『ナイトウォッチ』(1998年)

この作品はオーレ・ボールネダル監督、ユアン・マクレガー、ジョシュ・ブローリン、ニック・ノルティ他主演の死体置き場サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
死体置き場を舞台にしたサスペンスで見ました。昔のTVシリーズ『ウルトラセブン』(1967年)の『侵略する死者たち』みたいな話しなのかと思ったら全然違っていました。SFではないのです。当たり前か。

1998年 ミラマックス/ディメイションフィルムズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆101分
原題◆Nightwatch
プロット◆シリアルキラーと疑われて四苦八苦する話しのようです。
音楽◆Joachim Holbek
スカイパーフェクTV311パワームービーにて。画質はよいです。

キャスト
ユアン・マクレガー→大学院生のマーティン・ベルス
ジョシュ・ブローリン→悪友のジェームズ
ニック・ノルティ→クレイ警部
パトリシア・アークェット→ブロンドのキャサリン
ローレン・グラハム→ブルネットのマリー
アリックス・コロムジー→娼婦のジョイス
ジョン・C・ライリー→木偶の坊なビル警部補
ブラッド・ダーリフ→偏見のある当直医

オーレ・ボールネダル監督の演出はよいと思います。
シーンが切り替わる前に次のシーンの効果音が先に入る手法を使っていました。編集のミスではなくて演出なのでしょう。TVシリーズ『ウルトラセブン』(1967年)の『狙われた街』みたいでいい感じ。

ユアン・マクレガー扮する大学院生のマーティン・ベルスは守衛のアルバイトとなります。
守衛さんは何を持っていると思ったら見回り先のカギを差し込むためのらしい。トラックのタコグラフみたいなものですか。要するに雇い主からは信用はされていないのということです。
このユアン・マクレガーのヘナチョコな守衛ぶりがなかなかよかった。初めて死体置き場に入る時に馬みたいに両側が見えないように手で隠して中に入る図がありました。

建物の前に何のオブジェと思ったら樹にビニールのカバーがかけてあるだけでした。これでも立派なオブジェに見えます。こういう何気ないシーンが意外と印象に残ったりします。映画の面白いとこです。

木製バットが護身用という凶器で出て結構活躍してました。
アメリカですから木製バットで、これが日本なら金属バットとなります。そこには何があるか？で、そこにある物を活用する。映画のルーティンな手法なのです。

ビリヤードでチンピラ2人に絡む図がありました。
この手のチンピラは野放しですからこまったものです。主人公に絡む当直医も異常なようだし出てくる人がそんな感じの人ばかりでした。

ジョシュ・ブローリン扮する悪友のジェームズは嫌な奴です。人を支配しようとするのが嫌な感じ。嫌な奴ですが結局事件には関係無い奴でした。
それでもクライマックスでは縛られた主人公のユアン・マクレガー達を助けようと必死で手錠を抜こうで自分の親指を切断していいとこを見せていました。
大丈夫切断した親指はまたくっつく。完全に元通りにはならないと思うけど。この手の人間はもしかの時に役に立つという幻想があるらしいけど、その通りの展開ではないですか。こまったものです。

ユアン・マクレガー演じる主人公は頼りないこと。
『普通じゃない』(1997年)でもそうでしたがこの手のキャラが得意なようです。
同じようなヒュー・グラントと組んで英国の上流階級と下層階級の頼りないコンビが出来そうです。もちろんユアン・マクレガー君は下層階級の方です。
ユアン・マクレガーはさすがにこの手のキャラはもう演じないでしょう。大丈夫です。後継者にはジェームズ・マカヴォイ君がいますから。

さすがベテランのニック・ノルティは存在感が抜群でした。
それで話しが進むと実はそんなキャラだったのかという熱演を見せていました。
特に後半になるとユアン・マクレガーの主人公は縛られて転がっているだけでどこかに行ってしまい、ニック・ノルティの独壇場と化していた。なるほどですからこのようなキャラを引き受けたわけだ。
意外な犯人でしたが警察ってこんなものではないのと思っているので、あまり意外感はなかった。日本の現実の警察の方が凄すぎるもので。

そんなわけで前半の死体置き場のユアン・マクレガー君がなかなかよくて全体的にも雰囲気があるよい作品でした。