『地下水道』(1956年)
この作品はアンジェイ・ワイダ監督の1944年ポーランドを舞台にした対独レジスタンス・ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
少し見て興味深かったので見ました。どこかで見たような感じでどこかに引用されているのではと思って見ました。
1956年 KADR ポーランド作品
ランニング・タイム◆97分
原題◆Kanal
プロット◆地下水道をはいずり回る話しのようです。
音楽◆ヤン・クレンツ
画質 まあまあ。スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。
キャスト
ヴィンチェスワフ・グリンスキー→中隊長のザドラ中尉
不明→副隊長のモンドハ中尉
タデウシュ・ヤンチャル→小隊長のコラブ
Wladyslaw Sheybal →記録役のクラ軍曹
Teresa Berezowska→連絡役のハリンカ、女性
不明→23歳のヤシェク
テレサ・イゼウスカ→ヤシェクの恋人デイジー
エミール・カレウィッ→ピアノ弾きのシハウ
俳優さんの名前はよくわかりませんでした。
アンジェイ・ワイダ監督の演出はよいと思います。
1944年 ポーランド、ワルシャワにて。蜂起より56日目とのこと。ところでポーランドは何語なのですか?そりゃ当然ポーランド語ですか。よくわからん。
キャラ紹介はちゃんとやっていると思いますが全部覚えるのは無理なことで地下道に入ったら泥まみれになることもあって誰が誰だかよくわからないなります。
カメラは人物に付かず離れずといい感じです。移動撮影が結構スムーズで溝口健二監督並みのようでした。
まず市街戦がありましてポーランド軍は全く旗色が悪くどうしようもなくなります。武器なしでは戦えないと言ってます。そりゃそうです。
ドイツ軍は有線操縦の小型タンクを使っていました。これは何の役にたつんだ?おとり役?
ドイツ軍は爆撃機から投下する爆弾に笛というかサイレンのような物を付けて落ちる時の風圧で音が出るようにしていたそうです。それにしても凄いアイデアを考えついたものだと感心します。この音だけで地上ではパニックになります。
ポーランド軍は市街戦ではどうにもならないので地下水道を通って中央区へ移動せよと命令がくだります。
41分頃に20数名で地下水道へと向かいます。入るまでがまた大変だったりします。音を立てるのではないという設定ですが音を立てる人がいて戦闘になる戦争映画のルーティンな描写がありました。
ここで曳光弾が見られた。これはなかなか見られません。曳光弾は夜間に弾丸の行方がわかるように発光して弾道が見られる仕掛けです。発射される弾丸が全部曳光弾になっているわけではなく数発に1発が曳光弾となっています。そんなわけで見た目より弾丸が多いわけです。
ポーランド軍の道案内をブロンドのヤシェクの恋人デイジーが務めるらしいがこれがよくわからない展開となります。デイジーは普段から地下水道内を行き来しているらしいと描されています。
48分に地下水道に入りますが道案内のはずのデイジーはポーランド軍から離れて恋人のヤシェクと2人で行動を共にしています。
戦争物のルーティン描写の数々。
声を立ててはいけないとなっていますが皆さん方は結構大きい声で喋りまくっていました。もうダメとヤケになっているのかと思った。その他もあったけど思い出せず。
坑道内でガスが使われていると大騒ぎになります。
ドイツ軍は何とか条約で禁止されているガスを使っているのかと思わせます。
→ガスは下を流れる汚水から発生しているのではとなります。
→結局ガスは集団ヒステリーではとなっていました。現代の日本でよくある異臭騒ぎのニュースもこれと同じ集団ヒステリーだと思えます。
ヤシェクとデイジーの2人の描写は結構メインになっていました。
この登りの坑道をクリア出来れば目的地の中央区に行けるが登れなくどうしましょうとなったとこでピアノ弾きが通りかかりますがすでに精神に異常をきたしていて協力は得られずとなる。この後に川につながる坑道へと行く。
結局ポーランド軍の大部分のメンバーはドイツ軍のまっただ中に出てしまいアウトとなります。他の別に行動したのもアウトとなっていました。全滅となっていました。
押井守監督作品に引用されているとこがあるに違いないと見てました。
で見ててそうでもなさそうと思ったらヤシェクとデイジーの2人が川に出られるとたどった先が出るには出たが鉄格子がはまっていてジ・エンドとなるとこがTVシリーズ『うる星やつら』(1981年-1986年)のエピソード(タイトル失念)と同じだったりします。
ギャグのアニメの方を先に見たのでどうもこの作品での緊張感が割り引かれてしまいました。見る順番が逆だろと自分に文句が言いたくなりました。
何だかどこかで見たようなシーンばかりでした。
製作年度からしてこの作品がオリジナルだと思えますが後から見たので損をしています。
そんなわけで戦争物の見本のようなよい作品でした。
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こんにちは。僕も地下水道は観ました。観たと言っても、15年ぐらい前に一回観ただけですが。
覚えているシーンといえば、地下道をポーランドの人々がドイツ軍から逃げ回っているシーンと、ラストで抜け道に失敗し、片手に銃を持ち上げながら、再び地下水道に潜ってしまうシーンだけです。もう一回観たい作品です。僕の好きな映画に灰とダイヤモンドと言う映画があります。これも、アンジェイ・ワイダ監督作品ですが、当時ポーランドを支配するソ連の新政権に対する若いテロリストの要人暗殺をとるか、それども恋人と一緒に逃げるか苦悩する映画です。もし観ていたら失礼ですが、観る機会があれば観てください。それにしても、戦場のピアニストといい、ポーランドと言う国は、大変な国ですね?日本人でよかったと思うときが、他の国々を考えるとそう思うときがあります。
投稿: ディープインパクト | 2008.09.04 10:24
ディープインパクトさん、毎度のコメントありがとうございます。
『地下水道』はそれこそ逃げ回るだけの壮絶な話しでしたね。
『灰とダイヤモンド』は未見です。有名な作品なのでそのうち見たいと思っています。
ポーランドは東ヨーロッパの小国ですからドイツやロシアから戦争をしかけられるから大変なのでしょう。とはいえアメリカの言いなりになっている現在の状態も大変だと思いますけど・・・
日本は島国なので、陸続きで戦争を仕掛けられることがないので助かったいると思えます。これもこれで戦争に対して緊張感を欠くマイナスポイントがあるようですけど。
そんなわけで戦争は映画だけでしてくれというのが正直なとこです。
投稿: ロイ・フェイス | 2008.09.07 18:30