『ミッション・トゥ・マーズ』(2000年)
この作品はブライアン・デ・パルマ監督、ゲーリー・シニーズ主演のSFドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2000年 タッチストーン アメリカ作品
ランニング・タイム◆114分
原題◆Mission to Mars
プロット◆火星には何かがあるという話しのようです。
音楽◆エンニオ・モリコーネ
ブエナ ビスタ発売のDVDにて。画質は非常によいです。
キャスト
ゲーリー・シニーズ→奥さんを亡くしたジム
ティム・ロビンズ→同僚のウッディ
コニー・ニールセン→ヒロインのテリー
ジェリー・オコーネル→若い男フィル
ドン・チードル→生き残っていたルーク
キム・デラニー→ジムの亡き妻マギー
ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
宇宙ステーション内部のシーンではカメラが平気で壁を通り抜けていました。セット丸出しのようにも見えますがこれはブライアン・デ・パルマ監督の特徴なのです。気にしてはいけません。
外側から宇宙船の窓をカメラが素通りして1ショットで宇宙船内に入るとこがあります。元ネタは飛行機の窓をカメラが素通りするアルフレッド・ヒッチコック監督の『海外特派員』(1940年)なんです。ブライアン・デ・パルマ監督はこの手法が好きなようで、他の作品でもよく使われています。
これは話しの構成が失敗しているのでは?と思えます。
詰め込み過ぎで散漫な感じはするし、謎解きで一体何があったんだと引っ張り過ぎて腰砕けな落ちな感じもするし、こまったものです。
巨大な顔が登場するので押井守監督の『ダロス』(1983-1984年)みたいなのかと思ったらそうではなかった。正直言って『ダロス』の方が面白いと思う。
この作品の紹介やハイライトシーンでよく出ていた宇宙船内での無重力ダンスのシーンはあっさりとしたものでした。もっと多くてもよかったような気がします。
宇宙船での事故の際にゲーリー・シニーズが何故ヘルメットを被らないのか?
それは隕石群の一撃で外壁2枚と乗員の手とヘルメットを貫通したのでヘルメットが1つ足らなくなったからだと思われます。血のCGに目がいってしまいヘルメットにもダメージがあったのに気がつきにくいようです。ブライアン・デ・パルマ監督はアルフレッド・ヒッチコック監督の真似が好きなだけあって説明セリフを使わない描写が普通なのでこうなる時もあります。これは見ている方が悪い。
進化の過程をCGで一気に見せるとこは面白かった。
地球生命の起源は宇宙から来た説をとっているようです。でも押井守監督のOVA『パトレイバー』シリーズ『4億5千万年の罠』で、この作品と同じことをスティル画像をオーバーラップでつなぎ音楽とシンクロさせて上手く見せていました。『4億5千万年の罠』の方が安上がりです。効果の点では同じ程度でCGを使うほどでもないというのが正直なとこですか。
話しの方はこれで終わりなの?と意外とアッサリしていました。
三角関係になると思ったらそうはならず、ブライアン・デ・パルマ監督に三角関係か描くのは無理があるようです。
それにしても誰でもいいのかヒロインには興味がないようです。以前から好みのヒロインのタイプが不明確な監督でしたが。
ゲーリー・シニーズが出てるのでこれは怪しいと思ってしまいますが。そんなわけはないか。いすゞの変なクルマに乗って登場。いすゞなんてトラックのエルフ位しかないので2020年には倒産していると思えますが。
ドン・チードルはスティーブン・ソダーバーグ監督の『アウト・オブ・サイト』(1998年)では凶暴な悪役をやってましたがここでは普通の人を演じてました。まるで別人です。
そんなわけで正直言ってあまり出来のよろしくない作品でした。ブライアン・デ・パルマ監督は御贔屓なので悪いとこは全部、製作元のディズニーのせいにしましょう。
ブライアン・デ・パルマ監督はSFマニアなのですか。知りませんでした。
それならぜひフレドリック・ブラウンのSF小説で多次元宇宙物の傑作『発狂した宇宙』を映画化してほしいものです。フレドリック・ブラウンのSF小説『火星人ゴーホーム』は映画化されているのがいくつかあるようですが『発狂した宇宙』はまだ映画化はないようなのでそう思います。
けっして多くは望みません。多次元宇宙の平行世界の描写を説明セリフに頼らずにデ・パルマ監督らしい分かりやすい視覚的描写でやって欲しいのです。ブライアン・デ・パルマ監督の得意技画面を分割するスプリットスクリーンのバリエーションで上手く描写出来そうな感じがするのですけど。後は適当に追っかけサスペンスになっていればいい。でも話しをいじくりまわされ家族愛を普通の作品3本分位詰め込むかもしれないからディズニー製作ではダメですよ。
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