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2008.04.19

『まぼろしの市街戦』(1966年)

この作品はフィリップ・ド・ブロカ監督、アラン・ベイツ主演の異色ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品は傑作とのことで有名なので見ました。たとえハズレでもヒロインのデビューしたてのジュヌビィエーブ・ビュジョルドが見られるのでかまわないでしょう。
この邦題はいいと思います。何となく雰囲気があっていいです。

1966年 フランス作品
ランニング・タイム◆102分
原題◆Le Roi du Coeur
英題◆King of Hearts (USA)
プロット◆軍隊から病院の方を選択する話のようです。
音楽◆ジョルジュ・ドルリュー
スカイパーフェクTV706ザ・シネマにて。画質はよいです。

キャスト
アラン・ベイツ→英国兵隊プランピック
ジュヌビィエーブ・ビュジョルド→患者の1人で通称ヒナゲシ
Micheline Presle→ディートリッヒ風のエグランティーヌ
ジャン=クロード・ブリアリ→公爵
フランソワーズ・クリストフ→公爵夫人
ジュリアン・ギオマール→ヒナギク主教
ピエール・ブラッスール→ゼラニウム将軍
ミシェル・セロー→床屋
アドルフォ・チェリ→マクビベンブルック大佐


フィリップ・ド・ブロカ監督の演出はよいと思います。
1918年10月のとあるフランスの街が舞台。全編を通じて独特のノリがいい感じです。
出だしは鮮やかなものでなるほど、このようにして、この街にアラン・ベイツ扮する英国兵隊プランピックが来ることになってしまったのかとわかりやすい。

この街でレジスタンスをやっていた床屋が殺されて謎の時限爆弾の通信を残し、それの調査と時限爆弾の解除に英国兵隊プランピックが送り込まれます。
英国兵隊プランピックは強制ボランティアで街に行かされます。ボランティアって強制ではないでしょうと最初からアイロニーがキツイ。
到着すれば住民は避難して残っているのは精神病院を出た患者の方々しかいません。で、檻にいたクマを放してしまい街中をクマが歩いていたりします。

問題の時限爆弾は弾薬庫と時計台が導線でつながれていて仕掛け時計の騎士がハンマーで鐘を打つと導線がつながって爆発となっていました。これはロマンティックな起爆装置でさすがおフランス作品に登場する時限爆弾です。

登場する精神病院を出た患者の方々は結構まともというか冷静というか立場をわきまえているというか不思議な描写バランスになっていました。


ヒロインのジュヌビィエーブ・ビュジョルドは黄のコスチュームで通していました。
出番は思っていたより多くなかった。でも悪くない。綱渡りのシーンがありましたがここは吹き替えでした。『みじかくも美しく燃え』(67年)のピア・デゲルマルクはスタント無しでホントにやっていたけど。
他の女優さんも結構いい人がいました。名前がよくわからないのが残念なとこです。

その他のジュヌビィエーブ・ビュジョルド出演作で・・・
ブライアン・デ・パルマ監督の再会サスペンス。『愛のメモリー』(76年)◆これは主役ヒロインを務めて美しく撮れてるのでお勧めです。
クリント・イーストウッド主演の猟奇サスペンス。『タイトロープ』(84年)◆これはクリント・イーストウッドの相手役でした。
アシュレイ・ジャッド、ユアン・マクレガー主演のストーカー・サスペンス。『氷の接吻』(99年)◆これはサポートでの出演でした。それでも目立っています。


本編です。
タイトルは洒落て素敵です。
黒味に色文字。音楽にシンクロしています。
からくり時計の動きが描写されます。

1918年10月 フランス北部の街。
ドイツ軍は強力な爆弾を仕掛けています。時計塔のからくり時計をトリガーにしています。
そんなとこに、小ネタで若きヒトラーの描写が入ります。

街中に爆弾の知らせが広がり住民は逃げます。
床屋は無線で連絡しようとするがドイツ軍に見つかり射殺されます。

連絡の入った英国軍。
明日の夜12:00 騎士が来る?わけがわかない。で、1人を街に送ることになります。
アラン・ベイツ扮する兵隊プランピックは勝手に志願したことにされています。
ブラックな描写となっています。
合言葉は「タラはフライが好き」となっています。意味がわからん。

