『天国への階段』(1946年)
この作品はマイケル・パウエル/エメリック・プレスバーガー監督、デビッド・ニーブン、キム・ハンター主演の天国物ファンタジー・ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
有名なので結構期待して見ました。
1946年 J.アーサー・ランク・プロ 英国作品
ランニング・タイム◆104分
原題◆A Matter of Life and Death
プロット◆天国の受付で裁判を受ける話しのようです。
音楽◆アラン・グレイ
BS11衛星放送にて。画質は少し悪い。
キャスト
デビッド・ニーブン→英国人パイロットのピーター・カーター
キム・ハンター→ヒロインのアメリカ人のジューン
マリウス・ゴーリング→天国の使者71号
ロジャー・リバセイ→理解者のフランク・リーブ博士
ロバート・コート→死んだ無線士のボブ
レイモンド・マッセイ→検事
マイケル・パウエル/エメリック・プレスバーガー監督の演出はよいと思います。
撮影はジャック・カーディフ。
プロローグは宇宙から、無限に広がる宇宙・・・になっています。これはありがちでいい感じです。
死んだ人は天国への手続きが待っています。
天国の受付ではドイツ人はドイツ風に、アメリカ人はアメリカ風にと描写されていました。アジア人風の描写がなくてよかったような。もしアジア人風があったら多分トンデモ描写になっていたでしょう。
天国の受付で裁判になり検事がボストン出で英国に偏見を持っているという設定。
英国とフランスは仲が悪い。ですから英国人パイロットとフランス人天国の使者とのやりとりがいいのです。
この作品でも出てましたが和田誠の本『お楽しみのこれからだ』で知った「豆スープのような霧だ」という表現は結構一般的な表現なの?それとも映画の中だけか。
その名セリフ「豆スープのような霧だ」がある『心の旅路』(1942年)ですが以前NHKで放映されると「豆スープのような霧だ」が「濃い霧だ」になっていて見ててがっかりしたものです。商品名でないのに意訳し過ぎだって・・・
で、『天国への階段』の名セリフの「地上はいいな、テクニカラーだ」が今回の放映では「地上はいいな、総天然色だ」になっていました。何を考えているのか参ったね。総天然色なんてそれこそ死語ではないですか。
NHKで放映するときには商品名やブランド名がよほどまずいのかこまったものです。映画ではないけど山口百恵の『プレイバックpart2』の歌詞の「真っ赤なポルシェ」が「真っ赤なクルマ」と変えられていたのを思い出します。ネタが古くてすいません。
で、肝心のテクニカラーの画質はそんなによくないのが少しマイナスポイントです。
天国の使者は時間を止められる能力があります。
この描写はごくシンプルにフィルムをストップさせる手法と、実際に俳優さんが凝固することで処理してありました。もっぱら俳優さんの我慢大会が多用されていました。一生懸命凝固してるのが見てて結構気になるのでこれはあまりやらんほうがいいと思えますけど。
キャストで・・・
デビッド・ニーブンは主役を無難にこなしていました。
キム・ハンターのヒロインのアメリカ人のジューンはボストン出身ということ。キム・ハンター出演作を見たのはこれで4本目です。ハンターお目当てというわけではないのですが結構見ています。
『欲望という名の電車』(1951年)
『デッドライン〜U.S.A.』(1952年)
『猿の惑星』(1968年)
を見ています。
理解者のフランク・リーブ博士はバイク乗りです。
重要な用件で雨の夜にバイクですっ飛ばしています。
雨、夜、街灯はない、未舗装道路、この状況でバイクを飛ばす。ヘルメットがなくてゴーグルのみで突っ走ります。これは安全性より目を保護する機能性優先となっています。まだヘルメットはないからしょうがないけど、これが潔くてカッコイイ。
そんなわけで、それなりに期待して抜群まではいかなかったけどよい作品でした。
期待し過ぎは作品をスポイルします。これが私にはよくあるからこまったものなのです。
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