『フラットワールド』(1997年)
この作品はダニエル・グレイブス監督のパラレル・ワールド物アニメのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はどこかで聞いたような覚えがあるので見ました。キム・ベイシンガーが出てる何か似たようなのがあったような。それとは全然別の作品でした。→それは『クール・ワールド』(92年)でした。
1997年 タンデム・フィルムズ/BBC 英国作品
原題◆Flatworld
スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。画質はよいです。
プロット 2つの世界がつながって色々とある話しのようです。
音楽 ジュリアン・ノット
キャスト、VCは不明
フラットワールドの工事人の男マット
フラットワールドの太ってるネコ
フラットワールドの凶暴なサカナ
セルワールドから来た強盗
ダニエル・グレイブス監督の演出はよいと思います。
ペーパークラフトを使ってのストップモーションのコマ撮りアニメと普通のセル画アニメを組み合わせています。セル画はフルアニメではなく日本でもおなじみのリミテッドアニメのようでした。
この世界での現実がペーパークラフトで、TVの中がセル画となっています。
フラットワールドは何でもフラットなのでサカナの水槽は壁掛けになっています。
TVも壁掛けになっています。これはもう現実的なのかも。
工事人の男のペットのネコとサカナは仲が悪い。サカナがネコに嫌がらせをしています。サカナが釣りをする図があった。面白い。
このサカナは噛みつくのでピラニアなのかと思ったらメイキングではその通りでピラニアと言ってた。
工事の手違いからTVの中の強盗がフラットワールドに入り込んできて銀行を襲いカバンの入れ違いで工事人の男が強盗と間違われて話しは進行します。
フラットワールドから水たまりを通ってセルワールドに行くとそこはTV番組の中なのでTVリモコンでバックのシーンが簡単に変えられます。
強盗はカネの入ったカバンを追ってと主人+ペット2匹との追いつ追われつの攻防となるわけです。
マカロニ・ウエスタン風の決闘シーンがあります。
TVリモコンがリボルバー替わりにしています。これが結構本格的にセルジオ・レオーネ監督作品の『夕陽のガンマン』(65年)と『続・夕陽のガンマン』(66年)の引用になっていて面白かった。
3人が対峙していました。オルゴールのメロディが付いていました。顔のクローズアップショットを使用していました。結構本格的に引用しているのです。
3人が対峙といっても3人目は太ったネコで見てるだけです。ですから元ネタの『続・夕陽のガンマン』(66年)の通り3人目は見てるだけが同じです。と、よくやってていい感じです。
強盗のやられっぷりはこの作品独自になっているのがまたいい感じ。リモコンで撃たれて吹っ飛びながらTV番組の各キャラにタイプチェンジしていました。
警察はホッチキス・ガンを使用。ペーパークラフトの紙だからホッチキスとなる。こういうセンスがいい感じなのです。
そんなわけで想像力が感じられるアニメらしい結構面白い作品でした。
ついでに『メイキング・オブ・フラットワールド』も見ました。
1998年 タンデム・フィルムズ/BBC 英国作品
◆Flatworld Unfolded: The Making of Flatworld
スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。画質はよいです。
プロット スタッフインタビュー中心の普通のメイキングです。
ダンカン・スミス監督の演出は普通だと思います。
『フラットワールド』はBBCのクリスマス用番組として製作されたそうです。
1秒12枚の切り絵アニメとのことです。簡単にいうとパラパラアニメということらしい。手間はかかるようです。
アニメの特殊効果といえば透過光です。透過光というとまた『カムイの剣』(85年)が見たくなります。ところで現在では透過光をCGで付けてしまうのかな?
小道具は見えないとこまで作り込んであるそうです。何だかムダなような気もしますけど。
この反対のディテールを省略してシンプルの極みな手法をとっていた(背広の襟がないのが凄い)TVシリーズ『未来少年コナン』(78年)は面白かったです。要は演出なのではと私は思う。
小道具等をことん作り込むのを日本の作品でやってもそんなに効果が出るとは思えません。大半はディテールだけが凝っているだけの出来が悪い代物になります。そんなのばっかり見たのでアニメは見なくなりました。
アニメはディテールが完全に全部デザイン出来るのですから才能とカネと時間があればよい作品が出来るはずなのですが上手くいかないものです。
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