歩いて移動のプランピック。
スカートの制服なのでスコットランドなのか?よくわからん。
街に入ります。まだドイツ軍が残っていました。
プランピックは追われて病院に逃げ込みます。
ドイツ軍も追ってきますが何とかやり過ごすプランピック。
病院内では成り行きでハートのキングと名乗ってるプランピックです。

ドイツ軍は引き揚げる。外にでる病院の患者達。
教会に入る男。
鏡を見て化粧する女。
床屋に入る男。
サーカスに入る男。熊にライオン。
色々とディテール描写が入ります。

プランピックも外に出るが電線に絡んで気を失っていました。
気がつくと街には熊が歩いていたりします。
仮装している人が大勢います。

床屋に入るプランピック。
合言葉を言いますが相手が病院から出てきた人なので話しがかみ合わない。
ゼラニウム将軍に合うプランピック。
チンパンジーはチェスをしているゼラニウム将軍です。

病院へプランピック。
患者達はいない。これである程度事情がわかったようです。

伝書バトを2羽飛ばすプランピック。
この伝書バトを撃ち落とすドイツ軍。

追伸の伝書バトだけが英国軍に届きます。熊のライオン、床屋は不在。これだけではわけわからん。これで追加の3人を送ることになります。

街中のプランピック。
爆弾となる弾薬庫は擬装して隠してあります。これではプランピックにはわからん。

歌とダンスの家に入るプランピック。
ジュヌビィエーブ・ビュジョルド扮するヒナゲシが本格的に登場。
プランピックはハートのキングとして接待されています。

ドイツ軍がやってきます。歓迎されています。
英国軍の3人もやってきます。

弾薬庫の場所がわかるプランピック。
そんなこんなでハートのキングの載冠式をやっています。
ドイツ軍の軽装甲車を乗り回す患者2人。
逃げるドイツ軍。
自転車を乗り回す人達。
英国軍3人も逃げます。

ヒナゲシにハートのキング接待をレクチャーする女性2人。
電線を綱渡りのヒナゲシ。これは吹き替えのスタントでした。

午後06:00です。
弾薬庫の扉を開けようと悪戦苦闘のプランピック。
チクタクから時計が集められます。

パレードとなります。
これを利用して避難のために街から出ようとするプランピックですが、街からは出ない病院から出た人達。コスプレをしているのを自覚しているようです。

時間は過ぎていきます。
街を伺うドイツ軍と英国軍。

午前00:00の3分前となります。
プランピックとヒナゲシ。
騎士という言葉から、からくり時計が爆弾のトリガーと気がつくプランピック。
体を張ってこれを阻止したプランピックです。
プランピックは身を挺してハンマーが鐘ではなくて自分のアタマを打たして阻止してました。やったことと成果の落差が面白くていいです。

英国軍が街に入ります。
野営となりダンスも披露しています。
花火もあります。

この花火を見て街が爆弾で破壊されたとするドイツ軍。

翌朝です。
行進する英国軍。プランピックを拉致する患者達。
ドイツ軍も行進で街に入ってきます。

街中に行進したきたドイツ軍と英国軍が互いに整列してしばし向き合い整列したまま撃ち合い両軍全滅して残った大将同士が馬に乗って文字通り一騎打ちし同士討ちとあいなります。と、あくまでもカリカチュアされて描写で通していました。とにかく不思議な描写感覚です。
そんなこんなで両軍全滅となります。

フランス軍の大部隊がやってくるようです。
ここが潮時と病院に戻る患者達。残されるプランピック。

移動の車両から降りて装備を捨てて裸で病院の前に立つプランピック。
無事に入院するプランピック。
エンドとなります。


全体的に印象としては反戦映画ではなかったような。で、思想的に問題がありそうです。軍隊よりも精神病院の方がいいということでオタクバッシング主義者には受けが悪い のではと思えます。
そんなわけで傑作と名高いだけある作品でした。それにしても不思議な作品でした。


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コメント

お久しぶりです。僕もこの映画を観ているのですがもう16,7年前のことなので、殆ど覚えていないのが残念です。また観る機会があれば観たい映画のひとつです。面白かったイメージだけが残っています。

ディープインパクトさん、毎度コメントありがとうございます。

この作品はなんというか、独特の雰囲気があります。
現在のハリウッド作品と比べればテンポが遅いといわれるような感じですが、このテンポ雰囲気でいいと私は思います。

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