのではと突っ込みを入れたくなります。
結局テジョ・トゴカーンが優勝となります。
トゴカーン社と交渉のローヤルトン社長。
ローヤルトン社長は株の値段でボッタクリにあったようです。
そんなわけでせっかくラリーに協力したけど利益を得たのはトゴカーン社だけとなったようです。ローヤルトン社捜査は全く得る物がなくムダになってしまった。
それではこれまでのシーンは全くムダではないかい。
夜のサーキットがヤケ走りのスピード・レーサー。
レーサーXのゼッケン9がやって来ます。
正体を現すがレーサーXですが兄レックスではなかった。衝撃の展開となっています?
家を出ることにするスピード・レーサー。
レーサー・パパと話し込む。
来客です。ハルコが来ます。
91GPへの招待状を持ってきます。これでレースに出ることが出来る。
突貫作業でマッハ号を仕上げるレーサー一家。
設計図ぐらいコンピューターで書きなさい。と思う。テキスト入力もコンピューターに限りますが・・・。
◆コンピューターといえば手書きで文章を書くことなんてもう出来ません。漢字を書く手間が省けて、手直しが出来る、このメリットは手書きに比べて大きなアドバンテージです。
ローヤルトン社の新型GRX。
一応スペシャルなマシンということらしい。
ゼッケン6のマッハ号が完成します。
エントリーで色々とありますがディテクター警部のおかげでここを突破出来ます。
レースがスタートとなります。
アメリカのレースなのにローリングスタートではないのか。スロー走行からの加速するローリングスタートは映像向きではないからしょうがないかも。
念のためにスピアフックを付けさせるローヤルトン社長。
で、速さではスピード・レーサーにかなわないので、そのスピアフックを使用となりますが、ジャンプしてスピアフック使用を監視カメラに映させるスピード・レーサーです。
この件でエンジンが停止してスタックするマッハ号。
カットパックでさかんに入る男は誰かと思ったら素顔のレーサーXでした。普通はわからんよ。
何だかんだで再スタートとなるマッハ号。
レースはクライマックスとなりますが、余計なインサートショットがカットバックされて正直言ってうっとうしい。
で、実は本当の兄レックスだとわかります。
何だかめまぐるしい。これはオリジナルのTVシリーズと同じ設定でよかったと思えます。映画はわざわざわかりにくくしています。
優勝するマッハ号。スピード・レーサー。
シャンパンではなくミルクを飲みます。これがインディアナポリス500マイルレースのスタイルなのです。
後タイトル。
最初の方で少しだけ日本語オリジナルのテーマソングが流れます。これはいいいなと思ったらホントに少しだけでした。もっとやれよと突っ込みたくなります。
版権元タツノコ・プロのクレジットがちゃんと入っています。これだけで満足していいでしょう。後の本編はついでのようなものです。
オリジナルのTVシリーズ『マッハGoGoGo』(1967年)は講談調の話にバタ臭いのキャラデザインがよかったけど、この映画版での『マトリックス』(1999年)な大げさな話は合わなかったようです。
そんなわけでオリジナルのTVシリーズの映画版というわけでもないし、カーアクションにもなっていない。これではアメリカ国内の興行でヒットしなかったというのも納得出来ます。
正直言ってカーアクションではないような。エンジン音とスピード感が何か違うので微妙な出来の作品でした。
私はオリジナルのアニメの方がいいな。
カーアクションとはこのような作品のことなのです。
スティーブ・マックィーン主演、1968年型マスタング・ファストバック390GT対1968年型ダッジ・チャージャーR/Tの元祖カーアクション『ブリット』(1968年)
イタリアのミラノを舞台に英国車ミニが主役の犯罪コメディ『ミニミニ大作戦』1969年版もお勧めです。普通のクルマとしてルパン三世の愛車フィアット500がたくさん出ています。
ダッジ・チャレンジャーがひたすら走る『バニシング・ポイント』(1971年)
スタントドライバーが『バニシング・ポイント』(1971年)と同じ人が担当しているのでカーアクションが何となく似ている『ゲッタウェイ』(1972年)
1968年型シボレー・インパラと1969年型ダッジ・チャージャーR/Tが走る『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』(1974年)
本編はイマイチですが色々なクルマが走ってる『激走!5000キロ』(1976年)
オカルト・カーアクションの『ザ・カー』(1977年)
バイクはカワサキZ1000でクルマはOHV V8エンジンの『マッドマックス』(1979年)
マツダのRX-7とコスモAPのカーアクションがある『太陽を盗んだ男』(1979年)
赤いBMWが走りまくる『ザ・チェイス』(1994年)
無難なリメイクになっている『バニシング・ポイント』(1996年)
スピードは文句ないけどエンジン音が物足りない『RONIN』(1998年)
1950年代のキャデラックが出てる不条理ホラー『ジーパーズ・クリーパーズ』(2001年)
プリマス・バラクーダとキャデラック・エルドラドが対決する『ハイウェイマン』(2003年)
日本の新しめのクルマが走りまくる『ワイルド・スピードX2』(2003年)
会話シーンの合間にクルマが走る『デス・プルーフ』(2007年)
等々の感想があります。
ところで多くのカーアクションを見ていたらOHV V8エンジンはアメリカ人の魂なのではと思えてきます。
マジでそのように思えます。
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